『読みました』報告・海外編Part.4

このエントリーをはてなブックマークに追加
414書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
ジャック・ケッチャム「閉店時間 ケッチャム中篇集」を読んだ。
相変わらず大好評な収録作品全話講評逝ってみようか!!
・「閉店時間」
Ny在住の作家らしく911テロ後のビッグアップルのシビアなムードが良く表現された作かと
思うが、ストーリーは孤独な中年男女のラブアフェアーの悲劇的顛末を描いたものに過ぎず、
ホラーでも何でもない、なんでこれがブラム・ストーカー賞(最優秀中篇賞)なのか?
・「ヒッチハイク」
たまたま逝っちゃてる高校の同級生(女)の自動車にヒッチハイクされた女性弁護士、
警官殺しの凶悪3人組も交えた血と性と暴力にまみれた冒険行といったところか。
途中、未成年の少女への暴力、一家惨殺等のきついバイオレンスシーンは数々あれど、
最終的に敵役たちや悪の巣的存在のホール・イン・ザ・ウォールは壊滅、
女性弁護士は脱出に成功する勧善懲悪・ハッピー・エンディング路線が、ケッチャム作品にしては物足らない感もある。
・「雑草」
連続殺人・レイプを徹底してクール、かつ、ビビッドに描いた作。
訳者あとがきには「・・・嫌悪を催すだけで終わってしまう読者もいるかもしれない」とあるが、
極悪レイプ犯カップルが、直接の利害関係は無い記憶力抜群なこれもイカれた正義感に
簡単にやられてしまうというシニカルな一応な勧善懲悪ではある。
「レイプ犯や連続殺人犯の荒涼とした精神風景に興味がある読者は興味深く読めるだろう」
ともあるが、まあ普通これは無いわな(w
・「川を渡って」
訳者あとがきによれば、
作者ケッチャム曰く「リオグランデ川の岸でのセルジオ・レオーネとトビー・フーバーの出会い」
のような作。
米作家ケッチャムによる血と暴力、リベンジ溢れるマカロニ・ウェスタン世界である。
メキシコ人少女、クールなカウボーイ、その相棒の好漢ピザ、語り部の若者の4人が
極悪売春・人身売買集団を壊滅させる。
生死不明の鳥を女の子(囚われたヒロインの妹)のまんこに突っ込んだり等、
ケッチャムらしい凄まじいまでのシーンが続出するが、最後はバイブルねたで綺麗、かつ、
感動的に締めているのが頂けない。ここは長編のように、クールに終えて欲しかったものである。