『読みました』報告・国内編Part.5

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969書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
中西新太郎+高山智樹編「ノンエリート青年の社会空間」を読んだ。
俺はネタ探し、読書人の嗜みとしてミステリ以外の書も多く読むが、
この本もそんな中の1冊、なかなか興味深く読了した。
ねらーを見ていて驚くのは、この高学歴社会化した現代日本において、
意外に高卒が目につき、2流・3流大学出身のアホが多いことである。
(この板でも2流大学出の業界人の狂乱ぶりは記憶に新しいところである(w )
この本で取り上げられたノンエリート青年たちは
ねらーとは対照的におおいに働くコミュニケーション能力に富んだ人物が多いが、同じノンエリートとして共感を強く抱いて読める者が多いのではないだろうか。
本書全体の「まえがき」と「まとめ」的役割を持った「序章」と「終章」は
別としても、
大学とは大きく異なる専門学校文化を紹介した第1章、
自転車メッセンジャーの世界を描いた第2章(これは是非ミステリの題材にも
取り上げて欲しい)、引越業の世界を取り上げた第3章、今何かと話題になる
ことが多い請負業の実態とそこにおける労働者像を書いた第4章、
入試難易度最低位高校を卒業した5人の女性のその後5年間を描く第5章、
といずれも下手な小説を読むのがアホ臭くなるリアルな興趣溢れる論考と
なっておる。
ただし、本書の執筆者たちはいずれも大学講師やドクター過程在籍者という
典型的な学歴エリート世界の住人なのがひっかからぬものがないでもない。
いずれノンエリートによる本書の如き論考が上梓されることも肝要かと
思うが・・・無理ぽ?