『読みました』報告・国内編Part.5

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959書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
松本清張「告訴せず」を読む。
国会議員の義弟に用意された選挙資金を持ち逃げした木谷は表に出せない
金ゆえ、告訴を免れ逃亡を続ける。
小豆相場で大儲けし、旅館の女中上がりの愛人と共にモーテル経営に乗り出し、
順風満帆に見えたのだが・・・
事件らしきものはあり、
最後はシニカルなドンデン返し
(「告訴せず」で富んだ男が「告訴できず」で破綻)もあるとはいえ、
非ミステリとは言わぬまでもクライムノベルという感がある作。
複雑な小豆相場の仕組み、モーテル経営の細かいノウハウ等が
相当に書き込まれており、この種の話題に興味がある者には良いだろうが、
読み難さともなっているのは惜しい。
やはり現代にも通じる選挙資金問題の方を、清張先生らしく突っ込んで書いて欲しかったという感を強く抱く。
(主人公の妻子の)古着入手方法が清張長編おなじみのご都合主義、かつ、
時代を感じさせるものあり、今ならユニクロあるし。