『読みました』報告・国内編Part.5

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759書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
有栖川有栖「スウェーデン館の殺人」を読んだ。
おなじみ名探偵火村助教授と作家有栖の国名シリーズ唯一の長編(とは言うてもこのコンビの
非国名シリーズ作品には長編があるのでたいした意味はないとも言えるが)
新本格の作家らしくエル&鮎好きで有名なアリスだが、
本作に関しては明らかにジョンの「修道院殺人事件」を意識したと思われる足跡の謎メーンな
雪上の蜜室ネタ、しかも犯行現場の謎解きを読むとやはり「修道院・・・」を想起せずにはいられ
ないものあり。
しかし、タイトルからは曰く因縁付き館を舞台にした怪奇探偵小説を思わせるが、
この手の傾向が好みでないアリスゆえ、登場する舞台は築後数年の大きめのログハウスであり、
ストーリーに池沼での子供の死が絡むものの怪談めいたエピも一切無く、
登場キャラにも格別奇矯なキャラはいない(ピザで女にモテモテな童話作家ってのは、
ちと面白だが)のは、やはり謎解き直球勝負のアリスらしい。
ミステリ部分以外の読ませ所(息抜きでもある)は、オカルティズムの強調や濃い人間ドラマでなくして、(この方向性で書くことも十分に可能ではあるのだが)スウェーデンに関する薀蓄や日本論
と相成る。
正直言うて、犯人は早期にわかった。だが、トリックは案外と楽しめたというところか。
悪名名高き2ちゃんねるでさえ、議論の余地無く完全削除対象なネタばれ(犯人名特定)を
しているみゆきの解説はもう少し配慮して当然だったかと思う。