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書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
木山しょう平「長春五馬路(ウーマロ)」
先日、木山作品はミスオタには無縁と書いたが、庶民の様を描き間断するところがない氏の作に
触れず、読み捨てなミステリに耽溺しているのは、極めてむなしい行為とは思わぬだろうか?
2作しかない長編のうち、日本軍、国民党、ロシア軍、中国共産党と支配者が変遷し、
大混乱状態にあった敗戦時の満州を必死で生き抜く主人公(当然、作者が投影されている)の姿
を飄々、かつ、リアルに描いた本作を冒険小説的要素を持った作として紹介しておく。
各人、心して読め!!
しかし、この主人公、戦争未亡人や娼婦たちに「おじさん」と慕われ、
露天商仲間の中国娘(未亡人)と親しくなり、旧知の中国婦人とアバンチュールを試み、
旅先で出会ったロシア娘のおマンコを鑑賞する機会に恵まれ、
終いには16歳の中国人メイドとニャンニャンの仲になるという、
この「方面」での恵まれぶりを見ると、ウーマロでの食うや食わず明日をも知れない露天商暮らしも
どこか牧歌的にさえ見えるから不思議である。
だが、これも主人公=作者(?)の人柄ゆえか、歪んだ精神性持った輩が多いねらーならば、
このような状況下にあっては、石持て追われるのみであろうに。