『読みました』報告・国内編Part.5

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259書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
オーギュスト・ル・ブルトン「男の争い」を読んだ。
大藪春彦、馳星周、花村萬月等が好きな向き、あるいは笹沢左保の股旅ものが好きな向き
にもお薦めのフランス・ノワールである。
(サン=ティティンヌの男ことムショ帰り、肺病病みの主人公トニー、
相棒で所帯持ちのスウェーデンのジョー・・・通り名も持ったフランス極道の世界は、
まさに本邦の股旅ものの世界を彷彿とさせるものがある)
巨額なダイヤを巡るギャング同士の抗争がメーンストーリーではあるが、
作者もその筋の人だけあって、
最大の読ませどころはフランス暗黒街事情(執筆当時)とそこに棲むギャングたちの生き様、
そして死に様(ラストで端的に示される)そのものと言い得る。
裏切った娼婦はフルボッコにし、イカサマ師や裏切った仲間は問答無用であの世へ送る
正に文字どおり非情の世界、ある意味でダークなマン・オブ・ザ・ワールドであり、
妄想と中傷が渦巻く2ちゃんねるに入り浸っている連中の精神性がいかに幼稚、かつ、
女性的であるかをあらためて痛感させるものがある。
裏表紙の本作紹介文にある「これが本物のノワールだ」というキャッチフレーズに偽り無し、
各人、心して読め!
260書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/09/06(土) 15:52:33 ID:+3NVhqnt
シャーウッド・キング「上海から来た女」を読んだ。
不具者の弁護士の運転手を勤める主人公ローレンス(船員上がり)に持ち込まれた美味い話、
それは偽装殺人だった。
ストーリーからはハードボイルドタッチを予想していたのだが、
作者が女性のせいか作品中に美文調の詩が挿入されたりするハーレクイン風であり、
ちょっとミスマッチな感あり、邦題がオ−ソン・ウェルズ監督による映画化作品からの流用で
ミステリ読みとしての勘が普通にあればネタばれ気味、
映画公開時(47年製作だが、日本では77年公開)にあわせた翻訳であるならばともかく、
原題の「IF I DIE BEFORE I WAKE」を活かした邦題にすべきであった。
後半の法廷小説的展開が少し面白い程度であり、読む価値は少ない作と言い得る。