『読みました』報告・国内編Part.5

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203書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
海外篇スレが容量オーバーで使用不能なためこちらに書く。
(そもそも読書報告スレは国内と海外の2本立てにする必要があるのか?)

へイク・タルボット「絞首人の手伝い」を読んだ。
密室ものの古典という噂が流布していた「魔の淵」が初訳された時の期待と
読後の失望感はいまだに記憶に新しいものがある。
「棒高飛びやめれ!」と言いたくなるようなアホなトリックには思わず萎えるものがあったし、
その通俗性(アクション、お色気、ラブロマンス等)の強調にはうんざりさせられたものである。
同じ作者ゆえ、「魔の淵」に先行する本作にも同様な感を抱かせるものがあった。
特に主人公キンケイド(本格ミステリでヤクザなギャンブラーが名探偵役という設定は異色で、
ちょい面白いのだが)を襲った怪物クラーケン(本来は伝説上の巨大なイカの怪物の意
なのでは?)の正体はジョンでも書かないような「アホ」なものであると言い得る。
もうバカはいい加減にしておけと思うたところ、この作者の長編は「魔の淵」と本作のふたつしか
ないとのことであり、妙に納得がいった。
204書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/08/16(土) 13:29:24 ID:eQaivRAI
ギルバート・アデア「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」を読んだ。
タイトル(原題の直訳)もある意味でネタばれか?
いわく有り気な登場人物たち、クローズド・サークルの設定、謎の密室殺人の発生とコテコテな
本格ストレートで入りながら、大乱歩風のトンデモトリック、アンフェアそのもの(この作者は承知の上かも)の犯人の登場で終わる作。
正攻法な謎解きミステリの面白さを求めると外されるが、ジョン、アガサ、アーネスト等の
ミステリ作家に関するくすぐりを入れながらの展開を余裕を持って楽しめるか否かで評価が
分れる変化球な作ではあろう。
(ただし、ダシール作品の主舞台をLAと読めるような記述は気にかかった。まさかレイモンドと
勘違いしているのでは?)
レズの含意があるらしい「リスボンの姫君」とは?
これは俺にとって本作の残された謎ではある。