>>231 B
B 「それはありえません」
まさかそんなところにこだわるなんて…
「どうしてだい? いかにもありそうじゃないか。 いや、ひょっとしたら既に誰かが実行しているかも…」
「アリバイ工作の為だとすると、いかにも不確実です。雪が落ちるタイミングなんて、気温、降雪量、暖房の
強度で
いくらでも変わるでしょうし」
ぼくは美樹本さんの言葉を遮り、切って捨てた。
「それにその方法では窓の蝶番が壊れることはあっても、窓が叩き付けられてガラスが割れるには至らない
と思います」
「…うん、まあ、そうか」
美樹本さんはどうやら自説を引っ込めるようにしたようだ。
ええと…、窓ガラスが割られていたのが不自然、のところの説明からだっけか。
「タイミング的にガラスが割られた時点で犯人と田中さんが争っていたとは思えません。バラバラにする時間
がいりますから。
となると、どういうことか」
「…あえて犯人が割ったっちゅうことか、仕掛けも何も使わんとその時に自分の手で」
「ええ、そうなると思います。」
「どうしてでしょうか? あえてそんなことをするのはよほどの理由が無いとやらないと思いますが」
香山夫妻が交代で声をかけてくる。
ぼくは夫妻に目を遣り、
「そう、よほどの理由が無い限りやらない。しかし、それを犯人はやったんです。それは
A 雪で隠したいものがあったのです」
B 死体を部屋に投げ込むためです」
C 判断力を欠いていたためでしょう」