『読みました』報告・国内編Part.4

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570書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
屋宮久光「南の島のたったひとりの会計士」を読んだ。
慶應経済卒の公認会計士(大学受験で2浪、会計士2次試験合格まで3年を経てはいるが)
大手監査法人勤務経験有り(福岡事務所)の著者による故郷(奄美大島)の町おこしの
顛末を綴ったノンフィクションだが、数々の苦難にめげず、自己流で故郷に錦を飾る
結果となったひとりの男の冒険の半生を描いたドラマとしても読み得る
当初、都会のテンポと価値観に馴れた著者の帰郷そのものが、カルチャーギャップを生じ
「冒険」と化してしまう序盤の展開が皮肉である。
しかし、「反転」(著者の田中氏も長崎の平戸の漁村という地方出身者である)
を読んだ後だと、同様に難関資格に合格しキャリアを積みながらも、故郷を顧みること
なく(平戸に家だけ建てている)都会でバブリーな世界に身を投じてゆく田中氏、
専門職を辞し故郷で開業、町おこしに身を投じてゆく屋宮氏…
あまりに対照的な生き方にある種の感慨を抱かざるを得ないものがある。