『読みました』報告・国内編Part.4

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416書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
逢坂剛「禿鷹の夜」を読んだ。
神宮署の悪徳刑事、禿富鷹秋(通称ハゲタカ)シリーズの第一弾である。
一部で人気があるシリーズながら、大藪春彦作品を読み慣れた目には、
はじけ方が足らず物足りないものがある。
また、解説にあるとおりハメットの世界を逢坂流に描くことを意図したもの
であるとすれば、視点が定まらない点が印象に残るだけであり、到底、成功しているとは
言い難いものがあり、もっと禿富の行動のみに焦点を絞って書き込んでゆけば、
東京人であり作品の舞台となる東京を描く筆致には定評がある作者だけあって、
臨場感があり、迫力溢れる作に仕上がったのではないかと思われるのが残念だ。
個性的ではあるものの、渋六興業のメンツもアウトローにしては優し過ぎで、
こちらはキャラ面から迫力不足、これが日本のヤクザと南米マフィア(マスダ)
との対決に悪徳刑事が絡むという本来は緊迫感ある物語を間延びした印象にしてしま
っている感がある。