『読みました』報告・国内編Part.4

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268書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
>エロ本を探していて見つけた訳には非ずw
なんかしょうもない奴が紛れ込んでいるな(w

黒木亮「トップ・レフト ウォール街の鷲を撃て」を読んだ。
私がこの著者の作品を手にするのは、
先に紹介した「巨大投資銀行」「アジアの隼」に続いて3冊目となるが、
本作がデビュー作である。
既に金融経済情報満載ではあるが、後の「巨大投資銀行」あたりと比較すると、
登場人物たちの恋愛、情事、家庭事情等に筆が割かれており、通俗的な経済小説と
しての面が強く出ているのはデビュー作ゆえの「小説」としての配慮であろうか。
ゆえに、終盤の今西夫妻と龍花の恋人道子との偶然の出会いといった臭過ぎるシーン
まであったりするわけである。
物語は、トルコ・トミタ自動車(どう見てもトヨタだが)の巨大融資を巡る主幹事
(これがタイトルの「トップ・レフト」である)獲得を目指す邦銀と米投資銀行の
攻防を描いたものであり、ここに金融界のM&A、ヘッジファンドの投機等が
絡んで来る。
今、読んでもそれなりに読み応えがある経済冒険小説と言うてよいが、
NYのツインタワーの登場、最終章で簡単に触れられている邦銀のグループ化の状況等
を見ると、刊行当時(2000年末)には最新の情報読物でもあったであろう本書に
描かれた世界にも隔世の感がある。
269書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :2007/05/12(土) 14:59:25 ID:Xpw0m/FF
興味がある者も多いかと思うので、ここで私のGW中の読書記録とでもいったものを紹介
しておく。
・黒木亮「トップ・レフト」 前記
・ 石川淳「至福千年」  紹介済み。格別面白くもないが奇妙な感がある作であった。
・ 江藤淳・松浦玲編「勝海舟 氷川清話」 何度読んでも面白い勝翁の正に『清話』。
・ 薄田泣菫「茶話」 気軽に読める実話小噺集といった趣の作なのが良し。
・ 里見ク「多情仏心」 前述した「極楽とんぼ」と並ぶ里見長編の代表作だが、
            やや冗長な面があるのが難か。

なお、海外作品に関しては別スレを熟読のこと。心して読め!