>>967 本陣の鈴子もいい。
白黒や仮面みたいなものもあるが、御大はこの系統のなんとも可憐なキャラも書く。
あまり評価されていない面であり、御大自身も主張してはいない点として、
近年の多くのミステリ作家とは異なり、
御大は登場キャラや人間ドラマ(異様なという形容詞付きだが)をしっかりと
書ける作家であったことが挙げられる。
ゆえに、通説に従えば「横溝文学」という名称は成立し得るかと思う。
少し前に出ている話題を例に取れば、「夜歩く」は蝶々とは異なりメーントリックのみを
バラされても読むに厳しい作ではあるが、
(この点は、本陣等もメーントリックの裏にエル作品風の捻りがあるとはいえ同様か)
それでも再読に堪え得るのは、独自の雰囲気を持つ濃いドラマの魅力があるためである。