エラリー・クイーン&バーナビィ・ロス〜PART5〜

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839書斎魔神 ◆AhysOwpt/w
典型的なエル作品読書案内は以下のようになるかと思う。
ロス名義4部作は、1作しか読まないのであれば(世の中にはミスオタばかりではないのだ。
この点は、各人、肝に銘じておけ!)、やはり「Yの悲劇」で決まり。
ただし、出来得れば、本格ミステリとしては弱い「最後の事件」も含めて4部作を読破して欲しい
ところではある。(4作で「ひとつの物語」が完結するとも読めるゆえである)

国名シリーズは、先に述べたとおり、本格ミステリの教科書的存在でコンパクトに纏まっている
「オランダ」を読み、次にボリューム感ある「エジプト」「ギリシャ」を読んでみるべし。
猟奇性やアクション(「エジプト」という作の特色)が嫌いな向きは、
「ギリシャ」から手にしてもよいが、遊びがないストレートな謎解き物語という点では「エジプト」から
読んでみるのがよかろう。
「ギリシャ」はアントニイあたりが書いていれば、アンチミステリと受け取られかねない論理の
お遊びとでも称すべきものを特色とした作であり、エル作品慣れしてから読むと一層楽しめる。
通説どおり、以上3作で国名シリーズを読むのは打ち止めにしても、一向に構わないのだが、
個人的にはアメリカ、スペイン、シャムの雰囲気はそれぞれに魅力は感じる。
ハリウッドもの、ライツヴィルもの等は現代ではミスオタというか、エルオタぐらいにしか読まれて
おらず、普通に本格ミステリが好きで読むのであれば、「中途の家」「靴に棲む老婆」等を推す。
この辺は、国名シリーズ上位3作に次ぐ出来と言い得る。