760 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/01(日) 00:20:33 ID:To8SA5DC
カズオ・イシグロ「日の名残り」を読んだ。 おなじみジーヴス・シリーズを執事ものに関するポジとすれば、ネガのような印象の作。 気がのらず長年手に取りかねていた1冊なのだが、血生臭いだけのミステリでは絶対に 味わえないしみじみした余韻が残る作、やはりブッカー賞受賞は伊達ではない。 ただし、刊行当時ではなく、良質なワインの熟成を待って寝かせておくが如く、 今読む方が感慨が深かったのではという感がある。 2回の大戦時に国際政治の舞台裏で活躍したダーリントン卿に仕えた執事スティーブンス、 その卿も亡くなり、今では邸宅はアメリカ人ファラディの手に渡った。 好人物ではあるが、あまりにアメリカ的な新しい主人に言い知れぬ違和感を抱くスティーブンス、 昔の同僚であるミス・ケントン(旧姓)から来た手紙を契機に、休暇を取り、 つかの間の自動車旅行に出るのだが・・・ 優れた作家に多い秀逸な情景描写、 カズオ(以下では「カズ」と略す)の場合は英国の田園描写、邸宅内の描写等は臨場感に溢れ 本作の魅力を高めるものとなっておる。 ミスオタには、英国の探偵小説では風景の一部と化している感がある「執事」についての知識 を深めるためにも一読を薦めておきたい(十二分に心して読め!!) しかし、あらためて30半ばにしてこの枯れた名作を書き得たカズオの力量には驚かざるを得ない ものがある。 「The Remains of the Day」を「日の名残り」と訳した邦題の妙にも感心、 本作のテーマを表して実に的確である。
761 :
名無しのオプ :2008/06/02(月) 10:31:05 ID:vKuSHdaO
>>753 自分で勝手に『裁判3部作』等とくくっていたわけだから
他人がどうこう言う筋合いではないかもしれんが
「検死審問―インクエスト―」はそもそも法廷での検察側と弁護側の
丁々発止のやりとりを繰り広げる場面とかを最初から狙ってないし
裁判小説でさえないかもしれない
検死審問は日本では馴染みの薄い制度だから分り難いが一般の裁判とは違う
それと挙げてるその三作『ベラミ裁判』『法廷外裁判』『検屍裁判』だけど
セシルは書かれた時代がずっと後で有利だから比較するのが不公平
デビューが1961年でもう法廷ものが書きつくされてそれを承知で書かれてるわけだし
『ベラミ裁判』『検屍裁判』と比べるなら書かれた年代を考えても
レイモンド・ポストゲイトの『十二人の評決』あたりの方が妥当だろう
「ミステリ・リーグ傑作選 下」エラリー・クイーン(論創社) 本書の目玉は「角のあるライオン」(ブライアン・フリン) でありましょう。 毒殺された上全身に切傷や骨折のある死体が2体次々に発見される。 被害者同士の繋がりは見えて来ず、捜査が難航している間に 第3の被害者が密室で殺される。一連の事件の陰に潜む 角のあるライオンとは一体――。 密室トリックは捻ってるとは言えショボいし、ミッシングリンクも 捜査ですぐ判りそうなものだと思いましたが、プロットは中々複雑で 読ませます。フーダニットもまあまあ。解説で触れられている ミスリードも巧いです。 ただ疑問点が2つ。何故弁護士の前で漏らしたのか、と、 何故葬式に行った(を知った)のか、です。 もう一つ収録されている「蘭の女」(チャールズ・G・ブース)は、 人気女優の誘拐事件を追う私立探偵を描いたハードボイルド。 本格味もあり良くまとまっています。ただ最後の1行は蛇足かな。 他の2長編もいつか読みたいです。
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス(光文社) 皇帝からの依頼にうんざりしていたファルコは久々に民間の依頼を 受けることに。その内容はある女性に纏わるもので、彼女がかつて 3人の夫を亡くしているという件につき調査をするというものであった。 折しも思わぬ臨時収入を得て上機嫌のファルコは恋人ヘレナとの 未来を夢見つつ、調査を進めていく。 シリーズ3作目。毒殺事件が絡んでちょこっと本格風味も。 セクシー熟女はハァハァしそう和気藹々の家族パーティーは楽しそう 料理も美味そうヘレナとのシーン……はもうちょっとツンだくでお願いします。 後いくらとか巻末に残額が表示されたりすると面白いかも。 増えたり減ったりしてね。 それしてもこの頃は皇太子と下層階級が交われる時代だったのかあ。
「残酷な童話」チャールズ・ボウモント(論創社) 奇妙な味の短編集だが、ジミー佐古田な印象。似通ったテーマに 基づく話が多くてバラエティ不足に感じた。1話目2話目読んだ時点では 期待したんだけどそこから先に繋がるものが無かった。 ベストを挙げるなら……表題作かなあ。
「リヴァイアサン号殺人事件」ボリス・アクーニン(岩波書店) パリのイギリス人富豪宅である夜在宅していた当主含む10人が 殺されるという事件が発生した。被害者が握り締めていたバッジから、 犯人はこの度処女航海に出る豪華客船リヴァイアサン号に乗るとみた パリ警視庁のゴーシュ警部は自ら船に乗り込み犯人を捕まえよう とするが――。 シリーズ3作目。飛ばしたのは作者の意向らしいがそういうお節介は 御無用に願いたいところ。 こないだとあるノベライズ作家が勘違いして書いたしょうもない 船上ミステリを読んじゃったもんで少々不安だったが、本作はちゃんと ミステリ仕立てになってて一安心。登場人物達が交替で視点になって 進んでいく手法も良い。 ただ、論理が弱い。警部も探偵役もいわゆる “ホームズ型当てずっぽう推理”だから余詰めが出来ていないため 説得力に乏しく作品のリアリティを欠いている。 でも宝物を示す暗号は面白かった。 疑問は2つ。125ページのある回答が回答になっていないことと、 (メル欄)を見つけたという場面が見当たらないこと。 ついでに何で帯が高村薫? この人ミステリーもあんま好きそうじゃない のに本格とか今までにちゃんと読んだことあんのかと思ったら 案の定惹句にもそれが表れてる。グランド(笑)・ミステリーだの ロシアで甦っただの、本格は日本でとっくに甦っとるわい。
766 :
名無しのオプ :2008/06/11(水) 04:51:59 ID:/tQbr+KO
「杉の柩」アガサ・クリスティー ポアロ18作目。 叔母ローラ・ウエルマンから莫大な遺産を受け継いだエリノアは、 ウエルマン家の門番の娘メアリイ・ジェラード殺害容疑によって起訴され、裁判にかけられることになった。 全ての状況が彼女が犯人であると示すなか、ある男がポアロにエリノアの無実を証明してくれるよう依頼する。 メアリイが死ぬまでの経緯を語った第一部、ポアロの調査を描く第二部、真相解明の第三部の三部構成となっている。 プロローグ以降第一部が終わるまでの150ページ近くは、ポアロが出てこないので人によっては退屈かも。 だが、第一部の登場人物の恋愛や遺産相続をめぐる人間模様はなかなか面白く、それがどのような形で プロローグで読者に突きつけられたメアリイの死に結び付くのか?と、ワクワクさせられる。 地味かもしれないが、面白さがジワジワと来る佳作。ただ、恋愛小説とか苦手な人にはむかないかもしれない。
767 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/14(土) 23:07:59 ID:QEzsIFIz
ジェイムズ・エルロイ「ブラック・ダリア」を久々に再読した。 (ハードカバー刊行以来ではなかろうか) 50年代LAにおける現実のお宮入り事件を題材に、 ミステリとして終盤で二転三転、後のサイコ・ミステリのムードもあって面白くないわけではないが、 暴力的で暗く陰惨で重い展開は胸焼け寸前といった感がある。 主人公はボクサー上がりの警官ブライチャート(出っ歯という設定が異色)、 同じくボクサー上がりでブライチャートをKOしたこともある相棒のブランチャード、 彼の恋人で犯罪者とのつきあいもあったケイが大きくストーリーに絡んで来る。 こう書くと、タフなハードボイルドタッチの警察小説を想起してしまいがちであるが、 (そのテーストは無きにしもあらずだが)、そこはエルロイ、 事件捜査に入れ込むあまりにブラック・ダリヤごっこ(読めば自明)にまで走ってしまう ブランチャード、幼少時に失踪(悲惨の結末が予想される)した妹のトラウマに囚われ暴走 してゆくブランチャード等々、他に登場する刑事・警官たちの行動も含めて、 そこには汚れた街をゆく孤高の騎士の姿には程遠く、87分署シリーズの刑事たちのような 律儀な職業観のようなものも全く感じられない。 つまり、肉体的にはタフな彼ら自身の心がもろく、病んでおり、この「闇」を作者は容赦無く抉って ゆく。時代もLAの街も病んでいた時代、定期的にエルロイ作品を再読してゆくつもりだが、 La四部作の冒頭を飾る本書だけでもお腹イパーイ感が無いでもなく、 書評家の「業」というものに考えを致す今日この頃である。
「絞首人の手伝い」ヘイク・タルボット(早川書房) 嵐の夜に孤島の館で起きた怪死事件。晩餐の席上で弟と口論をしていた 主人が呪いの言葉を投げ掛けられた途端、倒れたのである。 しかもその遺体は数時間の内に腐敗してしまう。それは呪いの力なのか? 中々楽しめた。上記の謎の他にも秋山みたいなヌルヌルの怪物が 跋扈してたりそれが密室で消えたり細かな伏線もあったり盛りだくさんで 久しぶりにメモしながら読んだ。仮に最後に萎むとしてもこの過程の ワクワク感はプライスレスだと思うなぁ。この人は「魔の淵」も こんな感じなのが 良かった記憶。フーダニットもフェアでは無いかも知れないが 盲点を突かれた思いがした。密室トリックはあまり感心しないが その周辺のある出来事の真相が秀逸。 ただ真相の一部にやや無理があるように見受けられた。 それにしても引用や比喩や掛詞を一々広い上げるのって大変だなぁ。 そういう推理の筋道なんかも特集して欲しい。いつかどこかで。
「十二人の評決」レイモンド・ポストゲート(早川書房) 莫大な遺産の相続人である少年とその後見人である義理の叔母との間に 起こった殺人事件。その裁判の為に集められた十二人の陪審員。 様々な人生を歩んできた彼らが議論の末に辿り着く結論とは? かつて自分で勝手に『裁判4部作』等と(ry そう言えば内3作は乱歩のベストテンに入ってますね。 最初にこのタイトルを知った時はてっきりあの映画の原作かと 思いましたが違いました。 まず、12人の爲人を丁寧に語っていき、それなりに各人の バックボーンを描いてから事件の概要が語られます。この流れは 良い趣向だと思うのですが、後がいけません。肝心の議論がとても短く、 ざっと各々の所見が述べられただけで強引にまとめに入ってしまう からです。前半あれだけページを割いて陪審員達の描写をしたのだから それを活かしてアクの強い議論が展開するかと思いきや、あっさり すかされてちょっとがっかりしました。オチもあまり ピンと来なかったです。 冒頭の言葉はある意味読者への挑戦かな?
770 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/16(月) 00:13:21 ID:4uyW66sG
アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」「第三の嘘」を一気読み、 いずれも前記した傑作「悪童日記」の続編で3部作を形成するものである。 第1作の「?」を感じさせるラスト(国境での別れ)の謎解き、 第2作でストレートな叙述トリック(ミステリ読みには何となく予想がつく展開ではあった) と思わせて、第3作でもう一捻りしエンディングとなる。 両作品共に世評は高く、確かに面白く人間も描けているとは言える。 ただし、結論から言えば、寓話的ピカレスクを貫徹した点に魅力があった第1作 「悪童日記」の世界観を壊す形になっているのが、何とも残念、 作者はあるインタビューでは、当初からは続編の構想は無かった旨を語っており、 第2作、第3作が存在しない「形」も文学的に十分に有り得たのではないか。 ミステリタッチどころか、3部作として読めば「ミステリ」そのものであるが、 原音ではあのミステリの女王に類似した発音となる作者の手になるミステリの「つまらなさ、 限界」を示唆した作とも読めるのがシニカルだ。
「ヘラクレスの冒険」アガサ・クリスティ(早川書房) ヘラクレスの難業に見立てた連作短編集。最初は割と単純な筋だが 中盤から捻りが効いてくる。鳥、馬、牛辺り。鹿は先輩作家の某短編を 意識しながら書いたのかも。良い。
「棄ててきた女」アンソロジー/イギリス篇(早川書房) アメリカ篇に引き続き詰まらない。SFにウェイトを置いたりだの 敢えて選んだりだのアンソロジーの私物化も甚だしい。 確かにオリジナル版の方にもSFはたくさん入ってますよ。しかしね、 あくまで娯楽として面白いのが大前提だし、それに本を開いて 最初にカプセル怪獣が目に飛び込んで来たら軽く失望するよ (もっともその話自体は比較的マシだった)。無理に鶴を探すとすれば、 「何と冷たい小さな君の手を」(ロバート・エイクマン)かな。
773 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/21(土) 13:42:02 ID:UlievxCU
ジョン・ル・カレ「パナマの仕立屋」を読んだ。 英国秘密諜報員が名物男ともいえるパナマの仕立屋へアプローチ、 彼氏の触れられたくない過去と金銭的な窮状につけこみ間諜に「仕立て」あげるのだが・・・ 刊行当時はタイムリーだったパナマ運河返還ネタ、ベルリンの壁崩壊、ソ連解体等 東西冷戦の完全終結により、今後のスタンスが注目されたスパイ小説の大家の手になる作、 このミス等でも高評価(大家への御祝儀の意もあったか)であったが、 結論から言えば、長過ぎ、地味過ぎ、ネタに馴染み薄過ぎ等で日本人には面白くない。 運河返還に絡んで日本人暗躍エピが登場するものの、メーンキャラで日本人が登場するわけ でもなく添え物に過ぎない感があるし、そもそもパナマはキューバあたりよりも更に日本人に とって遠い存在であり、帽子・運河・ノリエガ程度しか思い浮かばないのが通常であろう。 この国と複雑な利権絡みの歴史を持つ英米とは大きく事情が異なるのである。 また、ネタそのものはともかくとして、じっくり書き込み過ぎる点も現代スリラーには不可欠とも言い得るテンポを欠く因となっており、ル・カレが「古い作家」であることを実感させてしまう。 時代に迎合する必要はないが、ある程度は時代に合わせるのもプロのエンタメ作家のなすべき 仕事かと思う。更には読み辛い翻訳も難。
774 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 17:39:03 ID:4kI1UKM7
書斎と読後感では雲泥の差があるな。もちろん書斎の勝ち。
775 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 17:40:16 ID:BnPpK326
どう見ても書斎のほうが屑でしょ。
776 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 20:02:23 ID:3qo0iFVr
>>773 僕の読後感とだいたい同じなんだけど、ただひとつ、「読み辛い翻訳も難」だけはちょっと訳者に気の毒だという気がしました。
ル・カレの英語は、ネイティヴにとっても読みにくい代物で、読者層がホワイトカラーに偏っている作家です。
まあ、誰が訳しても超訳でもないかぎりあんなところじゃないでしょうかね。
777 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 20:23:58 ID:7EvQyTrs
また自演かw
778 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:15:15 ID:q0184CPe
まあ、英国ものスパイ小説は日本人になじみ薄いのしょうがないとは思う。 ル・カレは寒い国からとスマイリー3部作は神クラスだけど、他は並かな。
779 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:35:53 ID:+ZqxdL/7
急に荒らしを構う人が出てきてますね。 実に自然な風景だなあ(棒
780 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 22:53:46 ID:UzQEBreb
ホワイトカラーの読みものを読んでる→知識人→偉大だなあ ってことがやりたいだけですね 作家や読者の学歴や階層を無意味に指摘して差別したり誇ったりするのはいつもの手口だし
781 :
名無しのオプ :2008/06/21(土) 23:14:31 ID:SLWu0Sj9
で、荒らしをスルーできない人が書き込む、と
782 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 00:01:27 ID:LBmmP7We
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 || ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを || 与えないで下さい。 Λ_Λ || ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて \ (゚ー゚*) キホン。 || ゴミが溜まったら削除が一番です。 ⊂⊂ | ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_ | ̄ ̄ ̄ ̄| ( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ 〜(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は〜い、先生。 〜(_( ,,)〜(_( ,,)〜(_( ,,) 〜(___ノ 〜(___ノ 〜(___ノ
783 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/22(日) 09:44:57 ID:L1zieMWf
アラン・グリーン「くたばれ健康法」を読んだ。 健康体操の大家が密室状態で銃殺された。 プールからの閃光の目撃者いたが、なぜか人影は見ていない。 終盤で「お前はデューク東郷か!」風のジョン張り(ゆえに強引な御都合主義もある) のトンデモトリックが炸裂、呑ん兵衛同士の探偵談義もそれなりにクスリとさせはするものの、 全体評価した場合、ユーモア・ミステリとまでは言えるか否か、キャラ立ちしている人物は多いが、 さほど笑える要素は見受けられないのである。 これは007シリーズの翻訳者として知られる井上一夫氏の訳文が抑制が効いたスタイリッシュな もの(ただし、こなれた訳文で非常に読み易い)というせいも影響しているのだろうか? そう言えば、バウチャーがユーモアと本格ミステリ融合の成功例として本作と双璧として挙げている ジョンの「盲目の理髪師」(「訳者あとがき」によれば井上氏は本作は別なタイプと把握しているようである)も井上訳、ラストの道化役であるはずの警部の退場が妙にカッコ良過ぎる感があった。 NHK朝ドラ「わたしの青空」で結構周知されるようになったラブ・チャイルド(中盤から登場する 本作のトリックスター)というネーミングに関しても、翻訳時点では何らかの注釈を付すべきでは なかったろうか。
784 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/22(日) 09:45:36 ID:L1zieMWf
マーク・マクシェーン「雨の午後の降霊会」を読んだ。 恩田陸が推していたのを見かけたことがあるので手にしてみた。 「待ち受ける最終7ページの衝撃」の惹句にも期待したのだが、 たいしたことがないというのが印象。 ヒロインの霊媒マイラの特殊能力が犯罪を意図する動機となり、陥穽ともなるというオチで、 別に衝撃って程のものではない。 犯罪計画は緻密なほどサスペンスも盛り上がるのだが、マイラと年下の旦那ビルによる少女誘拐 は杜撰でその場しのぎの面が目立ち過ぎ萎えることこの上ないし、 後半のこの夫婦の鬼畜化してゆく展開もバッド・テーストそのもの。 ボリューム的にも文庫本230ページと、大きな期待は禁物な正に読み捨てミステリの典型であり、 本作の出来を見れば、現在は品切れ、他にも50冊以上ある(解説より)というこの作者の他作も 全く未紹介のままなのも当然至極と言い得よう。
785 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 11:03:11 ID:pU7B1kCV
まあ あれは植草甚一さんのおかげで題名が残ってるような作品だからなあ
786 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 11:05:22 ID:pU7B1kCV
776は荒らしじゃないんじゃないの? 実際にル・カレの英語は読みにくいよ、いまの日本人がアメリカ英語に慣らされてるせいもあるけど。
787 :
名無しのオプ :2008/06/22(日) 12:51:40 ID:Z6p6iY0k
788 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/06/28(土) 14:19:33 ID:BLlVpYML
「ジェゼベルの死」を読んだ。 定評がある本格ミステリの古典と言い得る作で俺が未読だったのでは本作ぐらいかと思う。 ポケミスは目にした記憶は無いし、文庫も品切れになって久しく、 今回、大規模古書店にてようやくゲットした次第である。 結論が言うと、入手難ゆえ高評価され過ぎているという感が無くも無い。 不可能犯罪トリック(無人のはずの塔での絞殺後の転落)もかなり強引な物理的小技であるし、 錯綜する多彩なキャラも解説が言うレッド・へリングを成すよりも、テンポの悪さを助長してしまって いるという感が強い(「はなれわざ」「緑は危険」等も読んだが、この作家はアガサのような 語り上手、ストーリーテラーではない) 最後に来て、横溝御大やジョン好きにはドロドロな動機、 グロなトリック(ジョンの短編でも指摘されているが「匂い」の問題が大いに疑問や)が 明らかにされるのが読みどころか。
789 :
名無しのオプ :2008/06/28(土) 14:35:02 ID:KgWaBPqr
中学生並みの読書力しかない八流ニートの林、いいかげん さんざん読んだ読んだと自慢していたフリーマンの倒叙型 推理小説と、コロンボの元になったクィーン作品は読んだのか? まともな人間はみんなお前を小学六年生並みだと認識してるぞw
790 :
名無しのオプ :2008/06/29(日) 16:21:21 ID:rABFgrMW
レオニー・スヴァン『ひつじ探偵団』(早川書房) アイルランドの寒村グレンキルで、羊飼いのジョージが殺された。 主人の無念を晴らすため、「世界一賢い」羊のミス・メイプル、 “鯨”のモップル、サーカス出身のオテロらが捜査を始めるが……。 羊ミステリ。作者はドイツ人。本国ではベストセラーだとか。 ここに出てくる羊は、極端には擬人化されていない。 人間の言葉を一部理解したりはするが、一応リアル路線だ。 そのため、彼ら独自の考え方、価値観で行動する。 推理がずれているのが端からわかる。 それがもどかしくもあり、まあ、可愛くもある。 謎ときのカタルシスは薄く、ミステリとしては凡作。 羊好きな人が、羊に萌えながら読むのが正しいかと。 個性的な羊がたくさん出てくるのはいいとして、少しくどく感じた。 少なくとも人間の視点パートと、羊の視点パートは分けてほしかった。 あちこち主体が移りすぎて何が進行しているのかよくわからない箇所もある。
「毒の神託」ピーター・ディキンスン(原書房) 灼熱の砂漠にそびえる異形の宮殿で起きた謎の“相打ち”事件。 これが種族間戦争の引金になりかねない事態を憂慮した心理学者モリスは 事件の鍵を握っているであろう女性テロリストと未開人を追って 相棒の天才チンパンジーと共に敵地へと乗り込むのだが……。 初ピーター。かなり異色な話だなあと読み始めたところが中々 座りが悪くて喃。特殊な土地柄で必ずしも論理性が重視されず、 それどころか言語表現すら未発達という有り得ないという状況下で 猿と幼女を抱え孤軍奮闘する「死の相続」以上の苦境に立ち向かう 主人公の冒険は見応えがあるけれども、中盤の探索行が長すぎてダレル。 もちろん事件解決に必要な面もあるが、それにしてももう少し 刈っとして貰いたい。独特な世界観や概念を構築する能力は作家にとって大事だと思うが それを全面に出されると時にウザく感じる。真相がショボいのも残念。 ヒロインや日本のスッチーは本来寿行的なのにそこはイギリス紳士 邪魔をした。
「シャーロック・ホームズの栄冠」北原尚彦編訳(論創社) 名だたる作家達によるパスティーシュ&パロディ短編集。 1編1編が短くて良い。ただ注釈をまとめるのは止めて欲しい。 各編のラストで良い。 テーマ毎に5篇に別れており、それぞれ味があるのだが、いかんせん シャーロキアンじゃないもので雰囲気で評価するには限界がある。 かと言ってミステリとして優れているものを選ぼうとしても結構難しい。 そんな中、アーサー・ポージスのシリーズはバカミスとしておもろ〜。 他にも赤ずきんの新解釈をする「おばけオオカミ事件」 (アントニー・バウチャー)、まさかの事件の顛末「第二の収穫」 (ロバート・バー)、同郷の英雄との厳しい対決を描く 「シャーロック・ホームズ対007」(ドナルド・スタンリー)、 そしてどこか幻想的で、かつ爽やかな余韻を残す奇妙な味の 「サセックスの白日夢」(ベイジル・ラスボーン)等が残心した。 ただ、「一等車の秘密」(ロナルド・A・ノックス)は18ページと 20ページの記述に矛盾があるやうな。 後他の探偵の語られざる事件も読みたいな。半パイントの小エビ 消失事件とか。
「ジェームズ・ディーン殺人事件」ロバート・S・レヴィンスン(扶桑社) ジェームズ・ディーン記念切手発売の式典にジェームズ・ディーン そっくりの男が乱入。ゲストの俳優を射殺して逃走した。 同じくゲストとして現場に居合わせた女優ステファニーは 友人の復讐に燃え元夫のコラムニスト、ニールを巻き込んで 犯人を追った! この21世紀にまさかの2作目スタート。シンジラレナ〜イ。 凄い多作家ならまだ解るが4作っきゃ出てないし、作者の意向でもないし、 特に日本向けの内容でもないし。何故当然のことが出来ないかね。 こんなイミフなことやってるからイヴァノヴィッチにも逃げられんだよ。 閑話休題。話は面白い。殊に主役の元夫婦カップルが良い。お互い 惹かれるものは十分残っていながら実体のない何かが障壁となって 微妙な関係に甘んじているというね。掛け合いも○。これは良い ニヤニヤ・ミステリー略してニヤミスを見つけたわい とほくそえんだところが冒頭に戻るわけですよ。ほんとにもンガー! 事件のプロット自体は大したことはないが前述のキャラクターと ハリウッドネタで読ませる。しかしこれ大丈夫なのかな……。 後ヒロインのサービスシーンなかもあり。色んな意味で楽しみな シリーズなのだが、刊行から一年半経ってるのにまだ続刊がない というのは不安だ……。 そういや以前早川から似たようなシリーズが出てなかったっけ。 女優と探偵の元夫婦もの。ロバート・ウェストブルックか。
「大聖堂 上中下」ケン・フォレット(新潮社) 12世紀のイングランド。王位を巡って内乱状態の中、敬虔な修道院長 フィリップは現実的かつ厳格な改革を進めようとするが、 それは強力な世俗権力と私利私欲に奔る上司との永い対決の日々の 始まりであった。一方、大聖堂を建てることを生涯の目的とする 建築職人トムはフィリップの元で仕事に励むことになるのだが……。 ミもフタもないことを言ってしまえば、この手の年代記と言うのは その形式である程度面白く感じ得る。ただ、本作はそれプラス キャラクターが良い。各々の属性が単純に固定されていないから ストーリーに広がりが生まれるし、特定の人物に感情移入することなく 場面場面を引いて眺めることも出来るわけである。例えばエロシーンで 心置きなく抜けるw ただ、巻を措く能はずという程のリーダビリティは無いかも。 長いスパンで読んで。 追伸 特殊な漢字を濫用する訳文がちとウザイ。やり過ぎると陳腐。 追伸の追伸 注釈でネタバレしてたのが? 読者は日本人だからね。
「薄灰色に汚れた罪」ジョン・D・マクドナルド(長崎出版) 親友タッシュの不可解な死に疑問を感じたトラヴィス・マッギーは 仲間たちやタッシュの妻と共にタッシュを追い詰めた権力者達に 復讐を敢行する。 元帥かジョンDかってぐらい。ツンデたはずの「濃紺のさよなら」が ドコジャイカに行ってしまったので飛ばして。 なんかノリにくい文章だなぁ。一人称が空回ってんだよね。 はよ本題入れやと。セリフ少ねーし。内容もハードボイルドかと思えば コンゲームもので、数字がダラダラと並んであんま面白くない。 もっとアクションが欲しかった。恋人との関係も掘り下げが足らないから 感じ入れなかった。
「ドイル傑作集T―ミステリー編―」コナン・ドイル(新潮社) ノンシリーズ短編集。フェアではない古いタイプの本格もの。 ベストは『時計だらけの男』。列車内で男の死体か発見されるが、 車掌は彼に見覚えがなく、逆に3人の乗客が消え失せていることが判る。 謎が魅力的だし語り手が仮説を披露したりするのも面白い。 他にも列車が丸ごと消失する『消えた臨急』や、真相が味わい深い 余韻を残す『漆器の箱』、感動のロマンス『五十年後』等があるが、 中でも『悪夢の部屋』にはびっくりした。ドイルがこんな話を 書いていたのか!
「偶然の犯罪」ジョン・ハットン(早川書房) 生真面目で厳格な教師コンラッドは気まぐれに女性を車に乗せたことから 殺人犯の疑いをかけられてしまう。折しも大事な面接を控えていた コンラッドは警察に偽証してしまい、それが彼を更に追い詰めていく。 典型的な巻き込まれ型サスペンスかと思いきや、微妙に異なる。 主人公は率先して疑いを晴らそうと動くわけでもなく、警察から 逃げ回るわけでもない。ただ、苦しい状況に翻弄されているだけ。 それに、騒動の発端となる行動がやや不自然に感じた。 主人公は上司からは嫌われ同僚からは足を引っ張られ妻は年下の男と 密会を重ねているという、出だしから下り坂。しかしミステリーで ある以上何かあるだろう。読んでいくとあっけない幕切れ…… と思いきや、「あっ」と思わせる仕掛けが。これは数年前話題になった ある作品の広義の先駆やも?
798 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/05(土) 15:31:35 ID:ArZazkVj
モーリス・ルブラン「ルパンの告白」を読んだ。 堀口大学の名調子によるルパン傑作集中の1冊、ルパンが怪盗ならぬ名探偵ぶりを見せる 短編集である。 南洋一郎によるジュブナイルも相当なイケイケだったが、 これに劣らない、否、それ以上にマイペースな訳はルパン好きにも評価が分かれるところかと思う。 正直言うて、このような作を手に汗握って読んでいるのは厨房臭さが抜けないアホだけだと断定 して差し支えなかろう。 では、大好評につき全話講評逝ってみよう!! 「太陽のたわむれ」 気だるい感があるタイトル良し、白昼が舞台にもかかわらずミステリアスなムード良しの作だが、 フランス語がわからないと謎解きが楽しめないのが難。 終盤のグロい展開は意外、ルパンの良い意味(?)でのタフな悪党ぶりもジュブナイルには 見られない魅力となっている。 回顧談とはいえ、ルパンの一人称がいきなり「わし」なのには思わず笑える。 「結婚リング」 人生の機知(注 キチイではない(w )を感じさせるちょっとモーパッサン風のオチが効いている 一編。 こういう粋なタッチの作を見ると、大衆作家とはいえ、やはりモーリスは仏作家なのだと実感させる ものがある。 「影の指図」 いわゆる宝探しネタだが、最後のアルセーヌの述懐が印象的。 謎解きは巧く「創り過ぎ」ている感が強いが、ラストへの展開がこの時代のフランス短篇小説 らしさがある。 「地獄罠」 ラストのアルセーヌの台詞をはじめ展開が本家よりもアニメ版ルパン三世風、 やはり自惚れの強さは爺さん譲りか(w
799 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/05(土) 15:32:11 ID:ArZazkVj
「赤い絹のショール」 メーンは残忍な事件の謎解き(タイトルもヒント)、ガニマールをおちょくり過ぎなアルセーヌ等、 意外に後味が良くなく、自分は好きくない作であった。 「うろつく死神」 これもラストのガニマールの扱いが気にいらない面もあるが、どんでん返しの興趣はある作。 「白鳥の首のエディス」 時代設定が古いとはいえ、漫画ちっくなどんでん返しが楽しめる作。 馬鹿に成りきって読み込めば面白く、楽しめるのではなかろうか。 「麦がらのストロー」 人間消失ネタ、正にジョンまがいのバカトリックが炸裂する。 ゆえに「ミステリ」をお遊びとして把握すれば面白かろう。 「ルパンの結婚」 ある意味でショッキング(?)なタイトル。 アニメ「カリオストロの城」の原初ネタか、真にアルセーヌが盗んでいったものは・・・というわけだ。 ただし、ヒロインはクラリスのような美しい生娘ではなく、 ロマンス小説を耽読するブサイコな独身30女、 ナウく表現すれば腐女子(ただし、目は綺麗で性格は良い)という設定が妙にリアルである。 人生の哀感を感じさせるようなラストがイカしている。
800 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 16:37:03 ID:zELpSEji
読後感氏の感想は読み甲斐があるよなあ 馬のとはえらい違いだw
801 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 17:00:37 ID:o+7eQHlT
いくら書斎がクソとはいえそれはない
802 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 18:23:53 ID:aSXkxTj7
馬人みたいに指導と称してアホな自己見解を押しつけてこない分 読後感のほうがマシだというレベルだな。
803 :
名無しのオプ :2008/07/05(土) 18:34:13 ID:XyrDLeFL
つうかイチイチ判りやすい反応してやるなよ
804 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:19:28 ID:OEsCMH4i
ウィリアム・ゴールドマン「殺しの接吻」を読んだ。 ハリウッド稀代のライターの手になる作、ボストン絞殺魔事件という実話ネタ(「あとがき」より)が 存するとはいえ、64年当時に、これ程現代的なサイコ・ミステリを書いた才はさすがとしか 言い様がない。 犯人は勿論のこと、彼(と称して?)を追う刑事(探偵役とは言い難い役回り)もどこか病んでおり、 全ての事件の背景に母親との確執が存するという現代的な展開は、シナリオライターらしい 会話主体の無駄がない描写、手頃なボリューム等もあいまって一気に読了させるものがある。 終盤でこの作者の代表作であり映画化もされた「マラソンマン」(書かれたのは本作より後だが)を 想起させるようなスリリングな都会の追っかけエピが挿入されるのも、思わずニヤリとさせられる。
805 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:20:05 ID:OEsCMH4i
マーヴィン・アルバート「セメントの女」を読んだ。 前記したW・G程メジャーな存在ではなかったが、この作者もハリウッドのライターである。 (「あとがき」に挙げられている作を見ると、「ゴーストタウンの決闘」「ガンクレイジー」 「砦の29人」「ザ・ファミリー」「ジェリコ」等B級の上程度の作が多い) シナトラ主演のB級探偵映画(としか言い様がない出来)を記憶している向きもあるやもしれぬ。 主人公は刑事上がりの私立探偵アンソニー・ロームことトニー、 ダイビング中、海底で足にセメントの重しを付けられて沈められた美女の死体と遭遇したことから、 奇怪な事件へと巻き込まれてゆく・・・ 原作プロパーな臨場感溢れるロームのマイアミビーチ逃避行は最大の読ませどころであり、 意外にも丁寧な取材の痕跡を感じさせる。 カーター・ブラウンの軽ハードボイルドをややハードタッチにした感があり、 ハメットあたりの大御所の作のような風格には程遠く、スピレイン作品程の迫力は無いものの、 気軽にぐいぐい読ませるだけのものはあり、 120円の缶カフェに大きな期待をする者はいないのと同様、それなりの面白さは保証された一編、 「ま、世の中こんなもんだ」とあるとおり、シニカルでちょっと洒落た結末が効いている。 各人、心して読め!
806 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 15:25:57 ID:fGn0PI4/
あとがきに書いてあることしか書かれていない件
807 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:45:30 ID:OEsCMH4i
>>806 あまり甘やかすのもよくないようなので。
具体的に引用して批判してみ(w
出来なければ荒らし行為を謝罪し退場したまえ。
808 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 17:45:48 ID:aA/NQs0Q
>>806 今はNGにしてるからわからんけど馬の自称論考のことか?
それならいつものことだよ、珍しくもない。
俺も以前(NGに指定する前)にされに気付いたし、過去スレで誰か他の人も指摘していた。
ただあのアホウは後書きや解説をそっくりそのまま書き写すわけじゃなく
多少適当に改竄しているから元の文章とは一見違っているように見える。
そうすることで「全く同じというわけではないからパクリであるということにはならない」
といい逃れようとしているし、実際そういう言い訳をしていた。
奴の理論によれば、一字一句同じでなければパクリではないらしい。
809 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 18:01:26 ID:Enjo7FPw
問題はそんな(すぐにバレるような)ものを、自身の存在証明として コテハンで、それもわざわざageてまで書き込むことの意味不明さだな。 普通に読んで普通に感想上げればいいものを、とにかく数を挙げて いれば認められるとでも思ってるんだろうか。この板で己の痴態を 知らない人間なんて新財ものも含めて、まず存在しているはずが ないことくらいわかっていそうなものなんだが…
「スモールボーン氏は不在」マイケル・ギルバート(小学館) 弁護士事務所に保管されていた金庫から顧客の腐乱死体が発見された。 誰がどうしてそれをやったのか? 新米弁護士ヘンリーは警察と共に真相を探り出そうとする。 表紙のインパクトが抜群。では中身の方はどうかと言えば…… はっきり言って退屈。私は弁護士作家は詰まらないという 偏見を持っているが、本作もその典型例で法的手続きに関するやり口とか 抜け穴漫画みたいな展開は興味沸かなくて困った。法廷劇ならともかく こういうのは勘弁して欲しい。ただ犯人についての伏線は良かった。
「前世療法」セバスチャン・フィツェック(柏書房) 産まれたばかりの息子を失ったトラウマから立ち直れない 弁護士シュテルンは元恋人の看護師カリーナからある子供に 引き合わされる。その子供ジーモンは自分がかつて人を殺したと言い、 実際に死体のある場所まで案内してみせた。ジーモンは前世で 殺人を行ったと主張する。その後謎の人物から脅迫めいた取引を 持ちかけられたシュテルンは、困惑しつつもジーモンの更なる 殺人の告白を検証する羽目になるのだが……。 男尊女卑の豚であるところの私は「ラジオ・キラー」を読む気が起きず、 こちらから。だが面白かった! 正直前半は (こんだけ色々やっちゃったら犯人絞れちゃうだろ! ヤレヤレ これだからミステリー後進国は……) とかため息混じりに読んでいたのだが、見事にスカされた。 フェアとは言えないが意外性を担保しつつ伏線を回収したのは凄い。 ドイツにもやっとこういう書き手が現れたかあ、とかつての同盟国として 嬉しく思ったよ。独ミスは他1冊しか読んでないけど。 こりゃ「ラジオ・キラー」も我慢して読むか。 それにしても本国刊行から半年足らずで翻訳出るって凄いね。 年末ベストじゃ票割れちゃうのに。2冊ランクインのが インパクトでかいという判断? 入らなきゃ狸なわけだけど。
812 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 19:17:52 ID:C87Xh3+f
>>808 解説で触れている部分を斜め読みして適当に感想つけたとおぼしきことも多々あったよ。
本当にその本を読んでいるならそんなふうに考えるはずはない
だってその何10ページか後の記載では違うように書かれているんだから
というパターンをよく見かけた。
>>809 実際読んだとしたら読書以外なにしてるんだ、と言いたくなるくらい感想を垂れ流しているからねこいつは。
813 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 19:57:16 ID:E8Vlf8/J
814 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 20:12:48 ID:C87Xh3+f
>>813 読後感はageちゃいないだろ。
レス先の文章も読めないのかよw
815 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 20:30:35 ID:wKU3hD1x
813はコピペ荒らしであり書斎の“支持者”(実は全て書斎本人w)だよ。 江戸川乱歩スレの281、ディクスン・カースレの567&570を参照すると分かるよ。
816 :
名無しのオプ :2008/07/06(日) 22:51:34 ID:pmYdMgNx
荒らしとその自演をスルーできないやつらは荒らしと一緒
817 :
名無しのオプ :2008/07/09(水) 03:44:29 ID:/jBQBx4c
SJローザン 冬と夜 米ナントカ受賞作。半日で一気読みした。 リディア&ビルシリーズの新作で、今回はビルが主人公。 【感想】 ・いつもは静かなビルの語り口が今回は荒れまくっててちょっと違う。 ・ラスト「自分の手でケリをつけない方式」で納得しづらい。 ・スクールカーストが主題の一部だが、日本のいじめ問題にも共通する陰湿さがじゅーーぶん感じられて気持ちがよくない。(そういうのがニガテ) ・ビルの生い立ちの陰の部分が明かされてるが、一瞬ドロドロな関係を予期した自分汚れてるorz…と思った ・前作からまったく進んでないリディア&ビルの関係はどーしたぁ(`Д´) ちょっといつもと違うので、今後読み返すのには気力がいる。
「ハリウッドで二度吊せ!」リチャード・S・プラザー(論創社) 私立探偵スコットはカワイコちゃんと炭火焼肉の最中に依頼の電話を 受ける。相手は出版会の大物で旧知のハリウッド女優も同席している様子。 相手のオフィスに向かったスコットだったが入れ違いになり 後を追うことに。しかし着いた先には撲殺された死体が転がり その側には依頼人が佇んでいた……。 このシリーズは「おあついフィルム」を読んだはずだが内容忘れた。 うーん、B級ハードボイルドは好きだし発掘作業は応援したいが 本作の出来はイマイチやなあ……。悪事のプロセスは面白かったけど、 真相に魅力が無いし、キャラ立ちも悪くドラマ性が薄いから 読み応えがない。セリフ回しが洒落てるわけでもないし、 軽を通り越して微ハードボイルドって感じ。
「ミステリ講座の殺人」クリフォード・ナイト(原書房) 過去の人となりつつあるミステリーの女王が食い縁を稼ぐために 自宅でミステリ養成合宿を開いた。しかしろくに講義も行われない内に 殺人事件が発生してしまう。被害者は年老いた秘書で、犯行の後 食事の合図のドラが高らかに鳴り響いて凶事を知らせたのだった。 殺される前被害者と女主人は必死に何かを捜していたという。 無能な保安官に業を煮やした一同は犯人を見つけようとするが、 やがと第2の事件が起こることに……。 ロンギヌスが怖くて避けてたけど何となく読んでみた。プロットとしては 凡庸な出来で、何か目玉となるトリックがあるわけでもないし、 そもそもCCじゃないのに誰一人帰ろうとしないのもおかしい。 しかし一番の瑕疵は重要な謎の一つが解明されないこと。 いや、一応解明されるんだがもしそれが正解だとすると、 却ってマイナスになる可能性の方が強いと思う。あと巻末の 手がかり索引はちょっと無理くり感が漂っている。 良かった点は探偵のキャラ。超然としているわけではなく 感情の起伏もあるし、天才型ではなく皆と同じ目線で推理しているのが、 新鮮に感じられた。
820 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/12(土) 16:08:31 ID:KrwhaNFT
デイヴィッド・グーディス「ピアニストを撃て」を読んだ。 トリフォーの映画化作品で知られるとおり、フィラデルフィアを舞台にしたアメリカン・ミステリで ありながら、安酒場で働く失意のピアニスト、これまた失意のレスラー上がりの用心棒、 闇の仕事に従事しているらしいピアニストの兄たち、彼らを追う2人のヤクザ者、 これに用心棒を愛人とするピザな女酒場経営者、ピアニストを慕う若いウェートレス等の女性陣 が絡む、メーンキャラを見てもわかるとおり、雰囲気はまるでパリを舞台にしたフランスのノワール と言うてもおかしくないものであり、後にトリュフォーにより映画化されたのは判らないでもないが、 脚色は控えアンリ・ベルヌイユあたりに本格的なシネ・ノワールとして撮って欲しかった気がする。 裏町のいわゆる負け組の人々の姿がビビッドに描かれており、最近読んだポケミス中では 最も文学的テーストに富んでいる反面、謎解きや派手なアクションは皆無、 内面に秘めた凶暴性を持ちながらも、リベンジという言葉を忘れたかのような 主人公(2人の女性の運命に対する彼氏の行動で明瞭にわかる)の受身な生き方等、 強い人間ドラマの魅力で読ませる作と言い得る。 文学恐怖症のミスオタたちよ、心して読め!!
821 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/12(土) 16:09:07 ID:KrwhaNFT
ローレンス・トリート「被害者のV」を読んだ。 警察小説の古典でありながら、21世紀も数年過ぎてやっと邦訳紹介された作。 今、読むと地味過ぎて途中で退屈してしまうが、(これはヒラリー・ウオー作品等にも共通する ことだが)科学捜査が当時としては珍しかったのであろう。 完全な脇で他の刑事(上層部も含む)たちも登場するとはいえ、 分署の捜査課の中堅刑事と鑑識の若手刑事という異例なコンビがメーンキャラとなって、 轢き逃げ事件と関連がある殺人事件を追う展開であり、 まだ87分署シリーズ(後期はキャレラばかりクローズアップされている感はあったが)のような 本格的な集団捜査小説の面白さ、今はフロスト警部シリーズでおなじみ複数犯罪を追う モジュラー・タイプの魅力は見られない。 猫殺し(?)のトリックが本格ミステリ風で面白いものの、今となっては本格的警察小説の先駆という歴史的意義のみ評価すべき作という感がある。 もっと早く(70年代ぐらいまで)に紹介されていれば別だったかもしれぬが、 シリーズ作品でありながら、翻訳の後が続かなかったのは仕方なかろう。
822 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/13(日) 17:42:28 ID:H4jshV/z
リチャード・ドハティー「刑事マディガン」を読んだ。 ドン・シーゲル(以下「シゲル」と略す。水木ではない(w )の映画化作品(60年代)で 知られる作だが、原作が翻訳されたのは2003年と半世紀近くたってからになってしまった。 薄手のアクション主体のペーパーバックミステリを予想していたのだが、 (映画のタッチはむしろシリアスでシャープだが、シーゲルのタッチに脚色されているのではと 思うていた) 映画以上に、堂々、重厚感溢れ、読み応え十分(ポケミス400頁超)な警察小説の傑作であり、 翻訳がここまで遅れたのが不可思議な感がある。 現場の刑事・警察官の姿を綴った作は数多いが、警察トップ(NY市警本部長)の職を 公私に渡りここまでリアル、かつ、ビビッドに描いた作を寡聞にして知らない。 この主人公の本部長トニー・ラッセルをはじめとして、とにかく登場人物の様がリアル、 一例を挙げれば、孤高の人のようでありながら自宅と別にアパート暮らし、年下の愛人と 浮き浮きと密会を繰り返す主人公、浮気相手のおならに脱力してやる気(?)を無くしてしまう プライド高過ぎなマディガン夫人等々、枚挙に暇がない。 (原作評価に徹した場合には余談になるがマディガン本人は長身でハンサムという設定で、 映画版の強面風のリチャード・ウィドマークのイメージとは大分異なる。 だが、裏表紙に掲載されている原書ポケットブックス版表紙に描かれたマディガンは ウィドマーク風というのが面白い。映画を意識したものであろうか。 これに対してヘンリー・フォンダ演じるラッセル本部長は正に原作どおりのはまり役であった) ただし、そのプロファイルを詳細に描き過ぎてエンタメとしては読み難くなってしまっているのが 難か。
823 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/13(日) 17:43:01 ID:H4jshV/z
さて、本作のような重量感ある警察小説の著者に関して知りたく思い解説を見ると、 映画評論家によるエッセイまがいの比較論があるのみで、原著者に関する記述は一切無し、 思わず、早川逝ってよし!という感を持った。 なお、直接に本筋には関係しない細かい点ではあるが、本編を読むと登場人物表の記載に 疑問が感じられるものあり、ある意味で事件のキーパーソンともなる可愛いラテン娘ロジータは 犯人バーニーの恋人ではなく娼婦、せいぜい一時的な愛人といった存在だし、 マディガンの愛人である優しいジョーンジはフレイムクラブの看板娘とあるが、 必ずしも間違いではないとはいえ、30近い(年齢は明記されていない)子持ち女、 ホステスぐらいの記述が妥当かと思う。
824 :
名無しのオプ :2008/07/14(月) 11:49:24 ID:kDMvEyYw
好レポ乙 そやけどネタバレにならんように頼みまっせ
825 :
名無しのオプ :2008/07/14(月) 14:49:12 ID:Df9FiJNW
書斎の書評はロハで読めるからね。 金出すよりはるかに価値があるにもかかわらず。
826 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 05:28:26 ID:kCYqkJEG
デイヴィッド・ハンドラー「ブルー・ブラッド」 ホーギーシリーズは大好きだったんだが、最後の2、3作は退屈で途中で読むの止めたから 今度の新シリーズにも大して期待してなくて、ふと目に留まって古書にて購入 しかし久しぶりにこういうキャラが立ってるミステリーシリーズ読んだので意外に面白かった 前シリーズ同様、ミステリー部分は弱いけどドラマや会話で読ませる オタクっぽいユダヤ人の映画評論家と黒人女性刑事のコンビはなかなかユニーク 恋の行方も気になるので次作以降も読んでみます
827 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 15:15:10 ID:DCVG2pBA
ジル・チャーチル「ゴミと罰」(創元社文庫) 隣家の掃除婦が殺されて容疑は近所の主婦一同に。 子供の送り迎えや集まりの為の料理の持ち寄りとか日本と変わりない 日常が楽しい。 外国でも姑問題はあるんだな。 持ち寄り料理がどれもおいしそうだった。
828 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 21:37:33 ID:ZtY2BMR2
"Transgressins"(Anthorogy) ウエストレイクとモズリーの中編が入ってた。 ・Waliking Around the Money (Donald.E.Westlake) ドートマンダーシリーズの中編。冴えない中年泥棒と組むことになった ドートマンダー&ケルプは完璧に見える犯罪計画に何か腑に落ちない ものを感じていたのだが、その行方は? 小味な読後感。スピード感がありけっこう面白かった。 ・Waling the Line (Walter Mosley) 書記のアルバイトに募集したジャーナリスト志望の黒人コロンビア大学生が 体験したものは・・・ 設定が突飛すぎて、観念の操作に終始しているような感が否めない。 中編のわりに登場人物が多すぎてまとまりがなく、とっちらかった印象。 好きな作家だけどイタダケません。 もうひとつエド・マクベインの中編が入っているけど未読。
829 :
名無しのオプ :2008/07/15(火) 21:42:00 ID:ZtY2BMR2
ああ、ミススペルしまくり Transgressins→Transgressions Waling the Line→Walking the Line です。すみません。
「Tバック探偵サマンサの事件簿 毒入りチョコはキスの味」 ジェニファー・アポダカ(ソニー・マガジンズ) 理想的だと思っていた夫の死後、彼が浮気と借金を重ねていた ろくでなしだったと判ったサマンサは心機一転、髪を染め、豊胸し、 ミニスカにTバックのセクシーウーマンに大変身。保険金で買い取った 恋人紹介所を何とか切り回していた。 そこに突如現れた謎の男。サマンサは「夫が奪った金を返せ」と 脅しをかけられスタンガン気絶させられてしまう。亡夫には一体 どんな秘密があるのか? 家族を守るためサマンサは立ち上がる! このタイトルで読まない奴は漢じゃない。 本作の設定――人生をやり直したいちょっぴりドジな三十路女性が、 ハンサムな刑事と探偵に助けら(翻弄さ)れながら事件を解決する――を みればピンとくる人も多いと思うが、イヴァノヴィッチの影響を 受けているみたい。もっともあれほどぶっ飛んだキャラクターは 今のところ出てきていないけれども。 しかし、勝っている点もある。それは一言で言うなら“潔い”点。 詳しくはここでは書かないが、この点は評価したい。使える。 あとミステリーとしては事件の結びつきが甘かったかな。 シリーズものということで邦訳が待たれると奥付みれば2年前……。 んもー、同じようなロマンス小説はバカスカ出す癖に こういうユニークなのは足止めてどゆこと!?
「ジャマイカの烈風」リチャード・ヒューズ(晶文社) ジャマイカに移住していたソーントン一家はある時ひどい暴風雨に 見舞われ甚大な被害に遭う。夫妻は子供達をイギリスへ帰すことを決める が、船が海賊に襲われ子供たちは拐われてしまう。果たして彼らの 運命は――? 十五少年漂流記みたいなものかと思ってたら違った。子供たち中心なのは 確かだが、どこか突き放した感じで淡々と進んでいく。ところどころ 危うい雰囲気も孕みつつ――。読後感は不気味でもあり普通でもあり。 後、107ページに名言あり。自分は今でもそう思ってるから困る。
832 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/19(土) 17:58:02 ID:fMK+NILj
ウィリアム・ゴールドマン「マジック」を読んだ。 前述した「殺しの接吻」の瀬名秀明のあとがきで高評価されていたので一読してみたが、 作者の趣味(マジック)に関する薀蓄(注 うんちではない(w )披露の作という感が強く、 正直言うて「外れ」であった。 売れっ子マジシャンと彼氏の小道具であるはずの腹話術人形を巡るサイコ・ミステリという 主展開なのだが、この作者にしては先が読めるストーリー。 最後の1頁に来てやっと「ミステリ」足り得たという感があるが、これも軽い短篇のオチ程度の インパクトしかない。
833 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/19(土) 17:58:53 ID:fMK+NILj
フランシス・ビーディング「白い恐怖」を読んだ。 これもはずれ。今週末は本に関する「ツキ」が無いようである。 長谷部友親氏の解説に詳しいが、ヒチコックの映画化作品とは人物設定、ストーリーは全くと 言うてよいほど異なるので注意が必要。 この点では、同じポケミス名画座シリーズの1冊でも前述した「刑事マディガン」の場合とは 大きく異なる。 山中にそびえ立つシャトーを利用した精神病院に赴任した若き女医(医大出たて)、 映画ではバーグマンが演じた(ただし新人ではない)ため、非常に知的でノーブルな美人という 印象があるが、原作ではそこそこの美形程度、医学校をぎりぎりで卒業し、 亡父のコネで就職というキャラ、結構、プライドが高いところは西川先生を想起させるような キャラである。 (へタレキャラではあるが薬剤師のギーディングがヒロインのキャラを結構正確に読み取っている のが面白い) このリアルなキャラ設定がややスローテンポな前半を興味深く読ませるものにはなっているが、 中盤以降は見え見えグダグダな展開に終始し、最後にもう一波乱、ドンデン返しを期待していると、 御都合主義とお約束な糞アニメ級のエンディングには失望大であった。
834 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 18:20:00 ID:h7naWTZu
読後感のウザ書評と書斎の見事な論考書評を比べれば 知性の程度がよくわかるサンプルになるな。
835 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 18:24:06 ID:Z83m2Hkz
確かにな
836 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 19:10:25 ID:xDKgDyNI
書斎のは初歩的な間違い多いしな。
837 :
名無しのオプ :2008/07/19(土) 19:55:00 ID:p+GU+tKU
>長谷部友親氏の解説に詳しいが もしかして長谷部史親のことか? ホントに固有名詞が覚えられないんだなw
838 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 12:47:32 ID:ypI6H4gV
たいした間違いじゃないよ。 活字になるときには校正が入るんだしな。
839 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 14:01:50 ID:Dkp1rsWg
活字にもならないし当然校正など入らない2ちゃんのレスで何をバカなことを言ってるんだか。 ネットの掲示板を下書きにして本を出しているんた、といってるつもりなら それはそいつがネットで色々文章をつまみ食いして原稿を仕上げているような 最底辺の書き手であることを遠まわしに主張していることになるんだけどなw
840 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 14:32:51 ID:ypI6H4gV
匿名掲示板など書き捨てで十分なんだよ。
841 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 15:27:50 ID:Dkp1rsWg
書斎のレスは書き捨てレベルのゴミか。 固有名詞がボロボロなんだからどうにも褒めようがないのはわかるが そこまで見下すとはね…
842 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 16:29:08 ID:PoBi31Sn
>>841 おまいのような単なる叩きレスがゴミなんだよ。
843 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 16:36:39 ID:b7CuqJz2
「書き捨てレベル」で「間違いだらけ」のレスは、とうてい「論考」などとは 言えないし、むしろ参照しない方がいいぐらいだよ。間違いなんだから。 「書き捨て」のレスをありがたがる必然性が、どこにもないね。
844 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 17:03:05 ID:PoBi31Sn
書斎の論考はその対象ではないね。
845 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 17:28:50 ID:b7CuqJz2
書斎魔神の書き込み
>>833 に対して、「初歩的な間違いが多い」
というツッコミ(
>>836 )が入り、現に固有名詞の間違い(
>>837 )
が指摘された。
そしたら「本にする時に校正が入るから別にいいんだ」(
>>838 )
「2ちゃんへの書き込みなんか書き捨てで充分」(
>>840 )という
擁護レス(?)がついた。
書斎の書き込みは本にならないから間違いは永遠に間違いのままだし
書き捨てレベルならありがたがる必要もない、という結論が出たね。
>書斎の論考はその対象ではないね。
書斎の「論考」は「書き捨てレベル」で「間違いだらけ」だから
「ありがたがる対象」ではまったくない、ということだな。
846 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 19:06:52 ID:PoBi31Sn
書斎は連載批評の依頼が来るくらいのスゴ腕の書き手だよ。 それが2ちゃんのミステリ板ではロハで読めるんだから、ありがたく思って当然だろ。
847 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 19:38:07 ID:qzO6TpTq
初歩的な間違いだらけの書き捨てなんかで金を取ろうってか? タダだからってゴミをありがたがるほど俺たちはバカじゃない
848 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 20:19:36 ID:lUOEv0kd
849 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 20:49:47 ID:CgAX+DOJ
日下氏のように実際に本を書いているプロの有益な情報ならありがたいが どこで何を連載しているのかも分からない無名人の間違いだらけのレスを ありがたがる訳がない。 金もらっても読みたくない腐れた駄文だし、商業レベルにまったく達して いないのは、いつぞやの編集者氏の折り紙付きだもの。
850 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 21:03:42 ID:dXLEnKWr
もうさ、頼むからお前らも釣られるなよ 何レス浪費してんだよ 本当頼むからさ……
851 :
名無しのオプ :2008/07/20(日) 23:05:50 ID:IoGqKZ8s
もう釣られてるんじゃなくて書斎の相手をすることを楽しんでる愉快犯だろ。
852 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:09:45 ID:Z6s9xfsc
J・M・クッツエー「恥辱」を読んだ。 駄目ミスを連続して読んだ後だと、さすがにブッカー賞受賞作品の凄みを感じさせる作である。 教え子のJDといい仲になり大学を追われた初老の男(大学教授)が娘が暮らす田舎の農場に ひきこもる。その地でクライムあり、色事あり、そして意外な「職」にもめぐり会う・・・ なんか現代日本でもありそうな、無さそうな話なのだが、意外に先が読めず、 犯罪も絡むところからコンパクトに纏まったサスペンス小説としても堪能出来る作に 仕上がっているのはさすがだ。 これならアホなミスオタにも読破可能なのではないかと思い、ここに謹んで紹介する次第である。 表面的には救いが無いものの、ドン引きの暗さにはならないこの作者独自と言い得るテーストに 富んだラストが読ませどころであり、このラストのシークエンスのみだけでも読む価値十分な これは「文学」であると言い得る。 一点気になったのは、鴻巣嬢の訳文は全体的にこなれており読み易くで良いのだが、 あまり使用しないような読み難い漢字がルビ無しのまま目につく部分があること、 これは「嵐が丘」(訳書として全体評価は新訳中でも高なのだが)でも感じたことであった。 この点につき、各人、十分に心しておけ!
853 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:11:35 ID:Z6s9xfsc
チャールズ・ボーモント「夜の旅その他の旅」を読んだ。 意外に収穫があった作品集である。 「トワイライト・ゾーン」や「ヒッチコック劇場」のライターとして活躍した作家のわりには、 本書の収録作品には普通小説といったものが多く、人生の哀感や妙味、アイロニーを痛烈に 感じさせる文学性に富んだものが多いのが予想外であった。 大好評な全話講評逝ってみよう!! 「黄色い金管楽器の調べ」 今風に言えば負け組である主人公ファニー青年に訪れた好運とは・・・ 皮肉なオチが効いた好短篇である。 「古典的な事件」 これも意外性に富んだラストな一編、カー好きなら主人公ハンクの心理がわかるような わかないような、といったところか。 くどくどしたカーに関する因縁話に帰結させなかったのが成功している。 「越して来た夫婦」 これは先が見えるスリラー、それなりにサスペンスフルではあるがそれだけとも言い得る。 「鹿狩り」 ハンティングが広く趣味として定着していれば、日本の会社でもありそうなエピ。 キャラも展開もお約束と思いながらも、主人公の心情に共感してまうのは優れた語りの巧さゆえ であろうか。 「魔術師」 人の良さゆえ、マジシャンとしてタブーを犯してしまう老いた主人公に待つ残酷な展開・・・ 最後に一応な救いが用意され、後味は悪くないこれも好短篇である。 「お父さん、なつかしいお父さん」 タイム・パラドックスねたの短めの作、ねらーが大好きなビッチねた(ただし、ビッチは登場しない。 これはオチに関係する)でもある。途中で結末が見えるのが難。
854 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 00:12:25 ID:Z6s9xfsc
「夢と偶然」 夢をネタにしたサイコ・ミステリだが、綺麗にまとまり過ぎたスレッサー風なオチが創り過ぎな感が 強く、この作者の持ち味である独自のリリシズムを欠くのが惜しまれる。 「淑女のための唄」 老朽化した客船と老人たちと来れば、これもオチは見えるし、少し甘過ぎで高評価は 出来かねる一編。 「引き金」 名探偵が登場する典型的な短篇ミステリだが、オチがわかり難い面があるのがマイナス。 「かりそめの客」 共作によるSF短篇。ゆえにボーモント風のリリシズムは皆無といってよいものとなっている。 プレジデントをはじめ芸術家が政務あたる世界、人間精神を動力とする宇宙船等、 面白そうなアイデアはあるので、長編として書き込めばそれなりに仕上がった作かとは思う。 「性愛教授」 セックスカウンセラーを主人公にしたエロねた。オチはまずまず面白いが、 副主人公である依頼主カビスンの声質が気になるところ、ここへ伏線を張って欲しかったもの である。 「人里離れた死」 中年ロードレーサーが主人公なこれもミステリとは言い難い作。 主人公の死を予想していると・・・哀愁に富んだラストが印象的。 「隣人たち」 Neighborsと言えば、ジョン・ランディスの不条理コメディの傑作が想起されるところだが、 同題の本作は、人種問題を背景に当時の社会状況を反映したかの如き作、 オチではなく作者の思想を反映したようなラストをエンタメの読者はいかに評価するかという ことであろう。 「叫ぶ男」 ドイツ(*これがミソ)の修道院を舞台にしたサスペンスフルなサイコ・ミステリ。 スケール感溢れるオチも面白い。 「夜の旅その他の旅」 これもミステリとは言い難い作だが、ズージャをやっている連中のビビッドな姿が鮮やかに描かれた表題作だけあって収録作品中随一の傑作である。 バンマスの「思い込み」がわかるような、わからないようなという微妙なところが 何とも巧さを感じさせるものがある。
855 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 19:52:54 ID:bVGOsv/+
アントニー・バウチャー「タイムマシンの殺人」を読んだ。 日本ではミステリ評論家・アンソロジストとして著名な作者の作品集だが、 本書はダーク・ファンタジー・シリーズ中の1作として刊行されたためか、 ミステリよりもSFやファンタジー風の作が多いのが特色である。 USCとバークレーというカリフォルニア州を代表する、否、全米屈指の名門大学2校を優秀な 成績で卒業し、数ヶ国語に堪能であった名評論家の実作の方はどうかというと、 妙に理屈ぽく、あまり感心しなかったというのが正直なところである。 例によって、大好評な全話講評をいってみよう! 「先駆者」 冒頭に置かれたSSと言うてよいこの一編に関しては、スパイスねたで綺麗に決めている感じで まあまあの出来である。 「噛む」 ホラーだが、キングやクーンツを読んでいる現代の読者には古臭く面白みがないと判定されても 仕方なかろう。 「タイムマシンの殺人」 作者自身承知で書いたであろう掟破りのミステリ。 ドラえもん好きとかが読んだら面白い程度の出来かと思う。 やはり、タイムマシンの如きギミックのミステリへの導入は、やり過ぎで著しく謎解きの興を殺ぐ という感がある。 「悪魔の陥穽」 主人公が弁護士ということもあってか、結局、屁理屈なオチで解決というのも頂けない作。 古臭い三つのお願いネタを長々と読まされた感が強い。
856 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/21(月) 19:53:28 ID:bVGOsv/+
「わが家の秘密」 これも一応SFの装いはなされているものの、たわいないホームドラマを見せつけられた感がある。 「もうひとつの就任式」 インテリな作者らしい政治ねた、文学ねた、そしてカレッジ・フットの強豪USCのOBらしい フットボール好きを覗わせる理屈っぽいSFミステリ、凝り過ぎで読み難く、ゆえに推し難い感が ある。 「火星の預言者」 これは米作家らしい宗教ねた満載な作。オチもわかり難く、日本人にはフィットしない感あり。 「書評家を殺せ」 顔を影に隠した男の正体は何だったのか?これがミソでしょ。 理屈っぽい作が連続した後だと、気軽に楽しめる小品ではある。 「人間消失」 着衣だけ残して中身の人間消失、このトリックの解明(案)はジョン・スラディック風なバカミス として楽しめるが、肝心の本筋が今ひとつか。 「スナルバグ」 これも悪魔が登場するファンタジーだが、軽快な展開は買えるものの、 当時の新聞発行事情を知らないとオチそのものが楽しめないのが難、このマイナスポイントは大。 「星の花嫁」 読者の思い込みを狙ってオチへ持ってゆくことを狙ったと思われるSFショートショートや。 火星人=緑の肌という設定が時代を感じさせるものがある(バロウズの影響か) 「たぐいなき人狼」 収録作品中の最長作品。表題作にしてもよいくらいである。 魔法使いにより人狼に変身する術を会得した大学教授をめぐる奇想天外なストーリーで、 「有り得ねぇ」とか思いながら、語りの巧みさで一気に読ませはする。 他作に見られるような妙な理屈っぽさがない現代ファンタジーに徹しているのはグッド、 だが、「人狼」と「狼男」の概念は異なるのではないか? この点を才人バウチャーが混同している感がある点は気にかかった。
857 :
名無しのオプ :2008/07/21(月) 20:41:34 ID:IDS4Zuww
ミス住は速読法でもマスターしているんだろうな。たいしたものだ。
858 :
名無しのオプ :2008/07/25(金) 21:39:38 ID:xkBHetc4
Car Hiaasen "Nature Girl"(2005) 一般向けとしては「復讐はお好き?」に続く作品。ハイアセンの得意、というか ワンパターン?アホバカキャラが炸裂。もっともイカレ具合がいくぶん抑えられ 微妙な狂気みたいなのを感じさせる登場人物が多い。 例によってフロリダ物ではあるけれど、一応完結物みたいでアノ人物は登場せず。 関係なさそな登場人物が、徐々に交錯していくところは非常に面白いが、惜しいかな 後半ややダレた印象。自然保護の主張は露骨な形ではほとんどでてこないので 小説の進行としてはナチュラルなかんじでグッド。 アホキャラに見えた人物が実はdescentで調和の取れた人格だったという設定は 面白かった。
「高く危険な道」ジョン・クリアリー(角川書店) 第一次世界大戦で活躍したパイロット、オマリイはとある富豪令嬢から 依頼を受け、ロンドンから中国までの長距離飛行をすることになる。 彼女の父が将軍に人質にされており、期日までにある品物を届けないと 殺されてしまうのだ。オマリイは相棒を連れ彼女と共に遥か東方を目指し 飛び立った! 高速東遊記。面白い。 補給のために立ち寄る先々で一行にそれぞれ別個の苦難が襲いかかる。 その中でメンバーの増減もあり、歴史上の有名人とも出会う。 こういうの大好きだ。面白いに決まってるもの。 そんでまた一行のメンバーが、人目を引く美貌のアメリカ人、 人種差別するイギリス人、女たらしのドイツ人に寡黙な中国人と、 トラブルの匂いがプンプンの面子。内輪のゴタゴタも孕みつつ 旅をしていく。 ラストもお手軽ではなくきっちりしていて良い。 以前も言ったが良質な冒険小説を読む愉しさって言ったらないね。 ちなみにこれ映画化されてるみたいなのでそちらも観てみたい。 後他の作品も。
「ケンブリッジ大学の殺人」グリン・ダニエル(扶桑社) ケンブリッジ大学が長期休暇に入る朝、フィッシャー・カレッジ内で 守衛の射殺体が発見された。警察が被害者の身辺を洗う一方、 副学寮長サー・リチャードは違った観点から事件の調査に乗り出す。 そんな中、帰省した学生のトランクから第二の死体が現れた――。 扶桑社本格枠。評判はイマイチのようだったが、中々面白かった。 複数の探偵達が入れ替わり立ち代わり現れて独自の観点・手法で 捜査をし推理するという展開は読み応えがある。 ただ、大きなトリックや論理のアクロバットは無いので、 骨組みに対して肉付けが薄い印象を受けた。真相もふーんて感じ。 もう一つ言うと、ドラマが無い。こんだけ厚いんだからもうちょっと 小説味が欲しかった。ま、でも、アマのデビュー作にしちゃ良作です。 追伸 「奇術師の密室」は本格じゃないだろー。
リチャード・ノース・パタースン『最後の審判』 (2002、新潮社)【8点】 連邦判事の座が手に届くところまできたキャロライン。23年ぶりの故郷からの 連絡は、姪のブレットが殺人容疑で拘束されたという知らせだった。 家族との軋轢・昔の恋人との対立などに気後れしながら彼女が知った真相とは? いつもの三人称多視点が、今回はキャロラインの視点で固定されているので、 若干テンポが悪いところもある。とくに過去話は長すぎるなあと思った。 しかし終盤の裁判シーンでは畳み掛けるような展開で、軽いサプライズを織り交ぜる。 キャロラインという女判事のキャラはグンと深まったが、序盤〜中盤のもたつきと、 裁判シーンの短さがちょっと物足りない。またキャロラインのある行動にはさすがに 首を傾げたが、まあ、ああいう真相があったのなら仕方ないかな。
「ポドロ島」L・P・ハートリー(河出書房新社) ホラー短編集。以前「ロアルド・ダールの幽霊物語」を読んだ時、 一発目の「W・S」という短編にいきなり◎を付けた覚えがあるが、 その作者がハートリーだった。無論その話も入ってる。 が、んー全体としては微妙かも。話の持って行き方に違和感を覚える ことが多かった。後訳者の解題にも違和感が。表題作が「藪の中」って ことは無いと思うんだ。あのままで怖いよ。 ベストは「足から先に」。これぞホラーって感じ。 この叢書の短編集は今のところトゥーイと本書以外は◎。
「キーストン警官」ピーター・ラヴゼイ(早川書房) ドサ回りの芸人一座を抜けてハリウッドにやって来たイギリス人 イーストンは直談判ののち首尾よく撮影所に雇われ、映画の脇役の 仕事を得る。職場の連中たちとも打ち解けたイーストンはやがて 駆け出しの女優アンバーと割りない仲になるのだが、ある日突然 彼女は殺人事件の容疑者になってしまう。 初ラヴゼイ。だがイマイチ。何つーか事件が背景みたいになってて、 中盤ぐらいまで映画撮影の話がダラダラ続く感じ。しかもヒロインに 魅力がないから主人公に感情移入も出来ない。ミステリー部分にしても どうも道具立てが単純というか……。 「偽のデュー警部」に期待。
864 :
名無しのオプ :2008/08/01(金) 18:35:02 ID:2aIj4jMD
ラブゼイなら、個人的には「ダイヤモンド警視シリーズ」がおすすめ。 「最後の刑事」からどうぞ。
情報多謝!
「黄金の島」バーナード・コーンウェル(早川書房) 偉大な父親に反発し雇われ船長をしているニックは、ある時知り合いの 政治家から麻薬中毒の子供2人を更生させるためのクルーズを依頼される。 渋々引き受けたニックだったが、航海の途中麻薬の売人達が乱入し 船が破壊され船員が殺されてしまう。辛くも逃げ延びたニックに 更なる魔の手が襲いかかる! これはコーンウェルらしさが無かったなぁ。主人公のディスられ具合が 甘い。冒険小説としては佳作だと思うけど期待してたものとは違った。 ただ、作中のアメリカ富裕層の親バカに対する批判はGJだった。 たかが高校卒業ぐらいで高価なプレゼントするとか、生意気な子供を ひっぱたけないとか。物語の本筋でもそれが表れている。 もっとも現在ではこういう親は我が国含む世界中にいるだろうだけどね。
867 :
名無しのオプ :2008/08/02(土) 15:27:13 ID:n28MWnmi
コテハン占有スレとして削除対象だな、こりゃ。
868 :
名無しのオプ :2008/08/02(土) 22:24:24 ID:BLzsasZZ
エリー・クラインの収穫 エラリー・クイーンと間違えたという、しょうもない理由で手に取り、 最初のページでの、被害者が段々と死んでいく描写に引き込まれて買ったんだが 650Pも費やすほどの内容じゃなかったな いちいちうんこ出した描写まで入れんでも。 250Pぐらいで十分描ききれるもんだと思う。
869 :
名無しのオプ :2008/08/03(日) 08:31:52 ID:WbjHbmTo
ミッチェル・スミス好きなんだけど、ここ10年ばかり全然出ませんね。
870 :
名無しのオプ :2008/08/03(日) 10:14:32 ID:Z7+QpBYt
「聞いてないとは言わせない」ジェイムズ・リーズナー(早川書房) 田舎の農場を一人で切り盛りしている女性グレースと、農場へやってきた 青年トビーは周囲に何も無い状況の中やがて親密な仲になっていくが、 トビーには隠された目的があり、さらに謎の男達の乱入で事態は 一気に彼方へと動き始める……。 勘違いしないで下さい。僕は熟女が好きなわけではありません。 美熟女が好きなだけです。それが本作の粗筋を知り期待したわけ ですが……空かされた気分です。僕はてっきり寿行チックなストーリー かと思ったのにそんなんじゃなく、B級アクションの王道 と言った感じでした。読んだ内ではジェイムズ・カルロス・ブレイクに似てるかな? 向こうの方がより洗練されてますけど。 単純なプロットの末に意外な幕切れを迎えますが、これはちょっと 違和感を覚えます。これ今更問題視することなのかな? と。 それにどさくさ紛れに(メル欄)のは酷いと思います。 全く関係ないですし。
R・D・ウィングフィールド『フロスト日和』(創元推理文庫、1997)【8点】 退職パーティーに出席しようと勇んでいたフロストは、突如捜査に狩り出される。 公衆トイレで発見された浮浪者の死体。女性を狙う連続強姦犯。窃盗事件にひき逃げ事件。 数々の事件に振り回されながらも、フロストは着実に事件の真相に迫っていく・・。 フロスト第2弾。新刊が出たので積読本に手をつけてみた。 大小の事件を次々と発生させながら、過度に複雑化させずに物語を 組み立てていく構成は上手い。ただ、ちょっと間延びしたかなあ。 ユーモラスなフロスト警部の言動はもちろんんこと、 暴力事件で左遷されてきた元警部のウェブスター巡査が最初はフロストに 反感を抱きながらも徐々にその手腕を認めていく様がおもしろい。
873 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
2008/08/09(土) 10:41:02 ID:Ou6IH+ss 「フロスト気質」を読んだ。 待ちに待った邦訳新刊である。 このシリーズでは初の上・下巻2分冊(各巻450頁前後)というボリュームであり、 じっくり味わって読むつもりが、面白さゆえ2日で読破してしまった。 以下に目に付いた点を記しておく、 ・フロスト警部にとってマレット署長と並ぶ天敵(?)アレン警部は 序盤に少し登場するのみなのが残念。(前作でも未登場であった) 過去の事件との絡みの関連もあって、代打的なキャラとして登場するのが 元デントン署勤務のキャシディ警部代行なのだが、おなじみアレンに比較して 存在感が弱い。 初期作では妻に先立たれたフロストの心情を慮るような人間的な面もかいま見せていたマレットが 前作あたりから、完全な敵役(メガネザル)として、嫌な奴キャラになってしまったのも、 エンタメとしての明解さはあるものの、小説としての「厚み」は落ちた感があるのも残念ではある。 ・これも前作から見られる傾向だが、複数の事件が終盤に来て一気に解決へとなだれ込んでゆく という展開ではなく、1件ごとに解決されてゆく展開、わかり易く読み易いが、ややカタルシスを 欠く感がある。 ・前から思うのだが、フロストはあんなだが、きちんとすれば「デントンのコロンボ」になれるタレント の持主なのではと思わせるシーン多し。 腐敗した死体にもかかわらず身元(前科者)を正確に割り出したり、 容疑者が玄関に出てくるまでの少しの間に着目し、これが最終的に誘拐事件の解決の 端緒となったり等々 確かに見込み違い、見当外れも多いが、これはあと少しの慎重さで回避し得るものではないか? ただし、フロストの下品、大胆なキャラを修整してしまうと、あのなんとも魅力的なフロストでは なくなってしまうわけだが。