804 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :
ウィリアム・ゴールドマン「殺しの接吻」を読んだ。
ハリウッド稀代のライターの手になる作、ボストン絞殺魔事件という実話ネタ(「あとがき」より)が
存するとはいえ、64年当時に、これ程現代的なサイコ・ミステリを書いた才はさすがとしか
言い様がない。
犯人は勿論のこと、彼(と称して?)を追う刑事(探偵役とは言い難い役回り)もどこか病んでおり、
全ての事件の背景に母親との確執が存するという現代的な展開は、シナリオライターらしい
会話主体の無駄がない描写、手頃なボリューム等もあいまって一気に読了させるものがある。
終盤でこの作者の代表作であり映画化もされた「マラソンマン」(書かれたのは本作より後だが)を
想起させるようなスリリングな都会の追っかけエピが挿入されるのも、思わずニヤリとさせられる。
805 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:20:05 ID:OEsCMH4i
マーヴィン・アルバート「セメントの女」を読んだ。
前記したW・G程メジャーな存在ではなかったが、この作者もハリウッドのライターである。
(「あとがき」に挙げられている作を見ると、「ゴーストタウンの決闘」「ガンクレイジー」
「砦の29人」「ザ・ファミリー」「ジェリコ」等B級の上程度の作が多い)
シナトラ主演のB級探偵映画(としか言い様がない出来)を記憶している向きもあるやもしれぬ。
主人公は刑事上がりの私立探偵アンソニー・ロームことトニー、
ダイビング中、海底で足にセメントの重しを付けられて沈められた美女の死体と遭遇したことから、
奇怪な事件へと巻き込まれてゆく・・・
原作プロパーな臨場感溢れるロームのマイアミビーチ逃避行は最大の読ませどころであり、
意外にも丁寧な取材の痕跡を感じさせる。
カーター・ブラウンの軽ハードボイルドをややハードタッチにした感があり、
ハメットあたりの大御所の作のような風格には程遠く、スピレイン作品程の迫力は無いものの、
気軽にぐいぐい読ませるだけのものはあり、
120円の缶カフェに大きな期待をする者はいないのと同様、それなりの面白さは保証された一編、
「ま、世の中こんなもんだ」とあるとおり、シニカルでちょっと洒落た結末が効いている。
各人、心して読め!
806 :
名無しのオプ:2008/07/06(日) 15:25:57 ID:fGn0PI4/
あとがきに書いてあることしか書かれていない件
807 :
書斎魔神 ◆AhysOwpt/w :2008/07/06(日) 15:45:30 ID:OEsCMH4i
>>806 あまり甘やかすのもよくないようなので。
具体的に引用して批判してみ(w
出来なければ荒らし行為を謝罪し退場したまえ。