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書斎魔神:
ジョン・スラディック『見えないグリーン』を読んだ。
エゲレスを舞台にしながらもメリケンの作家の手になるもののせいか、
テーストはライトなアメリカン・ミステリ、やや軽過ぎる感も受けるが、
逆に凄惨な連続不可能殺人のヘビーなムードを巧く中和する効果を上げているとも
言い得る。
第1の殺人はまさにジョン張りなトンデモトリックが炸裂して楽しめるオチだが、
第2の殺人はあまりに偶然性に頼った御都合主義が目立ち感心しない。
第3の殺人はS・Sやエル風の論理的な推理が展開されるが、
プロの殺し屋でもないのに必殺の一撃というのが、やや弱い(『悲鳴を上げないか』)感
がある。
しかし、全体を通じてはコンパクトに纏まった予想外に楽しめる作であり、
特に密室オタには必読である。なお、解説はマエストロ鮎(注 浜崎ではない(w )
が担当、相当に高い評価をしている。