>>53 今、イネスを読んでもねぇ…マクリーンやバグリイならまだしも読めるが。
ネルソン・デミル&トマス・ブロック「超音速漂流」を読んだ。
トマス単独名義の旧版を面白く読んだ記憶があるが、
共著となった改訂版を現時点で読むと、70年代の作らしい設定の粗さ、
古さが目立つ印象が強い。
超音速機誤射に到るプロセス、素人パイロットの強行ランディング、
終盤の機内の対決場面等、雑で強引な展開は、一時期流行した2流の航空パニック映画を
見せられた気分である。
そもそも携帯電話やPCが普及した現代では、展開が180度変わる可能性がある
パニック小説が、どこまで読者の支持を得られるか疑問である。
主人公の家庭生活に厭いた孤独な中年男(セールスマン)が、直面した航空事故を
きっかけに精神的に再起してゆくという冒険小説の基本線に忠実であること、
(守るべき対象は、同じく生き残った美人スッチーと乗客の美少女であり、
この辺は古来の英雄物語さながらである)
酸素不足で発狂した乗客・クルーたちの描写が凄惨であり、ゾンビー映画まがいの展開
を示すところ等に、いかにも70年代の作らしいものが感じられる。