『読みました』報告・海外編Part.3

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464書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
スティーヴン・ハンター「極大射程」を読んだ。
翻訳刊行当時は、このミス、文春等で高く評価された作ではあるが、
今読むと、本作に対する高評価はイコールミスオタのローレベルを実証するものだと
言われても致し方ないものがあると思うほどの「つまらなさ」であった。
ベトナム戦争で輝かしい戦績を上げた伝説的なスナイパーと
暗い過去を持つ不器用だが真面目なFBI捜査官の2人を主人公にし、
敵役にCIAと攣るんだ軍人グループ、性犯罪歴がある天才的な心理学者、
主人公2人に絡むスナイパーの戦友(戦死)の美人妻とFBIの美人若手職員が
ヒロイン役として配される。
ここまで書けばわかるとおり、展開に強引な御都合主義が多い漫画ちっくというか
劇画的な作であり、映画「ダイハード」あたりを喜んで見ているような厨房好みの作
とも言い得る。
特に女性陣が犯罪者として追われている主人公たちに全く恐怖を感じておらず、
協力的でさえあるのは、あまりに現実感を欠くものがあり、
読んでいてうんざりした。これぞハリウッドB級テーストとでも評したいものではあるが、
近年映画化されたのは御存知のとおり。
ミステリ的には、ダイイング・メッセージねた(「ROM DO」)は、わかり難いもの
であり、終盤のリーガル・サスペンス的展開で判明する主人公が仕掛けた「トリック」は、
軽い短編に使用する程度のネタに過ぎない等、魅力は乏しい。
ミステリ関係のランキングでは異常なまでに高く評価されながらも、
当初から文庫での刊行、一般では殆ど話題にならなかった等の点に本作の真の評価を
見る気がする。