『読みました』報告・海外編Part.3

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166書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
久々にアーサー・ミラー「セールスマンの死」を再読した。
初読の際は、先が読めない展開をサスペンスものとして楽しむことも可能な作品だが、
リストラ流行り、ニート・フリーターが増加する現代日本では、
ローマン家の状況はある意味、もう他人事ではなかろう。
戯曲を読む習慣が無い日本でも、今こそ広く手に取って欲しい1冊である。
同時代のテネシー・ウィリアムスほどの人物造詣の深さは感じさせないものの、
簡潔な台詞の積み重ねにより、登場人物たちが置かれた緊迫した状況を描写し切って
しまうミラーの才は、あらためて並々ならぬものがあるのがわかる。
ライターとしての私にとって、長年の座右の書のひとつである。