『読みました』報告・国内編Part.3

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87書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
松本清張作品(長編)で社会派ぽくないものを読みたく思い、
久々に「Dの複合」を再読。
物語終盤で受刑者名簿という小ネタは登場するものの、政治ネタ、社会ネタはほぼ皆無、
代わりにというか、これも清張作品ではおなじみの歴史・民俗ネタ(浦島伝説、羽衣伝説
補陀落渡海伝説等)に関する薀蓄が満載、ミステリとしては「砂の器」、短編「東経139度線」あるいは水上勉の「飢餓海峡」を想起させるような盛沢山の趣向が凝らされて
いるが、清張長編ミステリの特徴である偶然性に頼った御都合主義は、最早仕方無いとしても、もう少しスリムにすれば、かなり面白い異色の謎解きミステリになり得た作かと
思う。
カッコ良さげだが、タイトルが意味不明あるいはわかり難いのも清張作品の特徴とも
言えるが、作品中で説明があるとはいえ、この点は本作も同様。