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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
伊藤礼「こぐこぐ自転車」を読んだ。
古稀を迎えた著者(あのチャタレイの伊藤整の息子であり、出身大学も同じ一橋という
優れ者だ)の自転車による冒険談を綴った書である。
文中で、筆者自身も認めているとおり、若いサイクリストのようなアグレッシブな
躍動感は無い、決して無理をしない落ち着いたサイクリング又はツーリング
(この両者のコンセプトの相異と自身の自転車使用の位置付けは、著者により言及
されている)であるが、第2章にあたる都内走行の巻における
「石神井川を王子まで下った話」「神田川を二十二・五キロ下って隅田川に到った話」
第3章「房州サイクリングに出かけて雨で挫折したこと」、第4章「碓氷峠攻略をめざした長い一日」第6章「北海道自転車旅行の巻」、どれひとつ取ってもこれをリアルな「冒険」
と言わずして何と言おうか。
難攻不落のドイツ軍の要塞攻撃や広大な樹海での攻防戦等、バカでも見ればわかるもの
だけを「冒険」と称するわけではない点を、ミスヲタは心しておけ!