『読みました』報告・国内編Part.3

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360書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
片野善一郎「数学を愛した作家たち」を読んだ。
一見、スレ違いどころか板違いに見える書であるが、
著者自身が、本書中で熱心なミステリファンと自称するだけあって、
数学に関連したミステリに関する興趣ある話題がいくつか取り上げられて
おり、ハイレベルなミステリファンには読み落せないものがある。
当然、S・Sの「僧正殺人事件」は登場するが、この作に関してはネタばれ気味の
記述があり、感心出来ないものがある。
特に興味深いのは、ポオを取り上げた章にそのペンネームとの関連から、乱歩と幾何
ついて言及されている部分である。
短編「凶器」で、明智が出題した円の直径を求める図形問題を見ると、
ミステリ(特に本格)における論理とは、法律学におけるそれとは異質であり、
本書中における「数学的直感」と近いものがあるのを感じさせる。
ミスヲタは法律学に暗く苦手とする者が多いのも、この辺に因がありそうである。
(と言うても、数学も駄目な奴ばかりではあるが(w )