『読みました』報告・国内編Part.3

このエントリーをはてなブックマークに追加
228書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
好評につき中公文庫潤一郎ラビリンス・シリーズの話を続けよう。
「潤一郎ラビリンスX 少年の王国」を読んだ。
本書中では、最後の収録作品である「或る少年の怖れ」がミステリの範疇に
入る作であるが、松本清張先生の短編やフランス・サスペンス・ミステリを想起させる
状況設定は、まさに息詰まるようなサスペンスに富み、一読巻を置かせぬものがある。
(少年が死んだ義姉(長兄の亡妻)の部屋で、深夜、ひとり三味線をつまびくシーン、
これに続く長兄との心理戦は、凡百のスリラーには無い凄まじいまでの緊迫感に
溢れている)
あらためて文豪大谷崎のストーリーテリングの巧さをも再確認させられた次第だが、
ラストへと繋がる少年の義姉に対する思慕
本作に関して、「結局、真相は?そしてオチは?」などとのたまう者は、えてして文学に
うといミスヲタ連中に多いが、このような者たちに対して、この際私は声を大にして
言いたい「このDQNが!」と…
ミステリではないが、谷崎文学を語る場合に落せない名作「小さな王国」「母を恋ふる記」
等も収録されており、この辺も必ず読んでおきたまえ。