社会はミステリーといえば松本清張。第三章

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265書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
ミステリではないが、長編では「落差」も印象に残る作である。
清張作品にはタイトルの意味がわかり難いものも多いが、
本作は物語終盤でその意味するところが明確にされる。
ただし、第一義的には、ヒロインのひとりである細貝景子の人生(というか生き様)
の「落差」を指すと読めばよいのであろうが、主人公島地章吾の権威ある大学教授
という社会的ステータスと金と色にまみれた私生活との表と裏の顔の「落差」、
職務に精勤し、私生活でも妻を愛し労わる島地の友人である佐野と比較した場合の
人間的「落差」等々、何重にも意味が込められているやにも思える。