【謀略空路】大藪春彦の本を語る 5

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168名無しからの銃火 ◆urhDuQDy7Q
格闘の描写に関しては…見た目や世間のイメージに合わせたところもあったのではないかと思います。

 柔道は相手が刃物を持っていた場合、技をかけるべく体を密着させた一瞬に殺られてしまう
危険があると、合気使いの連中はいいますし…
どうせなら合気も柔術もひっくるめての「柔」やあるいは、シャーロック・ホームズの能くするところの
バリツを大藪ヒーローたちが修得していてくれるといいのですけどね(ちょっとめちゃくちゃ)

それに主に警察官のやる格闘技だし、と官憲に対する反発心から
「ダメだよ」と持ち出してきた部分もあるかもしれません。プロレスラー崩れの用心棒が簡単にやられてしまう、
世の中で強いと思われているモノのさらに上をいくという主人公の強さを表しているのかも。

睾丸蹴りは相手が内股に足をすぼめてしまえば決まったとしても効きが弱くなる…けれど決まれば一撃必殺に
相手の戦闘能力を喪失せしめるでしょうし、何より読者が相手のダメージを想像する時に、非常に痛い
イメージを与えられる。その辺りの読者の感じ方、も考えて痛い技を考えているのかもしれません。
女性の腰を蹴る場合には尻を蹴って尾てい骨にヒビを入らせることが多いようですが…

手刀で首筋を一撃して相手をくたばらせる、のイメージ元はリキドーザンの空手チョップからかもしれませんが
主にローキックでの強烈な蹴りで行きずりのケンカの片を付けるのは、作者が引揚者だった少年時代の
朝鮮人の使う、爪先を相手に食い込ませる蹴りの痛さからかもしれません。