エラリー・クイーン&バーナビィ・ロス〜PART4〜

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54書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
俺は、ライツバル・シリーズ等、後期エルのミステリ作家としての存在感は認めない
スタンスである。
屈指の傑作と言われる「災厄の町」も辛気臭いだけで面白くなかった。
やはり、初期の国名シリーズに代表されるパズル小説こそ、エルの本領であったかと思う。
しかし、少年時代に読んで面白かったのは、一般に駄作と言われる「シャム双生児の秘密」
だったりする。(日本では人気があるらしく翻訳は多数有り)
全編に漂うエルらしからぬ怪奇色とクローズドサークルによるスリル、ハッピーエンディングながら、淡々とした幕切れが印象的である。
再読して、謎解きミステリとしての面白さを再確認させられるのは「オランダ靴の秘密」、
初読の時は、少し地味な感を受けただが、足のサイズ、犯人の立位置等細かい詰めの推理
は、これこそ本格という感がある。
「刑事コロンボ」のような倒叙スタイルに書き直しても十分に面白い作かと思う。
国名シリーズ中の2大傑作と言われる「ギリシャ棺の秘密」「エジプト十字架の秘密」は、
前者は、文字どおり二転三転の展開でボリューム的にも読み応え十分だが、少し遊び過ぎという感も受ける。
後者は、活劇色が強く、謎解きも面白いものはあるが、本作よりは、より純化された
謎解きミステリとしては、オランダを推したい。

国名シリーズ等を本格ミステリとして客観的に評価した場合のベスト3(順不同)
1 ギリシャ棺
2 エジプト十字架
3 オランダ靴
個人的に好きな3作
1 シャム双生児
2 アメリカ銃
3 日本庭園
* これもまた評価が低い「アメリカ銃の秘密」だが、ロデオショーという、
いかにもアメリカン・ミステリらしい舞台設定、アメリカ人作家にしか書けない
華やかな雰囲気が魅力だ。
日本庭園は、番外編ながら、日本人にはエルが持つカルチャー・ギャップが面白い。
初期探偵エルの俺様ルール発揮も楽しくて良し。