横山秀夫 Part 4

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118現職 ”管理”部門
難点は、>>115の言うとおり夫人同士の会話が把握しにくいこと。
原因は当時の女性はほとんどだった「○子」という名前に統一しているからに他ならない。
途中、可奈子が警務部長夫人名だったか生安部長夫人名だったか分からなくなり、前に戻って確認したりもした。

あと、総務課長や交通企画課長、監察官があんなにひ弱な人物はありえない。
いずれも部内筆頭課長級で将来の部長候補者ポストであり、むしろ安倍警務課調査官のようなシビアな組織人がほとんどで、
中間管理職にこそ人事を意識して追従が多いのだ。その点でキャラが逆になってると思う。
更に言うと、警務課調査官は警務課No3であり、県警を実質的に動かしている大番頭ポストの警務課次席[それも課長不在で警務課の指揮者は次席になる]
を飛び越えて本部長や警務部長が特命を下すことはありえないし、また、当事者である警務課の重森次席が会議で一度も発言がないのは極めて不自然。

もし、実際にこのような警務課長失踪事案が発生した場合は、
警務課と監察官室だけで動き、部長会議では経過報告があるだけで善後策の検討や対応は警務部だけで秘密裏に行うものです。

とまれ、細かく言うと現実とのズレはあることはありますが、これは私自身が管理部門で知悉してるからであって、
普通の警察官からすればまったく違和感のない警察組織の描写であると思います。

思うにこの小説は、1999年に発覚した神奈川県警の覚醒剤警察官揉み消し事件に着想を得たのだと思います。

ところで、総務課秘書係の秋吉佐和子は事務吏員なの?警察官?
119現職 ”管理”部門:2005/10/10(月) 20:23:05 ID:sQz5KDJj
しかし、全体として非常によく警察組織を描写していると思います。

官僚制の病理を凝縮するとまさにこうなると思います。
縦割り・情報の隠匿・保身・脚の引っ張り合い・意地と面子・組織防衛・小田原評定。
このドロドロに辟易している方も多いようですが、現実ではこのドロドロを
駆け引きとして楽しむ余裕がなければ組織社会を渡っていくことはできません。
警察に限らずどの企業・官庁においても高級幹部になればなるほど難しいダークネスな駆け引きから無縁ではいられません。

レジナルド・ローズ脚本「十二人の怒れる男」や筒井康隆作「12人の浮かれる男」、三谷幸喜脚本「12人の優しい日本人」
などの密室劇と比して上出来の部類だと思いますよ。