191 :
名無しのオプ:
「まああなたったら(笑…そういえば今年も
旅行に行きたいって言うんだけど」
「なに、どこに行きたいと言ってるんだ?
まさかサイパンかグアムなんか言ってるんじゃあ…」
「違うのよ。東北に行きたいんですって。
名所旧跡を回るんだって言ってたわよ」
「なんだ、すぐそこじゃないか。行かせてやんなさい。
浪人生だって息抜きは必要だからな。
毎日パソコンで疲れてるだろう」
「そうね。東北の割に費用がちょっと高いような気もするけど」
「ああ、いかんぞ。そこで問い詰めたら。
浪人てことであいつは十分肩身の狭い思いをしているんだ。
逝かせてやりなさい。可愛い子には旅をさせよって言うじゃないか」
「そうね。あの子今まで贅沢なんか言ったことなかったし」
「うむ。いくら浪人だって本や映画やプロレスだけじゃ
気が滅入るだろうしな。
案外今回行ったお寺が共通一次に出るかも知れんぞ」
「一点に泣く世界ですものね」
「そうだ。俺たちはあいつの肥やしになってやらんといかんのだ。
見聞を広めさせてやらなきゃ。
浪人なのに見上げた心がけじゃないか」
「あなたたちみたいな理解のある父親を持ってあの子も幸せね」
「こらこら母さん。誉めたって何も出んぞ。
ちょっとあいつの様子を見てこよう。
たまには男同士でプライスレスな触れ合いも必要だからな。
母さん、一万あるか?」
「はいはい…あなた」
「うん?」
「素敵よ」