【蟲、蟲、蟲、蟲、蟲・・・】江戸川乱歩第六夜

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340書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
「月と手袋」は、確かに再読するとトリック等にバカバカしさを感じてしまうが、
乱歩十八番の怪奇とエログロを排したにもかかわらずスリリングに仕上がっている作
ではある。名探偵明智小吾郎という存在を実に巧く使っている。
シリアスな雰囲気ながら乱歩的な児戯をどこまで許容出来るかにより、
この作を楽しめる度合いが左右されよう。

サドは渋澤役で読んだが、「悪徳の栄え」などあそこまでやってしまうと、
エログロ、凄惨さ、鬼気迫る迫力等ではなく、むしろ逆に浮世離れした乾いたユーモア
さえ漂うものがある。
乱歩作品と共通する児戯も感じるが、大乱歩の読書に関して記したエッセイには
サドの名前が見当たらないのは不思議ではある。