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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
前述したとおり、「乱歩文学」という言葉は存在しない。
今は流行らないが、日本文学全集に大乱歩の名が挙がることはないし、
岩波文庫に乱歩作品の収録は無く、新潮文庫にも短編集が1冊あるのみ。
(ただしこの短編集は傑作揃いのためもあってロングセラー)
ドイツならホフマン、「毒草」あたりを見るとフランスならモーパッサン、
エゲレスならキプリング(印度を舞台にした現地人に対する差別感溢れる一連の
怪奇談を想起されたし)に相当する作家かと思う。
ストーリー・テリングの巧さでは彼らを凌駕する力量の持主だが、
「ミステリ」というものにこだわったゆえに、現在の評価になってしまっている。
まあ、大乱歩自身に後悔は無かろう。