『読みました』報告・国内編Part.2

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227書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
森まゆみ「彰義隊遺聞」を読む。
地域誌「谷根千」で知られるエッセイストのミステリタッチな歴史書である。
「琥珀のパイプ」等で知られる探偵小説家甲賀三郎の父(元彰義隊隊士)に関するエピ
は非常に興味深いものがある。
自身の郷土とも言い得る上野の山に散った彰義隊隊士の歴史的真実を追う
筆者の姿勢は、まさにクールヘッド・ウオームハート。
史実としては疑わしい都市伝説風の逸話や怪談めいた話も切り捨てずに、
丁寧にそこに秘められた人々の真情を読み取ろうとしている点は好感が持てる。
それゆえか、現実主義者である三田村鳶魚の彰義隊に関する文章に関して
「好きになれない」と記している。