禿　その９

諸君　私は綾辻が好きだ
諸君　私は綾辻が好きだ
諸君　私は綾辻行人が大好きだ

館シリーズが好きだ　囁きシリーズが好きだ
殺人方程式シリーズが好きだ　殺人鬼シリーズが好きだ
安楽椅子探偵シリーズが好きだ　エッセイ集が好きだ
対談集が好きだ　ゲームが好きだ

十角館で　水車館で　迷路館で　人形館で
時計館で　黒猫館で　暗黒館で　霧越邸で

この地上のありとあらゆる館が舞台となる殺人事件が大好きだ

姿の見えない殺人者がふざけた仇名で呼び合う学生どもを殺していくのが好きだ
すべてが十角形の建物で謎のプレートが並べられたときなど心がおどる

綾辻の操る豪華絢爛なトリックが作品世界を撃破するのが好きだ
来る来る！とわかっていても、まんまと叙述トリックに騙された時など胸がすくような気持ちだった

青臭い設定でとことん書き切った若き日の綾辻行人が最高に好きだ
馬鹿な書評家共が「人間が書けてない」と狂ったように連発していた様など感動すら覚える

見るたびに髪が薄くなってゆく様などはもうたまらない
書けないストレスのせいで貴重な髪がさらさらと抜け落ち、最近では絶対に帽子を脱がなくなったアーヤは最高だ

名付け親島荘との確執が深まり探偵の名前を変えてしまうなど馬鹿みたいだ
必死に守るはずだった新本格の冠が蹂躙されそれを筆力で阻止できないことはとてもとても悲しいものだ

脳足りんの量産作家に押し潰されて殲滅されるのが大嫌いだ
変格脱格メフィスト賞に追いまわされ害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ

諸君　私は綾辻を　根拠のない自信に満ちた綾辻行人を望んでいる　
諸君　私に付き従う　薄毛の諸君　君達は一体何を望んでいる？

更なる頭髪状況進行を望むか？過去の栄光だけで生きるアーヤを望むか？
先行投資の限りを尽くし売れっ子の嫁に頼り切る糞の様な最強ヒモ生活を望むか？

『ハゲ！　ヒモ！　遅筆！』

よろしい　ならば綾辻行人だ

我々は渾身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ
諦めの境地に達しながらも微かな希望と共に待ち続けてきた我々にただの新作ではもはや足りない！！

暗黒館を！！　一心不乱に執筆を！！

我らはわずかに一スレ　10人に満たぬ時代遅れ読者に過ぎない　だが諸君は一騎当千の古読者だと私は信仰している　ならば我らは諸君と私で総力1万と1人の新本格マンセー集団となる

我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろすのだけは絶対の絶対にやめておこう
連中に一文必殺の味を思い出させてやる
連中に「○○○・○○○です」の衝撃を思い出させてやる

赤と黒のファッションには奴らの哲学では思いもよらない理由があることを思い知らせてやる
誰にも負けないプライドの高さで新人どもをびびりあがらせてやる

「最後の本格復活隊指揮官よりかつて十角館で震えた者へ」
目標はいつでも“今年中”！！
綾辻行人有言実行作戦　状況を開始せよ

“今年”の定義を考えるぞ　諸君