やっぱり<<汚名>>でしょうか。
オチなどはかなりベタだとは思いますが、一定の年齢に達したからこそ書ける作品だと思ったのと、
叙情的な文章がとても気に入りました。
ただ、もっと過去の謀略ものや短編集にも注目してほしいし、「症例A」前夜の作品は非文庫化作品が多くてとても悔しい。
薦めたいのは謀略ものだと「CIA桂離宮作戦(徳間文庫・徳間ノベルス『ソ連謀略計画《シベリア・プラン》を撃て』改題)」
「汚名」路線。でも、ラストいたたまれないどんでん返しが待っている「不思議島(徳間文庫)」
短編集は「追憶列車」を読んで微妙だと思った人もいるかもしれないけれど
日常生活の裏にある(またはそれを外れてゆく)人の怖さを書く短編のほうが向いているので
ぜひ「少年たちのおだやかな日々(双葉文庫)」、「もの静かな女たち(実業之日本社)」を読んでください。
出版社の皆さん、「もの静か〜」や海上タクシーシリーズである「二島縁起」と「海上タクシー<ガル3号>備忘録」、
「仏蘭西シネマ」、「白楼夢―海峡植民地にて」をいつ文庫化してくれるのでしょうか?
ちなみに現在「小説すばる」の奇数号にて「海賊モア船長の封印」連載中です。