ディクスン・カー(カーター・ディクスン) Part5

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490書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
別にジョン自身に責任があるわけではないが、前述したとおり今の新本格の作家に到る
までのジョン効果(怪奇・奇想等への根強い嗜好)が、日本においてミステリが文学と
認知されるための弊害となった点は、否定出来ないものがある。
日本の文壇においては、直木賞受賞が文学として認知されたメルクマールとなるが、
本格・新本格の作家で、今現在に到るまで当該賞の受賞者は皆無である。
謎解きメーンという特殊な制約された創作形式に加え、煽情的な怪奇・奇想等の要素は、
伝統的かつ正統な文壇で受け入れられるものではなかったのである。
今でも私は青空を見上げながら、ふと思うことがある。
戦後の本格ミステリのマエストロたち、乱歩・正史等がジョンの怪奇・奇想路線ではなく、
メロの要素が強いとはいえ人間ドラマであるアガサに倣った路線を取っていたら、
本格ミステリによる直木賞受賞が可能だったのではないかと。
そして謎解き短編ミステリによる芥川賞受賞さえ夢ではなかったのではないかと。
日本の本格ミステリの文壇における今も変らぬ日陰者的状況を見るにつけ、
ジョン・スレに巣食う通称カー・ヲタの類に、この絶望的状況の責任が無いとは言えまい。
今、私は声を大にして言いたい、カー・ヲタ逝ってよし!と。