鮎川哲也スレッド 二番館

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85名無しのオプ
魚へんに占うと書いて鮎。漢字が現す通り、昔はこの魚を占いに使ったという。
千年以上も前からこれほど日本人に愛され、親しまれ、慈しまれている魚が
他にあるだろうか。その美しい姿態、まるで西瓜を割ったようなかぐわしい匂い、
しかも塩焼きにしたときの味は何ものにも代え難いものです。香魚と書いて鮎と読み、
年魚と書いても鮎と読むごとく、その一生は春の遡上から秋の産卵と、
わずか1年でその生涯を終えるのです。この潔く、哀れを誘う鮎は、
世界にまれな友釣りと表裏一体の、まさしく日本人の原風景といえるのではないでしょうか。

世界中で今現在やられている釣りの中で友釣りは、日本と韓国の一部で
楽しまれているに過ぎないのです。しかも韓国の友釣りは戦前の日本人によって
伝えられたもので、唯一日本だけでやられているといって過言ではないでしょう。
今の日本に住まいする我々は、この世界でも希な釣りを未来に粛々と伝承していく
義務があるように思えるのです。そのためには自然を敬い、何ごとにも
謙虚であらねばならないと考えています。自然を破壊する開発行為、あるいは、
むやみな放流事業も、明日の私たちの首を確実に絞めることだと思います。
アユ釣りには友釣りだけではなく、毛針を使う方法で、どぶ釣りというのもあります。
この釣りも古い歴史を持った釣りで、繊細な手作りの毛針は、まさに芸術の範疇に[
入るものだと思えます。
86名無しのオプ:04/06/14 14:43 ID:N0mcuKNd
鮎釣りのなかでも最も盛んで最も面白いのが友釣りです。 
稚鮎は動物性プランクトンや昆虫も食べるが、成長するに従い
川の石についた珪藻類を口ではがして食べるようになり、
食べた後には独特の黒く細長い食み跡が見られます。
鮎はその気に入った石を中心に約1m四方の縄張りを作り、
そこに外部から侵入するものがあると、猛然と突っかけ、
あるいは肛門付近に噛みついてでも侵入者を追い出そうとします。

友釣りはその鮎の闘争本能を利用しています。囮に生きた鮎を使い、
縄張り鮎にそっと近づけてやると野鮎は囮を追い出そうとして、
突っかかってきます。そして囮にセットしてある掛け鈎にかかる。
掛かった野鮎は逃げようとして、盛んに泳ぐ。 急流で育った鮎の力は
他の魚の数倍あると言われています。
さらに囮を背負って自由を失った野鮎は急流に流される。野鮎の泳ぎに
さらに囮と野鮎にかかる流れが加わって、非常に大きな力が釣り人を襲う。
釣り人は必死にその力に耐えながら、野鮎を釣り上げるのです。
囮は生きた鮎を使います。それを次の囮が取れるまで、泳がせなければなりません。
太い糸(水中糸)はたちまち囮を弱らせるので、可能な限り細い糸を使います。
近年の技術向上はすばらしく、ナイロン糸で65ー90ミクロン、金属糸では
さらに細く、30ミクロンのものまで現れました。しかも、伸びのある金属糸の誕生や、
ポリエステルと金属を一体にした新素材糸まで登場しています。 
しかしいかに丈夫なナイロンや金属糸でも、流れに逆らって、2匹の鮎を
取り込むのは難しく、鮎が掛かっても釣りはそれで終わりではありません。
掛かってから取り込むまでが次の重要なステップであって、釣り人は野鮎を
網の中に入れたときようやくほっと息をつくのです。
釣り人は出来るだけ早く囮を交換し、弱った囮を囮缶に入れ、今釣ったばかりの野鮎を
囮に使います。そしてその囮を素早く送り出して、次の鮎を釣る。
釣ったばかりの元気な囮はよく泳ぎ、次の野鮎をつれてくるのです。 
友釣りが循環のゲームであると言われるゆえんです。しかも釣った鮎はまことに美味で、
釣り本来が持っている狩猟本能をも満たしてくれるのです。
知人、近所におすそ分けしても喜ばれること請け合いです。