鮎川哲也スレその3 僕たちの「鮎」

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425書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
「マリオネットの罠」>「リラ荘殺人事件」という嗜好はあり得る。

(1)前者は、次郎さん(*坂上ではない)の優れた面が十二分に発揮された赤川ミステリ中
   の最高傑作と言っても過言ではない作であり、後者はこのスレではいまさら多言を
   要するまでもない黒トラと並ぶ鮎長編中の最高傑作である。
   作家の力量の差というものは厳然として存在することは認めるとしても、
   ある程度のレベル以上の作家の最高傑作同士のバーサスにおいては、
   甲乙は決し難いものがあり、読み手の嗜好により評価が左右されるかと思う。

(2)また、リラ荘は本格ミステリ、マリオネットはサスペンス・ミステリである。
   共に各ジャンルの典型的な作であり、おのずからテクストにおけるその趣旨は
   異なるものがあり、ダイレクトな比較は妥当ではないとも言い得る。

(3)HMC内部においては、リラ荘に関しては「淡白で無味乾燥な作である」
   マリオネットに関しては「奇をてらい過ぎたあざとい作」との批判があること
   も申し添えておく。
   ただし、この批判部分は裏返せば両作の魅力の一端に触れているものであることにも
   留意されたし。