社会派ミステリーといえば松本清張。その2

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172書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
中央公論社(当時)の文学全集から、編集委員であった三島の大反対により
清張と今東光が外されたのは有名なエピだが、この点につき清張は
後年まで恨みを持っていたらしい。
NHKの番組で、三島の「金閣寺」等について論評した後、
結局、三島は書けなくなって自死したのだと受け取れる発言をしている。
>黒の何とかという文庫本
「黒い手帳」(中公文庫)である。
正直言って、創作に関する裏話は小説より面白いくらいだ。
>清張の乱歩評は、乱歩の真骨頂である変態性の部分は評価していないが、
>「二銭銅貨」「心理試験」あたりのアイディアは高く評価していた。
この旨も上掲した書に記されていたように思う。


自然主義文学の一応の定義
「自然主義文学とは、人間の精神活動のメカニズムを明らかにするために登場人物を
特定の社会的文脈の中に置いてその資質を展開させようとする、「実験としての小説」を
志向するもの」(エミール・ゾラ「実験小説論より」)
清張の短編(特に初期)は上記の定義に該当するものが多いように思うのだが?
この実験を長編の形で試みたのが、藤村や花袋だったのではないか。
やはり、清張の日本の自然主義文学批判は、その私小説性に向けられたものと見て良いかと
思う。