第十一ミステリー板雑談所兼質問所

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929書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
スポーツミステリというジャンルが成立しそうで成立しなかった理由は、
今、話題に出ているミステリのワンジャンルと化した法廷小説あたりと比較して
考えてみるとわかりやすい。
「スポーツ」と「裁判」、観るにしてもプレイするにしても、
前者の方がはるかに身近であるという違いはあれど、後者のみがミステリのネタとして定着し、
一ジャンルまで形成するに至った主因は別のところにある。
ぶっちゃけた話、現実のスポーツは紙面におけるそれよりはるかに面白い場合が多い。
(当然、頁をくくって先に結末を見ることも不可能であり、未知ゆえが持つスリルが保持され得る)
例えば、野球を例にとれば、昭和33年日本シリーズ西鉄VS巨人(西鉄3連敗から逆転優勝)、
昭和58年日本シリーズ西武VS巨人の7戦に渡る死闘、あるいは平成10年の高校野球
横浜対PL学園の春・夏に渡る激戦。
野球好きなら、これらの試合を見ていない場合にはもぐり扱いされても仕方無いが、
いまだにこのようなビッグゲーム上回るほど面白いミステリは存在しないのも事実である。
これに対して、裁判の場合は傍聴した経験が有ればわかるだろうが、見ていて面白いものではない。判例が集積していることもあって、先(判決)が読めないこともあまり無いのだ。
ここにミステリという通俗なるものが、よりドラマチックに脚色を加えることにより、
突け込む余地があったわけである。

法廷小説では木彬光「破戒裁判」を推しておく。心して読め!