今、読んでいるミステリ小説は?【5】

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256書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
小川百合「英国オックスフォードで学ぶということ」(講談社)を読み始めたところだ。
今のところミステリに関して論じた部分は無く、画家である著者は、絵画は当然としても
文学やクラッシック音楽には興味はあっても、ミステリの類は興味が無いようである。
しかしながら、わずか1年の滞在記とはいえ、オックスフォードとその周辺の風物が
画家らしくビジュアルなイメージを伴って丁寧に描かれており、
古くはエドマンド・クリスピン、最近(とは言っても比較的最近までシリーズが続いていたという意味だが)ではコリン・デクスター等の愛読者には、作品の舞台になった町の「今」を
知るための良きよすがとなろうかと思う。この点では一読に値する。
著者は、名前から想像するのとは異なり50過ぎの初老の女性である。
これに加えて、本書にあるプロファイルによれば、
52年 東京都生まれ  父の仕事の関係で幼少期〜小学校時代は海外と日本を転々
70年 都立新宿高校卒 ハワイ州へ移住
74年 ハワイ州立大芸術学部卒
75年〜85年 東京で企業デザイナーとして勤務
88年〜89年 アジアン・カルチュラル・カウンシル奨学金でNYで現代アートを学ぶ
98年〜99年 文化庁芸術家在外研修員として、ニュー・カレッジで準客員研究員
* 91年以降は日米で個展、グループ展で絵画を発表
オックスフォード大滞在が、わずかに1年(しかも大学内では非公式な身分)なことを見て
もわかるとおり、決して凄いエリートではない。
しかし、本書の第T章曰く「願い事は必ずかなう」のである。
なお、本書のプロローグで著者名のみ紹介されているが、
川上あかね「わたしのオックスフォード」(晶文社)は、正規の在学生の手になる著作。
本書とは異なるオックスフォードの様相を覗い見ることが出来る。これも読んでおけ。