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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
ジョルジュ・シムノン「雪は汚れていた」を読んだ。
ミステリファンには、メグレ警部もので知られる作者の純文学の代表作、
第2次大戦ドイツ占領下、娼婦の家に生まれた青年の行き場が無い屈折した心理を描いた
作品だが、メーンストーリーには複数の殺人事件が絡むため、クライムノヴェルとして
読むことも可能である。大衆向きの娯楽作であるメグレ警部シリーズでは、
やや簡略化されている感がある心理・情景描写が丁寧になされており、
中盤まではフランス文学らしいムーディなタッチで読ませるものがあるが、
終盤はややだれ気味、冗長な感さえ受けるのが惜しまれる。
この板は純文学嫌いの連中が大半を占めるが、本作あたりを手にしてみたら良い
かと思う。
人生は思いの外短いのである、漫画のような謎解き小説にばかり耽溺していてよい
はずがないのである。こうった点、十二分に心しておけ。