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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
エドマンド・クリスピン「大聖堂は大騒ぎ」(国書刊行会)を読んだ。
トリックはバカミス1歩手前という感じのもの。
クリスピンは、どちらかと言うと雰囲気で読ませる作家であり
(これは代表作「消えた玩具屋」に顕著である)、謎解きミステリとして
文句無しに推せるのは「お楽しみの埋葬」くらいである。
「白鳥の歌」「愛は血を流して横たわる」あたりも決して面白い作品ではない。
他作と比較して、本作におけるフェン教授はまるでHMまがいに言動が粗っぽい感じだが、
これは翻訳のせいであろうか。
「愛は…」で、清楚な女子高生にまでからかわれてしまう万年青年的なイメージ
からは、やや違和感がある。
少し余談めくが、本作には、オカルティズム色も濃厚だが、オクスフォード大出身で
上品な作風で知られているクリスピンと比較しても、カーがかなりストイックな作風
だったのだと再認識させられるものがある。
なお、対談形式による2ちゃんねるのカキコまがいのあとがきにはうんざりさせられる。