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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
フレデリック・フォーサイス「戦争の犬たち」を再読。
EUの誕生、IT化等、政治・経済情勢の変化により、今ならかなり違った展開になるで
あろうが、アフリカ某国クーデタ決行までの入念な準備(船・武器等の調達、
資金用口座の開設等)は何度読んでも面白く、シニカルな結末も印象的だ。
ただし、初読の時にも思ったが、黒幕の娘、主人公シャノンを逆恨みして暗殺
しようとする傭兵は、いらぬ登場人物である。
シャノンがクーデタ計画の真意に気付くプロセスは別な展開で十分に書き得たと
思えるのである。(探偵社を使うとかして)
クーデタ計画という本筋のみで押し切って欲しかったものだ。
あとがきにもあるとおり、フォーサイスが本書の内容と同様な実行計画を進めていた
としたら、驚きを禁じ得ないものがある。
そして最近ではマーク・サッチャーの拘束事件を想起した者も多いのではないか。
現実は厳しく、フォーサイスもマークも準備段階で計画が露呈し失敗している。
本書に詳述された準備段階の艱難辛苦さを読むと、かえって納得がゆくものがある。
あぼーん