今、読んでいるミステリ小説は?【4】

このエントリーをはてなブックマークに追加
567書斎魔神 ◆CMyVE4SVIw
E・S・ガードナー「どもりの主教」を読む。
ペリー・メイスン・シリーズの一編。
結構複雑な人間模様に絡んだ犯罪話を軽快に読ませるが、それだけである。
法律に関する薀蓄も、国も時代も異なるため日本の読者の役には立たない。
メイスン・シリーズによく出てくる予備審問という制度そのものが日本には
存在しないしね。
ラストは次回作「カナリヤの爪」(短めの作品だがメイスン・シリーズの傑作との評あり)の
予告編。
アールがよく使う手だが、商売の巧さを感じさせる。
言うまでもなく、今では「どもり」は差別用語である。
メイスン・シリーズの中で比較的出来が良い作品でありながら、本書が現在品切である
因のひとつか。

アール作品を読んでいると、凄まじい勢いでタイプライターを叩いて読み捨て作品
を量産している姿が思い浮かぶ。
彼こそメリケンの「書斎魔神」の称号がふさわしいかと思う。