ミステリー板・逆転裁判

○月×日　　午後２時３０分
地方裁判所　第２法廷

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：ではこれより、池谷　通の法廷を開廷いたします。

ヤコ：べ、弁護側、じゅ、準備出来ていますッ！

ｻｻﾂﾞｶ：……ん？あァ…検察側、いつでもＯＫだ……

ヤコ：（相変わらずテンション低いな…）

ネウロ：うろたえるなヤコ。裁判官の心証が悪くなるではないか。

ヤコ：そんなこと言ったって！

ネウロ：もし、我が輩の食事を邪魔するようなことがあったら
　　　　　明日から便所雑巾としてトイレの床を頬ずりで磨いてもらうぞ。

ヤコ：（！　　それだけは回避しなければ…ッ！）

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：では、笹塚検事。冒頭弁論をお願いします。

ｻｻﾂﾞｶ：…………解った。

ｻｻﾂﾞｶ：被告人は、自身の作った机『トロイ』を使って…人を二人、殺した
　　　　容疑が掛かってる。一人目は高校生…二人目はサラリーマン……
　　　　どっちも被告の店の顧客で、『トロイ』を買った数日後に、その
　　　　すぐ側で……ガス中毒で死んでた。被害者二人の「解剖記録」と
　　　　「現場写真」を証拠品として提出しとく。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：受理します。

「被害者の解剖記録」のデータを法廷記録にファイルした。
「現場写真」のデータを法廷記録にファイルした。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：しかし…机を使って、ですか。一体どうやって殺したのか見当もつきませんが。

ｻｻﾂﾞｶ：あァ…。それについて、今日来てもらってる証人から…一応証言が取れてるけど。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：では、証人を入廷させてください。

証人・大塚　輝希が入廷

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：証人。名前と職業を。

ｵｵﾂｶ：大塚　輝希。家具デザイナーをやっています。
　　　　数年前まで池谷さんの下で働いていました。
　　　　池谷さんの店へは、今もちょくちょく遊びに…
　　　　池谷さんのことは尊敬しています。だから、今も信じられません……

ネウロ：ム！
　　　　　クククク…

ヤコ：ネウロ？

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：では、証言してもらいましょう。『凶器』の机に関して。

――　証言開始（　〜『トロイ』について〜　）　――

ｵｵﾂｶ：あの机を含む、池谷さんが製作したいくつかの机には、
　　　　ちょっとした仕掛けが施されているんです。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：仕掛け、ですか？

ｵｵﾂｶ：はい。例えば『トロイ』なら、一段目と三段目の引き出しを
　　　　まっすぐ同時に閉めると、背面版に掘った溝の中に一瞬だけ、
　　　　圧縮した空気が蓄えられるようになっているんです。
　　　　それを利用して…小さな隠し扉を一瞬だけ開かせることが出来る。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：！！　　　隠し扉、ですか。

ヤコ：（ちょっ！！初耳だよそんなの！）

「トロイ」のデータを法廷記録にファイルした。

ｻｻﾂﾞｶ：ちなみに想像付くと思うけど……監察官によればそこに毒ガスを
　　　　　仕込むことは可能らしい。
　　　　　てことはつまり、被告人はあらかじめその隠し扉の内側に毒ガスを
　　　　　仕込んどいて、後は勝手に被害者が仕掛けを動かして死ぬように
　　　　　し向けた…時限装置みたいなもんを作ってたって考えられる。

イケヤ：だッ！だから何だってんだよ！！毒なんて仕込んで俺に何の得があんだよ！！

ｻｻﾂﾞｶ：何の得もないなら、何でこんな仕掛け作ったんだ？

イケヤ：う…いや、ちょっとしたイタズラだって

ｵｵﾂｶ：でもっ！池谷さんには殺人を犯す理由が…

イケヤ：そーだろ大塚ァ！俺が人殺しなんて…

ｵｵﾂｶ：！！　あっ。そう言えば…

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：どうしました？

ヤコ：（…雲行きが怪しくなってきたぞ）

ｵｵﾂｶ：一人目のお客様が「トロイ」を買ったとき、俺も近くにいたんですが
　　　　お得意様と言うこともあり、どうも強引に買われてしまったようで…
　　　　それに、二人目のお客様は俺の店の顧客でもあったからよく知ってるけど、
　　　　あんまり家具にはこだわらない感じの人だったし…
　　　　まさか！！池谷さんは自分の作った机をどうでもいい客に使われるのが
　　　　どうしてもイヤで、それで買ったお客様を殺して机が返品されるように
　　　　し向けた…！？

イケヤ：おッ！おい！！

ｵｵﾂｶ：それに、確かに「トロイ」に毒が仕込んであったなら…あの机は池谷さんの店に
　　　　あったんだから、仕込めたのは池谷さんだけのはず…

ｻｻﾂﾞｶ：……ちなみに、実際あの店から犯行に使われたと思われる毒も見つかってる。
　　　　致死量を摂取すれば十分程度で死ぬ、揮発性の神経毒だ。…一応、証拠として提出しとく。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：わかりました。受理しましょう。

「モロ毒」のデータを法廷記録にファイルした。

イケヤ：マジ毒なんて知らねーよ！！どっからこんなもん…

ｻｻﾂﾞｶ：…以上で検察側からは終わりだけど…。悪いな弥子ちゃん。今回ばかりは決定的だわ。


ネウロ：…やはり、臭いな

ヤコ：へ？

ネウロ：あ、いや。貴様が臭いと言ってるわけではないのだ。確かに貴様は汚物だが…

ヤコ：……。悪意のこもった不必要なフォローやめてくんない？

ネウロ：…そう。
　　　　　悪意あるフォローはフォローする前よりも対象のイメージを悪くする。
　　　　　ヤコ、あの大塚という男をどう思う？

ヤコ：どう、って…。うーん。でも、確かになんか不自然な気がする。
　　　　さっきから池谷さんをかばってるようで、逆に追い込んでるみたいな。

ネウロ：フン。あと一歩と言ったところだが、しょせん人間の限界か。
　　　　　では…この能力（どうぐ）を貸してやる

魔界７７７ツ道具「視え過ぎる色眼鏡（イビルコンタクト）」…

ネウロ：眼に入ってきた対象の内面を示す仕草や癖を「みぬく」ことが出来る道具だ。
　　　　　ヤコ、裁判官の横にゲージカウンターのようなモノが見えるだろう？

ヤコ：う…うん。

ネウロ：あれは裁判官の弁護側に対する心証のゲージ…あれが０になればあのダメ中年は
　　　　　有罪になる…つまり、貴様がヘマをやってあのゲージが１マス減るたびに、貴様は
　　　　　便所雑巾に一歩近づくというわけだ。

ヤコ：…出来る限り減らさないようにするよ。

ネウロ：そして…仕草や癖はあの男にもしっかり現れている。
　　　　　もう解るな？ヤコ。それをみぬくのは貴様なのだ。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：…では、弁護人。尋問をおねがいします。

――　尋問開始（　〜『トロイ』について〜　）　――

みぬく　　　　→『仕込めたのは池谷さんだけのはず…』

ヤコ：……。また隠しましたね。口許。

ｵｵﾂｶ：くちもと？

ネウロ：大塚さん、あなたは『ある証言』をするときだけ、口許に手を当てる。
　　　　　まぁ、見られたくないでしょうからね……池谷さんをかばうように見せかけて
　　　　　巧みに彼が犯人と誘導できたときの、ほくそ笑む口許を！！

ざわざわ　ざわざわ

ｵｵﾂｶ：！！　　俺は真実を言ってるだけです。トロイに毒を仕込めたのは池谷さんだけのはずだ。

ゆさぶる　　　　『トロイに毒を仕込めたのは池谷さんだけ』

ネウロ：では…言うのだヤコ、いつものアレを。

ヤコ：う、うん…


異議あり！！


ネウロ：池谷さんだけ…果たしてそうでしょうか？

ｻｻﾂﾞｶ：……？っていうと？

ネウロ：他にもいるではないですか…。この法廷にも、毒を仕込めた人間が。

毒を仕込めた人物とは？

関係者ファイル　　　　→大塚　輝希

ネウロ：机も毒も、被告の店の中にあった。つまり、店に入ることが出来る人間…
　　　　　例えばあなた、さっき言ってましたよね。
　　　　　「池谷さんの店へは、今もちょくちょく遊びに行っている」と。
　　　　　あなたにだって机に毒を仕込すことも、池谷さんに罪を着せるために
　　　　　毒を店のどこかに隠すこともできたはずです。

ｵｵﾂｶ：ぐッ…！！

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：どうなのですか、証人！！

ヤコ：（やった！風向きが変わった！！）

ｻｻﾂﾞｶ：……悪いけど、そりゃ単なる可能性だ。検察側は物理的な面だけじゃなく、
　　　　心理的にも被告の有罪を示す証人を用意してる。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：ほぉ…。
　　　　　解りました。では、二人目の証人を入廷させてください。

証人・絵石家　由香が入廷。

ユカ：…ウザッ。

ヤコ：由香さん！

イケヤ：おう由香ちゃん頼むぜ！俺が犯罪犯すような奴じゃないって証言してよ。

ヤコ：（由香さんは検察側の証人なんだけど…）

――　証言開始（　〜池谷　通の人間性〜　）　――

ユカ：こいつ、オヤジの知り合いでさ。うちにもいくつかこいつの作った家具があるし、
　　　　昔から親交あってたまにうちにも来てたんだけど、そのたびに何かにつけて
　　　　あたしの部屋押しかけて…『イスになってくれ』って座ろうとしてきやがんの。
　　　　そのたびにボコボコにしてやるんだけど、あげくの果てにそいつが吐いた言葉は

イケヤ：『このアマいいじゃねーかちょっと位座ったって！！全ての女は俺の家具で
　　　　全ての家具は俺の女って決まってんだ！！』

ヤコ：外道だ…

ｻｻﾂﾞｶ：ちなみに…彼女以外にも何人か…、被告に「家具にされた」って女性の証言を得てる。

ざわざわ　ざわざわ

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：静粛にッ！…まさに外道、ですな。

ヤコ：（せっかくちょっと良い感じだったのに！）

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：では弁護人。一応…尋問をおねがいします。

ヤコ：は…はい。

――　尋問開始（　〜池谷　通の人間性〜　）　――

ゆさぶる　　　　『全ての女は俺の家具で全ての家具は俺の女って決まってんだ！！』

ヤコ：『家具は俺の女』…って、どういう意味なんだろう？…由香さんは、どう思います？

ユカ：知らねーよそんなの！なんであたしがそんなこと…

ヤコ：思ったんですけど、池谷さんにとって自分で作った家具って言うのは…
　　　　女、っていっても「彼女」っていうより「娘」に近いんじゃないかなー…って。
　　　　だったら、手塩にかけて育てた娘に、殺人を犯させたい親なんているかな。
　　　　もちろんあの机…「トロイ」にも。

イケヤ：………。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：ううむ。一理ありますな。

ｻｻﾂﾞｶ：…だけど。だったらなんであんな仕掛け作ったんだ？製作者が口を割らないことにゃ…
　　　　買った奴を殺すために作ったと思われてもしゃーないと思うけど。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：どうなのですか、被告人！

イケヤ：だからそれは…

ネウロ：本人の口から聞く必要はありません。知っているはずの人が法廷に来ているんですから。

ｻｻﾂﾞｶ：……？

つきつける

関係者ファイル　　　　→絵石家　由香

ネウロ：先ほどの大塚さんの話にもあった通り、仕掛けがある家具は「トロイ」だけではない。
　　　　　由香さんの所有する家具のいくつかにも、当然仕掛けは設置されていると思われます。
　　　　　ならば、その所有者である彼女は、当然その理由も知っているはず…。
　　　　　証言していただけますよね、由香さん。

ユカ：…昨日電話で言ってたのはこーゆーことか。ちゃんと持ってきたよ。…めんどくさ。

ヤコ：（また私の知らないところでなんかやってたな…）

ユカ：ほら、これだよ。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：……？カード、ですかな。

イケヤ：！！

ユカ：客に向けたメッセージカードだよ。いい年してキザったらしいことしやがって。キモッ。

ネウロ：カードにはこう書いてあります。『私の大切な女を譲ります。この女はもうあなただけのもの。
　　　　　末永くお使い下さい』池谷通…。
　　　　　
ヤコ：隠し扉の仕掛けを動かすには、一定の手順が要る。…つまり偶然その仕掛けを動かせる
　　　　のは、よほど長く使っている人だけ。それだけ大事にしてくれた人にだけこのカードは
　　　　発見できる。自分の娘を安心して任せられるって言う…池谷さんなりの感謝の言葉。

イケヤ：あーもーこッ恥ずかしい！！あのメッセージは本当よー…俺と客の間だけの言葉に
　　　　　してーんだよ。自慢の女を譲るとか譲らねーとか、第三者交えてする話じゃねーや。

ヤコ：だから池谷さん、笹塚さんに仕掛けのこと問いただされても、口を濁らせてたんだ…

ネウロ：つまり、これで仕掛けを作った理由が明らかになり、『買った人間を殺すために
　　　　　机に仕掛けを作った』という前提自体が覆ったことになります。
　　　　　もっと言えば、あの机が凶器であったということすら、前提として危うく
　　　　　なってくるのです。

ｻｻﾂﾞｶ：…どーゆーことだ？

ネウロ：もし「トロイ」に毒ガスが仕込まれていたなら…今まで法廷で提出されたデータと
　　　　　少々…ムジュンするのです。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：いったい、どういうことなのですか！

ネウロ：さ、先生！先生には解ってますよね？ムジュンしている証拠品が！

ヤコ：あ……あたぼー…よ。

つきつける

法廷ファイル　　　　→「現場写真」

くらえ！！

ネウロ：この写真、二人目の被害者の殺害現場なのですが…妙ではないですか？
　　　　　引き出しの中に、頭を突っ込んでいる。もし引き出しの中に毒が
　　　　　仕込まれていたのなら、これではまるで自殺だ。

ｻｻﾂﾞｶ：！！

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：た、確かに。

ネウロ：ここで、一度整理してみましょう。被害者は二人とも、それぞれの事情で
　　　　　家に自分一人しかいない日の、しかも帰宅直後に死んでいる。
　　　　　つまり、誰も彼らの死の瞬間を見てはいない。
　　　　　僕の得た証言によると、二人は共通して救急車も呼ばず、また死の前日
　　　　　それぞれのペットが同じ毒で死んでいたことから、当初は自殺と思われていたくらいです。
　　　　　つまり、自殺の前に毒の威力を試したのかと考えられた…
　　　　　ただ、死体が「トロイ」のすぐそばにあったこと、そして殺人にも転用可能な
　　　　　その机の仕掛けがあったからこそ、池谷さんが疑われた。
　　　　　唯一の物証である毒は誰にでもねつ造可能だということは、先ほど先生が
　　　　　証明したとおりです。
　　　　　つまり、「トロイ」に毒が仕込まれていたことを示す直接的証拠は、実は
　　　　　どこにも無いのです。

ヤコ：ちょっ！ネウロ！いつの間にそんな証言…

ネウロ：まあ、良いではないか。

ヤコ：（それこそ、ねつ造じゃないだろうな…）

ｻｻﾂﾞｶ：おいおい…机に毒が仕込まれてなかったんなら、じゃあどうやって被害者は毒を？

ネウロ：簡単なことですよ。ね、先生！

選択　　毒は……

→犯人が直接被害者に盛った。

ネウロ：そう…。真犯人は事前に被害者の住所・生活を調べ上げ、一人で家に帰る時を
　　　　　狙い、待ち伏せしていた。そして何らかの手段で被害者に毒を摂取させ、
　　　　　中毒症状で苦しみだしたら、そっとこんな言葉を囁く…

？？？：『お前の犬を殺したのと同じ毒だ。十分もあれば死ぬ。…でも助かる方法はあるんだよ』

ｻｻﾂﾞｶ：助かる…方法？

ネウロ：十分では、通報しても救急車が来るまでも保つか解らない。そこに、もっと
　　　　　確実に助かる方法が提示されたら、怪しむ間もなく被害者は飛びついたでしょう。
　　　　　犯人はおそらく、こう言った。……ある場所に、解毒剤が隠されていると。
　　　　　その「ある場所」とは…先生、「つきつけて」やってください！

「ある場所」とは？

法廷ファイル　　　　→「トロイ」

くらえ！！

ネウロ：被害者は死の前に、おそらく既に犯人によって二つの暗示を刷り込まれていた。
　　　　　一つはペットの突然死…つまり毒の威力。そしてもう一つは、トロイの隠し扉。

？？？：『…でも助かる方法はあるんだよ。お前の買った机のどこかに…解毒剤が隠されている』

ネウロ：犯人は事前に、被害者に隠し扉の存在を教えていた。二人目の被害者の奇妙な死体…
　　　　　彼は解毒剤を求めて机の中に頭を突っ込み、…そして息絶えた。
　　　　　そしてこのことは、はからずも犯人をあぶり出す結果となった。
　　　　　…さぁ、先生。真犯人を指さすのです！

ゆびさす

関係者ファイル　　　　→大塚　輝希


犯人は…お前だ！！


ｵｵﾂｶ：……ひどいなぁ。俺は善意の証人だってのに。
　　　　俺が犯人でアリなら、池谷さんの方がよっぽどアリになっちゃうよ。

ネウロ：池谷さんが犯人でないなら…隠し扉の存在を知っている人間自体が限られてくる。
　　　　　顧客だって殆どはその存在自体気づかない。だが、池谷さんの下で働いていた
　　　　　あなたなら知っていて当然。
　　　　　そして、一人目の被害者が机を買ったときはあなたも店にいた。そして、二人目は
　　　　　あなたの店の顧客でもある。…隠し扉のことを教えるチャンスは、あなたになら
　　　　　いくらでもあった。違いますか？

ｵｵﾂｶ：……！！

ネウロ：心理誘導に頼るだけのあなたのトリックは、被害者を机の近くに導く方法さえ
　　　　　見当が付けば…逆にあなたの首を絞めることになるのです。

ｵｵﾂｶ：…………。……チッ

イケヤ：大塚…？

ｵｵﾂｶ：もういいよ……どのみち心理誘導が失敗した時点で…全てが難しくなっちまった。
　　　　俺を容疑者から外すことも…池谷さんを屈辱と破滅に追い落とすことも。
　　　　…ちょっと、イスに座って良いかな。

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：イス、ありませんけど。

ｵｵﾂｶ：よいしょ、っと。

ヤコ：座ってない！！

ｵｵﾂｶ：ならば俺はもっと簡単に…理想の家具を表現するだけのことさ。
　　　…池谷さんは卓越したセンスを持っている人だが…肝心な部分が欠落している。
　　　すなわち！！家具への理解と愛情だ！！！
　　　家具作りをあっさりやめてしまうことこそその証！！
　　　なにより、家具を女に例え使用者と分ける事自体言語道断！！

ゴッ　バラッ…　ズボ　バキ　ガシャ　ズボ

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：証人！証言台を壊さないでください！

ヤコ：（突っ込むところはそこで良いのか！？）

ｵｵﾂｶ：家具の全てはフィット感！！家具が人を、人が家具を支配し、一体となって始めて完成する。
　　　　…つまりこれがあの人も作れなかった完成された家具だ！！

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：静粛に！静粛に！静粛にィッ！

ｵｵﾂｶ：この美しさを理解することができないものに、用意できる家具はたったひとつ。
　　　　自らの死体を収容するための寝具、棺桶だけだ。

ｻｻﾂﾞｶ：何だコイツは…化けモンじゃねーか…

ヤコ：……ありえない。ちょっとした主張の違いでどうしてそこまで…

ネウロ：不完全ですね。その程度の一体化では完全とは言えません。
　　　　　…ところで、おや。地震でしょうか。

ｻｻﾂﾞｶ：！？

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：！？

ネウロ：丁度いい…魔力を大量消費する能力の数々が埃を被っていたところだ。
　　　　　ＨＡＬの『謎』が腹に残っているうちに…「虫干し」をしておこう。
　　　　　収納家具の中身のように。

ヤコ：ネウロちょっ……それはやりすぎ……

魔帝７ツ兵器「朽ちる世界樹（イビルツリー）」！！

ｵｵﾂｶ：グハッ　ガッ…


………

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：笹塚検事、証人はどうしました？

ｻｻﾂﾞｶ：……あァ。一応、緊急逮捕の手続きを……

ｻｲﾊﾞﾝﾁｮ：緊急逮捕より緊急入院が必要な気がしますが…。さて。
　　　　　それでは、被告人に判決を言い渡します。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　無　　　　　　　罪

同日　某時刻
地方裁判所　被告人第１控え室

ヤコ：主張は意味不明だったんだけど…多分あの人は単純に池谷さんの才能が
　　　　眩しかっただけなんじゃないかな。
　　　　若い頃から憧れてた才能と、その才能で築いたキャリアをあっさり
　　　　捨てれる池谷さんが…逆にねたましくて。

イケヤ：……。…俺は逆に奴の才能が眩しかったがね。
　　　　　俺が家具を作るのをやめたのは…「トロイ」を作れたからってのも
　　　　　あるけど、成長したあいつの作品見たせいでもあるんだ。
　　　　　「ああ、わざわざ俺が作んなくてもいいな」って。
　　　　　世界にはいくらでも…俺好みの「女」を作ってくれる奴がいるんだなって。

ヤコ：…………。

ネウロ：それはともかく、

イケヤ：…解ってるよ。約束は約束だ。お前らの欲しい家具を好きなだけくれてやらァ。

ヤコ：……え。でも大丈夫池谷さん？そんなことしちゃったら大損じゃ、

イケヤ：…いいさ。トロイも無実って解ったし…お前らと話してたらまたムラムラして
　　　　　きたぜ。店の在庫はとっとと処分して…また家具を作る仕事始めるよ。
　　　　　トロイに負けないくらい、いい「女」バンバン作るためにな。

ヤコ：……うん。

ユカ：よーエセ犯罪者。

イケヤ：由香ちゃん！

ユカ：良かったなー臭いメシ食わずに済んで。…まったく、普段から疑われるよーな
　　　　ことばっかしてるからだよ。

イケヤ：面目ない……ん？あれ、由香ちゃんひょっとして心配してくれてた？
　　　　　そーかそーか、なんだ言ってくんなきゃお兄さんわかんねーよ。

ユカ：ウザッ…。来るんじゃなかった……。

イケヤ：とりあえず座らせろや、なっ？週一ペースで良いからさ。

ユカ：いいわけねーだろ！！

イケヤ：じゃあ月一。年一なら？

ユカ：……。やだって。

ヤコ：（やっぱり外道だ…。）

ヤコ：（でも、この二人なんだか……）



？？？：七光が…七光が足りねえよぉ〜…


つづく？