ニヒルな叙情を漂わせた「木枯し紋次郎」シリーズなどで知られる小説家の笹沢左保(ささざわ・さほ、本名・勝=まさる)さんが
21日午前2時5分、肝細胞がんで死去した。71歳だった。本人の遺志により密葬を済ませた。
11月22日午後1時から東京都港区虎ノ門2の10の4のホテルオークラで「笹沢左保さんを偲(しの)ぶ会」を開く。
喪主は妻佐保子さん。自宅は公表していない。
横浜市生まれ。郵政省東京地方簡易保険局に勤めていた58年、交通事故に遭い、入院中に推理小説を書き始めた。
60年、「招かれざる客」で江戸川乱歩賞次席となりデビュー。
61年には「人喰い」で日本探偵作家クラブ賞を受賞するなど、本格推理小説や風俗もの、時代小説などを次々に発表。
70年ごろから股旅(またたび)ものを書き始め、「木枯し紋次郎」のテレビシリーズは、中村敦夫主演で一世を風靡(ふうび)した。
著作は約380冊を数える。長年の活動を評価され、99年、日本ミステリー文学大賞を受賞した。
88年に「空気がうまい」と東京から佐賀県へ転居。その後92年に胃がんとわかった。
通院しながら執筆を続ける一方「がんは早めに発見すればこわくない」と、早期発見の旗振り役として話題になった。
昨年、東京へ移転。今年8月に肝臓がんと診断されるが、手術を断り、自宅で静養していた。 (15:30)
http://www.asahi.com/obituaries/update/1021/002.html