179 :
風と木の名無しさん :
あやされるままにアズレーの腕に抱かれていたヤスミンは、小さなイタズラ心を起こした。
いっつも余裕の表情を見せるこいつを、少しでいいから驚かせてやりたい。
本当にそれだけだった。
もしもくすぐったり引っかいたりしていたとしても、その目的は十分果たされた
ことだろう。
しかし、その時はそんなことなど考えもしなかった。
シチュエーションのせいかもしれない。
雰囲気に飲まれた、と言っても、多分間違ってはいない。
ヤスミンはアズレーの首に腕を絡めると、べったりと抱きついた。
そのまま唇を項に押し付ける。
「!? ちょっ、おい…」
アズレーの困惑気味な声を聞いているのかいないのか、ヤスミンはいつもしてもらうことを思い出しながら、彼の頭を押さえつけて、その耳に舌を這わせた。
驚いてくれているのは、その仕草から手に取るように判る。
なんだか楽しい。
だからといってそれ以上のことを自分から仕掛けるつもりなどは全く無いから、
手が服の裾から侵入してきたのを感じて、すぐに舌を収めた。