かまいたちの夜の続編出るんだって

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936名無しのオプ
「……で?」
「で、とは何だね?」
「それから、どうなるんです? 津波に呑まれて、
小林さんたちはどうなっちゃったんですかね?」
僕の質問に対して小林さんは、むぅ……と唸った。
「死んだんじゃないかな? いや、生死不明、とかにした方が……
 続編を匂わせているから……いいんじゃないか?」
「続編があるんですか?」
「いやぁ、考えてないけど……。それにだな、私の台詞かっこいいだろ?
『いきなさい』。これが書きたかったんだよ」
僕はため息をついた。
「そんなの、ダメですよ」
「ダメかね?」
「ダメです」
推理小説には結構、持論を持っているせいか、僕はつい力説してしまった。
「犯人が最後に犯行の動機を自白して、自殺するってケースは
ミステリとしてサイアクですね。ちょっと前に流行った
推理コミックみたいですよ」
「な、なら、ウケるんじゃないかね?」
「ダメですよ。それに、これじゃなんだか僕が真理の尻に
敷かれてるみたいじゃないですか」
「それは、結構、当たってるんじゃないかね?」
「な……」
僕が言葉を詰まらせると、小林さんはチラリと真理の方に目配せした。
あわてて真理が目をそらす。
「とにかくダメったらダメです。トリックもなんだか大掛かりな割には、
効果薄いし、穴もある。今日子さんの過去の設定だって強引すぎます」
「結構、イケると思ったんだがなぁ」
「これなら、今日子さんが作った雪山殺人の事件の方が断然面白かったですよ。
くれぐれも、こんなプロット、ソフトハウスに持ち込まないで下さいね」
「……わ、わかったよ」
小林さんは、僕に気おされたようにしぶしぶと頷いた。
「おじさん、透に嫌われちゃったわね」
真理が愉快そうに笑う。
「茶化さないでくれよ。元々、そんなに自信があったわけじゃないんだ。
また、あらすじから練り直すとするよ」
小林さんは、頼りなさげにハハハと笑った。
ちょっと言い過ぎてしまったかな?
僕は、なんとなく悪いことをしてしまったような気がした。

そんなことが去年、シュプールに行った際にあったから、
僕がこの夏、店頭で「かまいたちの夜2」を見かけたときに
凍りついたのは言うまでもない。
                     終