正統派雑誌を毎月買っている勤勉なミステリーファン募集中。
一人かよ! と
>>1が思われるのは災難だろうから挙手してみる。二人目だ。
でも、買ってはいるが中身は小説、読んでない。
「毎月買っている」と
>>1も言っているから、まぁいいか。
書評と評論しか読んでませんが、それでもいいですか?
三人目
「ミステリー」ではなく「ミステリ」だろ!と
早く誰かつっこんでくれ
それはそうなんだが、なぜハヤカワは頑なに「ミステリ」という
表記に拘るんだろう? 社長の方針か何かですか?
ついでにつっこむと「ミステリマガジン」だよ。「・」は、なし。
評論や書評は立ち読みで充分だから・・・
最後に買ったのは去年の4月号(カー特集)です
3月号のみ毎年買うという人も多いのでは?
僕も読んでます!といっても
実は書評と「梟とミネルバが夜旅立つ(?すいません忘れました)」
だけですが・・・
SFマガジンと同じぐらいの値段なのに薄いんだよな、これが…。
10 :
名無しのオプ:02/02/25 11:35
age
11 :
パーカー信者:02/02/25 12:34
この間のクリスティ特集号はしばらくぶりに買ったよ。
あと毎夏の幻想と怪奇号?は必ず買う。
12 :
名無しのオプ:02/02/25 13:05
最近のものより、古いものの方がよく買ってるな。
HMMに載ったきりの物って、結構あるからね。
それにしてもまさか「魔の淵」を出すとは思わなかった。
13 :
名無しのオプ:02/02/25 14:34
編集長変わったの?
といっても気にしてる人はいないか。
14 :
名無しのオプ:02/02/25 18:58
定価が、あれだけバラバラな雑誌も珍しい。
数ヶ月前だったか、2500円もした月があった。
いつもは800円ちょっとくらいなのに。
思わず、クレジット・カードを出してしまったよ(w
表紙の写真てまだ象印賞の浅井慎平タンなの?
リサイクルで使わせてもらおう。
■名も無き謎
原作:■お前ら、無理矢理続きを書いてください
製作:1 名無し物書き@推敲中? 他
監修:名無し物書き@推察中?
「ひろし」というのは犬の名前だった。
ノドカが5歳のとき、どこから拾ってきたのかは知らないが全身真っ白の雑種犬だ。
鎖を離して遊びに行かせると、
いつもまゆげに油性ペンで八の字(垂れ眉)の落書きをされて帰ってきた。
ノドカも最初のうちはその落書きを洗いおとしてやっていたのだが
あまりにも毎度のことなのでそのうちあきらめた。
今でも微妙にその垂れ眉が情けない感じでかすれ残っている。
「ほら・・・早く外にでも行って遊んでおいでよ」 あゆみはひろしに言って聞かせるが
ひろしは相変わらずこたつの中でふてくされていた。
ひろしは犬のくせに非常に寒がりだった。毎年冬になるといつもこたつの中に避難する。
『"庭をかけまわる?" けっ! 気が知れねーぜ』
・・・結構本心だった。
「ひろしぃ、外に行こうよ」
外に行くことを薦めるゆかりだが、
勿論、彼女の方は外に行く気など更々ない。
ゆかりはひろしを除けてこたつで丸くなりたいだけなのだ。
童謡にもあるよう、
「犬は喜び庭駆け回り、猫はこたつで丸くなる」
というのを、地で行くべきだと思っているのである。
ひろしが犬である一方、ゆかりは猫なのだ。
ゆかりがいつからこの家に住み始めたのかをひろしは知らない。
ひろしがきたときには既にゆかりはそこにいた。
実は飼い主のノドカが4歳のとき、
いつも夜中に遊びにくる・・・というよりもエサをねだりにくるこの猫を
ただ単に「可愛いーから☆」という理由で自分が飼うことに決めた。
ちなみにゆかりも全身が真っ白の雑種猫だった。
遊びに行って帰ってくると、いつもひろしと同じく油性ペンで「まゆげ」を描かれていた。
ノドカは、隣の家に住む佐々木という男が怪しいと睨んでいた。
「あー佐々木? あいつさー2chのペット大嫌い板によくいるらしいぜ。」
そんな情報をノドカは友達の武田から聞いていたのだ。
プロバイダが常時接続になった夜、その掲示板にアクセスしてみた。
『やっぱまゆげ描くのが最高だね。昨日も隣の家の犬に描いてやった(藁)』
ノドカは抱いていた疑惑が一挙に凍解するのを感じた。
この「まゆげキラー」という固定ハンドルが佐々木に違いない。
疑惑は確信に変わった。だが証拠がない。
何とかしてひろしたちに「まゆげ」を書いたことを吐かせようと
ノドカは佐々木と思われるコテハンを煽ってみることにした。
『まゆげキラーさん、あたし油性マジックの香りで燃えるのよ』
すぐさま奴は飛びついてきた。
『マジっスかーっ?! 書く? 書く? ノドカのアソコにも書いてみる?』
一瞬で手足の先まで冷たくなるのがわかった。
どうして・・・どうして私がノドカだと!?
『わかってるって。心配しなくていいよ、みんなには内緒にしておくから。
僕も初めて知ったときは驚いたよ。
あのノドカちゃんが、書いてる=作家とは限らない♪ とか言ってみんなを煽ってるなんて・・・』
ノドカの手がブルブルと震えていた。それが恐怖からなのか、それとも怒りからなのかはわからなかった。
確かにノドカは"あゆみ"というハンドルネームで
『☆あゆみのほめぱげ☆』というホームページを持っていた。
その日に起きたささいな出来事を日記に書き、
「あゆみ、ネットアイドルめざしてマッスル(ムキムキ)♪」などと余計な事を書いて
ネット上で自分の写真も公開していた。
「ま・・・まさか、佐々木はそれすらも知っているというの!?」
さっきからの手の震えが伝わり、もう全身が震えていた。
それは恐怖からきているものなのか? 怒りからきているものなのか?
・・・いや、恥ずかしさの方が数倍上だった。顔から火が出る思いだった。
穴があったら入りたかった。そして上からいっぱい土を被せてほしかった。
そんな気持ちを押さえながら、あゆみ・・・いや、ノドカは寝床に入った。
「あー・・・なんであたしの名前ってカタカナなんだろ・・・」
小さい頃から疑問に思っていたことをポツリとつぶやいた。そして
(きっと・・・あゆみ、そうあゆみだったらこんなことで悩んだりなんかしないわ)
いっそのことネット上の自分が本当の人格ならよかったのに・・・。
そんなことを考えながらあゆみ・・・いや、ノドカは深い眠りについた。
次の日、早速今までのことを武田に相談してみることにした。
「そうか、ならお前・・・気をつけた方がいいかもな」
ときどき武田はノドカを驚かせるようなことを平気で言う。
「や・・・やめてよう! "気をつけろ"だなんて・・・尋常じゃないわ」
「いや、これは冗談じゃないぜ。きっと佐々木の野郎・・・」
「・・・さ・・・佐々木の野郎?」 ノドカは息をのんで聞いた。
「あいつ・・・『ネットストーカー』だ」
武田の衝撃的な言葉に、ノドカはゴクリと喉を鳴らした。
乾いた風が、ノドカの頬を撫でてゆく。
辛そうなノドカの肩にポンと手を置くと、武田はフッと苦笑を浮かべた。
一方、その頃・・・
マゼラン星雲に位置する小惑星、エストラダ。
この小さな惑星に高度な文明を築き上げた知能生命体『マドル』たちは、
新型反物質エンジンを搭載した、戦艦ウルドリーブの進駐式を行っていた。
「我々の科学力も、ここまで来たか・・・」
感慨深げに戦艦を見上げつつ、新艦長の任を受けたばかりのマルロは伸び放題のあご髭を擦った。
「やぁ、マルロ!」
急に自らの名を呼ばれた新艦長は振り向いて息を呑んだ。
整った白髪に艦隊の帽子を載せた初老の男が微笑している。
「ああラドック提督ではありませんか」
慇懃に挨拶をするマルロの眼には懐旧の想いが漂っていた。
新艦長マルロは提督の教え子だったのだ。
「どうしたのです、まだ進駐式の途中ですが」
「うむ・・・そのことなのだが」
提督はやおら声を潜めた。
「イヤ、まず君の新任を祝福しよう。忙しいのはこれからだな。
それについて一言先に言って置かなきゃならんのだ。
我々は極秘に人間を動物に変化させる実験を行った。
そしてある目的で彼らを地球という星に送ったのだ。
君のこれから辿る航路に含まれている惑星なのだよ」
地球。そう聞いてマルロの目には一瞬影が宿った。
苦い記憶が反射的に甦ったのだった。
しかしそれはほんの一瞬の出来事であり、文字通り瞬く間の出来事だった。
「マルロ・・・。もうあの事は忘れろ・・・」
ラドックは全てを了解したかのように哀しそうに呟いた。
マルロは一気に現実に引き戻されたように右の眉を吊り上げた。
「変わってないな。君は」
マルロはこの人には敵わないなとでも言うように照れ笑いを浮かべる。
右の眉を吊り上げるのはマルロが驚いた時に時折見せる癖だった。
進駐式も無事終わり、数々の激励の言葉を受けた後、
マルロの指揮する戦艦ウルドリーブは地上を発った。
そろそろ大気圏を突き抜けるかという頃になって、
再びマルロの古い記憶が甦ってきた。
彼の古い友人・・・12年前行方不明になった戦友を思い出し、
マルロは深いため息をつき、無意識のうちに呟いていた。
「・・・地球に行ったという噂は本当なのか・・・ひろし・・・」
山本ひろし――かつてマドル軍最強の戦士と呼ばれ、全軍の羨望を一身に受けた男。
マルロの脳裏を、セピア色の思い出が駆け抜けてゆく。
「12年…もう、12年になる…」
艦橋のスクリーンに映し出された無窮の空間を見つめつつ、マルロは小さくためいきをついた。
マルロたちエストラダ星人にとって、地球という小さな星は、辺境の一惑星に過ぎない。
しかし、ひろしは地位も名誉もかなぐり捨て、地球へと旅立ってしまった。
「地球に…何があるというのだ?」
マルロの呟きは、誰の耳にも届かない。
再びマルロがため息をつこうとしたその時――
艦橋のオペレーターが、突如、悲鳴に近い声を上げた。
そこまで読んで、武田は文庫本を閉じた。
武田の趣味はSF小説などをはじめとする読書で、いつも数冊持ち歩いている。
ここは高校の保健室だ。
先程ノドカの肩に手を置き、ニヤリとした所で、ノドカに思いきり張り倒されたのである。
「ったく、こっちは佐々木の事でいっぱいいっぱいだってのに気安く触れるからよ!」
気を失った武田は、気が付くと、この保健室のベッドの上にいた。
保健の先生に一言礼を行って帰ろうと思っているのだが、誰もいない。
しばらくすれば先生が戻ってくるのではと、読みかけの文庫を読んでいたのだ。
当のひろしが犬となって「まゆげ」を描かれたことなど、
マルロも武田もノドカも知らないことだった。
唯一、猫のゆかりがひろしの素性を疑っていたのだった。
確かに、ゆかりが疑うのも無理はなかった。
何故なら、ひろしは毎夜の様に寝言でこう言っていたからだ。
「オッス!オラ、『ひろし☆やまもと!』『やまもと☆ひろし!』よろしくなッ! ・・・ムニャムニャ」
「え?!ひろしやまも・・・と?何故名前を2回も言うのかしら?しかも入れ違いに?」
ゆかりはしばらく考えてみた。思い当たる節はないかと考えてみた。そして一言発した。
「何?・・・何言ってんの?氏ねやこら。」率直な感想だった。
「こらッ、何だお前は! どこから入ってきた!?」
え? 一瞬、武田の頭の中が真っ白になった。
見渡すと、鉄色をした壁とうるさく唸る機械類が周りを囲んでいる。
宇宙服を薄くしたような銀色の服を着た人間が掴みかかってきた。
恐ろしい危機感に襲われながら、武田は必死になって考えた。
どうやら、本に何か時空を越える仕掛けがあったらしい。
SF小説に入れ込みすぎたのか・・・そんな馬鹿な。
後悔先に立たず。
武田はテレビの見真似で覚えた「虎狩の構え」を取っていた。
武田が「虎狩の構え」を取ってからもう何時間が経過しただろうか。
(俺はもしかして"大切な何か"を見落としているんじゃないのか?)
そんな疑問が武田の頭にこびりついて離れなかった。
>どうやら、本に何か時空を越える仕掛けがあったらしい。
「フフフまさかな、映画やおとぎ話じゃあるまいし、全くアホらし・・・ハッ!」
そこまで言いかけて、自分の考えを一蹴しようとしていた武田だったが、
一種の胸騒ぎのような感覚が、瞬時に武田の脳裏をよぎった。それは、
"本を読んでいたら主人公がいつの間にか不思議な世界へとひきこまれてしまう物語・・・"
そうか、・・・「アレ」だ。
気付いたとき、武田は本を読む姿勢のまま保健室のベッドに寝ている自分を認めた。
武田は急いでノドカの自宅に電話をかけた。「ノドカ!!今すぐ学校へ来てくれ!」
「も、もう〜うるさいわねーなんなのよ〜」
少し遅れ気味に受話器をとったノドカ、今日の彼女は少し機嫌が悪いようだ。
それもそうである。ノドカのHP、「☆あゆみのほめぱげ☆」においてネット上で販売しようとしていた
セルフコスプレ写真集「〜新型メタルギア〜」その撮影の真っ最中であったからだ。
「いやもうとにかく大変なんだ!学校に来い!急げ!」
武田のちっとも穏やかじゃない口調に
(しょうがないわねえ、これだから男は)
などとぼやきながら、ゆっくりとごっつい肉じゅばんから私服に着替えた。
早速二人は、高校にある2Fの図書室へと向かった。
そしてしばらくの間、貸し出しリストを眺めていた武田だったが、
「ああ、やっぱりそうだったか、ノドカ・・・これを見ろ」
武田が取り出した一冊の本、それは『ネバーエンディングストリー』だった。
武田と同様、ノドカもこの類の本は大好きで何度も図書館から借りて読んでいたので知っていた。(もちろん映画も)
「こ、この本が一体なんだっていうのよ?」 前回のこともあり、また一層不安になるノドカ。
その不安はまさに的中! といわんばかりに、武田は無言でその本の貸し出しリストをノドカに見せた。
その貸し出しリストにはある一人の名前で一杯だった。そう、"佐々木"と。
ノドカは全身が凍る思いだった。
とにかく無心でその本『ネバーエンディングストリー』をパラパラとめくってみた。
「・・・・・・!!!!」 ノドカはあまりのショックに声を失った。
何故なら、その本の中にでてくる白い竜、ファルコン
そのファルコンの挿絵にはすべて「まゆげ」が描かれていたからである。
ここで説明しなければなるまい。
『ネバーエンディングストーリー』とはミヒャエル=エンデによって著された
「はてしない物語」を映画化したものである。
この映画については原作を無視したつくりで第2第3弾と出されたことで
作者と製作会社の間で裁判が起こったといういわくつきの作品である。
当然、原作はドイツ語で書かれているが、なぜか図書館にあったものは
『ネバーエンディングストリー』だった。
と、武田は、ムキになって解説するノドカを尻目に
粋な白竜の「まゆげ」をルーペで仔細に観察した。
すべての「まゆげ」はシングルベッド時代のシャ乱9『つん』を思わせる
シャープでスマートなものだった。
だが、その1つ1つに微妙な違いがあるのを武田は見逃さなかった。
「まさか・・・!」 武田はノドカを促し、貸し出しリストを再確認した。
予感は的中した。
「佐々木」の筆跡は明らかに違う3つのパターンがあった。
そこで坂東ケンは、脚本を投げ棄てた。
彼は若手一の人気俳優。
このSFファンタジー時代劇学園大作ドラマは、彼のために用意されたという話だった。
ケンが演ずるのは、武田。
「とりあえず夢オチってのはやめて欲しいと脚本家に言ってくれ」
椅子にどっかりと腰を下ろして、マネージャーに訴える。
「ケンちゃん〜、ケンちゃんってば、きびしいんだからぁ。
ケンちゃんだからこそ、難しい役だけど、演じきれるってカントクさん期待してんのよ〜」
オカマが入っているマネージャーが、体をくねくねさせる。
だったら自分でやってみろ、という言葉をケンは飲み込んだ。
「随分と出世したものじゃないか」
楽屋のドアを無遠慮に開きながら男が姿を現した。
ケンとマネージャーとのやりとりの一部始終を立ち聞きしていたらしい。
「藤原さん、ノックぐらいはしてくださいよ」
ケンは椅子に深く腰を沈めたまま、無遠慮にやりかえす。
藤原と呼ばれたその男は、そんなケンの態度などどこ吹く風といった様子で
これまた無遠慮に煙草に火を点ける。
「権田原クン。キミはまだまだ"役者"というものが分かってないね」
藤原は深く煙を呑み込むと、溜息にも似た様子で煙を吐き出した。
「その名前はやめてくださいと何度も言っているでしょう!」
ケンの言葉は少々怒気を帯びていたが、藤原は聞こえないかのように
更に続ける。
「役者として大成するには三つの要素がある―― 」
「演技、華、匂い」
遮るようにケンが言葉を繋いだ。何度も聞かされてきた台詞だったからだ。
と、突然、吐き気を催した。心の中では何かがうずく。
ケンは、たばこの煙に背を向けて自分のうずきに手をやった。
心臓は激しく鼓動し、血流は波打っていた。
(何だ、この体からあふれ出るエナジーは・・・)
そんな役者の様子に戸惑う藤原がケンに声を掛けようとしたが
彼はもう周囲のことなど眼に入らなかった。
(そうだ、あの脚本、脚本に何かがあった、見落としていた何かが!)
肩をすくめる一同を無視して、ケンはこの脚本を書いた人間に
どうしても会わなければならないと思った。
(脚本家は・・・明美・・・あいつか、まだ女子トイレにいるはずだ)
明美が便所でオナニーしていると、ケンが、
「演技、華、匂い」
と、叫びながら、空を飛んでやってきた。
その頃、藤原は濃いコーヒーを飲みながら、かぐや姫を聴いていた。
窓の奥は闇に包まれ、微かに小雨の窓に当たる音が響いている。
感傷的な藤原監督の脳裏にあの我儘俳優ケンの顔がよぎった。
「あの泥棒が羨ましい」
いよいよ夜は冴えたのだ。
藤原はおどろいて窓を見た。そこには全裸のケンがいた。
ケンは何か叫んでいた。
藤原は聴いていた、かぐや姫のCDを一時停止した。
「演技、華、匂い」ケンはそう叫んでいた。
身の危険を感じた藤原は、隣室に猟銃を取りに行った。
猟銃は鹿のツノの上に乗せてある。藤原は、去年アリゾナでしとめた鹿の頭部を、
壁に貼り付けていた。
藤原が応接間に戻ると、窓ガラスを割って、ケンが飛び込んできた。
(俺は、数時間、かぐや姫を聴いていたようだな)藤岡は案外落ち着いていた。
その時突然、藤岡が、押入れから現れた。
「誰だお前は!」藤原が叫んだ。
藤岡は、藤原のマンションに2年前ほどから勝手に住み着いていた。
藤岡は生粋のパリっ子だった。
正確には Fujihocku だった。
「よう、部屋主。どうやらアンタ狙われてるようだぜ」
持って生まれた冷静さで藤岡はおもむろにタバコに火をつけた。
ケンは思った。(明日からまた真面目に生きよう)
ケンが去って藤原と藤岡に平穏が訪れた。
しかしその平和も長くは続かなかった。
とりあえず、藤岡がベットで、藤原がソファで寝ることにした。
これは藤岡の一存で決められたことだった。
すると、玄関のチャイムが鳴った。
「下着はいりませんか」
セールスマンだった。どうやら笑ゥせぇるすまんのようだ。
黒ィせぇるすまんでなくて良かった、と藤原は胸をなで下ろした。
笑ゥせぇるすまんは、売りつける道具の使い方を間違える悪人を酷い目に遭わせるのだが、
黒ィせぇるすまんは、理不尽に、無差別に、人を酷い目に遭わせるのだ。
ああ、藤子不二雄に関する知識があって良かった。知こそ人類に与えられた最大の盾だ。
「欲しいです」
と、彼は即答した。
藤原は赤塚不二雄と藤子不二雄は同じ人物だと思っていた。
そこで彼は名刺を受け取った。
名刺には「心のスキマお埋めします 喪黒福三」とだけ書かれていた。
途端に藤原は驚愕した。喪黒は彼の生き別れた双子の弟だったのだ。
藤原は、ニヤニヤしながら、無言で、玄関のドアを閉めた。
閉めたはずの玄関のドアが話し始めた。
「はじめまして、あたしは玄関のドアです」
「るせーな、すっこんでろ!」
「あたしは女なんだからもう少し優しくしてください」
「るせーって言ってんだろ!」
藤原はドアに飛び蹴りをくらわせた。
「痛い、やめて、お嫁に行けなくなっちゃう」
「てめー、ドアのくせしてお嫁に行くつもりかよ。笑っちゃうな。セックスできんのかよ!?」
「できます。穴がありますから」
藤原は取っ手の下にある鍵穴をしげしげと見つめた。
「あんまり見つめないでください。恥かしいから」
ドアが小さくささやいた。
鍵穴の奥にでなにかがうごめいていた。
藤原は目を凝らした。
蟻だった。
「なんだ蟻か」藤原は呟いた。
ホッとしたその時、藤原は誰かに肩を、ポンッ、と、叩かれた。
藤原が振り向くと、そこには親友の佐々木の姿があった。
佐々木の後ろには後藤もいた。
佐々木が言った。
「藤原、後藤を捕まえてきたよ」
後藤は全身傷まみれ血まみれだった。
佐々木は、ボコッと、後藤の頭部を殴った。
「このやろう、藤原に土下座して謝れ」そして、後藤は、ケツを蹴られた。
後藤はウンコをもらした。
後藤の漏らしたウンコは、山となり、川となり、雨を降らせた。
藤原と佐々木は、三日間、雨に打たれ続けた。
(俺たちが間違っていた)と、後悔しながら。
明くる日、かねてから計画を立てていた岩手旅行に佐々木と出発した。
ホンが上がるまで休暇を取った藤原は、まだ俺の青春は終わっちゃいない、とばかりに目を輝かせていた。
彼の大学時代、岩手の貧相なアパートで映画界への華々しい夢を追い続けていたあの頃。
二人は雪の降り積もる岩手駅に到着した。
「変わっていないな」
「ああ」
段々に除雪されている舗装道路を歩きながら、彼らは思い出話に花を咲かせていた。
息が白い。
「なぁ、藤原」
話の途中だったが、佐々木が浮かない顔をして呼び掛けた。
「お前に言っておくことがあるんだ」
「何?」
「実は俺、今、ホラ仙台に住んでるだろ? ・・・それがさ、ヤバイ奴に狙われちゃっててさ」
「何だよ、どういうことだ?」
「隣のアパートの住人なんだけどさ。ちょっと危ない奴で・・・」
そこで言葉を切って道路の脇に退いた。ハンドルを奪われた不安定な自動車が通っていく、
と、思った瞬間、乾いた爆発音が響くと共にガラ開きの窓からサングラスの男が見えた。
佐々木は雪の上に伏せていた。雪と上着に血が染み込んでいく。
佐々木は病院に運ばれたが、間もなく息を引き取った。
「佐々木・・・オマエの無念はオレが必ず晴らしてみせる・・・」
藤原は亡くなった無二の親友の亡骸を前に、誓いを立てた。
仕事を放棄して「復讐」に出かければ映画界から追放されてしまうだろうが、それは覚悟の上だった。
「俺は行かなきゃならない。どうしても」
車道に走り出て藤原はタクシーを止めた。
「仙台まで急いでくれ」
運転手にそういい、シートに腰を置いた。
が、その瞬間、タクシードライバーがメーターを止めて回送に切り替えた。
「貴方はどうやら何かお悩みのようですね。
その膝頭と袖口が全てを語っています。
僕はカタギのタクシードライバーじゃないんですよ。
素人探偵もやっていましてね・・・」
タクシードライバーは言い終えると、ぼさぼさ頭をかき回した。
「な、何者・・・」
藤原は目を見開き、タクシードライバーに畏怖の念を抱いた。
「名乗るほどのものではありませんよ。素人探偵という肩書きだけで
あなたには十分でしょう?それより、あなたに協力したいんですよ。」
探偵と名乗るドライバーはアクセルを踏み、車を仙台へと走らせた。
バックミラー越しに藤原の目を見据えてくるドライバーは明らかに
ただのタクシー運転手ではなかった。
ドライバーの視線が藤原の手荷物の方へ流れた。慌ててタクシーに
乗り込んだ為、それらはトランクではなく、後部座席―― つまり
藤原の隣に投げ出すように置かれていたのだ。
ボストンバッグ。厚めのコート。これらは「普通」だった。しかし
「新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物」
これがどうみても「異常」なものだった。
ドライバーの目はその「異常」なものに注がれていた。
「あ、あんた・・・本当に何者なんだ?」
訝しげな視線でジロリとドライバーを睨み付けると、
藤原は震える手で、胸ポケットからヨレヨレの煙草を取り出した。
「・・・そこのドライバー証明のプレートに書いてある通りですよ」
バックミラー越しに藤原を見ると、ドライバーは不意に真剣な表情を浮かべた。
慌てて、藤原はドライバー証明のプレートに目を向ける。
『山本ひろし』
プレートには、そう書かれていた。
「ドライバーの前は、政治家を・・・その前は医者を。そしてその前はイヌを。
それから・・・軍人をやってました。こことは違う、遥か遠い銀河の星で」
『山本ひろし』は懐かしそうに前方に広がる空と車道の間を眺めていた。
「いや、それも過去のことです」
ふと我に返ったのか、『山本ひろし』は小さなため息を吐いた。
「今ではご覧の通りタクシードライバー兼素人探偵でしてね。
どうです、あなたの抱えている事件をお話になってみては」
『山本ひろし』
藤原はその名前に見覚えがあった。それもそのはず、藤原自身が
メガホンをとり、製作総指揮を務める(はずだった)映画の脚本。
登場人物の武田が読んでいるという設定のSF小説。
その小説の作中人物の名が『山本ひろし』だったのだ。
奇妙な偶然に藤原は軽い混乱と目眩を覚えた。
「転生装置・・・」
山本ひろしと名乗るドライバーは問わず語りに話し始めた。
「僕たちの文明は禁断の装置を作り上げてしまったのですよ。
どうやらこの星は僕たちの故郷と死生感が似ているようだから
あなたにも分かりやすいと思いますが、この国で言う『輪廻』。
あの転生の回転を自在に操ることが出来る装置を我々は開発したのです。」
「もちろん、転生する為には一度その生涯を閉じる必要がある。
流石に同時代に別々の人格を持って存在するなんていうことは不可能ですからね。
更にこの転生装置の便利なところはある人格の
年齢まで設定出来るところです。『存在』を創りあげることが出来るとも言えますね」
藤原はますます混乱するばかりだ。
「いや、申し訳ない。煙に巻くつもりはないんですよ。」
ひろしは微笑みながらバックミラーの中の藤原を見つめた。
「正直に申し上げて、必ず成功するとは限りません」ひろしは続けた。
「あらかじめこれを申し上げておかないとフェアではありませんからね。成功する確率は70%ほどです」
ひろしはバックミラーに写る藤原を面白そうに観察している。
「失敗した場合、『存在』がどこへ行くのか……。失敗50%は意図しない人格や年代になってしまいます。
しかし、たとえそうなったとしても、それほど恐ろしいことはありません。
『存在』さえしていれば、それがどんなものでも『生存』に支障はない。逆に怖いのは・・・」
そこでひろしは口を噤んだ。
「怖いのは『存在』そのものが消えてしまうことです。
失敗の50%つまり、全体の15%はこのケースに陥ってしまいます。まだ技術が不完全なのです、残念ながら」
そして言ったのであった。
「正直、うんこが漏れそうなんですけど。」と。
藤原はあっけにとられた。
「こんな時に『正直うんこが漏れそうなんですけど。』・・・だと!?奴は正気か?」
藤原は煙に巻かれた。巻かれっぱなしだった。
困惑している藤原に気付き、ひろしは
「おっと、すまない。"うんこが漏れそう"というのには御幣があったよ。
言葉のあやってものさ。気にしないでおくれ」
それだけを告げると、ひろしはさっさと車を降りてドライブ・インのトイレに行ってしまった。
「なんだ・・・あいつやっぱりうんこしたいんじゃん」
だまされた気持ちで一杯の藤原ではあるが、そのときあることが気にかかった。
>藤原の隣に投げ出すように置かれていた
>新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物
「確かに、奴はこの物体に異常なまでに魅入っていた。
もしかしたら、この中に奴の言っていた転生装置の秘密の全てがあるのかもしれない・・・」
藤原はひろしがトイレに行っている隙にこの中に何が入っているのかを確かめてみることにした。
新聞紙にくるまれた70〜80cmはあろうかという細長い棒状の物。
震えがとまらなかった。確かめるのは怖い。込み上げる恐怖を押さえつつ
藤原はその新聞紙をゆっくりとめくってみることにした。
驚愕。そう、その言葉が今この瞬間に相応しい。少なくとも藤原は思った。
なんと新聞紙をめくるとそこには70〜80cmにくるんだ新聞紙が入っていた。
分かり易く説明すると70〜80cmにくるんだ新聞紙を更に一枚の新聞紙でくるんであったのだ。
ってゆーかそのままなのだが藤原はあまりのお約束に腰をぬかさんばかりであった。
「山本ひろし・・・奴は電波か?」
今までの転生装置の説明云々もなんか胡散臭く感じてきた藤原であった。
そして1のパソコンで「ふじわら」と打つと何故高い確率で「富士(笑)」になるのか?
・・・全てが疑問だらけであった。
その時。
「フフフ・・・見たな?」
藤原は恐怖で失神しそうになった。
振り返ると後部座席の窓、その外側に顔を窓に貼りつけるようにしてひろしが覗いていたのだ。
「あ・・・あわわわ」声にならない声で藤原はうろたえるばかりであったが
ここはどうにかして切り抜けなくては! 藤原は命の危険を感じ
取り敢えずひろしにこう言ってみることにした。
「俺は、お前の思い通りにはならない!」
さらに続ける藤原。
「大体、『山本ひろし』なんて全国に何人居ると思っているんだ!」
輪廻転生論はあっけなく覆された。
「クク・・」
山本ひろしは不敵な笑みを浮かべ、どこかに去った。
「くくはちじゅういちかぁ!!くそう!やられたぜぇ!!!」
口惜しがっている藤原のもとに、ひろしは戻って来た。
「ちょっとしたジョークですよ」
ひろしは鷹揚に笑い出した。
「そんなに怒らないでください。それよりこれを」
背後からひろしが取り出したのはノートパソコンだった。
さらに新聞紙を開ききってみるとLANケーブルが出てきた。
「さ、ドライブインにネットカフェ(持ち込み容認)がありますから」
ひろしはおもむろに藤原を車から連れ出すと揚々と歩き出した。
「待ってくれ」藤原は小説には便利な殺し文句を吐いた。
「待ってくれ。それが何だというんだ」
「『2ちゃんねる』はご存知ですね?
実は『ペット大嫌い板』にヤツが現れたんですよ。
先ほどあなたが0.02秒で口にしたヒットマンがね・・・」
藤原はその言葉を聞いたとたん、血相変えてノートパソコンを奪い取り、起動させた。
「本当なんだな?」
起動させながらひろしに念を押してみた。
「ええ。僕も見つけた時はびっくりしたんですが、間違いありません」
驚愕の面持ちを崩せない藤原を尻目にひろしは説明を続けた。
「ホラ、ここです。ね?では潜ってください。ヤツは常にsage進行です」
「ど・・・どんなヤツなんだ?」
戸惑う藤原に、ひろしはうつむいて眉間に皺を寄せた。
「残酷さではヤツに敵う者はないでしょう。
彼はあらゆるペット・・・猫、犬、カナリア、蛇・・・区別なく
無差別凶行に出ています。
飼い主はただ泣き寝入りするしかない。
証拠は絶対に残さないのです。
数ヶ月前、彼はこんな書き込みをしています。
552 名前:ヨーデル伍長 :01/10/25 14:01
諸君、これはネタではない。繰り返す。ネタではない。
「どういう手口なんだ・・・?」
「実に手馴れたヤツですよ。油性マジックで『まゆげ』を書くんです。
最近ではD-インキという代物さえ使っているんですよ・・・」
藤原は戦慄した。
「で、」
藤原はディスプレイから目を離し、ひろしに目を合わせた。
「なんでこいつがヒットマンとわかるんだ?」
「当然の疑問です」
見返しながらひろしが頷く。
「もう一度よく佐々木さんが殺された現場を思い出して御覧なさい。
佐々木さんのまゆげは綺麗に剃られていました。
代わりに描かれていたでしょう。
油性の『まゆげ』が・・・」
犬まゆげ
「ん?」
藤原はひろしが放ったなぞの発言に耳を傾けた。
「奴の・・・ヒットマンのその非情な手口からはそう呼ばれているんです。
今回も、犬まゆげの犯行に違いありません」
そこまで言うとひろしはフーっと息をついた。
藤原はひろしの目に少し涙がたまっているのに気づいた。だが、あえて詮索はしなかった。
「『犬まゆげ』っていうと、そういや何かジャンプの石塚ゆうこが描いてる漫画じゃないのか?」
ジャンプと縁が切れて5年経った藤原は、それがただの偶然か確信犯かを試すために言ってみた。
ひろしは藤原に返した。
「そういえばそんなマンガありましたね。石塚が担当を振り回すマンガで・・・
僕も一巻買ってましたよ。カバー外すとアンケートついてたり・・・」
記憶の底から犬まゆげの事が浮き出てきた。
「犬まゆげの担当がナマサだった頃は面白かった」
話の方向がずれていたが、藤原は敢えて気にしなかった。
「ジャンプ探偵団の『どんちゃん』ってのも居たな。
最近床屋でジャンプ読んだら出てなかったから今頃どうしてるんだろうと思ったり。
・・・で、『犬まゆげ』のIPは抜いたのか?」
だんだんと藤原は現実に帰ってきた。
「はい、既にIPは抜いてあります」
「準備がいいな」
藤原はひろしの周到さに感嘆した。
「いや、IPはまだです。ただヤツの最近の書き込みは発見しました」
ひろしはニヤニヤしながらディスプレイを睨み続けた。
ひろしは二重人格だったので多少の誤差は気にしなかった。
―― ここで一端話しを戻そう。
読者諸兄が気になっているだろう、あの疑問に答えるためにも。
ぱったりと消息を絶った藤岡は何をしているのか?
と、藤岡は自己主張した。
しかし藤原もひろしも耳を貸さなかった。
「『サザエさん』の甚六さんはいつ大学に行っているんだよ!」
藤岡の叫び声が空しく響いた。
「さてどうするかな・・・」と藤原。
放心状態の藤原に藤岡が食い下がった。
「俺を構ってくれ」
「藤岡・・・!」
藤原が耐えかねて振り向きざまに藤岡の襟を掴んだ。
「お前がどこから来たかは知らない。どこへ行くのかも知らない。
だがな、藤岡。お前はそれで本当にいいのか?
『渡る世間』の二の舞を踏みたいのか?
藤岡、俺はお前が気に食わないわけじゃない。
まとめることも大好きだ。
でもな、お前たち全員の面倒を見ていられるほど俺も器が大きくない。
今は『犬まゆげ』なんだ。
暇だったら、お前、逃走したケンを探してきてくれ。
そうそう、玄関のドアによろしくな」
藤岡が去った後、ひろしが呟いた。「長いな」と。
「藤原さん、犬まゆげのところに行きましょう」
「ああ、そうだな。・・・じゃあな藤岡」
そう言い残して藤原とひろしはタクシーに乗り込んだ。
藤原は小さくなる藤岡をずっと見つづけていた。
「なあ、山本ひろし」藤原はふと運転席に声を掛けた。
「犬まゆげはどこに住んでるんだ?」
「現住所は不定です」目を光らせるひろし。
「しかしヤツは実家に戻るはずです。ヤツの書き込みのリモートホストが一直線に移動してます。
これは実家に帰る途中と見ていいでしょう」
「それはどこなんだ?」
藤原の問いにひろしはニヤリと微笑した。
「伊豆半島の先端、皆月です」
「伊豆か・・・遠いな」
「いえ、この車なら四時間ってトコですよ」
「ひろし、伊豆に行くなら仙台に寄ってくれないか?」
ひろしはハンドルを華麗に回し話をあわせていた。
「仙台ですか・・・しかし、なんでまた?」
「ちょっと会いたい奴がいてな」
「へぇ、誰です?」
「ゆかり、って言うんだけどな。俺たちに協力してくれるはずだ」
「ゆかりってまさか、白猫のことじゃないですよね?」
ひろしは心当たりがあるかのように問い掛けた。
「まさか。なんだって俺が猫なんかに会いにわざわざ仙台くんだりまで行かなきゃならないんだ」
藤原は気分を害されたとでも言うように眉間に軽く皺を寄せた。
仙台駅が窓の外を横切った。
「ゆかりは俺の姪でね、脚本家に言って作中人物にもしてもらった」
藤原は懐かしそうに眼を閉じた。ひろしが尋ねる。
「脚本家って、あなたは作家か監督ですか?」
「ああ。監督だった。脚本家は明美と言った」
「・・・・・・」
「しかしそれも過去の話だ」藤原は意を決したように眼を見開いた。
「とにかく犬まゆげの尻尾を掴むにはゆかりが必要なんだ」
ひろしは頷き、おもむろにハーモニカを取り出して藤原に手渡した。
「これをアナタに預けておきます。僕の宝物です。大切にしてください」
再びハンドルを持ち、ひろしは運転を続けた。
「そんなものをどうして・・・」
「僕は犬まゆげにちょっと借りがありましてね」
キッと遠くを睨むひろし。車内を重苦しい沈黙が包んだ。
「失敗ったッ!」
突然ひろしが叫んだ。
「この先の道路は封鎖らしい・・・!」
車に急ブレーキが掛かった。
「どうします、藤原さん? 回り道しても行きますか? それとも伊豆に直行しますか?」
藤原は考え抜いた末に答えを出した。
藤原は山田を呼んだ。
藤原は山田を呼んだ。
"呼んだ"というよりも"召喚した"との表現が正しいだろう。
藤原は山田を召喚した。
「いでよ!山田!」藤原がそう叫んだ後、天から神々しい光が差し、召喚獣山田が現れた。
属性は「笑点」、修得済みアビリティは「座布団運び」「子作り」「ちんこいぢり」・・・この3つであった。
藤原はこの召喚獣山田に相談を持ち掛けてみることにした。
回り道してでも仙台へ行くべきか?それともこのまま伊豆に直行するべきなのか?
加えタバコの煙をくゆらせ聞き入っていた山田だったが、鼻から煙を一気に放出するとこう言った。
「いでよ!山田!」
そのことばの意味を刹那的に藤原は理解し、こう言った。
「やはりすぐに伊豆へ向かおう。このままでは俺たちが危険だ」
召喚獣山田は、たばこを吐き捨てると、にやりと笑った。
「乗りな」
ふたりが乗りこんだタクシーは夕日に向かって走った。
その頃、ゆかりはグレていた。
性根が曲がりすぎて、名前をノドカと改名していた。
だが、彼女に天命が下ったのだ。
『伊豆へ行け』
16歳の少女の脳に神の声が降り立った。
「幻聴だろ」と無視しようとしたが、またもや声が聞こえる。
『伊豆へ行け』
聞こえるというよりは、心に響いてくるようだ。
ノドカは震えながら、超自然の現象だと直感した。
「そうだ、伊豆に行こう!」
急いで外に出ると、改造愛車カブにまたがった。
キーを回す。
ノドカの乗ったバイクは夕日に向かって走った。
藤原は童貞だった
が、勇気は人一倍あった。
「山本ひろしよ、さぁ、『2ちゃんねる』の『ペット大嫌い板』をチェックだ」
素人探偵山本ひろしは頷き、ノートパソコンを起動させた。
「あ、まだヤツは書き込んでます。間違いない。犬まゆげです。
・・・ん?『ナマサ』?」
ひろしのマウスが動きを止めた。双眼がディスプレイの一点を睨んでいる。
「ふ・・・藤原さん、ヤバイです。
『ナマサ』というコテハンが犬まゆげを煽ってます!」
慌ててひろしの横から首を突っ込む藤原。
459:ナマサ◆hj/2r&m :02/01/15 18:37
ネタだろ。キティguy氏ね(ゲラ
460: :02/01/15 18:42
真性バカハケーン
461:ナマサ◆hj/2r&m :02/01/15 18:48
証明してみろよ(藁
逃げたか(藁
「このままでは犬まゆげは伊豆のどこかで『まゆげ』を描くでしょう」
ひろしは苦りきった表情を見せた。
「どうにかならないのか?」
真冬だというのに藤原の額には汗が浮かんでいた。
「『ナマサ』はどうやらラウンジャーのようですが・・・
くそッ! 選りによって犬まゆげを煽るなんて!」
ノートパソコンの電源を強制落ちさせると、ひろしはタクシーに乗り込んだ。
「藤原さん、とにかく皆月に行きましょう。途中の猫・犬・馬は全チェックです。ヤツの足跡だ」
励まされるようにして、藤原は力強く頷いた。
ひた走るタクシーの窓から、藤原は道端の猫一匹さえ見逃すまいとした。
爆発寸前のエンジン音が凄まじい。
猫。猫。猫。道端にはまだ猫が現れない。
(居たッ!)と狂喜した藤原は次の瞬間落胆せざるを得なかった。
(ノーマルだ・・・)
しかしまだ一匹目。犬まゆげの犯行現場を押さえれば確実なんだが・・・と
藤原は柄にもなく歯ぎしりをしていた。
そうして犬や猫を探して二時間半程の時間がたった。
だが、未だまゆげを書き込まれた動物はいなかった。
二人は必死の捜索に疲れきっていた。そこで少し車中で休憩を取ることにした。
「見つかりませんね・・・」
「ああ、やはり俺たちだけじゃ見つけるのは難しいか。ゆかりを呼ぶしかないか」
「・・・どうしてもあなたはゆかりさんに会いたいようですね」
ひろしには藤原がゆかりに固執している理由がわからないようだった。
「さっきから『ゆかり』『ゆかり』って・・・
あなたには自分で何とかしようとする意志がないんですか!?」
「うるさいッ!!」
肩を震わせながら藤原は怒鳴った。
「山本ひろし、俺は自分でやると決めたらとことんやる。
だがな、あんたはゆかりを知らないんだ。
あいつは美々端麗で才色兼備。
粘着がウヨウヨするくらい魅力的なヤツなんだよ!」
藤原が演説をぶっている丁度その頃、
グレたゆかり――ノドカは、視界の端に、
まゆげの描かれた猫が映ったように思った。
(まゆげ?)ノドカは改造カブを一時停車させて、慌てて振り返った。
「ギコハニャーン」
ノドカの目の前には確かに「まゆげ」を描かれた猫がちょこんと座っていた。
「ちょっと待て、あれを見てみろ」
藤原はそう言って、窓の外を指差す。
山田にはなんのことだかわからなかったがとりあえず車を停車させた。
助手席側には小さな公園があった。
日曜の午後ということもあり、小さな子供を連れた家族がちらほらと、
殺風景な公園を楽しげな雰囲気に変えている。
「ほら、あそこだよ。ブランコに座っている女の子」
「ブランコ?どこ?」
ブランコは公園のいちばん奥。砂場の横にあった。
4つあるブランコのいちばん右端に高校生くらいの女の子がいる。
彼女は膝の上に猫を抱いていた。
「あの猫を見てみろよ」
「あ!あれは!」
ふたりはようやく気付いた。
この町の猫たちはまゆげに犯されている。
「なッ!? テメ、山田! いつからタクシーに乗り込んでたんだよ!」
ふと気付き、藤原が怒号した。
「フン、素人が。あんたの下にある座布団を回収しに来たのさ」
吐き捨てるように言うと、召喚獣山田はかき消すように居なくなった。
「あいつも、『ずうとるび』時代は活躍したのにな・・・」
うつむいて独り言のように藤原が言うと、ひろしも頷いた。
「『恋の夜行列車』、僕聴いてました・・・」
とりあえず二人はブランコ嬢が抱いている猫に接近を試みた。
その頃、一人取り残された感の強い藤岡のもとには、なんと謎のビデオテープが届けられていた。
…そう、まさに謎であるからして、もち差出人は不明。
いったいこのビデオの内容は…?
藤岡はおもむろにテープを藤原の部屋のベータに差し込んだ。
画像が始まる。
それは丁度、藤原のタクシーから座布団を回収した山田が消えるところだった。
もちろん藤岡には、それがつい十分前に起こった出来事だととは、知りようがない。
「な、何だ! この女は!」
思わず藤岡はうめき声を上げた。
無理もない。なんと突然、画面を男、…いや女の顔が覆ったからだ。
藤岡は直感的に思った。
この女の顔は、荒又宏に似ている…
そう、女は似すぎるくらい荒又宏に似ていた。
画面の中で荒又宏似の女は、藤原とひろしがタクシーから降りたのを確認すると、携帯を取り出した。
二回ほどの呼び出し音で相手につながった。
「たけむらたけこ」
「こけたらむけた」
それはきっと何かの合図だったに違いない。それから何か二言ほどいうと、女は携帯を切った。
それにしても、この荒又宏に似すぎるほど似てる女は、いったい何者なんだ?
そしてこの映像は、いったいどういう意図で撮影され、そして何故藤原の部屋に届けられたのか?
藤岡は一人自問した。が、もちろん答えなど出るはずない。
その視界にとんでもないモノが映ったのだ。
「こ、これは……」
藤岡は見た。テープの映像は切り替わっていた。
そして砂嵐の画面一杯に、
ギコネコ
という血塗られたゴシックが踊っていた。
「ギコネコ…」
藤岡は独り、そのまがまがしい響きの言葉を口にした。
「や、お嬢ちゃん、一人かい?」
その頃、藤原はブランコ嬢にさりげなく話し掛けていた。
「ちょっとその猫見せてくれるかな?」
「何やってんだ、貴様!」
ひろしと藤原の前に踊り出てきたのは、なんとあの板東ケンだった。
「け・・・ケン・・・!」
「ん? 何だ、アンタ藤原さんか。安心しな、俺は今は真面目にやってる。
それより俺のあゆみに手を出そうとしたんじゃないだろうな?」
唖然とするひろしを余所に、
藤原は黙って首を振り、猫をひったくると「まゆげ」を綺麗に消してやった。
「ケン」藤原は油性インキの匂いを払うように手を振り回しながら、
「まさかこんなところで会うとはな。
俺はもう映画監督じゃない。ただのリベンジャーだ。
お前への恨みはない。今は『犬まゆげ』がただ憎い」
それを聞くと、ケンは崩れ落ちるように膝を落とした。
「なあ、ケン。犬まゆげは伊豆のどこかに居るはずなんだ。
俺たちは情報が欲しい。
もしも『まゆげ』の描かれたペットを見かけたら連絡をくれ」
藤原が内ポケットから出した携帯の番号を受け取ると、
ケンは大粒の涙を流して頷いた。
「ケン・・・名優に必要な条件を覚えているか・・・」
ブランコ嬢も泣いていた。ひろしも泣いていた。ケンも泣いていた。
「演技・華・匂い」
「そうだ!」
「演技・華・匂い!」「演技・華・匂い!」「演技・華・匂い!」
みんなの心が一つになった瞬間だった。
「雨のにおいだ」
ケンの言葉にみんなが空を仰いだ。
いつのまにか空は黒い雨雲で覆い尽くされている。
「一雨来そうだな」
そう言ってひろしはタクシーの運転席側にまわりこむとポケットからキーを取り出した。
そのとき、猫が叫んだ。気の狂った赤ん坊のようにありったけの大音量で一声鳴いた。
猫は空をさも恐ろしげな目をして睨んでいる。全身の毛が逆立っていた。
「いったいどうしたっていうの」
ブランコ嬢は猫の頭を撫ぜた。
しかし猫には彼女のことなどまるで眼中にないようで、ただ空のある一点にのみ集中していた。
「あれを見ろ」
空のある一点から二筋の緑の光が射した。
藤原は悪魔の微笑のようなその横顔に背筋が凍りつく思いがした。
――俺はとんでもなく変なことに首をつっこんでしまったのでは?
藤原はたまらない気持ちになって、その場から走り去ろうとした。
「いや、待ってくれ、藤原さん」
去ろうとする藤原をケンが呼び止めた。
「もうすぐ彼女が来ますよ。俺たちの考えが正しければ」
「・・・彼女って?」
足を止めた藤原の耳に、けたたましい急ブレーキの音が届いた。
ゆかり――ノドカは、公園にたむろった一団の中の一人を見て思わずブレーキを踏んだ。
「え・・・お、叔父さん!?」
振り向いた中年の男は確かにノドカの叔父、藤原だった。
「ゆかり!?」
藤原の驚きの声が辺りに響いた。しかしゆかりは苦りきった表情で横を向いた。
「アタシは今はゆかりじゃない。ノドカだ」
「何だって・・・?」
呆然とする藤原を余所に、ブランコ嬢はつかつかとゆかりに歩み寄った。
「ゆかりさん・・・でしょ?」
「ん? ・・・何かアンタ見たことあるような・・・」
雨雲の気配が近づいて、曇天の下での5人は微かに震えた。
ケンの配慮で、一同は近くの喫茶店に移動した。
喫茶店の中は暖かだった。
ブランコ嬢は「あゆみ」と名乗り、話し始めた。
「私は数ヶ月前から不思議な夢を見ていました。
そこでは私はネットアイドル志望少女で、
『まゆげキラー』の尻尾を掴もうと躍起になっていました」
「俺もなんだ」とケン。
「俺は武田になってた。でもそれは脚本を頭に叩き込んだからだと思ってた」
あゆみは話を引き取って続けた。
「私の考えが正しければ、これはパラレルワールド――並行世界が存在するってこと」
「パラレルワールド?」藤原はだんだん頭が痛くなってきた。
「そうです。二つの世界には互いにリンクしている人物がいる。
佐々木さんが殺されたニュースを聞きました。
犯人はおそらくもう一人の佐々木――「まゆげキラー」です」
さすがの素人探偵山本ひろしも驚きを隠せなかった。
「ということは、『犬まゆげ』はもう一人の佐々木・・・?」
「ええ。向こうの世界の佐々木は、こちらの世界の一般人佐々木を殺して
完全な存在になろうとし、その通り実行したのです」
この時になって、藤原は藤岡の正体を知った。
「ギコハニャーン」
一同はその奇妙な鳴き声に一瞬恐怖した。いや、ノドカは別だった。
「この猫、まゆげが描かれてた・・・可哀想だから拾ったの」
言いながらリュックを開けると、猫が飛び出してきた。
猫はひろしを見ると、ひげをぴんと立てた。
「お、お前はひろし!ゴルァ!」
今度は完全に一同が突然猫が喋りだしたのに驚愕した。
わけても山本ひろしの驚きようといったらなかった。
「俺だよ、マルロだよ!
ラドック提督の言ったとおり、俺にはいつの間にか手術が施されてた。
気付いたら猫になっていたんだ。逝ってよし!」
「マ・・・マルロ・・・だと・・・」
突然の再会に喜び合うマルロとひろし。
つまり、犬まゆげ佐々木も『ネバーエンディングストリー』を利用したのだ。
「行きましょう、ゆかりさん、いやノドカさん!」
ひろしと藤原、そしてギコ猫「マルロ」は喫茶店を出て行くところだった。
「え? あゆみさんたちは?」の問いに代わってケンが答える。
「俺たちは脚本家の明美を訪ねてみる。
こっちの世界の『ネバーエンディングストリー』はきっと彼女が持っているから」
ノドカは頷いてひろしたちと喫茶店を出た。
その前にケンが手を振りながら「君の単車を貸してくれ」と言っていた。
藤原、山本ひろし、ギコ猫、ノドカの四人はタクシーに乗り込んだ。
3時間後、ふたりは世田谷の住宅地に来ていた。
ケンは単車を止めて、あゆみに降りるように言った。
目の前にはカナダの街並みにあるようなとてもかわいらしい大きな平屋があった。
地下室があるのかもしれない。
「ここが明美さんのうち?」
「ああ」
ピンクの屋根。真っ白に塗られた壁には蝶がいくつか描かれている。
庭は一面よく手入れのされた芝生に覆われ、木製のフェンスがまわりをぐるりと取り囲んでいた。
ケンが呼び鈴を鳴らした。
中から現れたのは目も覚めんばかりの美しい女だった。
一本一本がとても細く、くせのない長い黒髪は胸の下あたりまであり、
彼女の動作のひとつひとつにしなやかに反応して揺れる。
白い肌に一際大きな黒目がちな瞳がとても印象的だった。
彼女はケンを一瞥し、長い睫毛を伏せて言った。
「何しに来たの?」
明美はケンを見て、いぶかしがっているのだった。
脳裏には克明にあのときのことが焼き付いている。
けれど、今日のケンはちがう。あの獣のようなケンじゃない。
しかも、女連れだ。
「事は緊急を要する。とりあえず中へ入れてくれ」
ケンの豪気に圧倒された明美は、あゆみの存在もあって渋々二人を家に入れた。
洒落た西洋風の内装。書棚には数々の書物が並んでいる。
『針医・堀田と賢者の石』
『七人のおたく』
『1はどこに行った?』
などを、あゆみは目にした。
「で、何の用なの?」と明美が微かに眉をひそめて尋ねる。
一息吐いて、ケンはおもむろに切り出した。
「お前の一番大切なものが欲しい・・・」
「わたしには大切なものなんてないわ」
明美は考えてみた。ケンの言っていることばの意味を。
「はっきり言ってちょうだい。あなたはわたしの何がほしいの?」
「わかっているだろ」ケンは苦りきった表情を呈した。
「しらばっくれるな。お前はそうやって話を先へ先へと伸ばすんだ」
「『狭き門より入れ』とか演説ぶってんじゃないわよ!」
突如、明美はキレた。
あゆみは必死に明美をなだめた。
半時間ほど経って、ようやく明美は落ちつきを取り戻した。
ケンは、そんなふたりを横目にしながら、部屋の中を物色していた。
――きっとなにかあるはずだ。
本棚に「アメリカン・サマーストリー」があった。そして、棚の上には砂時計。
ケンは何気に砂時計を手にしてみた。
「触らないで!」
明美が血相を変えてケンの手から砂時計を奪い返した。
「その砂時計に何か仕掛けがあるのね、明美さん」
あゆみの言葉に明美は何も答えない。
あゆみはケンに向かって言った。
「あの砂時計がこっちの世界ともうひとつの世界を繋ぐはずだわ」
「これではっきりしたな・・・」
ケンの相手を逃さない視線が明美を捕えていた。
「俺がココリコの田中なら、お前は島崎和歌子と言うわけだ」
明美はさめざめと泣き出した。
ふとケンはあることを思いついた。
この『アメリカン・サマーストリー』のカバーはもしかしたらフェイクなのでは?
このカバーを取っ払った中身こそが、そう、あの『ネバーエンディングストリー』なんじゃあないのか?
そう思いついたケンが不敵な笑みを浮かべて明美の顔をのぞくと、
明美はバレてしまった!とでもいいたげに瞳を反らし、泣きながら床に突っ伏してしまった。
そんな明美を見てケンは、
「フッ・・・俺だってお前と熱く身体を重ねた仲さ・・・(レイプだったけど。)
お前のことはなんだって知ってるつもりだぜ?」
明美に優しく語り掛けるケンは確かにあの頃のケンとは違った。
昔は野獣だったが今は紳士なケンがそこにいた。
早速ケンは『アメリカン・サマーストリー』のカバーを外し、
中身の表紙にゆっくりと目を通した。するとそこには大きな文字で
『ケミストリー』
「・・・は?アサヤン出身??」
頭に来たケンはとりあえず明美を往復ビンタした。
「紛らわしいわ!ボケ!」
ケンは明美の胸ぐらを掴むと大技、地獄車を決めた。
ドスンと鈍い音がして、部屋全体が大きく揺れた。
その動きにつられてか、机の上に置いてあった砂時計がカタカタと振り子のように
揺れたかとおもうとそのまま机から落下してしまったのだ。
「しまった!!」
ケンがキャッチしようと手を伸ばしたが時既に遅し。
逆さまに着地した砂時計は、そのままゆっくりと時を刻み始めた・・・
序章 了 待て 探究編!
探究編:6月1日再開予定
ミステリマガジンが売ってるの見たことナイ。
お待たせ
文芸板で有志募集中の数人の名無し物書きによって復活する伝説のスレ
「■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ探究編である
どれくらい眠っていたのだろう。光が眩しい。
「あ、目覚めたみたい」
少女の声に続いて、誰かが近付いて来る気配を感じた。
「ここは・・・?」
からからの喉から出たケンの問いはどうやら相手に通じたらしかった。
ぼんやりとした視界が次第にはっきりしてくると、
ケンは狭いベッドに寝ていて、
両脇に白衣を着た女性と学生服の少女がいることがわかった。
「あなた、理科室で倒れてたのよ。ノドカさんがあなたを見つけて、ここへ」
ノドカというのが傍らの少女だと気付いたが、公園で会ったゆかりではなかった。
「軽い貧血みたいね」
保険室の先生と思われる女が言った。ケンは軽く首を振った。
「・・・ラベンダーの匂いが・・・」
「ラベンダー?」傍らの二人は顔を見合わせた。
「とにかく」女が小さなため息を吐いた。
「あなたが誰だか知らないけど学校が閉まるから出て行ってね」
「・・・ええ。わかりました」ケンは軽く頷いた。
「大丈夫?」とノドカ。答える代わりにケンは質問した。
「そこに砂時計はなかったか・・・?」
答えは簡素だった。
「理科室には何もなかったけど」
「ファイナルアンサー?」
ケンは訝しげにノドカに問い掛けた。
「え・・・? だから理科室にはなにもなかったって言ったんだけど?」
「ああ、そうだったな。ごめんな。まだ意識がはっきりしてなくて・・・」
風景は紛れもなく「学校」だった。混乱した頭でようやくわかるのはそのくらいのことだった。
しかし、何故?
明美の部屋で謎を解こうとしていた。
そして、つい怒りに任せて明美を投げ飛ばしてしまった。
その時、砂時計が逆さまに落ちて・・・。
そこまでは思い出すのだが、それ以降の記憶は全く抜け落ちていた。
いや、正確にはあるはずがないというべきかもしれない。
もし、これが「パラレルワールド」というヤツならば・・・。
ケンは駆け巡る推論で頭が一杯になるのを何とか押さえながら
ノドカに尋ねてみた。
「・・・た、武田はここに居るのか?」
「は?」 ノドカの表情が歪む。それもそのはず。見知らぬ人間に友人のことを聞かれたのだから。
「あなた、自分の名前も名乗らないの?」
焦るケン。「な、名前か・・・俺はケン。そう、ケン・ソゴルだ」
咄嗟に偽名を名乗るケンがそこにいた。
「ふーん、ケンさんね。じゃ、そこに座って」
命じられるままに、ケンはベッドから起き上がり、椅子に座った。
向かい合って座る二人。
おもむろにノドカが切り出す。
「・・・あなたのライフラインはあと2つ残っているわ」
「なに?」
「問題をもう一度言いましょうか?」
「おなが・・・お願いします」
「この中で、最もカウンターの回るサイトはどれ?
A:侍鬼 B:斬鉄軒 C:変人靴 D:☆★あゆみのほめぱげ★☆
「テ・・・テレフォンを使わせてください」
「どうぞ」
ノドカはゆっくりと携帯をケンに渡した。
無意識に番号を入力していたケンだが、その手がふと止まった。
この番号は一体、誰につながるのだろうか・・・?
もしケンの推測が正しければ、ケンは「この世界」で誰の番号も知らないことになる。
誰も自分を―― 人気俳優のはずの「板東ケン」を ――知らない世界の重みが
ケンの背筋に一瞬冷たいものを走らせた。
そんなケンの様子を黙って見ていたノドカが、口元に微笑をたたえてゆっくりと口を開く。
「さあ、どこに電話する?」
無意識の中で押された番号の羅列が液晶画面に表示され、声が耳に飛び込んできた。
「ピ・ピ・ピ-――ン・・・午後6時15分40秒をお知らせします」
・・・時報かよ! やばい。俺はやばい。冷汗をかいていた。
「ワン・モア・チャンス。ワン・モア・チャンス!」
「しょうがないわね。あと1回だけよ」
ケンの汗ばんだ指は軽やかにプッシュボタンの上を舞った。
そして怯えながら携帯の番号を確認した。
「どこに掛けたの?」とノドカ。
表示されていた番号は・・・110。
ケンは青ざめて叫んだ。
「通報しました」
その時、保健室のドアがガラッと開かれた。
「もうその辺にしておけよ、ノドカ」
入ってきたのは学生服の青年だった。
「これからが面白いんじゃないの、邪魔すんな武田!」
ノドカの言葉からして、この青年が武田らしい。ケンは彼らを見据えた。
「悪いね、板東ケンさん。こいつはあんたをからかってただけさ。
俺たちは『ネバーエンディングストリー』であんたたちと共に冒険した。
だから大体のことはわかっているつもりだ。協力するよ」
武田の厚意によって、ケンは彼らと行動を共にすることにした。
「砂時計はどこにある?」
ケンが問うと武田はポケットに入れていた右手をケンのまえに差し出す。
「これだろ?」
それは、明美の部屋で見たのと同じ7色の砂が混ざった砂時計だった。
「底を見てみなよ」
ことり、と音がして、武田は砂時計を机のうえに置いた。
ケンは上から砂時計を見た。
油性マジックで『こっち』と書かれていた。
ケンは砂が流れないようにおそるおそる砂時計を傾けて、反対側の底を覗きこんだ。
油性マジックで『あっち』と書かれていた。
「こいつが七色砂時計さ。あんたたちの世界から僕たちの世界に移動する場合はこいつを使う。
こちらからあんたたちの世界に移動するには本を使う。流れからいってそういう仕組みらしい」
「じゃあ明美や犬まゆげとやらは、なぜ俺たちの世界の『ネバーエンディングストリー』を?」
「ここからは推測だがね。おそらく彼らは出口を確保していたんだと思う。
例えば僕がこちらから『あっち』世界に行った時に本が太平洋の上だったら・・・。これは極論だけどね」
「本と本が通じている・・・砂時計と砂時計も・・・。待てよ。その砂時計はどこから持ってきた?」
「まあ、歩きながら話そうか」
「ヤツはノドカの家の隣に住んでたんだ」 説明しながら武田は歩き出した。後に従う二人。
「図書館から『ネバーエンディングストリー』を借りたから、
今、本は僕の家にある。でも世界を行き来するにはもう一つ必要なアイテムがあったわけだね。
その砂時計さ。佐々木の家にあったのを僕が見つけた」
「『こっち』から『あっち』に行くのは砂時計だけじゃダメなのか?」
「うん。仮に砂時計を発動させたとして、『あっち』世界の砂時計付近にワープする可能性はあるけど
あんたがそうだったように、気を失うとか何か弊害が出てくるようだ」
考え込むケン。次第に『ゼルダの伝説』の感覚を掴んできた。
「とにかくさ」 武田が宣言した。「僕たちに残された選択肢は二つだ」
「何と何が残ってるって?」 ノドカが不審そうに尋ねる。
「説明すると、通称『犬まゆげ』佐々木――"まゆげキラー"――は
図書館の『ネバーエンディングストリー』に痕跡を残していた。
それには三つの筆跡があった。ということはヤツには仲間がいると見て間違いない」
「それで?」
「一つは佐々木の家に行ってヤツ自身の情報を探ること。
もう一つはヤツの仲間――謎の人物――を探ることだ」
乾いた車道をすべるタクシーのボディは赤く反射して、
海沿いのガードレールを後ろへ流していた。
滑らかにハンドルを回す山本ひろし。
藤原一行は伊豆の先端まで近づいていた。
助手席で藤原はふと眼を見開いた。
「なぁ、山本ひろし、俺は寝ていたんじゃないか・・・?」
「ええ」とひろしは頷いた。「三日くらい熟睡してましたよ」
ブラックな返答に藤原は苦笑を見せて、そろそろ沈む夕日に目をやった。
「おや、完全に沈むな・・・」
「ギコハニャーン」
「俺たちは犬まゆげを本当に探し当てられるのだろうか?」
憂鬱そうに窓を眺める藤原を、ノドカは一喝した。
「太陽は沈んでも、明日になればまた昇るのに!」
「そうですよ」ひろしが言葉を継いだ。
「僕たちは完全に沈んでしまったらもう終わりなんです。
沈みかけても、また昇ることが僕たちにはできる。
諦めないでください、藤原さん!」
その時ギコネコが一声鳴いた。そして藤原たちは・・・!
というより藤岡に話を戻そう。
200ゲット!!
と藤岡は叫んだ。
実は2002年の1月25日18:37分に「200げっと」と発言しないと藤岡は死ぬのである。
突然といっては突然なのだが、それが『藤岡流白魔術☆』なのだ。
やり方としてはこうだ。
白い紙に五十音のひらがなと「はい」と「いいえ」という文字を書く、
あと上方に鳥居のマークを忘れてはならない。
そして10円玉を用意する。神経を集中させたらその紙の上に10円玉を置き、軽く人差し指を添える。
「こっくりさんこっくりさん、おいでくださいましたら『はい』の方向に移動してくださいませ」
そう唱えるだけであら不思議。10円玉が勝手に『はい』の方向へ!?
どうしても動かない場合は自分で動かしてみるというのもひとつの手ですね。
その後は半狂乱になりながら包丁を振り回します。新○あたりでたてこもってみるのもいいと思います。
当然K察がきますが、落ちついて次のセリフを言ってみてください。
「・・・あうあ・・・こっくりさんが・・・こっくりさんが・・」
するとあら不思議。刑が軽減されていることに気づくはず!!「え〜!!ウソ〜逆転無罪☆!?」
そう・・・これが『藤岡流白魔術☆』なのです。(著書『藤岡流白魔術☆』より抜粋)
「多感な小中高生に、是非とも犯っていただきたいですよね。放火とか」(藤岡談)
とまあ、結局は自分の書いた本のPRの為に現れた藤岡なのだが
次回作となる『藤岡流白魔術2☆〜あの女と絶対犯れる白魔術〜』の執筆の為に
また押し入れにこもる藤岡であった。
だが、藤岡の耳にけたたましい喚声が届くのにそう時間はかからなかった。
「藤岡を出せ!」
藤岡が押入れから出て窓から外を窺うと、
十数人の黒頭巾たちが家の周囲を取り囲んでいるのが目に映った。
「藤岡を出せ!」「藤岡を出せ!」と連呼する黒頭巾集団。
「だ、誰だ、あんたたちは!?」
問う藤岡に答える黒頭巾軍団。
「今から3時間後に何かが起こる!」
「ヒヒヒヒヒ」
「包丁振り回してやる」
「きさらま、覚悟しやがれ」
どうやら犯罪予告スレの1たちが結集したようだ。
「藤岡、とりあえずドンジャラを出せ!!」
黒頭巾の強固な姿勢に藤岡は為す術もなかった。
「藤岡さんよ、よく聞け、俺の名は渡辺トオル」
と、黒頭巾其の壱は言った。黒頭巾の意味消滅。
「お前の悪事を暴きに来た。俺たち左翼団体『黒頭巾団』は、貴様を拘束する」
「いやだ、と言ったら?」
「答えは"ウィ"か"ノン"だ。と言いたいところだが、まあいい。情報を提供すれば手荒なことはしない」
妥協を問われた藤原は、態度を一変させた。
「何だよ、そんなことか。しかしな、黒頭巾ばっかで煽りが来ないじゃねーか」
確かに煽りは、いや、藤岡を取り囲む者たちは黒頭巾にしては少人数だった。
「大体生意気なんだよ、トオルのくせに」
藤原は鼻息荒く言い放った。ドンジャラ用意してたくせに。
一度引っ込み、戻って来た藤岡の手にあるのは、五色の砂時計。
砂時計の底面には「ハッチ」、反対側には「ポッチ」と油性ペンで書かれている。
砂はいま、「ハッチ」の方に溜まっている。
「情報はその中にある。渡辺トオルさんよ。ホラ」
藤岡が投げて寄越したそれを、トオルは特に何の疑問も抱かず、ひっくり返した。
五色の砂が部屋の照明を反射しながら、きらきらと流れてゆく。
その様子を見ているうちにトオルは気を失った。
「おい、あんた。起きろよ」
朦朧とした意識の下で声がして、トオルはゆっくりと瞼を持ち上げてみる。
そこには二人の男がいた。
慌てて周囲を確認してみると、どうやら洞窟の中のようだった。
洞窟の脇から液体金属がドロドロと流れ出し、やがて顔を作った。
はぐれメタルがあらわれた!
トオルはこのシチュエーションに見覚えがあった。
「そうだ!これはドラクエじゃないか!!」
昔、トオルが消防だった頃よくやったあの懐かしいゲームだ。
「フッ・・・ならばここを抜け出すのは簡単かも知れないな」
志村けんの「だっふんだ」を見せるとはぐれメタルは逃げ出した。
経験値を気にしている場合ではない。
トオルは大声で呪文を唱えた。「ルーラ!!」
するとどうだろう。フワリとトオルと二人の男の体が宙に浮いた。
と思ったのもつかの間、「ゴン!」と鈍い音がして洞窟の天井に頭を強く打ってしまっただけであった。
「あ、そ、そうか・・・この場合は『リレミト』だった・・・」
よくこんなくだらないことで貴重なMPを消費していたなーなどと思い出しながら
トオルはまた気を失った。
次元の食い違いで異世界に飛ばされた藤原と山本ひろし。
1分遅れで渡辺トオルが洞窟内に転送された。
が、藤原やケンにドッペルゲンガーとも言うべき異人格人間が存在するように
渡辺トオルにもそれは存在した。
しかし、ここはドラクエ。特異な人間がいる場所。
トオルの異人格はその脳内にあった。
つまり不活性の理想人格を備えていたのだ。
ドラクエ世界に降り立った今、彼はもうトオルではなかった。
――勇者トオル。
藤原パーティの中で唯一回復魔法が使えるキャラ・・・いや人物だった。
「ちょっとお前ら!起きてください」
トオルは藤原とひろしを蹴飛ばした。が、起きたのはひろしだけだった。
「誰ですか、あなたは?」戸惑うひろし。
「誰だろうと構わんだろ」
勇者トオルは主人格より横暴な性格だった。「ホラ、目ェさましてください!」
50回も蹴られただろうか。藤原は目を覚ました。
「誰だ、お前は」の問いに「うるせぇ、引っ込んでろ!」とトオル。
ひろしはただ傍観するばかりであった。
とにかく、そのトオルという男に無理矢理叩き起こされた藤原とひろし。
「おぉ? やっとお前ら起きやがったか!」
よく見るとトオルの手には一升瓶が握られていた。
明らかに酒に酔っているこの泥酔男。しかもまったくの全裸である。
パーティに、このままいてもらっても平気なのだろうか?マジで。・・・一抹の不安がよぎる。
「さ〜て、俺様に回復してもらいたい奴はいるか?」
トオルは手に持った一升瓶をドンと床に置くとその場にあぐらをかいた。
「じゃ・・・じゃあ、おながいします」
藤原とひろしは素直に従った。
何故なら先程彼に起こされたときに蹴られまくった為二人共血まみれだったからだ。
特に藤原の方は50回も蹴られたので重症というよりも危篤に近かった。
「あー、何だお前ら、こんなに血まみれで・・・俺様がいなかったら大変なことになっていたな」とのたまった。
"お前がいるからこんなことになってんだよ!!"と藤原とひろしは心の中でそうツッコんでおいた。
「さてさて、回復魔法でも唱えてやるとするか!」
トオルは面倒くさそうにやおら立ちあがり、両手を天にかざした。
「アナル!!」
するとどうだろう。突如金色の光に包まれた二人の傷がみるみる回復していくではないか!
「フ〜、全く・・・俺様がいなかったら大変なことになっていたな」
なんとなく。そう、なんとなくだが藤原とひろしはトオルに礼を言うのをヤメた。・・・そんな気分であった。
その頃、残されたギコネコとノドカは、ひろしのノートパソコンを起動させていた。
「犬まゆげがいるっていう板はここね」
ノドカはそこで重大な思い違いをしていたのだが、それには全く気付かなかった。
冬も空がそぞろ。
降り出した雪から逃げるようにしてタクシーに乗り込む一人と一匹。
ようやくディスプレイに映し出されたタイトルロゴは
【 創 作 文 芸 板 】
「さて、どこに犬まゆげがいるんだろう・・・」
ノドカは手当たりしだいにスレッドを覗いてみた。が、際立った書き込みはない。
「どうして・・・? 何か誰もいないような・・・」
無人の板。まさか。そんなものがあるはずがない。
F5キーを押す。ディスプレイが白一色に染まり、更新された。
だが、スレッドは1つとして動かない。
【 有 名 小 説 パ ロ デ ィ リ レ ー 】
「これに参加してるかも・・・?」外れた。無人である。
【 俺 様 え に っ き 】
「これに参加してるかも・・・?」外れた。無人である。
再びF5で更新。動かない。五里霧中である。
「まさか・・・これが裏2ちゃんねる・・・?」
ノドカは戦慄した。しかし気を取り直す。いないのならおびき寄せればいいのだ。
新規スレッドを立てよう、そう彼女は決意した。
犬まゆげを釣るため、食いつきのいい名前にしなければならない。
ふと、雪がやんだ。それは奇妙なことだった。
瞬間、ノドカの脳に1つの文字列が浮かび上がったのだ。
【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】
早速ノドカは新スレを立てた。
「2chデビューしたてで『ひよってた』ノドカ」にとって
それは緊張の一瞬であった。
【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】
我ながらノドカはいいスレタイトルだな♪と思った。
確かに、【■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい】より全然いい。
1もそう思う。今だから明かすが「■」と「お」の真ん中にあるムダな"スペース"は必要なかった。
というか実は1はこうしたかった。
【■ おまえら、無理矢理続きを書いて下さい ■】・・・と。
・・・失敗だった。なんであのとき気づかずに送信ボタン押してしまったのか。
1の完全敗北を認めずにはおられない、そんな瞬間の出来事であった。
と、まあ話しを元に戻すが、とにかくノドカは新スレを立てた。
そして想いのたけをぶちまけた。
「アタシは、なんたらかんたらでどうたらこうたら〜・・・」
とにかく驚いたことにノドカの文字数は半端じゃなかった。
1もノドカの発言だけを目で追っていたのだが途中で断念した。いや。せざるおえなかった。
その【「書いてる=作家志望」とは限らない♪】スレの中で
『新スレたてるの、ひよってたの(w 叩きとか多そうだし(w )とか言ってる割には
『「ただ単に文句言いたいがため」の批判なら、NO THANK YOUです。』と
ちょっと気取って「英語(しかも大文字)」を使ってみたり、
その胸の中の想いを一生懸命長文で訴えてみたにもかかわらず、
9 :名無し物書き@推敲中? :01/01/25 18:32
ふーん…
で?
と言われる始末。
ひよっているノドカはちょっと泣きそうになったりもしたが
とりあえずそのスレで頑張っていこうと決めた。
ノドカは、
しかしまぁ1とあと一人くらいしか駐在していないスレよりマシだろう
と開き直った。
犬まゆげを釣ることが目標なのだが、どうも アヒャ! と フーン しか釣ることが出来ない。
「一体何なの? この板は!?」
雑談スレでそれとなく訊いてみたものの、返答はこんなものだった。
75 :名無し物書き@推敲中? :01/01/25 18:51
俺、電波板から来たからよくワカラン
もうダメだ・・・ノドカはため息を吐いた。
ともかく犬まゆげは釣れず住人も少ないので
ノドカは立てたスレッドを一時的に(?)放置することに決めた。
「ネットじゃダメだ。行動あるのみ!」 決意したノドカだった。
運転席のシートに移り、キイを回す。
無免許運転。
だが今はそれどころではない。
アーケード板で神と言われたドライブテクニックを解禁する時が来たのだ。
ハンドルを握るノドカの手が震えた。
「疾風」と書いて"かぜ"のごとく車を飛ばすノドカ。
途中、市場でピラミッドのように山積みされた缶やリンゴなどに突っ込み
派手に散らばせると、店の奥から「アイヤー!ナニスルアルカー!」などと言いながら
店主(ラーメンマンぽい人)がカンカンになって出てきていた。
ノドカはそんな店主をミラー越しに一瞥すると
「・・・なんか、ジャッキーチェンの映画みたいね」とポツリとつぶやいた。
"みたいね"とは言ってみたものの、先程の山積みされた缶に「突っ込んだシーン」は
お茶の間で3回は流れた。しかもスローモーションで流れた。
ノドカは自分がそんなトゥルーマン・ショー的な事になっているとは露知らず、
のんきに「香港警察」のテーマをアカペラで歌ってのけた。
とりあえず通行人をひき殺すと2千点だった。特に砂かけババアは高得点だった。
たまにしかでてこないがUFOを迎撃すると1万点あるらしい。
とにかくノドカはカンストを目指した。
『カウンターストップ』それは永遠のテーマといっても過言ではなかった。
「私ももう若くはないのかも知れないな。・・・"名古屋撃ち"とか知ってる時点で。」
そんな想いが、無免で爆走する「珍走団ノドカ」の胸中に去来していた。
――その時だった。
『これより先、犬まゆげ』
それは今までみたこともない標識だった。
正直、ひよった。
「なんなの!・・・これは一体?!」
もうノドカはひよるしかなかった。
ひよらずには居られなかった。
しかしこの先に「犬まゆげはいる!」そう確信したノドカはひよる心を押さえ
ただ突き進むのであった。
それが本当の恐怖の始まりとは知らずに・・・
「よし、カンスト達成ー!」
香港系ノドカがひよっているのも露知らず、武田はゲーセンで小躍りしていた。
すっかり影の薄くなった板東ケンはまだ悩んでいたのだった。
もともと『夢オチ』の嫌いなケンだが、
彼自身が夢オチのような登場をしたこともあって、それがトラウマになっていた。
『 畜生、世間が真面目すぎるんだ・・・ 』
新人の頃、幾度となく呟いたセリフ。
今になってなぜよみがえってくるのだろう。ケンは自暴自棄になっていた。
「僕、21世紀の高橋名人になれるかも」 浮かれる武田を余所に、ケンは悩み続けた。
「ケンさん、早くしてよ。アタシはゲーセン興味ないし」
急かすネットアイドル系ノドカを煙たがるようにケンは手を横に振った。
「おまえら、無理矢理続きを進めたがり過ぎなんだよ! 俺にも考えさせてくれ」
「バカじゃないの」 応戦するノドカ。
「あなた今の段階で物凄く自由なのよ。
あたしのゆかりなんかいつもまゆげ描かれて辛い思いしてるんだから」
「それはお前の猫だろ!俺は人間なんだよ!」
「フーン、その割には想像力に乏しいのね」
何だと、とケンは憤慨した。ノドカは冷たく言い放った。
「あなた昔は『俺には才能がある』とか言ってたみたいだけど、
口でなら誰でも言えるのよね。悔しかったら、現在の状況を打破してみせなさいよ!」
その言葉の刃から逃れるように視線を逸らすと、そこに武田が立ちはだかっていた。
「ケンさん。もう後には引けないよ。犬まゆげの住んでた家に行ってみるしかないよね」
航路は武田の口からもたらされた。少しだけ肩を落とす元俳優の男。
・・・今度はあんたが活躍すればいいさ。
囁くような声で武田に励まされ、己の情けなさに思わず顔を背けたケンだった。
「なんだ! 俺、めぞん一刻DVDボックス持ってたんじゃん!」
一気にトラウマから開放されたケンは「演技、華、匂い」
お決まりのセリフを大声で叫ぶと空を飛びながら犬まゆげの家に直行した。
「ここが犬まゆげの家か・・・」
そこはなんの変哲もない普通のアパートだった。
204号室――
「ここか」
高鳴る胸を押さえ、静かに、そしてゆっくりとその扉の横にあるチャイムを押した。
ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ
武田はこのチャイムの音に敏感に反応した。
「これからが本番か・・・」
返答がないのを確認し、ドアノブをゆっくり回してみると
鍵のかかっていないドアは簡単に開いた。
だがそれは逆に不気味でさえあった。
機先を制して足を踏み出そうとする武田の前にケンは立ちはだかって、
そのまま自分のからだをドアの隙間に滑り込ませた。
探究編 了 待て 対決編!
対決編:6月10日再開予定
再開してないじゃないかよヽ(`Д´)ノ
(編集註)
筆者が予定以上に多忙の為、同志の方に対決編をお任せすることにしました。
昨日届きましたのでフォーマットを変換してから記載致します。
その前に、訂正を。
文中では「ネバーエンディングストリー」と「七色の砂時計」という二つの道具が出てきますが
この設定が両者間で食い違って居りましたので訂正致します。
七色の砂時計 ― ビンの一方に砂が流れた時、並行世界へ移動します
ネバーエンディングストリー ― 両世界の本が共に「開かれている」状態の時、移動します
お待たせ
とうとう同志は二人になってしまったが根気よく続ける復活スレ
「■おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ対決編である
微弱な光源を捜しながら、ぐるりを見回したケンの目は、灰色の人影を捉えた。
人の気配など微塵にも感じられなかった部屋の内部に、
訝しげな視線をこちらに向けて、人影が、女が立っていた。
「何かご用でしょうか?」
ハッと息を飲む元俳優に、彼女は同じ質問を繰り返した。
「・・・何かご用でしょうか?」
ケンはもう答えられなくなっていた。
生来ケンは女性に不自由したことなどなかった。
卓越した演技力。端正な容姿。そして、人を惹きつける魅力。
そう、「演技・華・匂い」の三要素を生まれながらに備えていたのだ。
だから、ケンにとって女性とは放って置いても寄ってくる存在でしかなかったし、
自らの愛慾を満たしてくれる「モノ」でしかなかった。
そのケンがまるで中学生のように、顔を紅潮させながら羞恥に似た混乱に陥っているのである。
それは、ケン自身もはじめて経験する感情だった。
これが恋というものかしら? とケンは上気した頬を隠そうとしながら女に目をやった。
犬まゆげの自宅に何故か留守番をしている美女。謎が謎を呼ぶ。
そういうミステリアスな女性に弱い性質があったのかもしれない。
ケンはもう彼女から視線を逸らすことができなかった。
そんなケンを察してか、彼女のほうから言葉を掛けてきた。
「君は、小宇宙を感じたことがあるか?」
ん?
ナンダッテ?
いや、落ち着け、俺。板東ケンは男で御座る。こんなことでひるんではならない。
武田の前ということもあって、ケンは必死に頭脳回路を働かせた。
美女イコール小宇宙は絶対に当てはまらない。
ということは、これは何かの暗号・・・もしくは合言葉?
「そうか!」 と口の中で呟いた。
つまり彼女にとって未知なる人物(ケン)が現れたのだ。素性を尋ねるのは当然である。
しかしここは犬まゆげの住居だったはず。
とあれば、その仲間内での合言葉は成立するし、必要でもある。
この局面でケンが合言葉を見事言い当てることができれば、きっと中に入れてもらえるに違いない。
ケンは意を決し、咄嗟に思い浮かんだ言葉を返した。
「ダダイスト鏑木」
静寂がケンたちの周りを包み込んだ。
そして数秒後、それは圧倒的な重圧をもって場に閉塞的な均衡をもたらした。
誰もが一言も言葉を発することが出来ない。否、正確にはそれを憚っているようだった。
口を動かすことを暗黙のうちに禁じられた一同は、自然に目を動かし始めた。
三人の視線がこの言葉を発したケンに集中する。
それは非難にも似た重圧を伴っていた。
だが時として緊張は決意を促すものだ。
ケンの口から洩れ出る吐息は、わずかながら冷静さを帯びてきているように思われた。
「・・・ダダ・・・ダダイスト鏑木・・・」
搾り出すようにしてようやく出てきた声は、ケンの声帯を異常に震わせた。
武田とノドカの非難の念は注目に変わり、その矛先は目の前の美女に向けられた。
「・・・どうぞ」 と確かに女は答えたのだ。「お入りなさい」
ドギマギ状態のケンであったが、「お入りなさい」と言われて断わるはずもなく、
「ハイ」と素直に従ったのだった。武田とノドカが後に続く。
すると。
「芝居は沢山だよ、佐々木君」
凛と響いた声の主は、何と武田であった。
「僕は君の正体を知っている。君は変装の名人だってね。そうだろ、犬まゆげ」
サッと人差し指を、かの美女に向ける武田・・・蒼白になるケン・・・無言のノドカ。
「フフン、見事だ。小僧の割にはな」
美女・・・否、犬まゆげの口調が明らかに変わった。
ああ、そうか・・・ケンは悟った。今まで女には興奮したことのない俺・・・しかし目の前にいる人間は
「美女」ではなく、「美青年」なのだ。ホモではないが、一抹の興奮を俺に与えたのだ・・・。
放心したケンを横目でちらと睨み、武田は歩を進めた。
「それで、犬まゆげ、あっさりと僕たちを通したということは・・・僕たちを殺す、ということかい?」
「まあ、待て少年。お前は急ぎすぎている。確かに、私は『犬まゆげ』だ。
だが、敵意はもうない。実は、頼み事があるのだ」
「アンタ、ウチのひろしに『まゆげ』描いといて頼み事ってムシがいいんじゃない?」
突然ノドカが口を開いた。困惑する犬まゆげ。
「ひろし・・・?」
ノドカは静かに詰め寄った。「あなた、ウチの犬に『まゆげ』描いたでしょう?」
「ああ」
「フフフ・・・・・・死ねッ」
素早いノドカの右ストレートが炸裂した。
閃光を帯びたノドカの右ストレートは犬まゆげの左頬に完全にヒットし、
鈍い音と共に犬まゆげは後方にひっくり返った。
陰謀者の鼻から、鼻血がとめどなく噴出していた。
しかし瞬時に体勢を整え、血を親指で拭いさりながら犬まゆげはこう言い放った。
「お前の右ストレートを受けて倒れなかったのはオレが初めてだぜ。」・・・と。
ケンは悩んだ。
この犬まゆげのマサルさん的ギャグにツッコむべきか、ツッコまざるべきか。
意を決したケンは・・・
「とりあえず中を調べましょう」
武田に促され、ケンとノドカはドアの内側へ足を踏み入れた。
犬まゆげを無視して、大胆にも住居侵入を敢行する三人。
不意に後ろでドアがロックされるような音がした。
外界から完全に遮断された空間は、日の光も一切通さず
迫り寄る暗闇に、ノドカは軽い目眩に似たものを覚えた。
それは自身に迫る危険を本能的に感じ取ったからなのかもしれない。
ドアをロックしたのは、武田だった。
そして武田はロックを解除した。
「いい鍵を使ってますね」
犬まゆげのセキリュティに感心した武田は、窓の錠も調べた。
残り二人は先へ進んだ。
「バカどもが。どうして俺が『ネバーエンディングストリー』を自宅に持っていったのか、
疑問にすら思わないのか?」
聞き覚えのある声。しかし、その声は恐ろしく威圧的だった。
声の主は他ならぬ武田ではあったものの、この男のこんな話し方を聞いたのは
ノドカにとっても初めての事だった。
眼前で冷笑を浮かべるその男は、幼馴染の武田と同一人物だとは思えないほどに
冷たい眼をしていた・・・。
いつもは勝気なノドカの顔に、ありありと焦燥の色が浮かぶのを確認すると
武田の冷笑は、心持ち喜悦の表情に変わった。
「ようやく事態が飲みこめたようだな」
ノドカの右ストレートでグロッキー気味だったはずの犬まゆげも、いつのまにか
ノドカの背後に回り、同じく歪んだ笑みをこぼしている。
「なに急に強気な発言しちゃってんの? 私にこんな口聞いて、ただで済むとでも思ってんの?
今なら謝れば許してあげなくもないわよ」
いつもの調子で武田の態度の豹変振りを詰るノドカだったが、わずかに声が震えていた。
武田はタバコに火をつけ、ボロボロの北欧家具に腰掛けて静かに口を開いた。
「俺はMr.マルガリミスッタと協定を結びに行くため、実はあと30分後のロス行きの便で発つ」
マルガリという名前を聞いて、ケンの表情は一瞬にして硬直した。
ノドカはそんなケンの様子を見て言った。
「知ってるの?」
ケンはゆっくり肯いた。
「マルガリという男は・・・」
と、その時、一瞬のスキを見て武田は部屋から抜け出した。
「ヤバイ! あいつをマルガリに会わせてはいけない!」
ケンはすぐに武田の後を追った。ノドカはわけがわからなかったが、とりあえずケン
についていくことにした。
武田は大通りに出て、タクシーをつかまえた。運転手に一言告げると、猛然と車は走り出した。
数分遅れてタクシーをつかまえるケンとノドカ。
「お客さんどちらまで行かれます?」
「成田までは何分ぐらいかかりますか」
運転手は、大体30分程度で着きますかね、と答えた。
「え、30分?・・・あいつ間に合うのか?」
武田は焦っていた。
焦りついでに尿意を感じ始めた。
「ちっ、こんなときに!」30分後、空港のカウンターに走りこみ、受付員に詰め寄る。
「トイレはどこだ!」
「申し訳ございません、トイレは有料となっております」
「カンケーネーヨ」
武田はその場で放尿を始めた。
「ちょっ・・・! お客様、何してはるんすか!?」
受付員は当然、武田の『行為』に非難を加えたが、武田は逆に彼らの方を一喝した。
「人の弱みにつけこんで汚い商売してるからだろうが!ボケが!!」
受付員たちは無言の抗議―― 受付拒否―― を敢行した為、
武田はとうとうロス行きの便に乗り遅れることになった。
その頃、ケンとノドカは既に飛行機に乗ってロスを目指していた。
「最近差し歯がすぐ取れてね、入れ歯にしようと思うんだけど、どうかねケンさん」
飛行機の中でよく出会う、おりん婆さんが話し掛けてくるのを、適度にかわして
ケンはマルガリのことを考えていた。
「そうか・・・犬まゆげの後ろには奴がついていたのか・・・」
次第に明らかになってくる事件の真相。
犬まゆげ宅に戻る武田を尻目に、ケンたちの飛行機は一路ロスに向かって飛ぶ。
それは彼らにとって重要な交差であった。
ケンの中に何か違和感が残っていた。
ロスへのフライトの途中、いつものようにさして興味を持つこともなく流した、
おりん婆さんとの会話。
それが、妙に引っ掛かっていた。
「!」
ケンは重要なことを見落としていたことに気付いた。
そう、ここは「パラレルワールド」。
誰一人として、「人気俳優 坂東ケン」を知ることのない世界。
それなのに何故、婆さんはケンに普通に接してきたのか?
「おりんのおを取って、語尾にごを付けるとりんご、まさか、りんご婆さん!?」
「ど〜して〜、れ〜きし〜のうえに〜♪
こ〜と〜ばが、うまれたのか〜♪」
ノドカはいきなり椎名林檎の「本能」を歌い始めた。
りんご婆さんの謎は深まるばかりだったが、考えていても結論が出ないので
ケンとノドカの二人はMr.マルガリミスッタの行方を追った。
「こんなとき、武田の推理力があれば・・・」
思わず、憔悴したケンは呟いた。
時同じくして、武田は犬まゆげの家に到着していた。
その足が敷地内に入るかは入らないかの瞬間、彼は背後からの声を聞いた。
「ヤア、武田君。・・・いや、藤岡君と呼んだほうがいいかな?」
本物の武田の姿がそこにあった。
本物の武田の姿は変わり果てていた。
変わり果てすぎていて、もはや本物の武田とは分からなかった。
武田だよ、オレは武田だよ。
その武田は言ったが、あまりにも本物の武田とは違う。
違う、違う。そんなの武田じゃない、武田じゃ。
と藤岡は言った。
うるせえなぁ、武田武田。武田武田。
武田がそんなに大事か?
変わり果てた武田は言った。
じゃあ、こいつと武田と、お前とおれ。
お前はどっちを選ぶ?
変わり果てた武田は指をパチンと鳴らした。
すると武田の背後に給仕登場。
「フルーツパンチ二つね」
「フルーツパンチ二つ」という暗号を合図に
給仕の隠し持っていたトカレフが火を噴いた。
乾いた音が響いた。
二度と動かない藤岡、そしておびただしい血の海だけが残った。
悲しいときー
バイバイしようとして振り向いたら誰もいなかったときー
「ん?何だ。今の声は」
武田が振り返ると、犬まゆげがニヤニヤして突っ立っていた。
「さあて、武田君。カタストロフィと行こうじゃないか」
傍らに、見知らぬ婆さんがいた。
一方その頃、ケンとノドカはマルガリミスッタの居所を探るため、
インターネットで、ロス中のマフィア情報を集めていた。
「ねえ〜ノドカのどかわいた〜」
「いや、そんな、くだらねえギャグはいいから」
「ねえ〜ノドカお腹いた〜い」
「ガマンしろ!!」
と言ったものの、さすがにノドカの異変に気付き、彼女をトイレに連れて行く事にした。
「申し訳ございません、トイレは有料となっております」
「カンケーネーヨ」
ケンはその場でノドカに放糞させ始めた。
「ちょっ・・・! お客さん、何してはるんすか!?」
インターネットカフェの店員は当然、ノドカの『行為』に非難を加えたが、
ケンは逆に店員の方を一喝した。
「人の弱みにつけこんで汚い商売してるからだろうが!ボケが!!」
「ここは、ロスです。郷に入らば、郷に従え。警察を呼びますよ」
その頃、武田と犬まゆげは運命の局面を迎えようとしていた。
「さあ、そのババアをどけろ。サシで勝負しようぜ」
「私を殺すと言うのか・・・」
犬まゆげの目の前には、拳銃を構えている武田が立っていた。
「武田よ落ち着け、説明するからその銃を下ろせ!」
「説明? そんなものは必要ないね」
犬まゆげの額から汗が滴り落ちる、二人の間に奇妙な時間が流れた。
「説明を受け付けないと言うのか・・・それなら、仕方が無い。さあ、撃て」
しかし。何をトチ狂ったのか、傍らの婆さんはとっさに犬まゆげを抱えた。
「武田、撃てるもんならこれに撃ってみろ!」
「――何のつもりだ、何を考えている!」
犬まゆげは婆さんの腕の中で必死にもがいていた。
「さあ撃ってみろ、射的ゲームの感覚で撃ってみろ」
武田はカチンと来た。
「ああ撃ってやる、水鉄砲の感覚でな」
ゲーセン荒らしだけあって、武田の射撃の腕は伊達ではなかった。
硝煙の立ちこめるトカレフの銃口の先には、おりん婆さんの屍体が転がっていた。
「なぜ私を殺さなかった・・・?」 地べたに尻をついて腰の抜けた犬まゆげの呟きだった。
あんたにはまだ訊きたいことがあるからな、と答えて武田は銃口を犬まゆげに向けた。
「あんたに辿りつくまで、長かった。僕には真実を知る義務がある。
同級生のノドカが『まゆげキラー』を見つけた時、僕はあんただと確信した。
するとあんたは行方をくらました。ご丁寧にもパラレルワールドへのヒントを残したまま。
さっき僕の仲間――給仕の変装をしていた男――が『明美』を追っていった。
今は僕とあんただけだ。さぁ、教えてもらおうか。マルガリの陰謀とやらを」
「ふ・・・今更知ってどうする?」
銃口を向けられているというのに、犬まゆげは冷静だった。
唇を歪め、まるで嘲笑うかのように武田を見上げている。
だが、武田の決意は揺るがない。決して、彼は臆するわけにはいかないのだ。
「阻止してみせるさ。この僕の手で、マルガリを葬ってやる」
「ふん、自信家だな。よほどマルガリに殺されたいと見える。
・・・まぁいい。死にたいというなら望み通り教えてやろう」
口の端を捻じ曲げて笑う犬まゆげ。そして、この青瓢箪の武田。
「Mr.エグヤムニ=マルガリミスッタ。それが彼のフルネームだ。と言っても、本名ではない。
私自身、直に彼に会ったことは二、三度しかないのだ。謎そのものだ、彼は」
「うるさい! 前口上はそれくらいにして、さっさと陰謀とやらを教えろ」
「まだわからないのか? マルガリの陰謀…マルガリ…まるがり…丸刈り…」
ふと、犬まゆげは書棚へ歩み寄った。武田は警戒したが、何のことはない、地図を取り出したのだった。
「これを見ろ。・・・そう、ここだ」
地図に示した犬まゆげの指は、箱根山脈の上にあった。
「これはお前たちの世界、つまり『ここ』の地図ではない。もう一つの世界に存在する箱根だ。
この地点は箱根防衛線の拠点であり、一般人の立ち入りは禁止されている区域。
だが、これを使えば、難なく侵入できる・・・」
そう言って犬まゆげが取り出したのは、あの武田に変装していた藤岡が持ち去っていた
『ネバーエンディングストリー』だった。
「もう一つの方は、お前たちが躍起になっても見つからないはずだ。箱根防衛線の、まさにライン上へ
マルガリが置いてある。藤岡はマルガリに会うために、その本を開いてもらったはずだ。
だからこちらも開けば瞬時に箱根に着く」
「じゃぁ、『ロス』へ向かうというのは・・・?」
「『ロス』はお前たちが勝手にロサンジェルスだと思ったまでの話。
本来は、『ロストワールド』・・・つまりこの辺境の地というわけだ」
ネットアイドルあゆみ(ノドカ)のファンである<岩男>からマルガリの情報が届いたのは、
ロスに到着してから2時間後のことだった。彼はマフィア情報専門のハッカーであり、
ツービートではきよしが好きだった。そんな彼に情報を求め、見事マルガリの情報をゲットしたのである。
【Mr.エグヤムニ=マルガリミスッタ。通称マルガリ。その素性はほとんど知られていない。
マルガリ一家という組織を持っているが、5人で構成されており、組織というよりは家族である。
ちなみに奥さんと息子と弟夫婦がその全員で、仮面夫婦の噂もある。
備考として、戸籍はなく、名前以外のデータは不鮮明であることを付け加えておく】
「だってさ。どう思う?」
ケンの目を覗きこむようにして、ノドカはこともなげにそう言った。
「オマエ、ハッカーに依頼しちゃったのかよ?」
「うん。なにか手掛かりになるかもって思って」
「だが、ますます意味不明な人物だな・・・カタチが見えない」
「なに? あんたにも分かんないの? ツカエネー」
「あのな・・・」
犬まゆげの用意したキックボードに足を乗せると、武田は『ネバーエンディングストリー』を開いた。
後から犬まゆげもキックボードで追ってくる。
夢幻の七色に包まれたのち、彼らは山道を走っているのに気が付いた。
「防衛局員に気付かれないうちに」 空中に撥ね上がったもう一冊の本をキャッチして
犬まゆげが続けた。「この山道を突き抜けなければならない」
(どうやって気付かれる恐れがあるんだろう?)と武田は疑問に思ったが口には出さないでいた。
武田のキックボードはすでに箱根防衛線の特殊センサーに捕捉されていた。
「司令。奇妙な陸走物体が接近中です。分類コード、該当なしです」
若い男が報告した。
司令と呼ばれた、銀縁メガネをかけた男は、静かに言った。
「発進準備だ。2号機をな」
スッタモンダ2号機・・・
富士山荘事件で大破したスッタモンダ1号機に代わって導入された新兵器である。
ちくわを象った従来の型と違い、ちまき寿司をイメージして造られている。
ここ、箱根防衛線では、異星人マドル(ログを参照)の侵入を防ぐため、
あらゆる防御システムが施されているのだった。
『スッタモンダ2号機、発進準備完了。発進許可を』
新米パイロット東海林少尉の声が凛と響いた。
「スッタモンダミサイル用意!」
スッタモンダ2号機は武田の快速キックボードをロックオンした。
「発射!」
しかしスッタモンダ2号機は誤って宇宙に発射されてしまった。
その後、スッタモンダ2号機を見た者は誰もいない。
「とにかくさ、この砂時計が関係してることは間違いないんだよな」
ケンが取り出した七色の砂時計を、パッと奪うノドカ。
「おい、何を・・・」
「きれーい。やっぱ美人に砂時計って絵になるわ」
思わずカッとなった元俳優は、自称ネトアをぶん殴った。
勿論、砂時計は落っこちた。
「馬鹿な男ね。あんたに解決できっこないわよ」
明美が捨て台詞を吐いた。もう、逃げられない。それは彼女自身、よくわかっていた。
だからこそ砂時計をちらつかせて、相手を威嚇していたのだが、効き目に頼ることはできなかった。
「さあ、それを渡しなさい。逃げられませんよ」
給仕の格好をした近藤マコトは冷やかに、しかし穏やかに宣告した。
明美はその宣告を聞き入れなかった。
「壊してやる、こんなモノ!」
壊す気はなかった。脅しのつもりだった。しかし・・・手元から滑り落ちた砂時計は音を立てて割れた。
地獄の底から這い出てくるような呻き声と共に、彼らは時空の渦に呑まれた。
<岩男>は瞬間移動により、箱根へ飛ばされた。
武田の快速キックボードの真ん前へ、突然現れた。
きききー!
武田は急ブレーキをかけた。
「なんだ、コイツは!」
当然、箱根防衛線でもそれは感知されていた。
「スッタモンダ3号機、出撃用意!」
司令の言葉に、防衛線オペレーターは戦慄した。「まだ早すぎます!」
「構わん!出撃させろ」
司令は半ばヤケになっていた。スッタモンダ3号機、出撃!
しかし出撃と同時に浮力を失ってしまった。
「どうした?」 焦る司令。参謀が呟いた。「腐ってら・・・まだ早すぎたんだ」
<岩男>の自宅では、突然消えた彼の姿に、友人Aと友人Bが驚いていた。
「どうなったの?」と友人A
「うん? ああ、いや、やつは気まぐれにテレポートするんだ。スナフキンみたいなやつさ」
友人Bは半ばヤケに答えた。
突如墜落した鉄色に潰された<岩男>。
その展開と、残された残骸に慌てる武田だったが、犬まゆげは冷静だった。
「これでいい、これでいいのだ」
低く呟き、頷く犬まゆげ。震える右手で機体に手を触れた。
機体の一部が、淡く輝きだす。
「この一見、鉄クズの兵器はスッタモンダと言って、地球外物質で構成されている。
マルガリはこの物質を利用して、全人類を小動物に変化させる計画を立てた・・・。
丸刈り・・・丸刈りにされる動物・・・すなわち羊が彼らの頂点に立つ。
人類どころではない、宇宙のどんな存在さえ、マルガリに匹敵するものなどいなくなる」
そうか――武田は、われ意を得たり、といった表情を浮かべた。
「あんたが犬にまゆげを書いていたのは、『もとは人間だった犬』を区別するためか」
犬まゆげは渋く笑った。
「その通りだ。だが、偶然にも我々はパラレルワールドという面白いものをも発見した。
マルガリミスッタがそれを利用しない手はない。今となっては真意は誰にもわからないのだが・・・」
「それが、あんたの持つ情報のすべてだな・・・」
慎重に尋ねる武田に、犬まゆげが頷く。
「ゲーセン『カタストロフィ』で僕のガンシューティングスコアを塗り替えたのも、あんただな」
「・・・ああ」
「2−Bの井川のブルマを盗んだのも、あんただな」
「・・・ああ」
「藤原の親友、もう一人の佐々木を殺したのも、あんただ」
「その通りだ」
「そして」 武田は言葉を詰まらせた。「俺の姉、武田頼子の元カレのSはあんただな」
「・・・・・・」
「姉は死んだよ。ビルから飛び降りて。自殺だった。日記帳に姉を弄んだSの事が書いてあった。
それが、まさか佐々木洋照(ひろあき)、あんただったとはな」
犬まゆげは黙ったままだ。
「ノドカから『まゆげキラー』と聞いたとき、俺は咄嗟にあんたを思い浮かべた。
挙動不審な奴だったからな。
さらに調べると、あんたは向こうの世界で『ヨーデル伍長』と名乗っていたじゃないか。
姉はよくまゆげを描かれて帰ってきた。そして決定的なのはヨーデル・・・あんたの名の別読みさ」
「そこまでわかっていながら、私をたんなる『犬まゆげ』として見ていたのか・・・?」
「勿論、そうじゃないさ」
武田は淋しい笑いを浮かべると、ゆっくりと手を後ろに伸ばす。
瞬間、トカレフが火を噴いた。
血に染まった犬まゆげの屍体が転がった。
情報は手に入れた。それでどうして彼を生かしておく法があろうか。
自らの手で、異常な世直しの片棒を担いだ男を裁いた。それだけのことだ。
いや、さらに姉の仇を討った。ついでに2−Bの井川の仇も・・・。
その若さからは程遠い冷徹な眼を光らせ、武田は空薬莢を残して去った。
対決編 了 待て究明編!
究明編1〜北の国から〜:7月3日再開予定
究明編2〜サーターアンタギーの謎〜:7月13日再開予定(プロット済)
回想編1〜ひろしの夢〜:7月23日再開予定
回想編2〜トオルの夢〜:7月30日再開予定(プロット済)
叛乱編:8月再開予定
お待たせ
生活環境を同僚についついグチってしまうが根気よく続ける復活スレ
「■おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ究明編である
究明編1〜北の国から〜
「なるほど、リベンジャーってやつですか?」
甲高い男の声に、武田は振り向いた。声の主はサイケな衣装を纏った青年らしかった。
「フン、時代錯誤な人だ。罪人は法の手によって処罰されるべきなのに」
驚きと、殺人現場を見られた いたたまれなさに顔を歪める武田だったが、
現れた若い男はそれを非難するような素振りは見せなかった。
彼は東海林と名乗ってから、この辺り一帯を取り仕切っている防衛局の少尉だと自己紹介した。
「あなたが現れてから当局の兵器は塵と消えたんですよ。何かと思えば一般人だ。
付け加えて言えば、失礼ながら子供のようですね」
東海林の表情に嘲りの感情を読み取った。武田はいつになく憤慨していた。
この突然現れた防衛局少尉とやらに、皮肉をぶつけられたのは、彼のプライドが許さなかった。
努めて冷静に、武田は東海林に話し掛けた。
「僕をどうする気だい? 当局とやらに突き出すのか?」
「そうせざるを得ないですね」
「僕が侵略者に見えるのかねえ・・・」
「防衛ラインに侵入した時点で、あなたは侵入者なんですよ」
有無を言わさず、東海林は武田を連行していった。
時空の歪みから、放り出されたところは山道だった。ノドカは「ひよって」辺りを見回した。
足元に『ネバーエンディングストリー』が落ちている。
「ここはどこ?」
「わたしはだれ?」
誰かがまぜっかえした。ケンだった。
「何を言っているの?」 不審そうにケンの顔を窺うノドカ。
「え・・・いや、何でもないサー」 沖縄生まれのケンはそうごまかした。
「畜生、砂時計が壊れたせいで何か変な状況に追い込まれちまったみたいだな」
「そうだね」
「そうだね、じゃねえよ。そもそも、お前が落っことしたのが・・・」
ふいに、小さなつむじ風が巻き起こり、木陰に消えた。
「サーターアンタギー食べるサー」
後ろで声がした。
これらの一部始終を箱根防衛線は捕捉していた。
「司令。現場は混乱してますが、わが方の損害は2号機および3号機です」
司令は無言だった。戦力の3分の2を失ったからだ。
「しかし、我々には改修した1号機があります。これさえあれば・・・」
「いらん!」
司令はオペレーターの意見を遮った。
「今回の顛末は我々の敵、異星人マドルとは無関係だ! 3号機はすぐに自爆させろ!
民間人に3号機を知られてはならん! ・・・報告?霞ヶ関には誤爆と言え!」
コンソールパネルに3号機自爆用特殊ボタンがせり上がった。
「ボタン押し係のセコビッチを呼んで来い」
司令が大声で命令した。
「ここです、司令」
セコビッチはすぐ後ろにいた。
そして何も聞かずいきなり3号機自爆用特殊ボタンにソフトにタッチした。
「ぽちっとな」
それで終わりだった。司令は飽くまでドライだった。
「ご苦労、セコビッチ、もう戻ってよろしい」
その言葉が終わらないうちに、東海林が入ってきた。
呼ばれて振り向く司令。
「何だ?」
「この少年でしたよ、防衛線に無断侵入したのは」
前に押し出された武田は不愉快そうに舌打ちした。
「いいえ、不審者はこのカップルです。ケンとノドカと名乗っています」
「自分はこの怪しい男を発見しました。
『サーターアンタギーを売りに来ただけだ』と主張しています。
買ってもいいでしょうか?」
東海林に続いて、3人の部下がそれぞれに不審人物を突き出してきた。
「何しに来た」
司令は武田に冷たく訊いた。
「知るか!」
武田はぶっきらぼうに答えた。
「なら、教えてやろう。キミはな、選ばれたんだ」
司令が抑揚の無い声で言い放った。
「何にだ!」
武田は大声で怒鳴った。
司令は不敵な笑みを浮かべた。
「忘年会の幹事がなかなか決まらなくてね・・・」
武田が独房に放り込まれた後、司令の尋問により、ノドカとケンも勾留されることになった。
サーターアンタギー売りは、持っていた沖縄菓子をすべて司令へ渡すという条件で釈放された。
司令はまた喚いた。
「このアベックも連れて行け! セコビッチはどうした!」
「アベックだって、ププ」
オペレーターが失笑した。
「貴様、俺を笑ったな! バカヤロー」
ほとんど酔っ払いのオヤジだった。
「意味ありげな登場した割には、オマエってホント使えねぇよな」
他人への配慮というものを全く欠いたような、容赦のない罵声がひろしを抉った。
藤原は明らかに苛立っていた。それも当然のことだろう、親友が殺されているのだ。
そんな藤原の憤りが痛いほどわかるひろしは、ただ黙って俯くことしか出来なかった。
「オレはなぁ、こんなところで酔っ払いと一緒にドラクエごっこをしてる暇はないんだよ。
早く佐々木を殺したヤツを見つけ出して、この手で裁いてやりたいんだ。それがなんだ。
犯人の手掛かりも全く掴めないままで、無為に時間を浪費しているだけだ。
オレに協力してくれるんじゃなかったのか!?」
今にも溢れ出しそうな涙が、藤原の瞳孔を歪ませていた・・・。
「ていうか、ひろしって誰だっけ?俺は?俺は誰なんだ?」
泣いた拍子に、藤原は記憶喪失になった。
渡辺トオルはドラクエ好きだったので、別に一生このままでもいいと思った。
「大丈夫だ、藤原。人は誰かになれる・・・」
『ララァならわかってくれるよね』
藤原の脳内にメッセージが響いた。
「う、く、ぃ・・・・!」
藤原は激しい頭痛に襲われた。
『犬まゆげは否定しろ!』
『彼は純粋なのよ・・・』
『ヤツが、純粋・・・?』
『あなたが追っている犬まゆげは本当の犬まゆげではないわ・・・』
『それは、いったい、どういうことなんだ・・・?』
『あなたは遅すぎたのよ・・・』
遂に藤原は幻覚を見始めたのだった。
国境の長いダンジョンを抜けると雪国だった。靴の底が白くなった。
一瞬のことで、目が慣れず、眩しかった。太陽がぼんやりと真上にある。
「寒いな」
思わずひろしはそう呟いていた。勇者トオル・・・いや、渡辺トオルは身を震わせて服を着た。
なにしろ寒いのだ。藤原だけがぼんやりと雪山の彼方を眺めていた。
一面の雪景色である。雪野原である。近くに見える建物のつららが映えていた。
一行は、とりあえず建物に走り寄った。誰かが中にいるだろう。そう期待した。
建物には、大きなプレートが掲げてあった。それにはこう記されていた。
「 友好の家 」
一行は休憩を取らせて貰う為に、玄関のドアを叩いた。
暫くするとゆっくりとドアが開いた。
そこには禿げた、丸っこい輪郭の中年男が立っていた。
いかにも訝しげな顔で彼は一行に語りかけた。
「どなたですか?」
「し、失礼しましたあ」
小心者に戻ったトオルが逃げようとしたのも束の間、すぐに引き止められた。
「あのですね、まぁ、お茶でも飲んでいきなさいよ」
その言葉に甘んじて、ひろしと藤原はドアの向こうへと入っていった。
ドアを入ると、トオルらの目に飛び込んできたのは
その中年男の禿げた後頭部と
「鈴本さん あなたは私達のともだちです」という横断幕だった。
どうやらこの中年男が鈴本さんらしい。かなりフレンドリーな人物のようだ。
山本ひろしは冷静に推理した。
禿げた中年男の鈴本さんは3人を居間に通し、ソファーに座らせた。
そして彼は独り言のように呟いた。
「いやいや、こんな偏狭な雪国にこられる奇特な方もおられるんですなぁ・・・。
おっと、これは失礼、寒かったでしょう。今温かいお茶を持ってきますからね」
彼はそう言うと台所へと消えて行った。
しばらくしてガタガタと階段を下りてくる音が聞こえた。
早いな、とひろしが呟いた時、部屋のドアがいきなり開いた。
現れたのは2メートルはあろうかという大柄な黒人だった。
目的はもちろん集団レイプである。
藤原は咄嗟にそう思った。
むしろそう願った。
だが、意外にも2メートルの黒人は鈴本氏の秘書だと名乗った。
トオルとひろしは、ゆっくりと会釈した。
「サアミナサン、アタタカイお茶デス。オセンべエモドウゾ」
その2メートルはあろうかという大柄な黒人が、白い歯を覗かせながら、
茶と茶菓子の入ったお盆を3人の前に置くと、鈴本さんが部屋に入ってきた。
そしてその黒人に対し、「ムルマカくん、しばらく席を外してくれないか?」
ムルマカは一礼し部屋を出ていった。
さて、と鈴本さんは一息吐いて一行を見回した。
「君たち、どうやってここに来たんですかな?」
彼自身もソファーに座ってから、もう一度、一行の顔を順に眺めた。
「私が説明しましょう」 ひろしが身を乗り出す。
「実は、この近くのダンジョンに迷い込んでしまいまして、とにかく前進しました。
そうしてはるばるこの雪野原に到着したというわけです」
「そうですか。君たちは、ええ、ダンジョンに迷い込んで、ここまで来た。と、こういうわけですな」
三人は一様に頷いた。鈴本さんは低く鼻を鳴らした。
「あのですね、ダンジョンのことですがね、あれは北方四島を繋ぐトンネルなんですよ」
驚愕の表情を浮かべる一行を前に、鈴本さんはこう続けて語った。
「そうだ自己紹介がまだだったね。私は代議士をやっていてね・・・」
彼は名刺を差し出した。一行は身を乗り出してその名刺を見た。
そこにはこう書かれてあった。
「衆議院議員 鈴本宋男」
ひろしは冷静に推理し、ある一つの結論に達しそうになっていた
「そうか・・・」
ひろしの頭脳で何かが溶解した。
静電気を帯びた電球が一瞬輝くように、池の波紋が広がるように。
すべての事象は明確になった。途切れ途切れのヒントは一本に繋がった。
よく考えれば簡単なことではないか。なぜ今まで気付かなかったのだろう。
気付かなかったのが不思議なくらいだ。そう、この人は、雪が大好き。
宋男は淡々と語り始めた。
「ことの起こりは、ちーいさい事だったんですよ。ま、それはそれでいかがなものかと思うのですがね」
ここで一呼吸置いた。
「あのですね。北方四島はですね。すでに要塞化されてたんですね。
だから日本の建設業の落札などあり得ないと。ところがですね」
ここで涙をぬぐった。
「異星人マドルの対惑星攻撃によって・・・グシュグシュ
草一本生えない土地に・・・・グシュグシュ」
宋男はもう声にならない声をあげていた。
「そうだったのか」
ひろしはぽつりと呟いた。
「日本政府は箱根の防衛局にすべて任せきり。
その防衛局の対異星人兵器もこの前戦力の半数以上を失ったんだと、聞いております」
宋男は言った。
「え? そんな機密事項、どうしてわかるんです?」
ひろしが問う。
「あのですね。蛇の道は蛇と。局内に私の同調者がおりましてね」
「スパイですか」
「まあ、平たく言えばそうでして。雑用係をちょっとばかり買収などしましてね。
ま、それはともかく、防衛局はたよりにならんと。
そこで、あんたがたに、日本の未来を託したいと、そういうわけでありましてね・・・」
「な、なして俺たちなんですか?」
尻込みするトオルに、宋男はその理由を答えた。
早い話が篭絡だった。
宋男は、ひろしたちを味方に引き込もうとしているのだった。
しかし、何故?
ひろしは眠りかけていた洞察力と推理力をフル回転させて、
注意深く辺りの様子を窺った。
その時、ひろしの目に飛び込んできたものがあった。
「砂時計」だった。
「あのですね、ひろしさん。私は知っているんですよね、アナタの素性を」
宋男は言った。
「この砂時計の砂の色、見覚えあるでしょう?」
黙ってしまった一同から返事がないと知ると、宋男は続けて話し出した。
「これはですね、択捉島の砂ですよ。アナタがたの攻撃によって、
こーんな玉虫色の砂になったんですと、こういうわけです・・・。
そら、玉虫色の政治、と申しますでしょう。あれはこの事に関しての暗号なんですよ。
マドル軍中佐『山本ひろし』さん・・・・」
催眠術が始まっていた。
ひろしは今までの経緯を洗いざらい宋男に喋ってしまった。
「よろしい。もうアンタに用はないのですが・・・このまま極寒の地に捨てるのも
いかがなものかと思いますので。パチ」
ゆびパッチンで黒人の秘書を呼んだ。
「箱根へ送ってやんなさい」
黒人秘書は、二人を抱えると、おかしな棺桶のような箱に押し込めた。
考えてみればトオルはナンにもしていない。作者が忘れていたのか。
どの作者の責任か。
「さて、あなたは要らないんですよ」
ギラリと眼光を鋭くさせて宋男はトオルを見据えた。
ああ俺は何て臆病なやつなんだ。
ゲームの中ではあれだけいきがっていて、現実ではもう足が震えて立てない。
俺は役立たずだ。人間、何かの役に立たなきゃ生きてる価値なんてないんだ。
ヒト一人は社会の歯車の一つだ。・・・・・・そうだろうか。
トオルの眼が冴えた。宗男は無表情のまま、トオルの心境を読み取ったように言った。
「ええ、君のような何の役にも立たない人間は沢山います。そして必要なんだ。
みながみな、役に立つ人間なら、代議士など要らない。
君は帰ってよろしい。故郷に帰って親孝行でもするんですな」
なぜかトオルは静かに泣いていた。
「友好の家」から追い出された――というよりは放り出されたトオルは
あまりの衝撃的な「友好の家」での出来事に錯乱していた。
「ふぅ、自分突っ込みカヨ。おめでてーな」
何とはなしに、トオルは呟いた。彼も今年で78の偏差値である。
彼はこっそり波止場へ向かい、船をチャーターした。
「箱根? 相模湾までなら5500万ペリカだ」
意地悪そうな船頭が言った。
波止場で対峙する二人。
「いいや。何で俺が箱根行かなきゃならねーの? 東京に帰るんだよ」
すましたトオルが言った。
「東京湾なら5000万ペリカだ」
船頭は少し負けてくれそうだ。
ここでトオルは思った。船頭を海に投げ込もう。
しかし、知能指数78のトオルには投げ込み方が思いつかなかった。
「偏差値と知能指数の区別のつかない厨房ハケーン」と
トオルは口に出しそうになったが、あえて言わなかった。
言ったところで、
「じゃあ、どう違うんだよ!」
と突っ込まれると答えられないからだった。
「ま、マサカ本当にわからないんじゃないだろうな」とも言いたかったが
そのままだと脳内で喧嘩になりかねないのでやめておいた。
厨房に付き合っていては話が進まない。
トオルは船頭に宗男の名刺を見せた。
名刺の効果は絶大だった。瞬間、船頭の顔が青ざめ、それから頬が上気した。
「こ、これは鈴本先生の・・・いやいやお見逸れしました。どうぞお乗りください」
ちゃんと定額の料金は払うと言うトオルに、船頭は首を横に振って受け取ろうとはしなかった。
「それでは、足元にお気をつけてお乗り願います」
途端に船頭の態度は慇懃なものに変わった。名刺の効果は想像以上のものだった。
しきりに顔色を窺う様子の船頭。トオルは生まれてから味わったことのない至福感に
酔いしれ、横柄な顔つきで船に乗りこんだ。
意識せず、トオルの胸に去来する様々な思い出。
小学生時代は近所のガキ大将に、無理矢理スカートめくりをやらされた。
中学生時代はクラスのいじめっ子に、写生大会だと称して教壇の前で
オナニーをさせられた。
高校時代は密かに憧れていた女子に、肛門に突っ込んだ割り箸の匂いを
かがされたあげく、原稿用紙三枚分の感想文を書かされたこともある。
それが今、明らかに自分にビクついている人間を目前にしているのだ。
トオルの態度が少しばかり大きくなるのも無理はなかった。
川の中ほどまで、トオルの天下は続いた。
世界には二種類の人間しかなく、それは奴隷と支配者だ。
そして、トオルは後者であり、船頭は間違いなく前者であった。
我が世の春を束の間謳歌したトオルに、船頭が口をきいてきた。
しかし、その口調はこれまでの態度からは想像もつかないほど乱暴なもので
トオルは一瞬、耳を疑った。
「さて、この辺でオマエには降りてもらおうか」
トオルは訳も分からないまま、固く太い鎖につながれた。驚くほどの早業だった。
そして、その鎖の先にはおよそ50キロはあろうかと思われる錨がつながっていた。
「・・・!? こんなことして先生が黙っているとでも思っているのか?」
トオルは思わず宋男のことを「先生」と呼んでいた。権威にすがるしかなかったとも言える。
船頭は口元に残酷な冷笑を浮かべると、憐れむような目でトオルを見下ろした。
「先生の名刺の意味が分かってないようだ。最期だから教えてやるが、
それは、それを見せた相手を『始末しろ』という指令書なんだ。
まあ、オマエには分からなかっただろうがな」
宋男の冷酷さにようやく気付いて蒼白になるトオル。
しかし、もう手遅れだった。
まだ冷たい水の底に沈んでいきながら、トオルは己の人生を呪うことしか出来なかった。
そのとき不思議な声をトオルは聞いた。
・・・なぁ・・・
「ん?」
極寒の水の底に沈みゆくトオル。
最早、身体中の関節が凍りつき、泳ぐどころかあがくことすらままならないでいる。
しかし脳の中枢神経を刺激するような・・・いや、本能に直接訴えかけているようなその声に、
不思議とトオルは耳を傾けていた。
それは死を目前とした、人間にしか聞こえない"幻聴"というものなのかも知れない。
だが、生き残るためのヒントを模索していたトオルにとってそれは天啓だった。
『もしかしたらこいつは"神様"って奴の声になのかもな・・・』
元々無神論者ではあったが今はそれにすがるしかない。
そう思いながらトオルは更に耳を澄ませ、その声に聞き入った。
・・・なぁ・・・ハリウッド版の実写ドラゴンボールの配役ってどうなるんだろうね?
「・・・知らねーよ!!」
とにかくトオルは渾身の力を込めて泳ぎまくった。
動かなかったはずの手足の末端に、怒りからか熱が込み上げてきた。
なんかバシャバシャやってたらなんとか対岸まで泳ぎ着くことが出来た。
「畜生、同じハゲだからってべジータ役にブルース・ウィリス起用したりしねーだろうな。」
いや、正直それもアリかな?などと考えながらびしょ濡れになったシャツを力一杯絞った。
究明編1 了 待て究明編2!
次回:究明編2 7月16日再開予定
お待たせ
プロットの食い違いにめげることなく続ける復活スレ
「■おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ究明編である
究明編2〜サーターアンタギーの謎〜
「ねえ、ずっと気になってたんだけど・・・」
防衛局を追われたノドカたちは、しょんぼり箱根山道を下っていた。
ノドカの気になっていること、というのは武田のことだろう――ケンは自分の不甲斐なさを呪った。
「ねえ、・・・・・・」
すまない、と心の中で詫びた。どんな謝罪を持ってしても償えない――仲間を見捨てたのだから・・・
「ねえ、サーターアンタギーって何なの?」
「え?」
「ねえ、何なの。食べ物なの? どんな感じなの?」
放心状態のケンの脇を、サッと人影がすり抜けた。
「それはね・・・」人影の正体はあのサーターアンタギー売りだった。
「沖縄の名産品でドーナツに似た菓子サー。全部取り上げられちゃって見せられないが・・・あ、ダメダメ
お嬢さん、それは見本サー。カマランよー」
おそらく、武田がこの場にいたなら、サーターアンタギー売りの正体を見抜いたであろう。
しかしながら、この二人には勿論、サーターアンタギー売りの素性などわかるはずもなかったのだ。
「お二人さん、行くところ決まってないようだね。そんなお二人さんに会いたがってる人がいます。
一緒に来て欲しいのだが・・・チララヤー」
見るからに怪しげなサーターアンタギー売りだったが、防衛局の連中よりはマシと、
用心しながらついていくことにした。
・・・サーターアンタギー売りは、ほくそ笑んだ。
テレパス実験をことごとくパスした武田に、司令は驚きの色を隠せなかった。
「何て潜在能力だ・・・おい、コイツは本当に一般人なのか?」
「ハイ、調査書に寄れば、特別な訓練を受けたことはないようです」
東海林の返答に、またも唸る司令。
「コイツは・・・使えるな」
「は?」
「新たなスッタモンダのバイオ回路はコイツのを使おう」
「バイオ回路・・・ですか。あれは禁止されたはずですが」
「今更何を言う」 苛立った司令の声は、特殊ガラス越しのため武田のもとへは届かなかった。
「スッタモンダに適応する回路の開発はクソ難しいんだ。
これだけのポテンシャルを持ち合わせている脳を、うっちゃっておくのは勿体がない」
「彼は生きてますよ」
「いいんだ。ロボトミー手術を施せ」
無感情に言い捨てると、司令はブリッジに戻って行った。
彼を見送りながら、ふとガラス壁の中の武田に目をやって、東海林は浅いため息を吐いた。
武田が独房に戻ると、さっきまでは無人だった室内に、人の姿があった。
鉄のドアが軋むので気付いたのだろう、ストレンジャーは振り向いた。
「誰だ、あんたは」
武田の問いに、彼女はまごついた。ブロンド髪を肩まで垂らし、大きい瞳が武田を見ていた。
白い法衣服のようなものを纏い、背は武田より少し低かった。
彼女は答えなかったが、表の看守が代わりに答えてくれた。
「そいつはお前の世話をするスマイリー入江だ。スマイリーと呼んでやれ」
無言でスマイリー入江はお辞儀した。
「フン、独房に押し込んだくせに結構な待遇だな」
毒づきながらも、スマイリー入江に対する注意は好意に変わりつつあった。
「よ、よろしくお願いします・・・」 消え入りそうな、か細い声だ。
「ああよろしく」
実験に疲れて、武田はベッドにゴロリと寝転がった。
スマイリー入江はその傍にある椅子に腰掛けて編物を始めた。
こうして近くで見ると、スマイリーの髪はブロンドというより亜麻色に近いことがわかった。
「いかがなさいました?」
視線に気付いてスマイリー入江が言った。
い、いや、別に、とか何とか誤魔化して、武田は向きを変えた。
眠れぬ夜の序曲である。
「サーターアンタギー!」
男が一言叫ぶと、岩屋の戸は開いた。
「ここが東海地方総少年探偵協会の本部です」
先ほどとは打って変わって、サーターアンタギー売りから琉球弁が消え失せていた。
ポカンとした表情で後に続くケンとノドカ。岩屋の戸をくぐり、さて少し進むと、
外観からは想像できない近代的な内装が現れた。
「ここは・・・何だ・・・?」
ケンの疑問を男はすぐさま打ち消した。
「だから東海地方総少年探偵協会の本部ですよ。略して黒パンの会」
しばらくしてエレベーターの入り口にぶつかった。が、ボタンがない。
「サランヘヨー!」
男が一声叫ぶと、エレベーターの戸は開いた。
「全部のドアは暗号式ロックでね」
「あんたは一体・・・?」
「僕?」 男はニヤリと笑って髪を掻き揚げ、変装を解いた。
「僕の名は近藤マコト。黒パンの会の副理事ですよ」
エレベーターは十二階まで続いていた。
近藤マコトの説明によれば、黒パンの会の構成員は12人。
理事の丹波コータローを筆頭に、理事代理(臨時理事)の武田、副理事の近藤と続く。
丹波が重大事件を扱っているため、「犬まゆげ事件」は武田と近藤が担当することになった。
というより、武田が持ちかけてきたのだそうだ。
「ところが、構成員の中には偏屈なヤツがいましてね・・・まあ、なんですか、
ジェダイに対するシスみたいなものですけどね、それほど大した連中でもないけど・・・。
反社会的な思想を持った青年を抱き込んで、小規模のテロを起こすんです。
ちょっと前にも黒川三郎が計画して実行したんです、勿論ヤツは警察に突き出しましたが」
「武田はそれに関与してたの?」
不安げな様子でノドカが質問した。近藤マコトは首を横に振った。
「いいえ。黒川が組織したのは黒覆面団。ネット上で犯罪予告をしてた連中の寄せ集めです」
「それって危険な集団なの?」
「黒覆面団はそうでもありません。ああいうのは大半が『ネタ』ですから・・・」
エレベーターが十二階に着いた。可愛らしいチャイムが鳴って戸が開くと、清掃夫が待っていた。
「やあ、ヤス」
近藤マコトが気軽に声を掛ける、ということは、清掃夫は変装した構成員なのだろうか。
「ヤス、あの婦人にこちらのお二人を会わせてやろう」
清掃夫は動揺する様子もなく、パッパと足音を立てて部屋へ入っていった。
「スマイリー、水をくれないか」
スマイリー入江は、はい、と及び腰に返事して、すぐに水差しを持って戻って来た。
「・・・君は、ここの局員なの?」
スマイリーの顔が近付いた瞬間を逃さず、ソッと尋ねた。
彼女は怯えた表情をしてサッと後ろに飛び退いたが、しばらくしてコックリ頷いた。
「ここの連中は、一体、何をやらかそうっていうんだ?」
「そ、それは、異星人の侵略から地球――いえ、日本を守るためで・・・」
「じゃあ、こういう施設が世界中にあると言うのか?」
「ええ。・・・ご存知ありません? アメリカのエリア51のこと・・・」
「あんなの、オカルトだと思ってた」
気まずい沈黙が続いた。空咳をして、武田が問うた。
「今までに、侵略はあったの?」
「ありました。それはもう。大変なことで・・・」
「スマイリー!」
会話の内容を聞き取った看守が怒号を上げた。スマイリー入江は竦み上がった。
「す、すみません・・・」
「おい、あんたら、一体僕をどうしようってんだ」
代わりに看守に向かって喚いた。
「知らないな・・・私の任務はただ、お前を監視することだけだ。あとは・・・」
「お上の言う通り、ってわけだな」
武田は不機嫌に鼻を鳴らした。
相対す。空いた椅子ではない。
ケンは、かつての知人と思いも寄らぬ場所で再開することになった。
思い返せば、砂時計の一件以来、犬まゆげの仲間のくせに姿を現さなかった。
明美はただ、ケンへの復讐が目的だった――そう告げられたのは、しかしケンも予想済みだった。
「あなたを殺さなくてはならないわ」
空手の割に、明美はズバリと宣言した。
「わかってる」 ケンも、この場面には不似合いなほど、落ち着き払っていた。
「だが、今ここで死ぬわけにはいかないんだ。あと、一週間だけ俺に時間をくれないか?」
「ダメよ」
「武田をあのまま放っては置けないんだ。・・・五日」
「四日。それ以上は待たないわ。そうしたら死んでくれるんでしょうね?」
「・・・ああ」
「お話は済みましたか?」
近藤が部屋のドアを開けた。済んだよ、とケンが答えると、彼の無傷の姿を見て、近藤は
「なるほど、無事でしたか。ハハ」とだけ言った。
部屋を出ると、ケンは自分のシャツが冷汗でぐっしょり濡れているのに気が付いた。
「あんた・・・俺を殺させる気だったのか?」
「まさか。しかし我々は復讐や自殺を認めていますので・・・」
「もういい」
テラスでノドカが待っていた。
「あのさ」
「凄いのよ!」
ノドカの興奮した声がケンの言葉を掻き消してしまった。
「ここの図書室、私の写真集が置いてあるんだから」
「どうせ武田が入れたんだろ」
「僕です」 近藤マコトが飄々とした顔で言った。
「ふん、どこだ、そのくだらない図書室とやらは・・・」
「ここですよ」 近藤マコトは力一杯ケンを突き飛ばした。ケンの体はフェンスを飛び越え宙を舞った。
な、なにを・・・後は言葉にならなかった。
バタン! と響いたのはドアの音だった。武田がベッドから跳ね起きると、来訪者は東海林だった。
何かを言いかける武田を制して、東海林は小声で言った。
「君は十分後、問答テストをする。腹話術師の問題に君が答えるようになってる」
「・・・・・・」
「だが、最後の二問、No.12とNo.13は答えちゃ駄目だ。全問腹話術に見せかけて、
最後の二問はテレパスで出題してくる。これに合格すると、君は困った立場になる」
「・・・・・・」
「忘れるなよ。12と13だ。どんな問題にしろ、答えてはいけない」
思わず頷く武田を見て、ようやく安心したように東海林は部屋を出て行った。
「どうしたんですか?」 何も知らないスマイリー入江が入れ違いに入ってきた。
「問題1、オボッチャマンの正式名称は?」
「・・・キャラメルマン4号」
「問題2、ジョディ・フォスター初主演の映画のタイトルは?」
「・・・・・・こ、木霊の家」
「問題3、ドイツの高速道路――」
「アウトバーン。・・・フン、ぬるいな」
「問題4、幽遊白書の作――」
「武内直子」
「問題5、(クイズマニアかコイツは・・・ケッ、オタクが) 昨年――」
「何だと!?」
「まだ何も・・・」
ガラス越しに司令は薄く笑い、東海林は自分の忠告が全く意味を成さなかったことを悟った。
四方八方に、うずたかく書物の山が脈を作っている。
「驚いたでしょう、我が協会の蔵書量に」
テラスの下にはマットが敷かれていて、その先に図書室の扉があった。屋外に突き出している格好だ。
とりあえず近藤を一発殴っておいて、ケンは図書室の内部に足を踏み入れたというわけだ。
「ふーん、こいつは凄い。世界のありとあらゆる文献が揃ってるって感じだ」
「小グリーン家、と我々は呼んでいます。この蔵書室は協会の誇りですからね。
あ、ダメですよ、板東さん(でしたよね?)、その本はラテン語です」
一通り、眺めてみたが、生憎ケンの好むような本(『さらば、逆ハン愚連隊』とか)はなかった。
と、一冊の書物がケンの目を掠めた。何かが、あった。そうケンは感じた。
「あの本・・・」
近寄って確かめてみると、タイトルが不自然だった。
『 ケミストリー 』
蘇る明美宅での記憶。
(――は? アサヤン出身?――)
「どうして、ジャケットでもない普通の本にケミストリー・・・?」
ケンは振り返った。
「なあ、これって化学の本なのか?」
「拝見。・・・いや、ちょっと知らないですね・・・見覚えないです」 首を傾げる近藤マコト。
くそっ、苛立たしい、色んな記憶がごっちゃになりゃあがる(――ケミカルウォッシュ…)こんな、
こんな経験は(――ケミストリー、バイオロジー、サイコロジー…)初めてだ・・・。
――ケンは意を決してカバーを外した。これこそ、『ネバーエンディングストリー』なのだ!
『ケミストリー(笑)』
「カワバンガ!」
ケンは本を床に叩きつけた。
究明編2 了 待て回想編1!
次回:回想編1 7月25日再開予定
お待たせ
予定通りに進行しなくても続ける復活スレ
「■おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ回想編である
帝国惑星エストラダ――
冷たいリタノチウムの壁に囲まれて、部屋の照明はボンヤリとしていた。
嵌め殺しの窓からは、真っ暗な宇宙空間の流れる様が見られ、
時折大きな恒星がきらめいて消えた。
「いつまで外を眺めているの? ひろし」
ひろしが振り向くと、彼女は肩をすり寄せてきた。
「マーヤ・・・それで、話って何だい?」
ひろしはエストラダ星人――マドルの中でも英雄と言われた男だったが、
それでも、マドル軍の中でも美人と評判のマーヤに部屋に誘われて平静を保つのは、困難を極めた。
マドルは恋愛を禁止している。というわけではない。そこがジェダイと違うところだ。
しかし、ひろしにはそういう経験がほとんどなかった。
仕事に身を投じ、戦争のため明日の命も知れぬひろしには、恋愛をしている暇など無かった。
ところが、あの高嶺の花、マーヤがひろしを部屋に誘ったのである。
ひろしが動揺しているのも無理はなかった。
「実はね、ひろし・・・マザーハッカーなの、私」
空気が止まった。張り詰めた。え? と問い直すひろしに、マーヤはもう一度繰り返した。
「知ってるでしょ、マザーハッカーのこと」
「・・・ああ。軍のマザーコンピューターに侵入していたテロ集団だろ。提督は内部の仕業だと断言している」
「近頃は小規模の爆破もやるわ。私たちは軍に抵抗しなくてはいけないのよ」
「なぜ、そんな話を僕に? 君を告発するかもしれないぜ」
「そんなこと、あなたはしないわ。いかに軍から称号を与えられようとね。
マドルが階級制度をとってなくて良かったじゃない、私たちは対等なのよ。反抗したら私が消すわ」
二人はジッと睨み合った。しばらくのち、ひろしが折れた。
「なぜ、軍に抵抗なんかするんだ? 何か不満でもあるのかい?」
「大アリよ。あなた、まさか知らないわけじゃないでしょう、『犬まゆげ計画』の話」
「知ってるさ。だが、あんなのはただのウワサだろ」
「そうでもないのよ。第一、ただのウワサに『マザーハッカー』なんて組織ができると思う?」
しばし、ひろしは沈黙した。彼はこれまでの記憶を遡って考えてみた。
(おーい、ひろしぃ・・・焼きそばパン売り切れちまうぞぉ・・・)
遡りすぎていた。ので新しい部分にスイッチした。
(開発・・・生物兵器・・・新しい・・・犬・・・犬まゆげ・・・)
(巡回中の偵察機が・・・突如・・・消えた・・・消失・・・)
(上層部の・・・マッドサイエンティスト・・・ティスト・・・B&B再結成・・・)
(・・・偵・・・察機には・・・ハイズン提督・・・等の・・・有力人物が・・・)
(・・・関係していた?)
「軍の闇研究のコードネーム、それが『犬まゆげ』よ」
ラジエータの機械音が、低く湿って伸びた――。
あんたは弱い子なんだから・・・。
母さんの声が、うっすらと聞こえた。
お前はそんな気弱で恥ずかしくないのか・・・!
父さんの声が、うっすらと聞こえた。
馬鹿な友達、馬鹿な親。馬鹿な先生、馬鹿な群集。
何だって、こんなにも溢れてるんだろう、無価値な人間ばかりが。
狂ってる。
世の中、狂ってる、俺という人間を枠の外へ放り出すような
世界。
そんな世界なら、要らない。必要ない。無くなればいい。
「その通りだ。現在、我々は革命を必要としてるんだ」
黒川さんはいった。
黒川三郎という人が、初めて俺の前に現れたのは、半年前のこと。
何もかもいやになって、くさって、ネットで犯罪データ蒐集をしていた俺のパソコンに、
一通のメールが入っていた。
遊びで、ネット上で犯罪予告をしていた俺の所業を、なぜか知っていた。
革命思想を持った青年が決起し、世間に警告を発する。
そんな内容の、イタズラにしか思えない一通だったが、妙に心惹かれた。
記載されていた場所へ、同じく記載されていた予定日時に行った。
辺りが暗くなる頃、ビル街の片隅に、青年たちは集まった。
一際、目立っていたのが、主催者の黒川三郎さんだった。
彼は、自分の持っている情報網、協力者の数を、半信半疑の青年たちに詳しく示した。
「我々は、君たちが想像しているような小犯罪を行うものではない。
革命的な、爆破、暗殺、窃盗を繰り返す。
自分の国は自分で守らねばならない。こんな世の中のままでは、近い将来に崩壊してしまうだろう」
のちに手渡された黒覆面を、俺たちはそれぞれ被った。
黒川さんの指揮の下、革命的な事件を起こせると思うと、心が躍った。
けれども、藤岡暗殺計画を実行中、まだ何もしていない俺が、妙な次元へ飛ばされてしまった。
何も、達成せぬまま。
焚き木の爆ぜる音に、目を覚ました。
トオルは、火を消してから、再び、まどろんだ――。
回想編 了 待て叛乱編!
次回:叛乱編 8月末日再開予定
お待たせ
回想編が2レス分しかなくても続ける復活スレ
「■おまえら、無理矢理続きを書いて下さい」
いよいよ叛乱編である
"ノドカ"のタクシーがようやく動きを止めたのは、北海道函館市にある上湯川町の一角だった。
トラピスチヌ修道院で有名なこの町のさびれたビルに突っ込んだのだ。
運が悪いことに、そこへちょうどビルの持ち主が出てきて弁償を迫ったのだった。
持ち主は堀コンロ。風水占いで生計を立てている21歳である。
「壁破損、ガラス破損で25万円いただきます・・・」
夕闇に、ぼうっと浮かぶ恨めしそうな顔が不気味だとノドカは思った。
「25万なんて持ってるか! ゴルァ!」
後部座席から這い出してきたギコ猫マルロが怒鳴った。
「とりあえずお入りになって。このビルの借り手はまだないから、私の占い館にしているんですけど」
堀コンロの提案に、ノドカは渋々承知した。マルロは鼻を鳴らしながら後に続く。
玄関を抜けると、中世ヨーロッパ風の内装が現れた。
ものものしい雰囲気が、借り手のつかない理由を顕著に示している。
薄暗い廊下を少し進んだとき、堀コンロは突然叫び声を上げた。
「・・・ね、猫がしゃべった!」
彼女はそのままぶっ倒れた。
堀コンロの「マジカル☆風水」の事務所に無断に入り、彼女を寝かせて1時間ほど経ったろうか、
パッチリと堀コンロは目を覚ました。「あら、ここは・・・」
「急に倒れたんだよ」 ノドカが苦虫を噛み潰したような顔で言った。
「ふーん、そうなの」
適当な相槌を打って、堀コンロは伸びをした。
「それで、何を占って欲しいのかしら?」
「はぁ?」
ノドカは訝しんだが、どうやら堀コンロはショックで事故のことは忘れてしまったらしい。
好都合な上、藤原たちの動向が気になったノドカは占いを依頼した。
「うんうん、なるほど・・・。あなたのお仲間、藤原さんの状態を占えばいいのね・・・」
堀コンロは部屋の明かりを薄暗くし、怪しげな風水図の入った布をテーブルに置いた。
なにかオーラのようなものが、ノドカにも感じられた。
マルロも息を潜めて、堀コンロを見守る。
布の上に両手をかざし、堀コンロは呪文のようなものを唱え始めた・・・。
「・・・藤原さん、藤原さん、いらっしゃいましたら三階ロビーまでお越し下さい・・・」
布の上に光の蝶が舞った。
「・・・藤原さん、藤原さん、おいでください・・・」
すると。
あっ、と小さくノドカが叫んだかと思うと、布に赤い文字が浮き出てきたのである。
『藤・・・』
堀コンロは詠唱を続けた。
『藤原・・・は・・・死ん・・・だ』
「藤原さんは死んだそうです・・・」 堀コンロが小さく言った。
「な、なんで!?」
『理由・・・理由は・・・』
「理由は?」
『理由は・・・ええと・・・』
「理由は?」
『・・・うーん・・・いっちゃっていいのかな・・・どうしようかなー・・・』
「早く教えなさいよ!」 ノドカは怒号した。
『いや・・・いってもいいんだけどさ・・・でもなあ・・・』
皆まで言わせず、ノドカは布を窓から投げ捨てた。
「わかりました。今度はちゃんと風水で占いましょう・・・」
堀コンロは醒めた視線でノドカたちを見つめた。
「しかし、私の風水は黒魔術風水。どんな結果が出ても知りませんよ・・・」
再び堀コンロは詠唱に入った。
「・・・ごめんやして おくれやして おくれやっしゃー・・・」
すると。
地獄の底から響くかと思われる、低い低い声が辺りに響き渡った。
『・・・藤原は・・・鈴本なる人物によって始末された・・・山本ひろしも・・・』
「ええっ!?」
『しかし・・・ひろしは・・・かろうじて生きている・・・が・・・このままでは・・・彼も死ぬ』
「ひろしがっ」 マルロは蒼白になった。
『まあ、聞け・・・そんなことより遥かに重大な事件が・・・箱根で起きようとしている・・・』
「は、箱根?」
『そうだ・・・武田・・・とか諸々の・・・まあなんだ・・・そいつらも危険だ・・・』
「まあなんだ、って何なのさ!」 ノドカのこめかみに血管が浮いた。
『・・・箱根に・・・ヤツがいる・・・叛逆を起こそうとしている・・・』
「誰なの、ヤツって」
『ヤツとは・・・あれ?・・・おかしいな・・・声がー・・・遅れてー・・・出てくるよー』
「腹話術かよ!」
避ける間もなく、ノドカの右ストレートが堀コンロの肋骨を粉砕した。
設備の点で箱根防衛局に優る施設は、日本広しといえど存在しない。
彼らの誇る最大の兵器『スッタモンダ』と並び賞賛される、防衛局のマザーコンピューター・・・
『ブラッド・ケニー』。
専用回線で全施設の電力・磁力・重力・気圧を調節し、全データを所有する箱根の化け物である。
「おい、東海林君。『ブラッド・ケニー』へのデータ転送は済んだかね」
防衛局司令が椅子に座ったまま尋ねた。東海林はすぐと答えた。
「大丈夫です。伊勢湾防衛局から送られたデータはすべて転送済みです」
「ふん。名古屋のやつらのデータなぞ、当てにならん」
とはいうものの、防衛局ネットワークのありがたみを最もよく知っているのは彼らなのだ。
異星人マドルとの戦いは並々ならぬものである。
まず、防衛局のほうは彼らの情報をほとんど持っていないし、
何よりマドルの防御フィールドに対して何が有効なのかを未だ完全には知らずにいる。
唯一、僅かばかりのデータから推察された対マドル用兵器スッタモンダがあるばかりだ。
そしてそのスッタモンダも武田という一個の少年によって2機を失ってしまった。
苦しい状況は司令も理解している。それでオペレーターに怒鳴りつけることになった。
「4号機のほうはどうなってるんだ? 開発班に繋げ」
「・・・3番モニタに開発班出ます」
画面に白衣を着た河北サラミの姿が映し出された。一見、白い豚である。
『な、何かご用でふか。ふー』
「スッタモンダ4号機はどうなってる?」
『ぶふー』 サラミは首を横に振った。『4号機はやけに手間取っていまふ。先行型とは全く違いまふ』
「どこが違うんだね、主任」
『主に材質でふ。従来通りでふと、磁気抵抗が750ジゴでひた。今回使用する物質は1200ジゴでふ』
サラミは晩冬だというのに汗を滝のように流していた。
『従来の物質「リタノチウム」とは少々異なる性質がありまふ。リタノチウムの同素体なのでふが、
ピパード方程式から算出した結果によりまふと、コヒーレンスの長さは7倍でふ』
「専門用語には興味ない」
司令の強張った表情からさすがに察したのか、サラミは恐縮したように肩を振った。
『とにかくでふね、材質が違うと設計も変更を余儀なくされるのでふ。それで随分かたちが変わりまひた』
「チマキやちくわではないのか」
『全然違いまふ。サトウキビでふ。例えとしてはサトウキビが最適でふ』
「違いがわからんな。・・・主任、何を食っている?」
「あれはサーターアンタギーですね」 東海林が横から口を出した。
『すみまふぇん。おなかが空いてたもので。なかなかイケますよ、これ。モグモグ』
「通信終了!」 司令が怒鳴った。
スマイリー入江が洗濯物を持って独房を出て行くと、入れ替わりに東海林が入ってきた。
「またあんたか。今度は何だい」
武田はうんざりした声でいった。東海林は眉をひそめて右手を眉間に持っていった。
「私はね、君を連行したことを後悔している。ここの連中が君をどうするか、わかってるのかい」
「わからないな」
「ならば私から教えてあげよう。君の脳を摘出し、スッタモンダのバイオ頭脳に仕立て上げるのだよ」
武田は口笛を鳴らした。「そりゃ、・・・実に珍妙な考えだな」
「実際、過去に同じような事例は幾つかあるんだ」 と東海林。
「酷い話だな」 まるで他人事のように武田がいう。
「私はその計画に反対だ。何の関係もない君を巻き添えにするのはおかしい」
「そうかい。じゃ、あんたたちの司令にそういってくれよ」
「そう突っかからないでくれ」 東海林は苦笑し、「君をここから助け出してやろう」
「どうやって?」 半信半疑の武田。
「それはまだいえない。機会が来れば君にもわかるさ。・・・おっと、長居しすぎたようだ」
丁度、スマイリー入江が戻ってくるところだった。
『河北サラミ主任、河北サラミ主任、第5試験室においで下さい』
アナウンスが二度繰り返されたのち、サラミは大きく舌打ちした。
「今から『ジャングルクッキング』が始まるってのに・・・」
ぼやいてもしょうがないので、サラミは席を立ち廊下に出た。
第5試験室へは、例の新スッタモンダを開発中の第1フラットを通らねばならない。
「うぃーす」
第1フラットのエアシャッターが開くと同時に声をかけた。
「あ、主任、ご苦労様です」
「こっちは順調です」
サラミは鷹揚に頷いて見せた。「うん。頑張ってくだはいね」
と、フラット内に頓狂な声が響いた。
「あれーっ?」
見ると、スッタモンダ保管庫のドアの前で研究員の野々村が慌てている。
「どした?」 怪訝に思って声を掛けるサラミ。だが、野々村は妙な表情で振り返ったきり動こうとしない。
「なんだ、見ふぇてみろ」
「やめたほうがいいすよ・・・」
尻込みする野々村を巨体で押し退けて、サラミは保管庫の窓を覗き込んだ。
サラミは目を疑った。
「マンマミーア!」
鶴の一声でわらわらと群がるエージェントたちを制して、サラミは一息吐き、報告した。
「スッタモンダは起動している」
ええっ、というどよめきがしばらく収まらなかった。
「どういうことです、紛失したとか破損したとかじゃなくて、起動ですって?」
「それなら我々の研究が成功したということですか」
怪しむ者、喜ぶ者、様々だが、共通しているのは全員が驚いていることだ。
「まあ、まあ。落ち着きなはい、みなはん」
サラミがでっぷりした体を揺すっていった。
「スッタモンダが動くのは予想外も予想外。だいたい、僕らはまだその段階まで研究を進めてはいまへん」
「じゃあ、どういうことです」
「今いえることは、僕たちはこのフラットから出られないということでふ。いや、出てはいけない」
シャッターのボタンに手を掛けかかったエージェントが後に退いた。
「スッタモンダ4号機は無人兵器でふ。オートシューターともいうべき代物だ。
下手にここから逃げ出そうとすると、敵と見做して発砲しかねない。ぶふー」
「そんなあ」 女性エージェントが泣き崩れた。
「それから、誰か我々以外にスッタモンダをいじった人間がいることも事実でふ。
スッタモンダが何者の手にもよらず動き出すなんてありえないからね」
オペレーションルームへ緊急信号を送ると、彼らはフラットの床にうずくまった。
緊急信号が送られ、司令は事態を悟った。
「すぐに警戒態勢を取るよう、通告しろ!」
東海林は司令に歩み寄った。「スッタモンダが暴走し始めたらどうすればいいんです」
「それは・・・わからん。わからんが、手のないこともない」
司令は女性オペレーターを凝視した。オペレーターは竦み上がった。
「いやっ、セクハラだわ、変態ジジイ!」
「馬鹿者っ! セクハラではない。鏡を見てから出直して来い」
怒りのため、司令の肩はブルブルと震えた。
「くそっ、身内に裏切り者がいたか。・・・だが、こいつを使えば何とかなるかもしれない」
オペレーターの脇にある『秘密だよ♪押さないでね』ボタンを押した。
「『ブラッド・ケニー』、応答しろ!」
甲高い機械音のあと聞こえてきたのは、人工の人間の声であった。
『・・・コチラ、ブラッド・ケニー。ドウシタ?』
「スッタモンダが何者かによって起動させられた。対処法はないか」
『犯人ハ解カッテイルノカ?』
「まだわからん」
『ワタシハ、知ッテイル。教エテ欲シイカ?』
「勿論だ」
『・・・ソレハ、ソコニイル東海林ダ』
「何だと!?」
「やれやれ、さすが『ブラッド・ケニー』だ。まあ、予想の範疇でしたがね」
東海林は不適に笑った。
なぜだ、なぜ貴様、我々を裏切った」
「裏切ってはいませんよ」
東海林は表情を厳しくした。
「1つは武田君のことです。彼を解放してやりたい」
「他は」
「もう1つは・・・」
言いかけた折も折、無人の第3フラットが爆発した。
茫然と立ち尽くす二人のうち、司令が先に我に返った。
「東海林ッ! 貴様!」
東海林はガタガタと震えだし、唇からこぼれるように言葉を発した。
「・・・ぼ、僕じゃない。違う、あれは僕じゃない」
いい終えぬうちに第7フラットが爆発した。
当然ながら、二度の爆発音によって、第1フラットの人間は恐怖のどん底に在った。
サラミも例外ではない。震えながら、救急班の到着を待った。
――ガー・・・
エアシャッターが開いた。
「助かった!」と誰もが思ったのも束の間、現れたのはひょろりとした私服の男だった。
「馬鹿、入ってくるな!」
サラミが叫んだが・・・遅かった。その馬鹿はすでにフラットの内部に足を踏み入れていた。
「どうしたんだ?」
キョトンとした男の後ろから、
「ちょっと、早く前に行ってよ!」
見た目かわいいが、どこか品のない少女が入ってきた。
「ドイツもコイツも、イタリアも」
サラミの駄洒落に笑う者は、今や誰もいなかった。
「司令、モニタに第1フラットの様子が出ます」
オペレーターがいった。東海林から目を逸らさず、司令は椅子に腰掛けた。
やがてやって来たセコビッチに東海林は拘束された。
「出してくれ」
司令の合図でフラットの様子が映し出された。
「なんだ、あれは!? 民間人がなぜそこに?」
司令の叫び声と重なって、オペレーターの言葉が反響した。
「あれはケンとノドカ!」
一瞬の沈黙。東海林はまさかとオペレーターの顔を凝視した。司令も同様である。
「は、は、は! 時間切れですね。そうだ、僕は武田だ」
オペレーターの変装を解き、武田は二人を睨んだ。
「東海林、僕はあんたをイマイチ信用できない。
南総里見八犬伝じゃ、敵側の人間が味方になったりするけどね。現実はそう巧くできてないよ」
「信用されなくて残念だな」
「4号機は設計上サトウキビのかたちになったと開発班主任はいった。
それもおそらくは君の手が入っている。
さらに、君は主任の食べているものがサーターアンタギーとわかった。ローカルすぎる。
そこから導き出される答えは、君は琉球かぶれだということ。
そしてスッタモンダ4号機の陰の製作者だということだ。東海林、いや・・・黒川三郎君」
「・・・えらい。よく僕が黒川だと見抜いた。褒めてやるよ。しかしね、東海林イコール黒川
という君の説は間違っているんだよ」
「・・・・・・」
「わからないかね。僕は東海林の影武者だ。スッタモンダ暴走のとき、そして爆発のとき、
僕はここにいた。そう、オペレーションルームにだ。ここでは手が出せない」
武田は沈黙した。一方の黒川は饒舌だった。
「近藤が、僕の古い変装セットを使ってサーターアンタギー売りに扮していた頃から、
東海林は君に注意していた。そこで僕を寄越したわけさ。
といっても、東海林として僕が君の前に姿を現したのはさっきが初めてだけれどね」
「なぜ、東海林に従ったんだ?」
「ブタ箱から出してくれるならどんな人間でも構わなかったさ。だが東海林は頭の切れるやつだ」
「君の話が本当なら、東海林は今、どこにいる?」
「さあね。僕はそこまでは知らない。革命主義に共感はしたが」
「おい」 と、急に司令が割り込んできた。
「こいつは東海林だか黒川だか知らんが、そっちの小僧は武田に間違いないのか」
「間違いない」 と武田。
「そんな、馬鹿な! 独房にコイツがいなければ看守が気付くぞ!」
狼狽する司令に、武田は皮肉な響きを持って教えてやった。
「入れ替わったんだよ。スマイリーとね。あんたたちは僕を甘く見すぎてたよ」
「そうだったか・・・なるほど、スマイリーなら女物の服を持っていても不思議ではない」
ん?
武田は何か引っかかった。
「どういうことだ、女物の服を持っていてもってのは。女なんだから当然だろ」
今度は司令が妙な表情をした。
「何をいってるんだ君は? スマイリー入江はれっきとした男だぞ」
武田の目から光が消えた。
途端に武田は膝から崩れ落ちた。
「僕の・・・僕の青春を返せよ・・・」
叛乱編 了 待て復活編!
次回:復活編 9月某日再開予定
休憩・・・
■ 名も無き謎 復活編 (上)
何かが俺を圧している――彼は朦朧とした意識の中、漠然とそう感じた。
それは段々と痛みを伴ってはっきりしてきた。
冷たい空気、固い壁と床。狭い空間。そこは棺の中だった。
「そうだ、俺は棺の中に入れられたのだった」
意識が完全に途絶える前に、彼は自分の体が箱の中に押し込められるのを見ていた。
「俺は死んだのか」
違う、違う。俺は死んではいない。ほんの少し、夢を見ただけだ。
懐かしいマーヤ。懐かしい故郷。
ひろしはそこまで考えて、あの忌まわしき"犬まゆげ"を思い出した。
犬まゆげの正体は今や、明確になっていた。
ひろしの故郷、エストラダ星にて突如沸き起こった反乱組織マザーハッカー。
彼らはマドル軍の"行き過ぎ"な計画に実力行使で反対していたのだった。
「犬まゆげ計画」。
マドル軍最新の生物兵器ドッガイブラシを用い、
目的の星の住人の遺伝子をすべて猫や犬のものに書き換えて、たやすく侵略を遂行する。
密かに実験台にされた兵士も少なくないという。
その闇研究のコードネームが「犬まゆげ」だった。
・・・って、なぜ俺が総集編のようなことをしなければならないのだ? とひろしは顔をしかめた。
「アジャラカモクレン キューライソ テケレッツノパ!」
と例の呪文を唱えると、ひろしは棺の蓋をガラリと開けた。
外の光が差し込むと、そこは船内で、
見張りらしき黒服の男がポカンと口を開けていた。
先手必勝、
ひろしは黒服に左ジャブから右フックへ流れるように叩き込むと、
気絶した男の上着のポケットから鍵を取り出した。
行かねばならない、とひろしは自分に言い聞かせた。
もう一つ、棺があったが、藤原はおそらく死んでいるだろうと考え、
取りあえず甲板に出てみた。
船は「ようこそ伊豆へ」という横断幕のある港町へ入港しており、
伊豆半島の東側に着いたらしかった。
ここから箱根までは近いはずだ。
しかし、すんなり先へ進める気配はなかった。
案の定、黒服の集団が有象無象に群がって、
ひろしの姿を認めると、テトラ・トライ・フォーメーションを築き、揃って拳銃を構えた。
「万事休す、か・・・」 空手空拳のひろしに為す術はない。
響き渡る銃声。
が、ひろしは無事だった。
悲鳴と呻きが重なって、そこへ累々と倒れているのは黒服たちのほうだった。
視界が開け、現れたのは、片手にエンフィールドを構えた少年だった。
「・・・山本ひろしさんですね」 少年が銃を下ろす。
「僕は近藤と言います。トオルさんとマルロさんから話は伺っています。どうぞ、こちらへ」
唖然としながらも、ひろしは近藤に従った。
タラップを降りたとき、ひろしが振り返ったのを見て、近藤は微かに笑った。
「大丈夫です、僕は麻酔弾しか持ってない」
話は一気に遡る。
堀コンロの占いによって武田たちが箱根にいることを知ったノドカ(香港映画系)とマルロ。
彼らは少々破損したタクシーを引っ張り出し、空港へ急いだのであった。
先記にある通り、北海道函館市上湯川町はトラピスチヌ修道院で有名で、空港にも近い。
ところが、走り出したのも束の間、突如人影が前方を遮ったのだ。
激しい軋音を立てて、タクシーが急停止する。
「バカヤロッ! 危ねえだろ!」
開けた窓からノドカが怒号したが、相手は食い下がった。
「頼む、乗せてくれ! 金はないけど」
「無銭乗車予告だと? よしよしいい度胸だ」
ノドカはアクセルを踏み、相手は跳ね飛ばされた。が、まだ追いすがってくる。
「なんだ、アタシらは急いでるんだ」
「頼む、乗せてくれ!」
「同じ台詞を二度聞く気はないね」
ノドカの冷血とも言える宣告に、しかし彼はひるまなかった。
「俺が行かなきゃ、ひろしは死んでしまうんだ」
「ひろし!?」 後部座席のマルロが反応した。
「落ち着きなさいよ、ひろしなんて名前、珍しくない」
「山本ひろしだ。知ってるのか?」
「山本ひろしを知ってるかって? 知らなくってさ」
マルロが興奮してノドカにドアを開けるように言った。
「何だ、こいつは・・・」
ぶつくさ言いながら、不本意だがしょうがないというふうに、ノドカはドアを開けてやった。
「そうして、ここへ辿り着いたわけです。
ウチの見張りが彼らを発見し、皆さんとの繋がりを知ったのです。
彼らの中に渡辺トオルという人物がいて、
ひろしさん、あなたが棺に入れられて東伊豆港に運ばれてくると言うのですよ。
それで半信半疑ながらも僕が出向いてきたわけです」
「なるほど。大体の事情は察しました。
しかし、私はここでまごまごしていられない。
早いところ防衛局に乗り込んで、犬まゆげを阻止しなければならない。
鈴本は箱根防衛局がマドル軍対策のすべてを任されていると言っていた。
そこに犬まゆげがいるに違いないんです」
ひろしが吐き出すように喋ってしまうと、
石を海に蹴り込んでいた近藤はキッとひろしを見据えた。「その必要はありません」
怪訝な表情を見せるひろしに、彼は注釈を加えた。
「犬まゆげと称す男は、すでに武田さんによって射殺されています。
佐々木洋照、それが犬まゆげの本名でした」
「馬鹿な! それは違う」
狼狽したひろしの様子に、今度は近藤が戸惑った。
「どういうことです?」
「・・・話せば長くなります。とにかく、防衛局に乗り込んでから善後策を講じよう」
河北サラミは大弱りだった。
4号機は今までのスッタモンダとは全く異なる。
スペックが違うのは当然だ、従来の型とは別物なのだから。
勿論、彼自身が開発主任なのだからして、
彼がスッタモンダの異常を直すのが筋なのだが、
いかんせん内部が元の設計とは違いすぎた。
おそらく犯人はスッタモンダの内部機器をあらかじめ改竄していて、
操作パネルにクラックして遠隔操作を行なっているに違いない。
サラミが説明すると、エージェントたちは揃って嘆息した。
「なんだ、あんた。主任のくせに何もできねえのかよ!」
そう叫んだのはケンである。
「何とかしろよ、これくらいよ」
「言うのは簡単でふがね」 サラミは細い目を吊り上げた。
「トーシロにとってみれば『これくらい』でも、プロにとってみれば大事件なのでふよ」
「プロだから、何とかすべきなんじゃないのか?」
「ふふん。見た事もないようなパズルのピースをどうやって扱えと言うのでふか?」
「主任」 唐突にエージェント野々村が言った。「やりましょうよ」
「あ?」 口をあんぐり開けてから、怒鳴る。「どうやれってんだ。ぶふー」
「不可能を可能にするのが、河北チームじゃなかったですか」
「ハッ・・・」
エージェント全員の心に闘士が宿った。そうだ、俺たちでなくて誰がやる。皆が叫んだ。
「やりましょう、主任」
「主任!」
駆け寄るエージェントたち。涙ぐむ河北サラミ・・・。
「み、みんな・・・」
「ハイッ!」
「お腹すいたね」
復活編(上) 了 待て復活編(中)!
次回:復活編(中) 9月末日再開予定
復活編の次はいよいよ最終章、野望編。なり。
■ 名も無き謎 復活編 (中)
防衛局内での爆発は一時、収まった。
「第1フラットに救急班を」 隅に退いた司令がマイクで指示したが、応答はない。
「無駄だよ、おそらく通信回路は吹っ飛んでいる」
どこ吹く風といった様子で黒川がうそぶいた。
「あんたはこれからどうするんだ?」
武田はすっくと立ち上がった。周囲は焦げ臭い。 「僕を殺すのだろうね」
「いや」 黒川は首を振った。「丸腰の君を殺すほど、僕は卑怯じゃない。面白くないしね」
「僕がトカレフを持っていても、あんたは僕に勝てる自信があるんだね」
「当然だろう」 黒川は冷笑した。「自信はあるさ、たっぷりとな」
「それならば勝負だ、と言いたいところだが、実は銃は取り戻せなかったんだ」
武田は自嘲気味に笑い声を上げた。黒川も笑った。
「わかっている。仮にも僕は君の上役だった人間だ。・・・さてと」
黒川が右手を振った。武田の手の中に、銃弾が落ちた。
「それは」 黒川の瞳がギラギラと光った。「君の命を奪うはずだった弾丸だ」
「そうかい」 銃弾はズッシリと重かった。
「君が銃を持っていれば、そいつが君の心臓を貫いていたのだよ。
つまり君は仮定上、死んだわけだ。
その君を殺した弾が、君の手の中にある。なんとも面白いじゃないか。
そいつは記念だ、取って置け」
言い終えないうちに、黒川はスタスタと歩き出し、部屋を出て行った。
銃弾は、黒川愛用のエンフィールド、"コルベット"のものだった。
「ノドカ、ケン、無事か?」
無事だろうな、と思いながらも、武田はディスプレイに訊ねた。
『こんな状況でよくそんな台詞が吐けたものだわ』
ノドカはおかんむりである。
『大方、思い出話に花を咲かせてたんでしょ。尋常じゃないわ』
喚きたてるノドカを無視して、武田はケンに視点を移した。
「ケン、とにかく僕はそっちに行こうか」
「だめでふ」 慌てて答えたのは河北サラミだ。
「君のような素人が来ても役には立ちまふぇん。誰か救急の技術師を寄越してくだはい。彼らならフラット全体をシステムダウンできまふから」
「あ? カンケーネーヨ」 唯一生き残っていた通信回線を切った。
「短気は損気といいますよ。武田さん」
はっとして振り向くと、近藤マコトの姿があった。
「き、君、いつから居たの?」
「ついさっきです。山本ひろしさんを案内してきました」
「山本ひろし? 誰それ」
(のっけから登場している武田とひろしだったが、会う機会はなかったのだ。意外だネ!)
「僕は『ネ!』が嫌いなんだ、『ネ!』が!」
歯ぎしりする武田を他所に、少し遅れて長身の男がやって来た。
「彼が山本ひろしさんです。ひろしさん、こちら武田さん」
「へえ」 武田は男を胡散臭そうに眺めた。
「山本ひろしです。私はタクシードライバーですが、素人探偵もしてます」
ひろしも憮然とした表情で単調に説明した。
「僕は少年探偵協会、黒パンの会の武田です。高校生ですが職業探偵もしてます」
一呼吸置いて、復唱する。「『職業』探偵をね」
読者は「ふっかつのじゅもん」を知っているだろうか。
知らない人は、セーブ機能付きRPGに慣れている人。
棺の中の半死人は意識はほとんどなかったのだが、耳だけはよく聞こえていた。
そこへ例の呪文が唱えられたのである。
「アジャラカモクレン キューライソ テケレッツノパ!」
ところが、ひろしの唱えた例の呪文は、藤原には
「演技・華・匂い」
と、聞こえた。
「そうだ、演技・華・匂い!」
思わずガバッと飛び起きた藤原だったが、そこには誰もいなかった。
「何だ、ここは。どうやら船内の倉庫1Fのようだが」
ふと脇を見ると、開け放たれた棺が転がっている。ただの棺のようだ。
藤原は着衣の乱れを整えると、少々思案した。
「俺は確か雪国へ到着したんだった。そこで鈴本議員と出会い・・・」
それから先の記憶はない。
「どうしたことだ、この俺が棺に入れられるとは?
このフロアには宝はもうないようだが」
船外へ出ると、黒服の男たちが眠っていた。ますます訳がわからない。
「とりあえず、鈴本の話に出てきた箱根防衛局とやらに行くとするか・・・。
東へ268歩、北へ5791歩のところにあるようだが」
藤原はいつの間にか盗賊になっていた。
「ここはどこなんだ、畜生」
香港系ノドカとマルロ、そして渡辺トオルのトリオは迷っていた。
「大体、中心部っていうのは全体の建物から見て、やや奥に位置しているものだ」
マルロが沈着な態度で助言する。
「ふーん、それでその奥というのは、ここからどちらの方向なんだ?」
「知るかよ」 マルロの沈着な態度は10秒しか持たなかった。
「独房じゃないの、これ」
二人のやりとりを全く聞いていなかったノドカが割り込んだ。
「オール無視かよ!」
渡辺トオルは叫んだが、しかし実際には「オールむ・・・ん?」という具合だった。
ノドカの指した独房の中には可憐な少女が閉じ込められていたのだ。
看守は見当たらない。 「さっきの爆発でみんな逃げたんだろう」とマルロ。
「ああ、やっと人が来た。助けてください」 少女は泣かんばかりだ。
「どうやって開けるんだ?」 トオルは中の少女に訊いた。
「合言葉です。合言葉で開けるんです」
「あいことばぁ?」 ノドカは呆然とした。
「どんな合言葉か見当は付くのか?」
「わかりません。ただ、東海林という人が最後に合言葉を変えたんです」
「あっ」
マルロが叫んだ。 「俺、もしかしてわかるかもしれない」
「何でわかるのよ」
ノドカの呆れた表情を横目に見て、ギコ猫のマルロは付け加えた。
「いや・・・俺の星ではな――」
「もしかして、僕にできるかもしれない」
えっ、と武田はひろしの顔を凝視した。
「箱根防衛局のスッタモンダ4号なんて代物を、あんたが扱えるって?」
「いや、正確には犬まゆげ計画の首謀者が造ったものなら、という意味だけどね」
「い、犬まゆげ? ・・・奴は関係ないと思うが」
「おそらく君の言う『犬まゆげ』とは違いますけどね。
その佐々木という男には黒幕がいるんです」
「知ってる。エグヤムニ・マルガリミスッタだ」
「それは本名じゃない、当然だがね――マルガリミスッタとは
暗に羊を指している。そしてエグヤムニ。
エグヤムニをローマ字に直して、逆から読んでみてください」
「EGUYAMUNI・・・INUMAYUGE」
「そう、『犬まゆげ』。エグヤムニは僕の星での隠語です。
そしてその東海林という人物こそ、マルガリミスッタ・・・
マッドサイエンティスト、犬まゆげに間違いない」
復活編(中) 了 待て復活編(下)!
次回:復活編(下) 10月某日再開予定
休憩
■ 名も無き謎 復活編 (中)
鉄が酸化すると、表面に「錆」ができたと形容される。
言うまでもなく、この「錆」こそ酸化鉄に違いないのだが、
我々はそれを削るに当って、もともとの鉄が減ったとはあまり考えない。
「錆」を削ることによって事態は改善されたように錯覚するが、
実際は削ったところから再び酸化は始まるのだ。
「犬まゆげ」という諸悪の根源を断ち切ったかに見えた武田だったが、
それは単なる錯覚に過ぎなかったのか?
「デルフォイの神託に曰く」
近藤によって「バキッ」と折られたエンフィールドのバレルから、薬莢が転がり落ちた。
「不運のときは望め、幸運のときは注意せよ」
「それは何か? 延々とイタチごっこをしろと言うのかい?」
「いいえ」 近藤は否定した。 「今は注意する時です」
第一フラットに山本ひろしが赴いてから、局内は静かで不気味だった。
武田と近藤のペアはそのままマザー『ブラッド・ケニー』に向っていたが、
その途中にも人影は一つとしてない。
「廃墟だね。科学の粋も結局は廃墟に化すんだね」
「いや、武田さん、廃墟になったんじゃありませんよ。犬まゆげが廃墟にしたんです」
「そりゃ、そうだ。・・・東海林が犬まゆげ、ね。異星人だってさ。尋常じゃないよ」
牢から脱出したスマイリー入江と共にノドカも脱出しろと猫のマルロは言った。
「何でよ」
「一人じゃ危険だからだよ。俺はひろしたちと合流するから心配ない」
「そのとおりだ」
影の薄い渡辺トオルの同意もあって、ノドカは渋々スマイリーを連れて廊下を戻った。
(回想)
「いや・・・俺の星ではな・・・ショージという名前を使うのはよくあるんだ」
「・・・は?」
「村上ショージゲーム! ショージ → どぅーん! → ショージ → どぅーん!」
「・・・は?」
「合言葉は『どぅーん!』だ、間違いなく」
理論を超越した理論に基づき、合言葉は一致した。
マザーの部屋の前には乳白色のタイルが敷き詰められている。
困惑する侵入者たちを嘲笑うかのように、頑丈な鉄鋼製の扉はびくともしない。
斜めに傾いた壁は異様な威圧感をもって武田たちに迫ってくる。
立ち往生を余儀なくされた一行に、
扉の真上に設置されたスピーカーから聞き覚えのある声が流れてきた。
『 よく来たね・・・ええと君の名は・・・まあいい、少年。
私はお前たちの呼び名で言うならば「東海林」もしくは「犬まゆげ」だ。
忠告すると、現在お前たちはこの部屋に入ることは絶対にできない。
あせらずともいい。
そのうち、ここは開放される。もっとも、そのときにはお前たちは生きて帰れないがね 』
「御託はいいんだ、東海林。あんたが真正面から闘えない人間だとわかったよ」
スピーカーの声はざわめいた。笑っているらしい。
『 お前は面白いよ、探偵ごっこの少年。ひとつ、質問しよう 』
二人は黙っていた。
『 お前たちが頭を悩ませているスッタモンダ4号に私が照射命令を出したとする。
そうなれば、この建物ごと、お前たちは消滅する。
もちろん私はその前にここの脱出ポッドから脱出するのだがね。
しかし私はそうしない。なぜだと思う? 』
「なぞなぞか?」
『 水準以上の知能を持つ者ならばわかる問題だよ。
ああ、そうか、地球人の知能はマドルとは比較にならんくらい水準値は低いのだった 』
スピーカーの声――東海林はさらに続ける。
『 私は、ここにひろしが来ているのも、マルロが来ているのも知っている。
少年、お前が佐々木ヨーデルを殺したのも知っている。
さらに言えば、私はお前たちの行動を予測することさえできる 』
「なあ、東海林」 武田の手が近藤のエンフィールドに伸び、無事に渡った。
「あんたのお説教を聞くつもりはないんだ」
スピーカーは粉々に散った。
スッタモンダ4号のスペックは、駆けつけたひろしによって一通りの説明がついたが
僅かでも理解できたのは河北サラミだけだった。
そのサラミさえ、
「僕はそんな危険な物質を扱ったことはありまふぇん。
これは想像以上に、非常に危なかばい」
「お前、どこの出身だよ!」
と叫んだのはケンでもひろしでもなくノドカだったが、
サラミは怯まずスッタモンダの解体に取り掛かった。
「私がサポートします」 スッタモンダの内部にひろしのからだも入った。
「これでも私はマドルのビーム兵器の開発に携わったこともあるんでね」
「マドル?」 慌ててサラミは巨体を引っ込めた。 「あんた、エストラダ星人なの?」
「星人なんてダサい言い方はやめてくださいよ」
ひろしは鼻から息を吐いた。
「マドル。マジでドラえもんはルール工業地帯で生まれたの? の略です」
「嘘だろ」
「くそっ、本当に開かないぞ!」
肩で体当たりするも虚しく、扉はやはり少しも開く気配を見せなかった。
「武田さん、僕、思うんですが」
「何?」
「これ、ウチの本部と同じ、合言葉制ロックだと思うんですよ」
「合言葉・・・そうか、合言葉か!」
「見当付きますか、合言葉」
「『サーターアンタギー』や『サランヘヨ』じゃあないな」
「『ネバーエンディングストリー』なんじゃないですか?」
「そうか! 『ネバーエンディングストリー』!」
黙。
「違うじゃないか」
「ひねらないと。武田さん、ひねらないと」
「ひねり? スパイラル?」
「英訳する必然性がありませんよ」
二人の少年探偵は立ち往生を余儀なくされていた。
少年探偵とは言えども、彼らはカゲマンでもなければコナンでもないのだ。
シャドーマンや特殊メカを持っているはずがないし、
待っていれば明智先生が来るわけでもない。
「武田さん、ワンモア、ワンモア!」
「『岩男』」
黙。
「違うじゃないか。ダメだ。ニヒト!」
「独訳する必然性がありませんよ」
復活編(下) 了 待て野望編!
次回:野望編 クリスマス迄に決着予定
クリスマスっていつだっけ
■ 野望編 (上)
効率のよい合言葉解析をご存知だろうか?
例えば「山」と言われたら「川」。「山」「川」と言われれば「豊」。
というように実は合言葉というのは予め筋が通るように考案されているのがわかる。
幾つかの特定パターンの中から"それらしい"言葉を選び出し、消去法で進めるのが効率的なのである。
人間相手の場合は、その合言葉を知っている人間から情報を
直接間接かかわらず引き出す事になる。
しかしプログラムをアナライズするならば、特定解析法で充分なのだ。
「武田さん、僕はこう推理します」
汗ばんだ髪をかきあげながら近藤が言う。
「犬まゆげの東海林は異星人です。それもエストラダ星人とわかっている」
「――それで?」
「では東海林の立場から言って合言葉を設定する意味とは何でしょう?」
「どういうこと」
「完全ロックにしないで合言葉を設定したのは、つまり他の誰かに入らせるためでしょう」
「逆説からの推理か。確かに理屈には合っている」
「この場合、エストラダ星人の東海林の合言葉を解するのは、解析が可能なのは誰ですか」
「――そうか、山本ひろし、か」
武田にもようやくわかりかけてきた。彼は答えを導き出した部下を驚嘆の眼で見た。
しかし近藤の態度に変化は微塵もなかった。少なくとも、武田には感じられなかった。
「それなら、ひろしに聞くのが早いのか……いや、違うな。ひろしが答えそうな単語を推理する…」
「そう、山本ひろし氏がこの暗号に答えられそうな単語を僕らは考えることになるんです」
さて、オペレーションルームでは、第一フラットの映像が未だディスプレイされていた。
主に動いているのは機敏な青年、山本ひろしである。その傍で河北サラミは佇んでいる。
とはいえサラミも巨躯をただ持て余しているわけではない。
ひろしの解体作業を手伝っている様子である。右手には計算機を掴んでいる。
「サラミさん、ラディエーターのガンマ値を」
「25から38でふ。申し訳ありまふぇん、サポートする側になってしまって」
ひろしは答えず、無言のまま作業を続ける。第一フラットの熱気は最大に達した。
作業を行なっているのは二人だけではなかった。ノドカ、ケンの両者はもちろんのこと、
「主任、プロフのラジウム率が上がりすぎています」
第一フラットのエージェント全員が勇敢にもスッタモンダに立ち向かっていた。
これがホントのスッタモンダである。(皆が言いたかったが口には出せなかった)
魔性の破壊兵器スッタモンダ4号にメスが入るときが来たのだ。
しばらく火花と金属音が散り、コードの山が次から次へと運び出された。
真冬の寒さにもかかわらず汗をボトボト落すひろしの顔が、ゆっくりと皆を振り返る。
スッタモンダは、沈黙した。
「バンザイ!」
誰からともなく歓喜の声が上がった。沈黙の中で嬉し涙の合唱が始まった。
「やりました、やりましたね、主任、ひろしさん!」
「さあ、早くここから脱出するんでふ。喜んでる場合じゃないんでふよ!」
叱りつけるサラミの眼も言葉に反して笑っている。
エージェントたちは振り返り振り返り、第一フラットを脱出した。
「あんたがたも! 早く!」
「いや、僕は残ります」
皆の動きが静止した。残留宣言したのはナニワの大砲――ではなく山本ひろしだった。
「な、何を言うんでふか、こんなところにもう用はないはずでふ」
「僕は決着を付けなければならないんです。犬まゆげとね……」
「お、おい、ひろしさん、残るのは俺だぜ」
ひろしの目の先にケンが立ちはだかっていた。
「ひろしさん、あんたにはノドカを頼まなきゃならないんだ」
「なぜ、あなたが残るんですか」
「あんたと同じさ。決着を付けるためだ。……自分自身にな」
「自分に決着を――?」
一瞬、虚を突かれたようにひろしの目がぐらついた。ポツリと呟く。
「……そうだ、俺も自分に決着を付けなければならないんだ……マーヤ……」
「おい、ひろしさん!」
「――わかりました。河北さん、ノドカさんを頼みます。無事に脱出してください」
河北サラミは狼狽した。
「ええっ、僕でふか」
「あなたです。信用してますよ」
ノドカは何も言わなかった。ただ、何度も振り返りながら、サラミとともにドアへ消えた。
二人だけ、フラットに残った。反対側のドアをさして…
「……板東さん、あなた、死ぬつもりで――」
「お互い様だろ。言わないでくれ」
覚悟が出来ていたとはいえ、ケンのからだは小刻みに震えて止まらなかった……。
「――という僕の推理に基づきますと、この場合の合言葉は『チャゲ』です」
なおも近藤は頑張っていた。
「いや、『アスカ』だろ」
武田としては、面目躍如したいところである。
「それはありえませんね。もしそちらのキーなら、答えは『五輪真弓』です」
「むしろ『河合奈保子』だと僕は思うね」
「そっちのコードですか!? それなら『森昌子』以外にありません」
読者は、作者が何か思い違いをしているのではと訝るかもしれない。
しかし、武田と近藤とは、言葉をそのままの意味に会話しているのではなかった。
彼らは暗号を通して会話しているのである。
翻訳すると、
「合言葉には、エストラダ星の一般的な語を使用しているのではないでしょうか」
「いや、レストランのメニューの類いだろ」
「もしそちらの類いなら、定番料理の名前が怪しいです」
「むしろフルコースだと僕は思うね」
「そっちの方向ですか!? それなら白魚のムニエル以外にありません」
「なぜだ!? 白魚だけが定番じゃあないぜ」
「いいえ、ここの食堂のメニューは調査済みです。聞けば東海林はわざわざ白魚を入れさせているとか」
「ムニエル仕立て?」
「ムニエル仕立てです」
「――決まりだな」
鋼鉄の扉に武田は叫んだ。
「アジャラカモクレン キューライソ テケレッツノパ!」
――轟音を立てて、扉は開きだした――
しかしすぐに閉じた。
野望編(上) 了 待て野望編(中)!
次回:野望編(中) クリスマス迄に決着予定
――閑話休題――
すみません。クリスマス暇なの私ばっかでした(それは哀れみの目ですか?)
塾の先生とか大変なんですね。
(中)は一人で書いてみせましょう。自暴自棄になって朝(略
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
Λ_Λ | 君さぁ こんなスレッド立てるから |
( ´∀`)< 厨房って言われちゃうんだよ |
( ΛΛ つ >―――――――――――――――――――‐<
( ゚Д゚) < おまえのことを必要としてる奴なんて |
/つつ | いないんだからさっさと回線切って首吊れ |
\____________________/
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
(-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ… (-_-) ハヤクシンデネ…
(∩∩) (∩∩) (∩∩)
↑うざい。このAAばかり貼りやがって、この馬鹿ネコ。
225 :
名無しのオプ:03/01/11 17:47
(^∀^)ゲラゲラ
(^^)
近日
近々日
死にかけのハンス
231 :
名無しのオプ:03/03/26 20:39
5月号に野上とかいうドキュソの投稿が載ってるな。
こんなのが採用されるようじゃ、本当にろくな投稿がないんだろう。
232 :
bloom:03/03/26 20:44
いつも ろくな投稿はないんじゃないかな。
読者の書評とか。他人に難癖つけるわけではないが。
まぁ、個人的に一番衝撃だったのは「さくらインテリーズ」かな。
近所の本屋にはまだ5月号がないので、野上某には何とも言えませんが。
■野望編(中)+(下)
猫の姿をしていても、彼は元軍人である。
東海林=犬まゆげが張り巡らした数々のトラップも、マルロの前では無に等しい。
マルロの後から付いて行く渡辺トオルにしても無傷だった。
醜悪な金属の塊と化した、爆発後のフラット、――交差し、だらりと垂れ下がった階段、
真っ黒な闇の胃袋は、科学の残滓を否定していた。
犬まゆげ――それは遠い日の面影である。
今の彼らには、犬まゆげは「個人」ではなく「野心」の権化であることは、至極当然に思えた。
累々の犠牲の上に達成されようとしているドス黒い計画。
猫の後ろ姿を追いつつ、トオルは膝の震えを抑える事ができなかった。
煤と煙が充満した廊下の、ひび割れた捌け口から、最低限の酸素循環は行なわれていた。
進むたび、段々と、視界は晴れて行き、あとには火薬の匂いだけが残った。
破れたドアを潜り抜け、大きな無傷の扉が出現した。そこに二人の少年が、立ち尽くしていた。
「おい、早くその扉を開けよ!」 走り込んだトオルが叫ぶ。
「誰だよ、あんたは」 怪訝な表情で眉を釣り上げる武田を、近藤マコトは遮って、
「実は、解除コードが必要なんです。でも僕たちには見当が付かない…」
「馬鹿野郎!」
叱責したのは、トオルの足にまとわりつく格好のマルロ。
「犬まゆげが凝った解除コードなんか設定するかよ。ありきたりの文句でいいはずだ!」
「例えば?」 武田にしてみれば面白くない。
「『ラミパス ラミパス ルルルルル!』――解除の呪文と言えばこれだ」
「えっ? っていうか古っ!」
だが突然のピーという機械音と共に、扉はぎこちなく開かれたのだ。
『――ようこそ、諸君』
開かれた扉の内部は、薄暗い円形の小部屋で、メタリックなコード、パイプ類に覆われていた。
「まるで、スタートレックだな…」
トオルの呟きに、武田は肩の震えを感じた。
自分たちが相手にしているのは異星人である、ということを、改めて実感せずにいられなかった。
『――そこにいるのはマルロ、それにジャリが3人か』
明らかに先程と口調が違う。それでいて、声は東海林のままだ。
小部屋の中心に固まったままの4人は、その声の出処すら、わからなかった。
『――俺はお前たちを心底軽蔑している。マルロ、そして山本ひろしだ。
なぜお前たちは我々の計画を邪魔する? ――答える必要はない。
俺の気に入るような答えはおそらくしないだろう。耳に毒だ。直接、会見しようじゃないか』
小部屋の、反対側のドアが音もなくスライドした。ヌメヌメとした空気が流れ込んでくる。
『――さあ、諸君、入りたまえ。見せたいものがあるんだ』
彼らは少しのあいだ躊躇し、またそれを恥じるように、武田が先陣を切った。
緑色のスクリーンがあちこちに点在し、パイプと液体金属がうねって絡み合い、
「科学の坑道」とも形容できる異様な小径を築き上げていた。
道は深くなればなるほど、狭く、重苦しく、彼らの精神を圧迫した。
慎重に幾分かが過ぎ、――と、先を行く武田がはたと立ち止まる。
「おい、開けた場所に出たらしい」
そこは巨大なドームだった。
馬鹿でかい、機械化された釣り鐘のようなものが、ドームの上から垂れ下がっていて、
それを取り巻く大きな渦が、変則的な図形を壁にはびこらせている。
また、パイプの類はすでに活動していると見え、鼓動する血脈のような囁きと隆起を続けていた。
釣り鐘は中心にあって、心音を轟かせ、圧倒的な存在感に、武田は一瞬、己が虫けらに思えた。
「向こうから誰か来ますよ」
ハッとして、全員が近藤の指した方向、遠い反対側の壁の割れ目に目を凝らした。
米粒大の影は、ドームに入るなり、ぎくっとしたように立ち止まり、
やがて足早に近付いてくるのであったが、彼らは紛れもなく人間の形をしていた。
あれはひろしだ、とマルロが調子はずれな叫びを洩らす。
「ここは、一体…」 淡い緑の光線に陰影を捲いて、ひろしが呟く。
『――やあ、ようやく来たね。…』
声と共に、釣り鐘の下半分が、「ゴゴゴゴゴゴゴゴ…」と唸りながら上層に引いて行った。
『――素晴らしいだろ? 俺の最高傑作さ』
幕の上がった舞台から、東海林の脚が、続いて全身が現れた。
声がどことなく普通でないのは、頭部を覆った金属製の兜のせいだろうか。
襟首から伸びた十数本のコードが、釣り鐘の周囲に届いていた。
しかし一同が冷たい恐怖にたじろいだのは、兜の中心に埋め込まれた、一個の眼球だった。
古代神話のサイクロプスを、武田は思い出していた。
東海林は、口元のマスクを解除して、露呈した唇を捻り上げるようにして笑った。
『――なあ、マルロ。侵略ってのは被害を最小限に、迅速に行なうのがコツなんだ』
釣り鐘の下から現れた「玉座」に、東海林は腰を下ろし、足を組んだ。
『この星では争いが絶えない。無駄なエネルギーの消費だ。お前にもわかってるはずだ。
見ろよ、ひろしの後ろに立ってる糞俳優を。復讐云々とぬかす無能な男もいたな…』
「争いが絶えないからといって、あなたが統率する理由にはなりえない」
玉座の前に、山本ひろしが進み出る。東海林は動じる様子もなかった。
『――お前も俺と同類だよ、ひろし。お前の行動の原動力はいつも「正義」だったな。
軍の英雄に上り詰めた時も、俺を裏切ってマザーハッカーと組んだ時も、…』
「あなたが正義だとでも言うのか?」
『――当然だよ、青二才。俺は完全なコミュニティを構築する事が可能だ。
戦争も、軋轢も、些細な いさかいさえ、掌握し、消し去る事ができる。まさに天国じゃないか』
「んな、馬鹿なことがあるか」
我慢できず武田も玉座に近付いた。
「それは大人の都合だろう。僕たちは、真実を追究しなければならない。
そのためには多少の犠牲は仕方がない。真実を妨げる者は排除するのみだ」
『――詭弁だな。少年、お前の言う真実とは所詮、お前の妄想に過ぎないんだよ。
物理的証拠は絶対ではないし、心理的証拠とてあやふやなものだ。
お前たちはそれらを都合よく解釈して、辻褄の合う妄想を真実と主張するだけだ。
俺の腹心だった黒川三郎をお前は悪と決め付けたが、果たしてお前は奴の何を知っているのか。
だが確かにお前は正義感で動いてはいない。好奇心の化け物だ。…』
玉座は、次第に上空へ浮かび始めた。東海林は眼球を彼らに睨みつけたまま、口を歪ませた。
『――俺の「正義」は「合理性」だ。少年、お前の主義にも反しちゃいないだろう。
マルロ、お前の愛国心は俺と同様だ。
ひろし、お前の正義感は俺と同様だ。
少年、お前の合理性と俺の主義は同様だ。
板東、渡辺、貴様らの社会的な存在意義の追求は、俺とて同じ事だ。
――お前たちには、俺に逆らう理由などないはずだ。俺が統率すれば、…』
「それは違う」
逃げ腰のトオルが、努めて毅然とした声色を作った。
「今、あんたが言った事は、あんたにとっては「自然なこと」なのかもしれない。
けど、俺たちはあんたの「自然な社会」なんか、まっぴらなんだよ。
あんたはあんたの世界に酔ってるだけだ。自分が「不自然」に属するなんて、考えもしないんだ」
『――そうだとも』 眼球がぎろぎろと這い回る。『それがマドルの方針だからな』
『――スッタモンダ4号は単なる兵器に過ぎない。こんなものに、俺は期待はかけていない。
侵略に最も必要なのは、植え付けられる思想だよ。踊らされているのに気付かない人形どもさ。
お前たちも、俺を追い続けていた。それは結局のところ、俺に操られていたんだよ』
「あんたは神を気取るつもりかい?」
手を後ろに組んだ格好で、やれやれと首を振りつつ、武田は姿勢を崩した。
「あんたの論法で行けば、僕はあんたに会う以前から『犬まゆげ』に操られていた、
僕は、あんたのマリオネットってことになるじゃないか」
『――マリオネットならまだマシなところだよ、少年。
お前は迷路に閉じ込められたネズミといった部類だ。動き回るが、行動は読める。
俺はただ、エサを撒きさえすればよかった。お前たちはすぐに食いついた。
今、ここにいる事が何よりの証明じゃないか? それともお前には打算があるとでも言うのか』
「あのー、東海林さん」 武田の後ろから、近藤マコトが顔を出した。
「侵略、侵略、って繰り返してますけど、あなたひとりで侵略戦争でも始めるつもりですか」
『――実際に侵略するのは我がマドル軍だ』 再び、東海林は露呈した唇でニヤニヤし出した。
『この装置は…』 玉座をなでながら恍惚として言う。『時空間転移装置、ワープシステムだな』
「こんなワープシステムは見た事がない」 マルロは吐き捨てた。
『――従来の軍人馬鹿装置じゃないからな』
彼は笑うが、金属的な、どこか人間離れした奇異な哄笑だった。
『エストラダから直接、何千の兵士と兵器が送られてくる。
侵略から制圧まで時間はほとんど要しない。合理的だろう? 最小の被害で済むんだ。
壊滅させようと思えば、こんな惑星の一つ、簡単なんだよ。
それを俺の慈悲で救ってやろうと言うんだ。この装置の名は「神の慈悲」さ…』
「あの世で言ってろ」
後ろ手に近藤から渡されたエンフィールドが火を噴いた。
発射した弾数は5発。玉座、コード、東海林の肉体、の、あちこちに突き刺さる。
コードの数本が、だらりと下がる。が、東海林は崩れない。
『――駄目だよ、少年。この肉体は抜け殻なんだから…』
東海林の声だが、上空の東海林の喉は破れている。
「そうか……あいつの意識は兜の方に移っているんだ、…」
『――そろそろマドルが到着する頃だ。俺は研究に戻るとしよう…』
東海林の乗った玉座は、釣り鐘の最上部に呑み込まれて行く気配だった。
だが、緑色のスクリーンが砂嵐を映し出し、玉座は再び降下し始めた。
戸惑う眼球、スパークする小径の方へ、全員が首を向けた瞬間、男が転げ出た。
スパナを持った藤原だった。
「犬まゆげ! 貴様の大事な回路は破壊した。俺は貴様を殺すまで社会には戻れないんだっ!」
『――馬鹿が増えたな。いいや、じゃ、俺が殺そう』
瞬間、玉座から幾筋もの閃光が走り、藤原の肩を焼いた。
「うげぇっ!」 片腕が吹き飛び、床に転がり回る藤原を、さらに閃光が襲った。
『――キャハハハハハハハ!』
金属質な笑い声。総毛立つ彼らに向けて、東海林の哄笑は終わらない。
「あなたがラドック提督だとは信じたくない」
哄笑が、ふっと途切れ、そこには山本ひろしの姿があった。
「おそらくマルロも気付いているだろう。
この男は、かつて軍師であり闇研究者でもあった、ラドック提督なんだ。
皆さん、私は彼に仕えた過去がある人間です。責任を取りたい。誰か武器を貸してください」
「無理です、申し訳ないけど」
即時に一蹴したのは近藤マコトだった。
「さっき武田さんに渡したエンフィールドで全部です。もう銃弾だってありません」
『――飽きた。俺は飽きちゃったよ、お前たちのその奮戦みてえな態度には…』
地表に着くと同時に東海林が言った。『――あわれだな、無力な存在は』
血をだらだらと垂らした顎から胸にかけて、痙攣じみた震えが起こった。
喉を失った人間の笑いだった。
呆然とする彼ら、己をマトモだと信じている彼らは、しかし異常な機械の前に無力だった。
「俺は、無力じゃない! 貴様こそ無価値な化け物だ!」
言うなり、ケンは馬鹿でかい機械に突進して行った。東海林の足元に飛び込んで。
いきなり顔を殴りつけたが、もはや東海林の肉体には何の意識も存在せず、
東海林は薄く笑ったのちに苛立った舌打ちをした。熱線がケンの体を貫いた。
崩れ落ちるケンの背後から、最後の乾いた音がした。
『――用意がいいな、少年……』
銃弾の突き刺さった眼球は弾けた。一寸違わず標的を粉砕したのは武田のエンフィールドだった。
鬼気迫った表情で、武田は無意識に装弾した一発にすべてを込めていた。
黒田三郎が彼に投げて寄越した、彼自身の死の予告だった。
しばらく誰も動かず、やがて山本ひろしが、化け物の死を確認した。
マルロも近寄って行き、機械を調べ、ひろしは皆を振り返った。
「僕たちはこれでエストラダに帰るよ。申し訳なかった。
だが、こいつはおそらくラドックのクローンの一人にすぎない。
本体を、これから探しに行くよ…」
誰も、何も言わなかった。武田と、マコトと、トオルと、あとは死体だけだった。
防衛センターの事件以来、武田は姿を見せなくなった。
元の生活に帰ったノドカは、相変わらずネットアイドルに没頭していた。
拾ってきた猫が増えたのは、もうひとりのノドカも同じことで、
彼らは性格が少々円くなり、付き合いも広がったのだが、
二人のノドカが互いに合うことは、その後、二度となかった。
『ネバーエンディングストリー』は事件現場から忽然と消えていた。
彼らは、武田が持ち去ったのだと了解した。公の場に現れることはなかった。
渡辺トオルは、近藤マコトに頼んで、探偵協会に入会した。
待っていた脚本家の明美は、ケンの死を聞くに当って、だが表情は変わらず、
協会を去った後は、ミステリー作家に転身して島田荘司を叩いたりしたらしい。
防衛センターの研究者たちの行方も、判然としていない。
近藤マコトが唯一、ドライブインでカツレツ丼を食べている河北サラミと武田を見たと証言する。
その話を聞いた時、渡辺トオルは「ダースベイダーと同じ末路なのではないか」などと
会議の席で発言したが、それは彼のヲタクぶりを露呈したにすぎなかった。
何にせよ、いま静岡は平穏である。
――――――――――
名もなき謎 ――了
原作:■お前ら、無理矢理続きを書いてください
改案:週休二日 花と名無しさん 名無し物書き@推察中? 名無し@ジプシー ほか
校正:週休二日
提供:創作文芸板の一部有志
>>231 ごめん。5月号が届いたので読んだ。本当にろくなもんじゃなかったな。
最後の言い回しが法月っぽいし、いかんせん殺意が芽生えた。
(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
250 :
名無しのオプ:03/06/27 12:09
がいしゅつかもしれませんが、都筑道夫さん大丈夫ですか?
ミステリマガジンの連載も中途半端におわちゃったし(中断?)。
まじ心配です。だれか情報教えて。
もしもし自爆してますよ
253 :
名無しのオプ:03/06/28 22:06
そうだったですか。悲しい・・・。
都筑単独スレってあったっけ?
254 :
名無しのオプ:03/07/02 22:58
今回の幻想と怪奇特集は、尾之上浩司の一人舞台だったね。
255 :
名無しのオプ:03/07/03 01:26
復刊アンケートでまたフラナガンに入れたバカは逝ってよし!
5年前買えなかったのは己の不手際なんだから諦めて図書館行けよ。
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
アンケートに答える暇人なんて困ったちゃんの比率が多い
(^^)
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
262 :
独者 ◆7lIkUklBz. :03/09/23 23:54
今度は、文庫の復刊希望アンケートやってるね
263 :
名無しのオプ:03/09/25 02:16
最新号発売中。
オランダの元日本大使の特集ナリ
ディー判事は実在の人物と言っておきながら
その一方で「ディー判事の産みの親」と言うのも
なんか矛盾してるような気はするのだが(w
でも登場人物解説おもしろかったよ
内容はともかくフリッパーズだミッシェルガンだと編集後記がイタすぎる
266 :
名無しのオプ:03/10/12 07:52
ミステリマガジンで連載されたものをなぜか
早川で本にしない不思議
児玉サンのやつとか田口サンの「おやじの細腕まくり」
とか・・・
都築サンの「読ホリデイ」は絶対本にしてくれよ
(昌文社でも可)
267 :
名無しのオプ:03/10/12 08:02
いや、小鷹の本が売れなさすぎたので…。
また編集後記ミッシェルガンかよ!
ちったぁサザエさんの来週の予告でも見て勉強しろ!
編集後記を窓から投げ捨てろ!
270 :
名無しのオプ:03/12/13 20:31
ホシュ
271 :
名無しのオプ:03/12/13 20:40
読ホリデイ追悼あげ
ミステリアス・ジャム・セッションって単行本化されるんですね
273 :
名無しのオプ:04/05/11 15:28
age
274 :
名無しのオプ:04/07/08 17:24 ID:K+YjvA/x
ミスマガのガイドエッセイ何冊か読んだけど、青木雨彦のヤツは並外れて良い。
275 :
名無しのオプ:04/07/08 18:50 ID:NHkQMg0K
日本人作家を入れ過ぎている。
そうしないと売れないのか?
昔に比べて海外物ばかり読む人は激減したからな
日本人作家は海外者をよく勉強しているよでも引用していても読者は
元ネタが全然わからないんじゃないかな
277 :
名無しのオプ:04/07/12 16:52 ID:D6CbruUj
漏れは海外ものばかり読んでいる。
ガンバレミスマガ!
ところで「響きと怒り」で怒りを見た覚えがないのだが・・・。
編集部はイヤラシイね。
つーか、あそこに出てくる読者って、常連さんばっか。
ま、掲載されたら新刊ポケミス貰えるから、結構おいしいもんね。
夢幻紳士しか読んでない。
俺、買わなくなったのは日本物が増えたから。
それと最近の翻訳がしっくりこないのが多い。
俺に原因があると思うけど。
>279
ナカーマ
菊地成孔まだーーーーー?
284 :
名無しのオプ:04/09/25 17:30:31 ID:pEI1CZwR
>283
まだみたいだす。
285 :
名無しのオプ:04/10/02 14:48:32 ID:MJ9CACiT
今月号の「響きと怒り」見た?
ポケミス62冊を送料込みで一万円で売れなんてコイツ頭おかしいんじゃないか?
>>285は
あまりの反響のなさに業を煮やした他屋氏本人。
しかも出展品数が49から62に増えてさらにお買い得。
287 :
草間 滴:04/10/04 00:33:08 ID:415aqlSu
ここ何ヶ月か、新刊書評の座布団の数で評価しているコーナーに自社で出した国産ミステリが入っているのが鼻につきます。
紹介したいならそういうコーナーを作ればいいと思うんですが。
288 :
読後感:04/10/10 05:29:15 ID:nLo/CtqE
読者ページで名が挙がってた「スリラー劇場」だけど、
最終回でブランドの「暗闇の薔薇」とおぼしき話をやってたよ。
未読だから断言はできんが。
やっぱそこそこ有名なんだな。
え?菊地成孔ってミスマガに書いてるの?
あの人なんでもやってるんだな。
>>289 10月号に載ってました。菊地ファンですが、こんなところ、気づかないよ。
「エスロピU」でこっそり紹介されていたことに気づいたのもその10月号が
発売された半月後くらいでした。
あ、そうそう、内容。なんだかチャンドラーの「長いお別れ」といろいろの
映画についてでしたね。菊地さんらしい文章だと思いました、良くも悪くも。
291 :
板ルール変更議論中@自治スレ:04/11/26 15:44:10 ID:lnJKe3K7
今月号読んだ感想
・追悼だからって一年再掲載だなんて勘ぐるなと言う方が無理
・豊崎は業界から隔離してほしい
・他屋うざすぎ。誰かこいつに相場を教えてやれ
普段ミスマガとか買わないんだけどタマには買ってみるべぇと思って本屋探したけどどこにも売ってねぇよ。
SFMしかねぇ。
293 :
名無しのオプ:05/01/07 19:47:45 ID:EonOzBBv
今月号で「夢幻紳士」幻想篇は終った。来月から「夢幻紳士」逢魔篇。
どうよ?
>293
驚く無かれ、その次はめぐりあい宇宙編。
>294
信じがたいことに、その次は「夢幻紳士 望郷篇―思えば遠くへ来たもんだ」
3月号高けーーーーーーーーーー!!!!
298 :
名無しのオプ:05/01/29 15:31:31 ID:79ucqzr9
だが、今年は去年より50円安い。
定期購読していたが、一時期、特別定価連発で頭にきて止めたw
900円位とおもてたら「2千円です。」ってビクーリ!!
今もそうなの?
ところで尾之上浩司とかいうやつはとかくウザイってことでいいよね?
301 :
読後感:05/02/24 17:54:44 ID:hmU+OpSS
>>300 何で?
色々紹介してくれるからいいじゃん。
302 :
名無しのオプ:2005/03/31(木) 20:12:32 ID:fbZ0l/ZT
最新号は840円でお買い得age
303 :
吾輩は名無しである:2005/04/13(水) 13:28:31 ID:e4x5CNc3
i
304 :
名無しのオプ:2005/04/17(日) 16:54:16 ID:3aTs1ts5
その都度書店で買うんじゃなくて、他の雑誌みたいに直接出版元から定期購読できたらいいのに。
毎号とも同じ値段じゃないから無理なのかな。
305 :
名無しのオプ:2005/04/17(日) 17:06:31 ID:YHq9c0iC
>300
自分のことは棚に上げ、他人を嘲笑するしか能がない
ダメ業界人だな、お前。
306 :
名無しのオプ:2005/05/07(土) 16:55:26 ID:IpfY4juA
パラニュークの短篇ってミステリ関係ないな
307 :
名無しのオプ:2005/05/15(日) 18:16:51 ID:Jkgh1uGL
308 :
吾輩は名無しである:2005/05/27(金) 12:41:07 ID:7xlumj7H
p
309 :
吾輩は名無しである:2005/06/14(火) 11:14:41 ID:+kK5RJGR
-
310 :
名無しのオプ:2005/09/15(木) 21:05:52 ID:HAaIAQ23
「本の雑誌」の匿名座談会で「某翻訳ミステリー誌の読者の平均年齢は六十、七十代らしい」
との発言あり。
311 :
名無しのオプ:2005/10/02(日) 00:30:54 ID:KlWAQlSV
ごっしゃー
312 :
名無しのオプ:2005/10/03(月) 14:54:48 ID:RH2JLkZn
0@0@0@0@0@0@0@0@0@
313 :
名無しのオプ:2005/11/30(水) 22:34:00 ID:L+MTcwC/
314 :
名無しのオプ:2005/12/01(木) 21:00:00 ID:yDOnHjBm
ふめら
315 :
名無しのオプ:2005/12/03(土) 22:56:27 ID:PGj3qFWJ
EQ
316 :
名無しのオプ:2005/12/25(日) 21:44:51 ID:YZnmkC/g
次回予告
夢幻紳士迷宮篇
317 :
名無しのオプ:2005/12/30(金) 05:56:11 ID:GJQyBw+q
日清カップヌードル、サッポロ一番、
リポビタンD、ゴキブリほいほい
とかと同じ定番商品じゃないスかね。
318 :
名無しのオプ:2005/12/31(土) 00:50:08 ID:5aEyBEH9
今、創刊400号記念特大号短編ミステリベスト40再読中
1989年で1500円か・・・今なら幾らぐらいだろう
319 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 18:41:03 ID:ZeLTrrtw
とっととダーシー卿単行本に汁!
320 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 18:43:15 ID:5MVTI0tD
321 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 19:17:29 ID:NTyuvDxF
>>320 「名作短編リバイバル」
鷹の森の家
お宅のお庭はどうしたの
グッドバイ、グッドバイ
七月の雪つぶて
百万に一つの偶然
誰でもない男の裁判
婚姻飛翔
9マイルは遠すぎる
窓から外へ
近くの酒場での事件
322 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 19:23:05 ID:NTyuvDxF
「ユーモア探偵」
アダム爆弾の怪
急げ、ドーヴァー!
「密室」
穴のあいた記憶
ジョンディクスンカーを読んだ男
「うまい犯罪、しゃれた殺人」
埃だらけの抽斗うまくいったようだわね
勝者がすべてを得る
気の休まる古い家
「都会小説」
ミス・サラー・ブラウンのロマンチックな物語
さよなら、ハーマン
「リドルストーリー」
女か虎か
「Xmasストーリー」
小さなレストラン
323 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 19:35:14 ID:NTyuvDxF
「サスペンス、クライム」
死者もし語るを得ば
家族の一人
谷の向こうの家
処刑
二日酔い
復讐
静かな遊び
サン・クエンティンでキック
「異色短編」
頭上の侏儒
番犬に注意
輝く断片
遊園地
終列車
愛の手紙
美しき新来者
そこだけの小世界
警官アヴァカディアンの不正
ナツメグの味
324 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 19:37:48 ID:NTyuvDxF
>>322 >>埃だらけの抽斗うまくいったようだわね
埃だらけの抽斗
うまくいったようだわね
325 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 20:53:56 ID:+QSJ2vWn
鷹の森の家て
326 :
名無しのオプ:2006/01/03(火) 21:01:34 ID:NTyuvDxF
ありゃ 魔だった
327 :
名無しのオプ:2006/01/26(木) 02:02:43 ID:MIFYWmAs
ぶ厚い3月号きのう発売。
読んだ人いますか?
感想どうですか?
328 :
名無しのオプ:2006/01/27(金) 04:56:29 ID:qMAMcnXu
3月号読みであった。フィールディング判事の短篇は嬉しい。
しかし・・1円お釣り返ってくる値段設定がビミョーだな。
329 :
名無しのオプ:2006/01/29(日) 02:20:21 ID:iwdhP+HF
オールタイム・ベスト1がアガサ・ク○スティ。
これでベテラン読者、納得するのかな?
330 :
名無しのオプ:2006/02/10(金) 20:04:01 ID:AJioqtc/
納得するだろそりゃ
1位にポピュラーな名前が来るのが当然なんだから
331 :
名無しのオプ:2006/03/21(火) 02:24:47 ID:TxrBj1CC
老舗雑誌なんだけどね。伸びないの寂しいね。
買ってあげてね。図書館で借りてもいーし。
332 :
名無しのオプ:2006/03/23(木) 19:18:42 ID:L+qxs4gg
>>331 おれ図書館で借りてる。今月のは
蛆虫だけ読んだ。賞取るほどでもなかったと思う
333 :
名無しのオプ:2006/03/23(木) 19:55:38 ID:lsEKjUhB
おれ図書館でバイト初めて一年になるけど
ミスマガ借りた人見たことないw
一年前のでも新品同様。
SFマガジンですら2、3ヶ月に一度借りられるのに。
334 :
名無しのオプ:2006/04/27(木) 16:18:07 ID:7SXIfgj0
鉄ヲタじゃないけど今月号面白そうだ。
挙がってた「サブウェイパニック」っての読みたくなった。
しかし漫画の今シリーズは面白くないw
335 :
名無しのオプ:2006/05/08(月) 01:41:16 ID:L3dM6I8z
>>334 >しかし漫画の今シリーズは面白くないw
後半になって種明かしが始まってきたら
面白くなるんじゃね。あの人のは単行本で
纏まると面白い。
336 :
名無しのオプ:2006/05/11(木) 02:24:19 ID:/H4NoBTV
1999年〜2003年までなら持ってる。
又買おうかな。
337 :
名無しのオプ:2006/05/11(木) 02:38:39 ID:zhJ96kKI
338 :
名無しのオプ:2006/05/11(木) 19:14:48 ID:WMJZoTGR
昔は毎月買ってたけど
俺、日本人作家はまったく興味ないから
中身が薄くなった気がして今では買わないな
近所の図書館にはまだあるw
339 :
名無しのオプ:2006/05/23(火) 00:00:31 ID:wXSFH++P
7月号は50周年記念なのに定価840円ということは、
記念特集を組んでも部厚くならないってことかな?
特大号でバカ高くなるのもイヤだけど、なんだか寂しい・・・。
340 :
名無しのオプ:2006/05/23(火) 01:06:43 ID:6tsbGf87
341 :
名無しのオプ:2006/07/01(土) 22:11:02 ID:PTSyVC52
図書館で去年の12月号読んだ
エドワードDホック目当てだったけど
ケン・ブルーウンって作家いいね
久しぶりのヒットだわ。出てくる曲も好みのが多いし。
342 :
名無しのオプ:2006/07/23(日) 23:43:39 ID:GkXgLJld
今日の日経の読書面に、創刊50周年の記事出てましたね、
なんだかんだ言って、一定水準の内容をクリアーして続いていることが凄い。
ちなみに、部数はずっと3万部、らしいです。
343 :
名無しのオプ:2006/08/18(金) 01:11:50 ID:yIsQNCdH
ダガー賞短編特集なのに盛り上がらないなw
344 :
名無しのオプ:2006/09/30(土) 15:54:49 ID:1UF9OFDS
11月号のアルレーの短篇、前にもミステリマガジンに載ったやつだよね?
そのあとハヤカワ文庫のアンソロジーにも収録されていた。
新訳が出るのは珍しくないけど、エディターズ・ノートで一言ことわってほしかった。
345 :
名無しのオプ:2006/10/29(日) 12:27:09 ID:oUHqE6UG
今クリスマスベスト30読んでるけど
絶版とかにこだわらないからいいね。
情報として欲しいもんな。
346 :
名無しのオプ:2006/11/01(水) 23:52:50 ID:5sNBvYTw
プレゼント合戦の話面白かったけど
最後がよく分からなかった
ただそれだけの事で唸るようなオチは無かったって事?
347 :
名無しのオプ:2006/11/03(金) 14:27:51 ID:qixklOsX
プレゼント合戦の話って、男の子が生まれる度に祝い金が倍増していくから、15人目の頃には莫大な金額になった。だからいまでは酋長になっているってことでしょ。一種のコン・ゲームだよね。
348 :
名無しのオプ:2006/11/03(金) 14:44:09 ID:GYVLrS+Z
短編を全集形式で出して欲しいなあ
一部の有名作家しか本にまとめられないから
349 :
名無しのオプ:2006/11/03(金) 21:58:58 ID:UQF37A4d
>>344 アルレーの短編良いね
モーパッサンみたい
350 :
名無しのオプ:2006/11/05(日) 20:18:18 ID:ueJ2ZzJ0
今月は「いけない子」がよかったな
他の作品も読みたくなった。
翻訳で冷めた部分もあったけど。
351 :
名無しのオプ:2006/11/30(木) 23:19:34 ID:zAqUcdwH
スピレイン特集だね
ところでプレスリーvsミイラ男に衝撃うけた。すごいなこの作品。
ランズデールはムーチョ・モージョしか読んだことないけど
彼のベスト作ってなに?
352 :
名無しのオプ:2006/12/13(水) 00:20:38 ID:Ux+qG3IS
と問うてみたものの誰も書き込んでくれないので
「ボトムズ」読んだ。
353 :
名無しのオプ:2006/12/29(金) 03:44:39 ID:+cdd981Z
今月はモンスター特集だね
354 :
名無しのオプ:2007/01/06(土) 10:32:31 ID:0YbSUCkQ
「特別対談『ゴジラのテーマ』知られざる真実 大林宣彦&石上三登志」って、
こいつらアンチ・ゴジラ派の代表格じゃないか。何考えてるんだ?
早川書房は『キング・コング』旧作のノベライズ本でも、
尾之上浩司の「『キングコング対ゴジラ』の日本版はゴジラが勝つラスト」
なんてウソ解説を見逃してるし、
特撮・怪獣関係はまったく期待できないな。
355 :
名無しのオプ:2007/01/07(日) 17:53:07 ID:1j7VEJkT
>>354 アンチ・ゴジラ派ってなんだ?初めて聞いた。
356 :
名無しのオプ:2007/01/07(日) 17:58:30 ID:MHXl0XG/
珍しく上がってる
ランズデール載ってるから買うか
357 :
名無しのオプ:2007/01/07(日) 18:55:27 ID:tIcI4mVs
>>354 それ読みますた。
「ゴジラのテーマ」とさかんに石上氏が言っているが、どの曲のことかちょとわからなかった。
「防衛側のシーンで流れる曲」というから、たぶん、あのアップテンポの曲だと思うんですが・・・
オープニングで流れる・・・
358 :
名無しのオプ:2007/01/07(日) 20:41:01 ID:ItdyPd2k
>>355 若いな……
>>357 伊福部昭の作曲意図としては、『ゴジラ』オープニングで流れる勇ましい音楽は
ゴジラを迎える人間側の危機感を表す曲で、ゴジラのテーマではない。
ゴジラのテーマは、山根博士の「ゴジラに光を当てないでください!」のセリフの後、
品川に上陸したゴジラが電車をひっくり返したりする時に流れてる重々しい音楽。
石上なら誤解してても不思議じゃないけどね。
359 :
名無しのオプ:2007/01/08(月) 17:26:44 ID:eJF8IVFk
>>358 若いな……
説明になっとらんが。
作曲家や作者の意図と評論家の分析や感想は、別個のものだろう。
360 :
名無しのオプ:2007/01/08(月) 18:18:35 ID:vkiLeZH6
石上三登志はゴジラが大嫌いで
機会があるたびに国産怪獣映画をこき下ろし続けてたことで有名なんだが。
『吸血鬼だらけの宇宙船』でも読んでみれば?
361 :
名無しのオプ:2007/01/09(火) 15:50:36 ID:Zv3nUFqI
大林・石上対談読んだけど、かなり恥ずかしい感違いだよ、これは。
『ゴジラ』のタイトル曲のメロディーが『社長と女店員』より前に
「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲風狂詩曲」で使われてることは、ゴジラ・ファンには常識。
これに限らず、伊福部昭が純音楽・映画音楽問わずメロディーを使い回ししまくりなのもね。
ほんの少しでも調べるなり特撮関係のライターに訊くなりすれば判ることなのに。
362 :
名無しのオプ:2007/01/26(金) 15:40:51 ID:LNXtb+95
今月号の最大の収穫は内藤陳が生存していたことだな。
このミスに載ってなかったから死んだかと思ってたよ。
363 :
名無しのオプ:2007/02/01(木) 22:06:18 ID:yrZnGgnC
今月号は1850円くらいしますね。
364 :
名無しのオプ:2007/02/01(木) 22:46:57 ID:hzsfmHlJ
「絞首人の手伝い」分載がやっと終わった
はやく本に纏めてくれよ、頼むから
365 :
名無しのオプ:2007/02/16(金) 12:39:10 ID:ZTh0CQHD
面白かったんだろうな
366 :
名無しのオプ:2007/02/20(火) 17:58:45 ID:C7oHaoQG
367 :
名無しのオプ:2007/03/14(水) 13:01:40 ID:iodFwffl
チャンドラー特集は素晴らしい。
368 :
名無しのオプ:2007/03/14(水) 17:27:08 ID:YHdZp8NU
新訳は良かったけど、それ以外がなぁ・・・
369 :
名無しのオプ:2007/03/15(木) 00:17:28 ID:jKE4PsHp
だから何が「なぁ」だよ?
370 :
名無しのオプ:2007/04/05(木) 16:36:26 ID:RWbfAatC
メイド、執事特集w
狙いは好きだけどもうちょっと掘り下げてほしかったな
個人的には「らせん階段」のヘレンが最高のメイド像なんだが
残念ながら触れられていなかった(探偵役じゃないからか)
371 :
名無しのオプ:2007/04/21(土) 16:39:38 ID:BXCvewhn
毎月これ読んでいるうちに次の発売日が来てしまう。
372 :
名無しのオプ:2007/05/05(土) 12:31:17 ID:JZQOwLYD
スレタイが「ミステリー・マガジン」なので、検索でなかなか引っかからなかった。
題名だけ訂正することってできませんかねえ?
373 :
名無しのオプ:2007/05/06(日) 11:24:22 ID:5Zq67sRb
このままでもいいんじゃない?
374 :
名無しのオプ:2007/05/06(日) 14:56:46 ID:rSbFQr84
すいません、「ど」のつく素人なんですけど、『ミステリマガジン』は、なんで最初『エラリィクイーンズ・ミステリマガジン』と名乗ってたんですか?
それで何号からエラリィクイーンは外れたんでしょう?
教えてください。
375 :
名無しのオプ:2007/05/06(日) 15:00:25 ID:XyF/gGH5
まずは自分で調べてみることだ
話はそれからだ
376 :
名無しのオプ:2007/08/28(火) 01:34:16 ID:x0Z0GbJH
隔離戦線いつのまにかなくなってるやん! 何があったの?
377 :
名無しのオプ:2007/08/28(火) 01:44:45 ID:zgWuSyue
>隔離戦線
つまらないのでなくなりました。特に一番下の欄。
378 :
名無しのオプ:2007/08/28(火) 02:08:49 ID:x0Z0GbJH
そうでしたか。ありがとうございました。
物議醸し気味の路線は残してほしかったけど、寄る年波でしゃあないか。
茶木氏の頃が懐かすい。今頃どうしてるのやら…
379 :
名無しのオプ:2007/09/05(水) 12:02:47 ID:iAyQziOO
茶木の後に来た奴がうんこだったな。
関口・池上とのバランスも崩れてしまった感じ。
380 :
名無しのオプ:2007/09/05(水) 22:43:46 ID:6u9q5XYV
他人を茶化すしか能のない奴だったからね
最終回までそうだったしw
381 :
名無しのオプ:2007/09/09(日) 18:13:48 ID:D4NtyfHS
話はちがうんですが、友人が○崎由美が女性だということを信じようとしません。
382 :
名無しのオプ:2007/09/09(日) 21:50:56 ID:4WXbhOWV
豊崎は本当に隔離したほうが良い。
ミステリーチャンネルのベスト10とかもあいつがいないだけで随分ましになると思う。
383 :
名無しのオプ:2007/10/24(水) 22:14:16 ID:LTQW9rOf
384 :
名無しのオプ:2007/10/27(土) 03:30:28 ID:0l9Bg9kb
リニューアルというより、日本作家に比重をおいた別雑誌になるようだ
「ミステリーズ」と競うつもりかね
385 :
名無しのオプ:2007/10/27(土) 13:13:55 ID:HYiSiycc
そんなすごく変わるわけないじゃん。
みんな期待しすぎじゃないの?
386 :
名無しのオプ:2007/10/28(日) 16:29:39 ID:hPFedKqZ
>>385 誰も期待していない。リニューアルってのは業績が悪化したからやるものだ。
まずい状況にあるってことだろう。不安だ。
387 :
名無しのオプ:2007/10/28(日) 16:58:25 ID:POUc0Rr6
ミステリーズて
だんだん薄くなっていってるんだが
388 :
名無しのオプ:2007/10/28(日) 18:16:51 ID:uibVWJiJ
次号予告を見たんだが、海外作家はランキンとペレケーノスだけじゃん
小鷹の連載が終わったら、定期購読は打ち切る
389 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 10:31:45 ID:Dk0Emfee
海外メインというのが一番の売りだったはずなのにそれを変えるなんて正気か!?
日本のミステリーを扱った雑誌なんざ腐るほどあるだろうが
「今月の書評」も海外国内の比重が逆転したりするのか?
なら俺も立ち読みにするわ
390 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 12:09:04 ID:gmC5M3ut
>日本のミステリーを扱った雑誌なんざ腐るほどあるだろうが
ねーよw
391 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 12:44:47 ID:D7fU2rOR
腐るほどではないけど、「ジャーロ」と「ミステリーズ!」があるからな
それに、中間小説誌でもミステリー特集をやるしね
392 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 12:57:04 ID:gmC5M3ut
「小説推理」がある。「メフィスト」まで入れても4誌だ。
これで「腐るほどある」といわれてもなあ。
393 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 13:10:44 ID:D7fU2rOR
「腐るほどある」ってのは言いすぎだけどさ、ミステリマガジンで
日本のミステリーなんざ読みたかねーわ
394 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 13:19:51 ID:gmC5M3ut
まあ、特に問題がなければリニューアルなんてする必要もないわけで。
翻訳メインでは採算ラインに届かないということなんだろうな。
悲しいことだが。
395 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 14:19:53 ID:Dk0Emfee
乱歩みたいに私財を投じて誰か……
396 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 20:42:34 ID:LYLHTP0/
397 :
名無しのオプ:2007/10/29(月) 22:36:33 ID:D7fU2rOR
うん、読まんよ
398 :
名無しのオプ:2007/10/30(火) 23:33:46 ID:peTbXWe/
>12月号編集後記で、次号、2008年1月号からの 《ミステリマガジン》 リニューアルについて触れられています。
>「海外・日本を問わないミステリの総合誌として生まれ変わります」 とのことですが、要は翻訳ミステリ専門誌
>から日本作家の作品中心 (あるいは重視) にシフトしていく、ということなのでしょう
>(イアン・ランキンやペレケーノスの名前もある次号予告をみるかぎり、当面、それほど極端な路線変更(海外物切捨て)
> ではないようですが)。
日本作家の作品中心 (あるいは重視) にシフト、というのが心配なんだよな……
399 :
名無しのオプ:2007/10/31(水) 15:12:31 ID:bAqiOCbS
EQの廃刊って、確か翻訳料の(二次使用)の折り合いがつかなくなってって
ことだったから、国内作家の方が契約とか楽なんだと思う。
心配だ。
400 :
名無しのオプ:2007/11/18(日) 00:21:45 ID:n8PXkheK
401 :
名無しのオプ:2007/11/21(水) 13:34:24 ID:IJb56Vur
とりあえず表紙はいい感じだな
402 :
名無しのオプ:2007/11/27(火) 12:47:31 ID:rlSqE8aQ
1月号見たけど、改装中の店舗って感じだね。
403 :
名無しのオプ:2007/11/28(水) 01:05:38 ID:4ydoMuF2
こう言ってはなんだけど、デザインは変わっても、変わんないところは
そんなに変わってないね。一応いい意味で。
404 :
名無しのオプ:2007/11/28(水) 01:07:54 ID:4ydoMuF2
あれ、スレッド上がらなかった。しゅん。
405 :
名無しのオプ:2007/11/28(水) 11:26:02 ID:vzYiK0S/
国内作家が多くて買うかどうか迷ったけど、田口俊樹による三川基好追悼文と
小鷹連載のために購入したよ
「「新・世界ミステリ全集」を立ち上げる」は酷いし(相変わらず記事が飛び地
になっていてゲンナリ)、他の新連載もちょっとねぇ……
406 :
名無しのオプ:2007/12/01(土) 03:21:50 ID:pQ5CKJ8o
紙質落ちたんじゃね?
407 :
名無しのオプ:2007/12/02(日) 19:18:37 ID:i7y7QKTA
ランキン、ペレケーノスで840円は高いな
408 :
名無しのオプ:2007/12/26(水) 12:39:02 ID:7T8y94PP
2月号出たね。
409 :
名無しのオプ:2008/02/28(木) 11:18:52 ID:9iQzXBgs
一番面白い頃の奴、
引越の時処分しちゃった。
新築のマイホームなのになんか寂しい・・
410 :
名無しのオプ:2008/02/28(木) 18:14:49 ID:sNW4l1QW
なんて、もったいないことを
411 :
名無しのオプ:2008/02/28(木) 19:35:45 ID:ozqv5tSo
処分てまさか捨てたんじゃないだろうな
最悪売れよ
412 :
名無しのオプ:2008/02/29(金) 22:04:28 ID:4+CpuMW0
409です。
お小遣いのたしにと売りました。
残念ながら二束三文でした。
近頃はミスマガのインデックス載ってるHP見て懐かしがってます。
長年飼ってたペットなくしたような気持ちだなあ。
せめてものお詫びに廃刊までつきあうか。
413 :
名無しのオプ:2008/02/29(金) 22:32:03 ID:yEodr/61
というか家建てたならむしろ置き場所あるだろうに
414 :
名無しのオプ:2008/02/29(金) 22:48:24 ID:4+CpuMW0
くだらない荷物減らしなさいと怒られたんです・・
しかしこれが殺人の動機になるのは恥ずかしいと思いまして
・・しかしいつか殺してやる・・いひひ・・
わっ!冗談だ許してえええ〜〜〜〜!!殺さないで〜!!
ぎゃあああああああああ〜〜!
415 :
名無しのオプ:2008/03/29(土) 01:31:40 ID:SPJa6KUy
5月号はエドワード・ホック追悼特集ね。
416 :
名無しのオプ:2008/03/29(土) 15:45:06 ID:5WDbuJul
怪盗ニックだけ読んだ
417 :
名無しのオプ:2008/04/01(火) 00:16:24 ID:vgxD/zBr
もったいなくて、追悼エッセイしか読んでない
418 :
名無しのオプ:2008/04/23(水) 23:59:26 ID:Ju7SrdRD
年初にリニューアルしても、あんまり内容変わらないよね?
419 :
名無しのオプ:2008/04/28(月) 13:01:17 ID:NXjOYI39
420 :
名無しのオプ:2008/06/22(日) 14:40:30 ID:Qd3W4sRE
買ってないけど、今月号は連隊旗を守った男の話がよかった。
老いぼれ賞金稼ぎも良い味出してて他のも読みたくなった。
421 :
名無しのオプ:2008/06/29(日) 13:37:41 ID:2bbNrb5H
スレタイが微妙に間違っているから、削除してもらって、新しいスレ立てた方がよくない?
422 :
名無しのオプ:2008/06/29(日) 13:38:47 ID:xBKpB8jr
次スレ(何年後だ?)立てる時に変えればいいでしょ
423 :
名無しのオプ:2008/06/29(日) 14:15:46 ID:2bbNrb5H
>>422 そだな。
実は、オレ、ここのスレ主なんだ(爆。
だから、責任感じていたのだが、了解しました、ありがとう!
424 :
名無しのオプ:2008/07/02(水) 18:58:10 ID:pPiMuz1Z
殺人占い、俺の場合はキャリーだった
425 :
名無しのオプ:2008/09/15(月) 03:21:03 ID:D5qBGi2s
ミステリマガジン10月号 特集/イアン・フレミング生誕100周年
の、宣伝ってことで、ミステリチャンネルに編集部の女性が出ていた。
デップリとした体格で(おそらく80kオーバー)、薄手カットソーで三段腹を隠さず、
短めのスカートから巨大な膝もチラッと出していた。
(;´Д`)すげー好みなんだが…。つか、一目惚れだ。 独身だろうか?
426 :
名無しのオプ:2008/09/15(月) 10:59:39 ID:Tanzp6Vv
>>425 あの編集の人(霞流一風に言うとマイキーK女史)は何年も前から番組に出てるね
イベントに顔を出すことがあるみたいだから、会えるかもしれないよw
427 :
名無しのオプ:2008/09/19(金) 20:00:54 ID:BWd7RoVx
>>426 彼女の名前も書かなかったのに、わかっていただけるとはw
そうですか、以前から出てるんですか。
ミステリチャンネルでは番組本編しか見てないんで、
あーいうちょっとした宣伝コーナーは見落としてました。
てか、名前わからずじまいw
何かイベントがあったら行きたいけど…って、それじゃまるでストーカーじゃん!w
芸能人じゃなく一般人だからなぁ。
428 :
名無しのオプ:2008/12/05(金) 03:13:01 ID:bg2lEDFV
今だ!428ゲットオォォォォ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (´´
∧∧ ∩∩ (´⌒(´
⊂(゚Д゚⊂⌒″ノ ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
 ̄ ̄ (´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
429 :
名無しのオプ:2008/12/05(金) 21:14:39 ID:GPO76dHc
430 :
名無しのオプ:2009/02/01(日) 17:11:08 ID:d6IGVnib
図書館のリサイクルでバックナンバーを貰って来ました
431 :
名無しのオプ:2009/02/01(日) 22:12:07 ID:uc5h7gRN
貧乏馬人
432 :
名無しのオプ:2009/02/01(日) 22:40:48 ID:RB8d8FBL
うちの近所にも置いてあるけどそういうのあるのかな。
海外モノしか興味ない自分は今のミステリマガジン
金出す価値無いからうらやましい。
433 :
名無しのオプ:2009/02/01(日) 22:44:47 ID:NhYj3spY
誰も編集長交代には触れないのかよ!
まあ俺にとっても、SFマガジンの編集長交代のほうが大ニュースだけど。
434 :
名無しのオプ:2009/02/15(日) 19:50:48 ID:PpIF/LCr
>>433 ええ、編集長、2年ぐらい前に交替したばかりじゃなかったけ?
つか、今度、誰がなるの?
(と、質問したところで、名前いわれても知らないけど)
435 :
名無しのオプ:2009/02/15(日) 21:20:25 ID:Gku/PFo5
436 :
名無しのオプ:2009/02/26(木) 22:19:22 ID:vZ6h7Ed/
リンダ・ローリングの名を度忘れしたとおぼしい杉江松恋の原稿にドン引き。
杉江も杉江だが、ミステリマガジンの編集者が気付かないというのもひどいね。
437 :
名無しのオプ:2009/02/27(金) 01:57:56 ID:5Kn983vF
>>436 それで来月はチャンドラーの特集だってんだから
438 :
名無しのオプ:2009/02/27(金) 02:26:24 ID:9fqIyNhT
またチャンドラー特集すんの?!
439 :
名無しのオプ:2009/02/27(金) 05:37:18 ID:3t9BQ3eQ
そ、チャンドラーと村上春樹の特集。
440 :
名無しのオプ:2009/02/28(土) 22:03:34 ID:dQXnB6FZ
この雑誌の存在を今日になって図書館で知ったんだが今から買っても間に合うかねぇ
バックナンバー欲しいんで創刊号から少しずつ買ってくつもり
441 :
名無しのオプ:2009/03/01(日) 00:57:14 ID:88hFSMmB
本当に居るのか居ないのかも分からない読者票で年間一位にする出来レースの布石ですから
442 :
名無しのオプ:2009/03/01(日) 16:53:36 ID:FCKbL1PY
>>440 まだ全号在庫あるみたいだし間に合うだろ
443 :
名無しのオプ:2009/03/14(土) 02:45:25 ID:2b4ToOO7
リンダ・ローリングを間違えるのはまずいだろ
444 :
名無しのオプ:2009/03/25(水) 14:27:23 ID:LQA43Umo
カズオ・イシグロ載ってねえじゃん!目次詐欺かよ。
445 :
名無しのオプ:2009/03/27(金) 17:31:29 ID:Gef9oMkH
おいおい、仁賀が連載はじめるのかよw
446 :
名無しのオプ:2009/03/28(土) 02:40:49 ID:QmV2Pb0O
447 :
名無しのオプ:2009/03/28(土) 21:57:31 ID:8QOmGYGW
オレがミステリに嵌ったきっかけは
仁賀の「放課後の殺人者」
448 :
名無しのオプ:2009/04/03(金) 19:11:08 ID:dpBxi7Rs
某県庁所在地の市立図書館では今春から購入取り止めになりました……
SFマガジンも
読む場所がねえ……
449 :
名無しのオプ:2009/04/03(金) 21:34:54 ID:jRIXeSlT
定期購読しなさいよw
450 :
名無しのオプ:2009/04/03(金) 21:50:31 ID:dpBxi7Rs
高ーい 高いよ小沢さん
451 :
名無しのオプ:2009/04/07(火) 17:00:49 ID:sYoL30Ed
図書館ってリクエストすれば多少なりとも
考慮してくれるのでは?
「購入の再開を熱烈に希望」と訴えてみれば?
452 :
名無しのオプ:2009/04/19(日) 03:07:18 ID:DClZ43e8
福田和代「プロメテウス」シリーズってどこまで続くんでしょう?
需要があれば単行本化してくれるかな?
453 :
名無しのオプ:2009/10/07(水) 19:08:30 ID:CZaV3hgp
新連載はじまったね
454 :
名無しのオプ:2009/12/11(金) 12:51:22 ID:GEjz5Wru
投稿したいんだが、ハガキで良いの?
455 :
名無しのオプ:2009/12/11(金) 13:07:41 ID:aigDoE8a
はがきでも封書でも
456 :
452:2009/12/12(土) 04:07:58 ID:rey2vRF2
福田和代「プロメテウス」シリーズ来年初め頃発売するそうです。
http://twitter.com/kazuyo_fuku より。
数ヶ月前、迷宮解体新書で福田さんが取り上げたとき
その月号の感想書いて送れば福田さんのサインがあたったかもしれないのに
応募し忘れた。
ひそかにこのいた辺りに福田和代のスレ建てようかと
思ってるのですが需要あると思いますか?
457 :
名無しのオプ:2010/01/07(木) 13:07:25 ID:BT8bMhZ3
>>425はまだこのスレを読んでいるだろうか。
編集後記に『嫁の貰いてがない』とかなんとか
書いてあったぞw
458 :
名無しのオプ:2010/03/29(月) 17:08:52 ID:0RmKKcTQ
今月は追悼特集
「ロバート・B・パーカーに乾杯」発売中
459 :
名無しのオプ:2010/03/29(月) 18:33:51 ID:+R1UJk+I
460 :
名無しのオプ:2010/03/30(火) 11:58:09 ID:RyBnxLeg
定期購読をやめてこのスレの存在すら忘れてたが、上がっていたので久しぶりに覗いてみたらリニューアルとか・・・。
もう二度と買う事はないだろうな。
461 :
名無しのオプ:2010/03/30(火) 18:54:25 ID:UPM+oSOz
>459
「献杯」でした。スマン
462 :
名無しのオプ:2010/05/09(日) 01:59:32 ID:i80otQEM
>>460 以前の方が面白かったってことでしょうか?
463 :
名無しのオプ:
>462
今もそこそこおもしろいと思う。
エッセイは玉石混合。