初心者のためのミステリ用語辞典

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387変格ミステリ
本格ミステリと対を成す形態のミステリ。

といっても、本格ミステリの定義そのものがあいまいであるため、
両者の間に明確な区分があるわけではない。
一応、編者個人の見解としては、
謎の構成やその解明に至るプロセスに重点をおく作品が本格ミステリ、
謎や事件経過の「文章的な見せ方」に重点をおき、
論理的展開よりも結末のカタルシスを重視する作品が変格ミステリ、
といったところか。
「見せ方」の手法として、サスペンスなどの心理描写に重点をおくものや
幻想ミステリ、倒叙、叙述などの形態をとることが多い。
しかし、これらのジャンルの作品のすべてが
十把一絡げに変格ミステリというわけではない。
どんな作品でも本格と変格、両方の要因を包含しているものであり、
どちらの要因が大きなウェイトを占めるかによって、
分類がなされるのであろう。

一応の分類基準としては、
かつて江戸川乱歩が「奇妙な味に重きをおくもの」と呼んだ諸作品が
現在で言う変格ミステリにあたると思われる。
このときに例としてあげられていたのは、
ポー「盗まれた手紙」ドイル「赤髪連盟」チェスタトン「奇妙な足音」
ダンセイニ「二壜のソース」ウォルポール「銀の仮面」など。