1 :
471 ◆0Hq6/z.w :
パソコンを使った仕事をしていると、ある一定の時間が来ると非現実感に襲われる。
詳細は
>>2へ
2 :
471 ◆0Hq6/z.w :01/11/30 20:33
【詳細】
題名は適当につけた(苦笑
随時変更予定という事にしましょう
現時点では主人公は男であるか女であるかは決めていません
話の流れが出て来た所で詳細なプロフィールを作りましょう
登場人物は出来れば少ないほうがいい
話の流れを汲んだ上で、文章は一行で収める
荒らしが出てきたら削除依頼を出す
話の流れがおかしくなってきたら、書き込みをしている人及びこの板の住人に添削をして頂く
面白そうなものになってきたらHPを開設します
話が面白くなってきて完璧なものになれば新人賞に応募しましょう(藁
【注意】
あまりいい印象を持たれないと思われますが、自分の文章に責任を持つために出来るだけコテハンにトリップをつけて書きましょう(名前の後ろに半角#任意の数字やアルファベット等を付けるとできます)
追記することがあれば随時書き込んでいってください
それではがんばって書き込んで下さい
3 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/11/30 22:17
覗く者は覗かれる。ニーチェの言葉だったか、モニターの中からの視線を感じてしまうのだ。
4 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/11/30 22:21
【質問】
書き込んでいる間に、誰かの文章が先に入っていて、
上手くつながらない場合には、どう裁くのですか?
5 :
返答 ◆0Hq6/z.w :01/11/30 22:49
そんな人気のあるスレに育つでしょうか(T-T)
文才がないのでROMします。
頑張って育ってください。
>4-5先に書いた方を優先で良いんじゃない?
それと一行リレーとしてやるなら
順番を明確にするため今が何行目かを文頭に
出した方が良いと思います。
2.覗く者は覗かれる。ニーチェの言葉だったか、モニターの中からの視線を感じてしまうのだ。
普通のリレー小説にして、批判・要望は別のスレを立てるってんじゃ
だめなの? 添削はどうしたものかわからないけれど。
がんばってください。
その日。
私は、提出の迫った企画書を書くために、5時間近くも、
パソコンのモニターを見続けていた。
目の奧が痛くなっていた。ときおり目を閉じ、指でまぶたを押す。
何度目かの、そんな仕草をしている時だった。
私は、奇妙な感覚に襲われた。
誰かに見つめられているような視線・・・それを感じたのだ。
3.その視線は抗って仕事を続けることができないほどに強く、私はいつも
大げさな伸びをして疲労感を周囲にアピールすると、逃げるように席を立つ。
悪いんですが9は無視させていただきました。
1では、「非現実感」はいつもきまって訪れるもののように
書かれているのに、9では初めての出来事としか読めないのと、
1−9までの話の流れやできあがりつつあるルールを
無視していると思えたので。
ごめん>9
12 :
◆0Hq6/z.w :01/12/01 15:51
4.
不特定多数人間の吐き出した煙の中で、ゆっくりと烟草を燻らす趣味はない。
夏の空の高さとパソコン上の三次元空間との格差に戸惑いを隠せないまま、
誰も来ない7階の非常階段の私だけの喫煙場所でジタンの両切りに燐寸で火を点す。
13 :
名無しのオプ:01/12/01 18:31
隣の女が気にかかる、と洒落込んでみたいが、そういう状況はたぶん訪れないだろう。
14 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/12/01 22:53
や、一行ルール、もう廃止ですか。
では、Qさんの文章を救いあげ。一応13さんのも組み込んで、っと。
5.隣の女が気にかかる、と洒落込んでみたいが、そういう状況はたぶん訪れないだろう。
6.
その替わりに、こちらは最早「いつも」と形容すべき状況になりつつある、
もうひとつの非現実感が私をゆっくりと包み始める。
ぼんやりと消え行く紫煙の渦を見やるうちに、初めてこの耐え難い感覚を
覚えた日のことが、徐々に鮮明な映像となって目前に広がっていくのだった。
信じられないことだが・・・まるで映画でも眺めているかのように、文字通り、
目前に。
その日。
私は、提出の迫った企画書を書くために、5時間近くも、
パソコンのモニターを見続けていた。
目の奧が痛くなっていた。ときおり目を閉じ、指でまぶたを押す。
何度目かの、そんな仕草をしている時だった。
私は、奇妙な感覚に襲われた。
誰かに見つめられているような視線・・・それを感じたのだ。
15 :
名無しのオプ:01/12/01 22:55
箱の中のこびと? いやそんなわけはない。
16 :
ppp ◆tNMqxyXk :01/12/01 23:21
目目連? いやそんなわけはない。あってたまるか。
17 :
名無しのオプ:01/12/01 23:22
そもそも私には、目目連とは何であるかが、どうも理解できないのであった。
18 :
反省 ◆0Hq6/z.w :01/12/01 23:46
19 :
名無しのオプ ◆J71eKlNQ :01/12/02 17:17
ふと、頭の中に声が聞こえる気がする。
「このスレ、楽しみにしてるのに全然延びないなぁ、いちおうあげておこうかな」
なんだ? 誰だ? 言っている意味が良く解らない・・・・
20 :
名無しのオプ:01/12/02 18:10
「トリップなんて厭だぁ」というかすかな声も聞こえる。
21 :
名無しのオプ:01/12/02 18:23
「五月蝿い、黙れ!」私は頭の中に渦巻く声に一喝した。
22 :
名無しのオプ:01/12/02 18:34
すべては妄想にすぎない。そう自分を納得させつつマッチを擦った。
23 :
名無しのオプ:01/12/02 18:38
いや、擦ろうとしたというのが正しい。マッチの箱から
24 :
名無しのオプ:01/12/02 19:00
「お、お父さん!?」
25 :
名無しのオプ:01/12/02 19:04
マッチ箱の中に父がいた。
26 :
名無しのオプ:01/12/02 20:10
「母さんは貯金箱の中にいるぞ」と父は言う。
27 :
名無しのオプ:01/12/02 20:11
私は貯金箱に触れてみる
28 :
名無しのオプ:01/12/02 20:47
とたんに貯金箱は霞と消え、場面は暗転。疑心案気の私。
ただひとつ残されたものは一片の紙切れ。つらつら途方に暮れるのみ。
29 :
名無しのオプ:01/12/02 21:01
とりあえず、その一片の紙切れで「悪魔」を作ってみる。
(前川淳・作「ビバ!折り紙」より)
頭の2つある、羽根の生えた悪魔だ。
31 :
名無しのオプ:01/12/02 21:22
悪魔が来たりて笛を吹く。
32 :
名無しのオプ:01/12/02 21:24
うわっ、本当にどこからか笛の音が聞こえる――
33 :
名無しのオプ:01/12/02 21:25
「お父さん〜お父さん〜悪魔が来たよ〜」
34 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/12/02 21:29
そして私は確かに見た。折り紙の悪魔がもそもそと動き始め、空に飛び去っていくところを。
映像は、いつもそこで唐突に消えてしまう。
判っている。これは全て幻覚だ。
今日も自分にそう言い聞かせることで、かろうじて私は私でいることができた。
だが...この胸騒ぎは何なのだ?
この映像には、何かが欠けている。あるべきはずのシーンがないと感じられるのだ。
そもそも記憶と幻覚が入り混じった幻視体験に、何が足りないというのだ?
駄目だ。それを思い出してはいけない。絶対に。
35 :
名無しのオプ:01/12/02 21:51
ざっとまあ、これが私の非日常、いわゆるよくある光景なのである。
性別、男。年齢、33。
生きているとそれなりにいろいろ不思議なことが起こるものだ。
36 :
名無しのオプ:01/12/02 21:56
ところで、私について読者が知っている二三の事柄。
これを披露してみよう。つまり私は
37 :
名無しのオプ:01/12/02 21:56
「そんなわけあるかよっ!」
そう、ちょっと狂っている。 言うまでもなく。
39 :
名無しのオプ:01/12/02 23:01
私が狂い始めたのは母の死がきっかけだったと思う。あれは18年前――
40 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/12/02 23:09
「15年前よ、間違えないでよ」別の貯金箱の中から母親が顔を出して、そう囁いた。
41 :
名無しのオプ:01/12/02 23:14
「16年前だよ、母さん」と父――まぁどちらでもいい。
42 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/12/02 23:29
ただひとつ、確実にわかっていることは――
何かを思い出そうと記憶を探るたびに、父や母、折り紙の悪魔などが現れる、ということだ。
そう、まるで私に思い出させまいとするかのように。
43 :
名無しのオプ:01/12/02 23:35
ちなみに父は健在だ。福島で農業を営んでいる。
44 :
AI(artificial idiot) ◆R6bFcIF2 :01/12/02 23:42
整理してみよう。
モニターの中から感じた視線。父と母。折り紙の悪魔。貯金箱。
それから――マッチ箱。マッチだと?
私はあわてて、自分が持っているジタンの両切りに目をやった。
馬鹿な。ジタンなぞ買った覚えはない。
なぜ自分は、いつもの銘柄ではなく、これを持っているのか?
いつ、どうやって、この煙草は私の手元にやってきたのだ?
45 :
名無しのオプ:01/12/03 00:01
私の脳裏に、母の葬儀の日に私の横でジタンの両切りを吸っていた
アノ人の姿が浮かんだ。
46 :
名無しのオプ:01/12/03 00:37
当時としては、人前でジタンを吸う女性など珍しかったのではないだろうか。
思い出した。
その女性は、切れ長の目で、私に視線を投げかけてきたのだ。
その視線・・・それは私がモニターの中から感じた視線と
同じもののように感じられる。
48 :
名無しのオプ:01/12/03 01:05
女は言った。「久し振りね。この悪党」
「お久しぶり・・・
母さんを殺したヒト」
私はジタンを握りつぶした
50 :
名無しのオプ:01/12/03 01:30
待て、落ちついて考えろ。ジタンを吸っていたのは彼女だ。
ではこの手の中のものは…
踊り場に漂う紫煙のコロイドと射し込む光が、光の帯を作り
そして翳る。
(メール欄に提案がある)
もう10年も昔のことだ。私と彼女は
54 :
名無しのオプ:01/12/03 01:43
いわゆる、男と女の仲だった。別れ話を持ちかけたのは彼女の方が先だった。
私はその時、それほど不思議には思わなかったように思う。
・・・つまり、そういう関係だったのだ。
特にきっかけがあったわけではないのだが
異父姉弟だった。彼女の母親は、私の母親でもあったのだ。
57 :
名無しのオプ:01/12/03 02:12
手のひらに痛みを感じた。
血まみれの手にはバラバラになったボールペン。
知らぬ間に握りつぶしていたらしい。
58 :
名無しのオプ:01/12/03 02:16
その赤を見て私は思い出した、彼女と見た歌劇『魔笛』。
あの悪魔の姿……「父さん〜父さん〜悪魔が来るよ」
59 :
上智 f-kanagawa-140128-l3.zero.ad.jp:01/12/03 02:18
私の握力は80kgだ
動悸がして背中に汗がにじんだが、胸の奥は冷たいままだ。
今日の私は特におかしいらしい。 会社を早退し、マンションの自室へ帰る。
空には、いつの間にか三日月が浮かんでいた。
61 :
間違って改行した45:01/12/03 09:29
血、赤、月・・・・そうあの夜も――
62 :
名無しのオプ:01/12/03 09:42
「あなたのお母さんを殺してあげる」
63 :
名無しのオプ:01/12/03 13:14
彼女は確かにそう私の耳元で囁いた。
部屋に戻るとソファに上着と鞄を投げ、水道の蛇口をひねる。
65 :
名無しのオプ:01/12/03 14:54
流れでた水が赤い。
66 :
名無しのオプ:01/12/03 15:30
「謎が解けたから殺しのよ」
「謎が解けたから殺したの」
「あなたのためよ」
68 :
名無しのオプ:01/12/03 16:45
「僕は、あの女は正気だと思いますよ、おとうさん。変人ではあるが、正気です。」
赤い水で顔と手を洗いながら私は、『生者と死者と』でのエラリーの台詞を呟き、ニヤリとした。
69 :
名無しのオプ:01/12/03 21:14
その夜、私は夢を見た。私が母の首を絞めていた。そんな夢だった。
しかし、事実は違うはずだ。母は自殺だったという。部屋に、内側から鍵をかけて。
だが――本当に、そうなのか?彼女か私の、どちらかが母を手にかけたのではないか?
私の中に、否定しても否定しきれない疑念が、押し寄せてくる。
あるいは、その両方が。
彼女と私、あの時の二人が手を組めば、あの密室を構成できた可能性がある。
実家の1階、一番奥にある、使われていない部屋だった。
古い、これまた当然使われていないピアノが置かれているだけの
少し広い空間。
事件があってからは、入り口の前にガラクタが積まれ
ほとんど開かずの間と化している。
おそらく、今後も使われる事はないだろう。
74 :
名無しのオプ:01/12/04 09:09
言っておくが、ほとんど開かずの間というのは密室を意味する
ものではない。だが、家の者からは事実上忘れられた存在であることは
確かだ。
母の死――そのことへの思考が睡眠での安堵感を奪った。
夜が明ける。眠った気がしない。
カレンダーを見ると今日は日曜だった。 最近は曜日感覚が磨り減っている。
77 :
名無しのオプ:01/12/04 11:04
今日の予定はなんだっただろうか。
78 :
名無しのオプ:01/12/04 11:06
特に腹が減っているわけではなかったが、冷蔵庫を開けてみる。
79 :
名無しのオプ:01/12/04 11:23
なぜ座薬は冷蔵庫に入れるのだろう。
冷気が顔にかかってくる。
そう言えば、母が死んだのは寒い季節だった。
私は、再び、母の死に思いを走らせていた。
あの部屋は、確かに密室だった。
扉は内側から鍵が掛けられ、窓も・・・。
窓?
確か、出入りが出来なかったはずだが
細かいことが思い出せない。
もう一度、あの部屋に行ってみようか・・・。
もう一度、部屋に向かった・・・。
だが、そこに確かに何かが違うものが置いてあったのだ。
それは・・・
82 :
◆0Hq6/z.w :01/12/04 14:14
(;´д`)…
83 :
名無しのオプ:01/12/04 17:24
あぁ、何故あの時あの部屋へ行ってみようと思ったのだろう。
虫の知らせというやつだろうか、わからない。
だけど今朝ふいに実家のあの部屋に行ってみたいと思ったのは事実だ。
そしてその思いを押さえ切れず、私は昼過ぎにマンションをあとにした。
私のマンションから実家までは車で3時間。
実家に着くと靴を脱ぐのももどかしく、父に挨拶もせずあの部屋を目指した。
そして私は見たのだ!それは...
84 :
名無しのオプ:01/12/04 17:49
あの部屋の鍵!
いや違う。
見間違いだ。
それは・・・
86 :
名無しのオプ:01/12/04 19:06
父の死体!!
いや、違う・・・
それは確か5歳の時に買ってもらった
カーネルサンダースの人形だった。
しかし父によく似ている・・
88 :
名無しのオプ:01/12/04 20:01
ベットの下に隠しておいたエロ本が、机の上にこれ見よがしと置かれていた。
89 :
名無しのオブ:01/12/04 22:18
それには、父が見ず知らずの中年男と接吻している写真が、掲載されていた。
90 :
名無しのオプ:01/12/04 23:30
父の性癖に興味はない。母も承知の上だったと思う。
いったん居間に戻ると、父が炬燵に入りテレビを観ていた。
「おう、なんだ帰ってたのか」「あー」
その後会話が続かず、私も炬燵に入った。沈黙――
テレビのほうに眼をやる。ワイドショーのようだ。
【新進気鋭の美人推理小説作家、謎の死!!!】
91 :
名無しのオプ:01/12/05 00:19
テレビ画面に大きく映し出された故人の顔写真。
その両目が確かにジロリと動き、私の目と合った。
92 :
名無しのオプ:01/12/05 00:57
『久し振りね、この悪党』
そう、写真の女は昨夜のジタンだった。
その瞬間、私の意識はあの18年前の密室に呼び戻された。
「17年よ」写真の女が言った。
94 :
名無しのオプ:01/12/05 05:04
そう、17年前のあの日
あの部屋から母の悲鳴が聞こえた。
母は外出してるはずだったのだが・・・。
このとき一番驚いたのは居間で
中年男との情事を楽しんでいた父だったろう。
あの悲鳴を聞いたのは家の中の父とその相手、そして私だけだった。
だが、父は外面をおもんばかって母の上げた悲鳴を誰にも、もち
ろん警察にも話さなかった。
そして私には母は死ぬ途中に後悔して悲鳴を上げたと教えこんだ。
そう、私が母は殺されたと考えているのはあの悲鳴のためだった。
眩暈が治まる。 もう一度例の部屋へ行ってみる事にした。
今度は取り乱さずに調べられるだろう。
私は煙草に火をつけた。
98 :
名無しのオプ:01/12/05 09:26
部屋の中に入ると、外から錠を掛けられたようだ。
狭いの怖いよー
ままーままーままー
幼い頃の記憶がふと蘇る――おっと感傷に浸っている場合ではない。
入り口のドアを叩く「父さんなんだろ、冗談はやめてよ」
101 :
名無しさん:01/12/05 15:56
・・・しかし返事は無い。
「父さん?もういい加減にしろよ。」
私は少しの不安を覚えながらも、少し怒ったような口調になった。
ガタッ
大きな物音がして、私は驚いて後ろを振り返る。
そこには、あのカーネルおじさんの人形が・・・
102 :
名無しのオプ:01/12/05 15:58
3体並んで立っていた。
103 :
名無しのオプ:01/12/05 16:08
カーネルおじさん3体が大きく口を開けた。鋭い牙がある。
104 :
名無しさん:01/12/05 16:23
私は驚きのあまり、呆然と立ちすくんでいた。
すると3体の人形が綺麗なハーモニーで歌を歌い始めた。
もちろん、おなじみのあの歌だ。
しかしその歌を聴いていると、見逃している何かを
思い出せそうな気がする。
「こっ・・この歌は・・そうだ、あの時も・・」
その曲は、ビートルズの「エリナー・リグビー」だった。
106 :
名無しのオプ:01/12/05 16:45
「やっと思い出してくれたか」
背後から声が聞こえた。
107 :
名無しのオプ:01/12/05 16:49
クシャおじさんだった。
クシャおじさんというあだ名の父の恋人。
ドアはいつのまにか開いていた。
私の目は釘付けになった。
父の恋人の中年男の手に握られているものに!
それは...
111 :
名無しのオプ:01/12/05 18:09
鏡だった。
私はそれを覗き込む。何ということだ。そこには、父の恋人の顔があった。
やっと判った。父の恋人など、始めから存在していなかったのだ。
そう、父の情事の相手とは、他ならない私自身のことだったのだ。
私はこの事実に耐え切れず、架空の人格を作り上げていたにすぎなかった。
目の前の光景がぐにゃりと歪み始めた。吐き気がする。
気がつくと、また炬燵の中に戻っていた。
父はいない。テレビの電源がついたままだ。
1.父の行方を探す
2.密室の謎を考える
3.その他
頭の中でゲームブックのように選択種が現れる――馬鹿馬鹿しい。
その他?
当然、優先すべき選択肢がまだあるにも関わらず、どうしてこんな言い方をしたのか。
何故、私はジタンの女を捜そうとしないのだ。
突然私は、ゲームの規則が飲み込めたような気がした。
例えば、「父の性癖に興味はない。」などと言いながら、実際はどうだったか。
私こそが父の慰みものだった。
だとすれば、「ジタンなぞ買った覚えはない。」というからには、自分でジタンを買ったということだ。
そう、ジタンの女もまた存在しない。彼女もまた、私の作り出した別人格なのだ。
あの時、ここに居たのは父と母と・・・私。
彼女が私の人格だとすれば・・・母を殺したのはやはり私なのか。
いやいや、そんなことはないはずだ。
それじゃ終わってしまいますねん。
117 :
名無しのオプ:01/12/06 00:28
私は真実を確かめるためにロシアに向かった。
パソコンを使った仕事をしていると、ある一定の時間が来ると非現実感に襲われる。
覗く者は覗かれる。ニーチェの言葉だったか、モニターの中からの視線を感じてしまうのだ。
その、奇妙な非現実感に襲われるようになった発端は、先日バイトに雇ったばかりの娘が
見つけた、「面白いページ」とやらを読んでからだった。
119 :
111(ほんもの):01/12/06 00:32
それは、不特定多数の人間がネットの掲示板を使って、リレー方式でミステリを作っていく
というものだった。普通の人が見れば、妄想に囚われる男の奇怪な心理描写が延々と
続いているだけのように見えただろう。
だが――私は違った。
よほど蒼ざめてしまったのだろうか、私の感想を聞こうと待ち構えていたバイトの娘が
訝しげな表情で「どうしたんですか」、と尋ねた。
「ううん、何でもないの。ちょっと気分が悪くなっただけよ」
私はそうごまかすと席を立ち、誰も来ない7階の非常階段の私だけの喫煙場所で
ジタンの両切りに燐寸で火を点けた。
121 :
111(ほんもの):01/12/06 00:44
最新の書き込み、「私は真実を確かめるためにロシアに向かった。 」というのは、
傑作だわ。
無理に笑おうとしてみたが、明らかに私のことを指しているとしか思えない
書き込みが幾つか混じっていることに、改めてゾッとした。
これは、ただの偶然なのだろうか?
書かれている男の「私」の人生は、私そのものだった。
もっとも、書き込みの内容自体がどれが真なのか判然と
しないため、私が都合の良い部分を見て勝手に既視感を
抱いているだけなのかも知れないけれど。
だけど、これはあまりにも私そのものだ。
ただ一つ、私は男の「私」について心当たりがない事を
除いて。
私は「私」を知りたい、と強く思った。
―――僕は読んでいた本を閉じる。そして改めて困惑の表情を浮かべながら表紙のタイトルを眺める。
『虚城 〜インターネット殺人事件』
そのタイトルの横には、友人である“彼女”のPN――
124 :
いい加減まともに殺人事件を起こそう、メタはもういい:01/12/06 16:18
そしてムラムラと腹がたってきて本を壁に投げつけた。
125 :
名無しのオプ:01/12/06 16:24
ここで自己紹介をしておこう。私は、
オフィスに戻ると、書き込みが更新されていた。
127 :
111(ほんもの):01/12/06 17:21
118から122まで、「あぼーん」という妙な記号が続いていた。
「これ、何かしら?」
「なんか削除された印みたいですよ」
バイトの娘が教えてくれた。そこには、何と書かれていたのだろうか
128 :
111(ほんもの):01/12/06 17:27
123から125までは何事もなかったように、書き込みが続いている。
「ふーん、ロシアに向かったというとこまでは、『虚城 〜インターネット殺人事件』 という
作中作の設定になっちゃったんだ。何かややこしいー」
バイトの娘が顔を顰める。
「この 124 名前:いい加減まともに殺人事件を起こそう、メタはもういい っていうの、
あなたが書き込んだんじゃないの?」
「ええっ?」
彼女はかすかに笑ったようにも見えた。
130 :
1 ◆0Hq6/z.w :01/12/06 21:53
一度ここでまとめさせていただきます
後日HPにアプしますんで添削宜しくお願い致します
目の前で、ページが更新する。
129 :111うぜえ。連続で書き込むな
どうやら削除された118から122あたりに、連続で書き込んでいた人物に対する抗議らしい。
この時はまだ、私にとって111とは、ただの見知らぬ匿名の人物にすぎなかった。
少なくとも、このリレー小説を発端とする、奇怪な殺人事件に巻き込まれるまでは。
奇怪な殺人事件へと誘う電子メールが届いたのは、丁度、私が1週間ほど入院している時だった。
「ところでぇ、ここに出てきた密室の謎って、もう解けましたぁ?」
バイトの娘が悪戯っぽく聞いてきた。
「これだけじゃ、無理よ」
「えー、でもぉ、⊥`)って人は解けたみたいですよ」
「そういうあなたは、どうなの?」
「ええーっ?さあ、どうかなぁ」
「何よ、もったいぶらないで、さっさと教えてよ」
「ええっと、今晩暇ですか?おいしいワインのある店があるんだけど」
しまった。まんまと引っかかってしまったようだ。
いつの間にか、私の驕りで、彼女の推理を延々と聞かされる羽目になった。
134 :
111(ほんもの):01/12/07 00:27
ぐはっ
んじゃ、133の頭に、
私が入院する羽目になったのも、このリレー小説がきっかけだった
と付けたさせて下さい。
「まず、ピアノがあるのがあからさまに怪しいわよね」
彼女はテーブルワインを喉に流しながらいった。
もうかなり出来上がっている。
「もう少し状況を確かめないと、それだけじゃ分からないよ」
「えー、めんどくさいなあ。あ、ちょっと待って」
鮭のパイ包みを切り分けながら、彼女はまた解説を始めた。
「密室なのはたしかよね、そしてその中にピアノがある。
そして死んだのは母、死因は……絞殺でいいかな?」
「自絞死と言うのもあるそうだけど、首を絞める夢を見た話
だけではそう言い切るのは難しいんじゃないかな……」
私の文句をあっさり無視して彼女は続けた。
「そしてもう一つ、二人が協力してできる密室。これだけで
答に行き着くには十分ね」
彼女はもったいぶって、なかなか続きを話そうとしない。
137 :
名無しのオプ:01/12/07 15:53
どーやら私にも推理させたいらしい。あー面倒くさい。
ここで、作者からの挑戦状です。
もちろん、今までの中で、全て証拠等は提供した。
140 :
ヴァンうぜえ:01/12/07 23:12
ここで、読者からの挑戦状です。読者を驚かせてみてください。
「ピアノを利用して密室を作ったんじゃないかな。単純に
ピアノの影に殺人犯が隠れたのね。もちろん、それは主
人公の彼女」
彼女は最後の鮭を口にいれた。
「ピアノが壁から浮いてもぱっとみは気づかないでしょう。
その後ろに隠れて、密室が破られてからそっと抜け出し
たのよ」
私は一挙に気が抜けた。つまらない答。
「十八年前となると二人とも子供よね、だから二人がかり
でないとピアノを動かせなかったのよ」
しかも間違っている。
「いいえ、違うの」
得意げな彼女に向かって言った。
「あそこにあったのはグランドピアノ。下から体が見える」
142 :
名無しのオプ:01/12/08 23:02
そして、ピアノから出てきた彼女は私に向かってこう言ったの。
「そうです。私が変なおじさんです」
143 :
名無しのオプ:01/12/08 23:24
それに対して主人公は黄金の右腕でツッコミをいれた。
「えーかげんにしなさいっ!」
吹っとぶ彼女。
144 :
名無しのオプ:01/12/08 23:31
そのまま壁に―――グギッ、嫌な音がした。
145 :
名無しのオプ:01/12/08 23:41
「どもありがとーございましたー」
146 :
名無しのオプ:01/12/08 23:41
147 :
名無しのオプ:01/12/08 23:44
「お前に夢はあるか?」
隣に座っている白髪の老人が徐に話し掛けてきた。
俺は一瞬だが虚無感に襲われた。大学を卒業して以来がむしゃらに働きつづけてきた俺。
いつのまにか「夢」を忘れていた。考えたこともなかった。
俺の夢。そうだ、思い出した。俺の夢はこれだった。
148 :
名無しのオプ:01/12/08 23:56
台湾支社から来た徐は老人ににこやかに答える。
「わたしお金貯めてお店持ちたいです。中華料理のお店ネ」
「名前はもう決めてあるよ。BARギコね」
目の前の老紳士。恰幅の良い体つきに白いスーツを着こなしている。
どこかで見た事がある気がする。
「君は自分が誰か分かるかい?」
「徐、といいます」
「そうか、ありがとう。君が誰なのかが事件の真相に近づく唯一の手懸かりなのだよ。
では、本当の事を話そうか」
本当の事?
「君の母親が密室の中で亡くなられた時、いったい何があったか、その事だよ」
150 :
名無しのオプ:01/12/09 10:21
俺は徐に小声で話しかける。
「おまえ、この爺さん知ってんの?」
「知ってるナイね。わたし今日、日本来た」
そらそうだ。この飲み会自体がこいつの歓迎会なんだから。
151 :
名無しのオプ:01/12/09 11:35
徐は相変わらず老人の訳のわからない話にニコニコ笑いながら相槌をうっている。
俺はそれを横目で眺めながら、忘れていた自分の夢にもう一度思いを巡らせた。
俺の夢、強烈なツッコミをかますお笑い芸人になること。
いつから忘れてしまっていたのだろう。
152 :
名無しのオプ:01/12/09 12:03
と、老人が急に徐に顔を寄せ、何事かを耳打ちした。俺には聞こえなかった。
徐は表情をこわばらせ、老人に、はっきりとこう答えた。
153 :
名無しのオプ:01/12/09 12:55
「みっしつさつじん」
154 :
名無しのオプ:01/12/09 13:29
するとオレの黄金の右腕が無意識に動いていた。
「ンなわけあるかいっ!」
強烈なツッコミに吹っ飛ぶ徐。
「そうだっ! そうやって貴様は自分の母親も殺したのだ」
老人が叫んでいる。
「飽くまでギャグだと思っていた貴様はそのままソデにはけてしまい、
そのおかげで密室が構成されてしまった」
「……あ、あんたはいったい……」
「まだわからないのか、自分の父親が」
「……ちょっとひどいねえ、これじゃバカミスだ」
更新された書き込みを読んで私は言った。
「だいたいこんな解決じゃ誰も納得しないでしょう」
そう訳知り顔に解説を加える私に彼女が言う。
「あら、これで解決なんかじゃないわよ」
「え?」
「これからはじまるの。だってあなた死ぬことになってたじゃない」
そう言う彼女の顔にはひどくそらぞらしい笑みが浮かんでいた。
158 :
名無しのオプ:01/12/09 13:55
違う違う違う違う・・・否定する否定する否定する・・・・
パソコンの前で胸を刺されて死んでいる男の死体を見下ろしながら
瀬戸川警部は苦りきっていた。
「じゃ、なにか? そのBBSとやらの書き込みがこのコロシと
関係あるってのか?」
「ええ、そうです」
笠井部長刑事が答える。
ったくなんでこんな訳のわからん事件ばかり起きるのだ、
このあいだの「霧舎」とかいう妙なペンネームの作家殺しの目処もたたんのに。
160 :
名無しのオプ:01/12/09 14:12
「瀬戸川刑事、笠井警部! 現場にこんなものが」
海苔付刑事がなにかを持ってこちらに走ってくる。
あの事件も殺人予告が出ていたのがわかってから大騒ぎだ。
警部はその予告と言われているイカれた文を思いだし、
ため息をついた。
1 名前:今さらですが 2001/02/07(水) 17:55
霧舎巧は死ね
寒すぎます
凍りつきそうです
「警部!」
笠井の声に瀬戸川警部は我にかえった。
難しい顔をした笠井と上司の階級を呼び間違えて笠井に殴られ
半泣きの顔をした海苔付刑事が彼を見つめている。
163 :
名無しのオプ:01/12/09 14:53
海苔付刑事が持ってきたものは一冊の本だった。
『虚城 〜インターネット殺人事件』
164 :
名無しのオプ:01/12/09 15:08
その本は醜く歪んでいた。
「よほど思い切り壁にぶつけるくらいしないとこんなには成らないな」
瀬戸川警部はなぜか切なさを感じた。
著者は公魚権。
166 :
名無しのオプ:01/12/09 15:14
「海苔付、どうしてオマエはこの本が気になったんだ? この傷み具合だけか?」
「いえ、傷みのことももあるのですが、じつはこの本―――」
167 :
名無しのオプ:01/12/09 16:19
そこまでいって海苔付は目をむき、口から大量の血を吹き出して倒れた。
どたばたにまぎれて本はどこかに消えてしまった。
168 :
名無しのオプ:01/12/09 17:38
*
「で、なぜに私が取り調べを受けなきゃならんのですかっ」
公魚は取調室で吠えた。
169 :
名無しのオプ:01/12/09 21:38
「うるさいなあ、あのおっさん」
取り調べ室の横の喫煙スペースで瀬戸川警部はボヤく。
調べてみると殺された男の書き込んでいたBBSに例の本の著者が
異様な反感を持っていることがわかった。
それで参考人として呼び出してみたのだが……
「だから言ってるでしょう、私はあんなサイト見たことはない!」
170 :
名無しのオプ:01/12/09 23:12
*
「いやあ、ご心配おかけしました。医者曰く過労だそうです」
海苔付は入院着姿が笠井警部に電話をいれた。
「一週間くらい入院してろ、馬鹿」
とだけ言われ電話は切れた。海苔付は上司の気遣いに感謝しながら、
「ふー」とひとつ息をつき、過労の原因であろう別の顔になった。探偵の顔に。
「ちわっノリさん、死んでませんかぁ」
助手として雇ったバイトの娘――秋月(これがフルネームだ)が見舞いに来た。
前回までのあらすじ
141で⊥`)により捨て解答が語られた。
私はあそこにあったのはグランドピアノで、下から体が見えると指摘する。
「ブランドピアノぉー?」
「何つまんない駄洒落言ってるの、グランドよ、グ・ラ・ン・ド」
「ううーん、どぅかるぁ、すたりべー・・・」
彼女は完全に飲みすぎのようだ。それっきり寝込んでしまった。
私はしばらく放って置いて、目の前のデキャンタに専念することにした。
しばらくして、彼女が分けのわからない寝言を言い始めた。
「・・・それでぇ、ピアノから出てきた彼女がね・・・私に向かってこう言うの・・・
『そう。私が変なおじさんです』・・・」
私が思わず吹き出しそうになるのをこらえていると、その代わりを
務めるかのように、傍らに置かれた彼女の携帯が、けたたましい
受信音をたてた。笑い袋の声を着信音に使うとは!
172 :
111(ほんもの):01/12/10 00:25
あきれながら小さな液晶を覗くと、「カキコミガ コウシンサレマシタ。
セツゾクシマスカ?」という文字が見えた。
この娘、掲示板の更新を知らせるソフトを使って、メールを受信する
設定にしてあるんだ。そこまでしてウォッチを続けるなんてと、妙な
感心を覚えてしまった。
私はふと、自分の携帯を取り出して、例の掲示板に接続してみようと
思った。最新の書き込みが、小さな画面に映し出される。
それを目にした途端、携帯を取り落としそうになってしまった。
142 :名無しのオプ
そして、ピアノから出てきた彼女は私に向かってこう言ったの。
「そうです。私が変なおじさんです」
思わず辺りを見渡すが、特に誰かが私達に関心を払っている様子はない。
どうして?ただの偶然?
173 :
111(ほんもの):01/12/10 00:25
ただし142の書き込みは、私以外には大受けだったようだ。
それを受けて、書き込みが更新されていく。
143 :名無しのオプ
それに対して主人公は黄金の右腕でツッコミをいれた。
「えーかげんにしなさいっ!」
吹っとぶ彼女。
144 :名無しのオプ
そのまま壁に―――グギッ、嫌な音がした。
145 :名無しのオプ
「どもありがとーございましたー」
私は冷静さを取り戻し、彼女を起こして、店を出ようとした。
だが、彼女の足取りは依然として怪しいようなので、仕方なく
2階建ての古びたアパートの部屋まで、送り届けて行った。
酔った人間は重い。ようやく彼女をベッドに放り込み、部屋を出る頃には、
過度の運動量のために、私まですっかり酔いが回っていた。
私は階段を踏み外し、1階まで転げ落ち、見事に足を骨折し、
入院する羽目になった。
174 :
名無しのオプ:01/12/10 00:51
「だから、いまいちわからんのだよ。そのパソコンのなんとかが
どうコロシと関連づけられるのかが」
「ですから、それは……」
「ああ、それはもういいんだ」
瀬戸川は慌てて笠井部長刑事をさえぎる。
コテハンだのBBSだの訳がわからん、と不用意にもらしたために
笠井から二時間みっちりレクチャーされ、彼はすでにうんざりしていた。
「いえ、よくはありません。そもそも匿名批評というものはですね……」
参ったなあ、オレこいつもともと苦手なんだよなあ。
キャリアでもないのにパリで赤軍がらみの事件を解決したとかで
上層部の覚えめでたいし、ああ北村と組んでたころはよかった。
「……それを神保の奴はですね……」
つーか神保って誰だよ?
ううん。
俺は首を振って眼をこすった。知らず知らずのうちに
眠ってしまっていたようだった。
「どうしたのかね」
目の前の真白い老紳士が聞いてきた。部屋はいつの間
にか老紳士に合わせるように白い内装に変わっている。
「俺が女になってて……階段から落ちて。あれ?」
白い老紳士は否定もせずうんうんとうなずいている。
父親のような包容力のある雰囲気。
父では無い。だが、いつか見た事があるのはたしかだ。
「君は多重人格という物について、どれくらい知って
いるかな」
「何の話ですか。それが密室を解く鍵とでも?」
白い老紳士は同じく白いヒゲを撫でながらうなずいた。
幸い今回の仕事は、あとはスタッフにまかせて、時々指示を与えれば良い程度の
段階になっていたので、私はゆっくりと、個室で入院生活を満喫した。バイトの娘は、
さすがに責任を感じたのだろう。足繁く見舞いに来た。しかも頼まれてもいないのに、
例の掲示板をプリントアウトした紙を持って。
正直、この混沌とした状態を、常連はどう収拾するんだろうという興味があった。だが、
146の書き込みは、あまり面白みのない方法で、これを解決していた。
146 :111
ここで自己紹介をしておこう。私は――公魚権。さして売れないミステリ作家
ではあるが、営業力にかけては誰にも負けない自信がある。今日も見知らぬ
女流ワナビーが自費で出したとかいう、同人本の批評を頼まれてしまった。
だが、あまりの下らなさにその本を壁に投げつけてしまった。安請け合いした
締め切りが迫っているというのに、こんな下らんものを読まされる身にもなれ!
その時だった。天啓が閃いた。
私はその本の登場人物を全部日本名に置き換え、地名も日本に当てはめ、
小道具も現代のものに置き換えることにした。
そして、どうにか主人公がロシアに向かうところまで書き起こす。さてとお次は
――私は、早くも次の章に着手し始めた。全体の20%。書き出しはこうだ。
「ロシアに向かう列車の中で、他に空いている席があるにも関わらず、白髪の
老人が私の隣に腰を降ろした」
これを受けて、147から155までは老人とのやり取りになっている。最新の書き込みは、
156 :名無しのオプ
「まだわからないのか、自分の父親が」
というものだった。
177 :
111(ほんもの):01/12/10 01:38
「……ちょっとひどいわねえ、これじゃバカミス並よ」
更新された書き込みを読んで、私は言った。
「だいたいこんなんじゃ、みんな納得しないでしょう」
そう訳知り顔に解説を加える私に、バイトの娘が言った。
「そうかな、これで解決なんかじゃないしぃ」
「それは、まぁね」
「あー、早速更新されたみたいですよ」
「あなた、病院の中で携帯なんて・・・」
「そっか。ここじゃ、これだって立派な凶器になるかも、でしたね」
「ま、しょうがないわね。それだけ見たら、電源消して頂戴」
掲示板にアクセスした、彼女が曖昧な笑顔を浮かべる。
「これって、何かの冗談ですかね」
157 :111(ニセモノ)
「……ちょっとひどいねえ、これじゃバカミスだ」
更新された書き込みを読んで私は言った。
「だいたいこんな解決じゃ誰も納得しないでしょう」
そう訳知り顔に解説を加える私に彼女が言う。
「あら、これで解決なんかじゃないわよ」
「え?」
「これからはじまるの。だってあなた死ぬことになってたじゃない」
そう言う彼女の顔にはひどくそらぞらしい笑みが浮かんでいた。
「君はどういうところから、自分が自分であると分かるかな」
「俺は昔から俺だし、ずっとこの先も変わるわけが無い」
はずだ。
「そう、その昔から……が一番重要なんだよ。記憶がある、
それが連続して、という所だ」
「当たり前だろう、そんな事」
白い老人は何度もうなずいた。
「その通り。それを逆に考えてみよう。沢山の人格がある。
それを、個々の人格が主張する。つまりそれは記憶が断続
的に残るという事では無いかな」
「つまりAという人格とBという人格がそれぞれ自分が覚醒
している時の記憶だけ得られるということ……でいいのか?」
「まあ、いいでしょう。より分かりやすく説明するなら記憶
する器官が分裂して相互に働きかけられない、でいいかな」
実は今も全く何がなんだか分からない。ただ俺は相手のいう
事合わせているだけだ。
瀬戸川がどうにか理解できたのは、公魚権の『虚城 〜インターネット殺人事件』とは、
ネタに困った公魚権なる作家が、同人女の作品をついパクッてしまって発表したために、
殺人まで犯してしまう、とかいう珍妙な粗筋だけだった。
「つまり何か、こいつは自分の犯罪をこの本で自白しているわけだな」
「いえ、これはメタミステリと言って」
「ああ、それももういい、もういいって言ってるだろ!」
笠井を追い払って、瀬戸川はもう一度『虚城 〜インターネット殺人事件』に目を通し始めた。
「・・・『まあ、いいでしょう。より分かりやすく説明するなら記憶
する器官が分裂して相互に働きかけられない、でいいかな』
実は今も全く何がなんだか分からない。ただ俺は相手のいう
事合わせているだけだ。」
・・・何じゃこりゃ?さっぱり理解できんぞ!
瀬戸川は、激しく頭を掻きむしった。
実は今も全く何がなんだか分からない。ただ、俺は相手の
いう事に口を合わせているだけだ。
「そして密室の状況を思い出そう。まず、君の母親は密室の
中で悲鳴をあげた」
そういえば、なぜこの老人は事件の事を知っているのだ。
「それを聞いた君は密室に向かった。しかし鍵がかかってい
たのか、開かない。それで……父親を呼びにいったのだね」
そうじゃない俺はその時、抱かれていたのだ。
もちろん、今までの流れを無視して書き込まれた157に、フォロワーなど出なかった。
何事もなかったように、その後の掲示板の展開は、今までの書き込みが実は公魚権の
『虚城 〜インターネット殺人事件』という小説の中の描写であり、公魚権自身が
殺人事件の容疑者になるという物語(A)と、『虚城 〜インターネット殺人事件』の
中の、ロシアへ向かう私と白い老人の対話の描写(B)の二つに、分裂して続いていた。
182 :
名無しのオプ:01/12/10 03:22
笠井は自分の考えを上司が取り合ってくれないことにイラだっていた。
彼は件のBBSの書き込みが事件の鍵であることを確信していた
(彼はすぐに確信する性格だった)。
なにしろキャッシュには被害者の書き込みが残っていたのだ間違いない。
それによると被害者は「111(ほんもの)」というハンドルを使っていたらしい、
すると流れから言っても157に残された「111(ニセモノ)」という名義の書き込み、
これは犯人が残したものに違いない。
それは第一次大戦のもたらした大量死がミステリ黄金期の作品を生み出す
要因になっていることと同じくらい間違いのないことだ。
183 :
名無しのオプ:01/12/10 03:31
イラだちを露にしながら笠井は選外刑事に言う
「鑑識の草加さんからなにか言ってきてないか?」
「あれ、知らないんですか部長。草加さんは休みですよ」
「なに?」
「なんかトラブルに巻き込まれたって話で」
「じゃあ、担当は誰だ?」
「業腹所長か馳辺さんあたりじゃないですか」
「バ、バカ確かめろ」
「えーと、あ、野崎さんです」
「なんだと!」
よりによって犬猿の仲の野崎とは……
184 :
名無しのオプ:01/12/10 08:41
海苔付はベットの上で、秋が持ってきた紙を睨み続けていた。
例の掲示板をプリントアウトしたものだ。
海苔付が倒れた現場で、死んでいた人物が111(ほんもの)のはずだ、
では
>>171以降の111(ほんもの)は誰なのか。
まったく関係のない人物がただの興味本位で書き込みを引き継いでいるのか・・・
それとも―――。
この171以降の111(ほんもの)が新たな被害者になる可能性は大きいのではないか。
185 :
名無しのオプ:01/12/10 08:50
ベッドの脇では秋が折り紙で一心不乱になにかを作っている。
186 :
名無しのオプ (実は111):01/12/10 11:47
*
それにしても・・・
病院に向かう瀬戸川はまた考え始めた。
どうして現場にあった本は、消えてしまったんだ?
この、俺があちこち古本屋を駆け回って漸く買えた本と、何か違うというのか?
そうか!よし判った!オリジナルだ!!見ろ、やはりコイツは自分の本で自白しているぞ。
現場にあったのはこの市販本じゃなかった。
この作品の元ネタになった、同人本だったんだ!
海苔付は、市販本にしてはお粗末な造本であることを言おうとしていたのか。
だが、彼の推理は、ベッドに半身を預け折り紙を弄んでいた海苔付に、アッサリと覆された。
187 :
名無しのオプ (実は111) :01/12/10 11:48
「ああ、あれはゴタイソーという安売り店が出している廉価本なんですよ。
瀬戸川さんの持っているのは、それのオリジナル」
「そうか、やはり盗作だったんだな!」
「違いますよ。自分で自分の旧作をリメイクしたんです。焼き直し。」
海苔付が、しょげる瀬戸川を病室から送り出したその時、向かいの個室の扉が開いた。
骨折でもしたのだろうか。ギブスをした患者と、それを見舞いに来たらしき若い女が見えた。
「秋・・・ちゃん?」
若い女は怪訝な表情で会釈をすると、去っていった。
残された患者の方は、海苔付と視線が会うと、無愛想な顔で扉を閉めた。
「ちぇ、感じ悪いな。それにしても今の見舞い客、秋チャンに瓜ふたつだったが?」
188 :
111(ほんもの) :01/12/10 11:49
「何、あの男。こっちをジロジロ見て。気持ち悪い」
見舞いに来たバイトの娘を送り出した私は、向かいの病室の男のことを思い出していた。
私のこととしか思えない書き込みが混じっていたり、会話を盗聴されているともとれる
書き込みが相次いでいることから、私はちょっと神経質になっているのかも知れない。
「私を見張るために、わざわざ入院した、とか。まさかね」
もちろんその時私は、向かいの男が刑事だなんて知らなかった。
それから、『虚城 〜インターネット殺人事件』という本が実在することも。
何しろそれは、一般の書店で売ってなかったのだから。
もしその本を読んでいれば、もっと早く事件の真相が判ったはずなのに。
全ての手がかりは、その中にあったのに。
189 :
名無しのオプ:01/12/10 14:58
「ええ〜? でもおかしくないですか、これ」
選外刑事が言った。
「だって、この入院してる女、コロシは知らんのでしょう?
事件なんてコイツにとってはなにも起こってないじゃないですか」
「バカ!」笠井が怒鳴る。
「なに内容を読みこんでるんだ。問題はこの新しい111が誰かってことだろうが。
書いてある小説モドキの内容に惑わされるな、このアホ」
もちろんこの時点では、前にも言った通り、私にとって111とは、
ただの見知らぬ匿名の人物にすぎず、しかもとうに殺されていたことなど、
知る由もなかった。
いや、全てが終わってしまった今となっては、幾百のIFを並べても無駄なことだ。
何しろある程度の手がかりは、本当にいつも目の前にあったのだから。
私のこととしか思えない書き込み。盗聴されているともとれる書き込み。
私にもっと推理力さえあれば、その後の事件の展開も違っていたのだから。
(※以下は、読者への挑戦状にして、最後のご挨拶です。みんな今までご免ね)
生前の111とは全く面識がなかったので、どんな人物かは判らない。
ただ、彼が最後に遺した書き込みから、その孤独な横顔は何となく想像がついた。
そうですか。そんなに俺のことがウザイんですか。
判りました。もう二度とこの板には来ません。
俺は俺なりに、何とかこのスレの崩壊を食い止めたかっただけなのに。
ネタだらけで無茶苦茶になってるけど、なんとかそれも生かした話にしたかっただけ。
いいよ。君達、自分では何にもしないくせに、文句ばっかり付けてればいいよ。
もう伏線も張り終わったし。大した謎じゃないから、真相は判る人にはすぐ判るはず。
でも俺はここじゃ嫌われているから、誰も解いてくれずに放置されるのがオチかな。
全く俺にふさわしい結末だ。じゃあね、グッドバイ。
あとから海苔付という、向かいの部屋に入院していた刑事から聞かされた話では、
111はパソコンの前で、上の書き込みを入れた直後に殺されてしまったらしい。
誰からも相手にされず、消えていった111。
私はどうなのだろう。誰かに覚えていて貰えるのだろうか。
それとも、誰にも相手にされないまま、退場していく運命なのだろうか。111同様に。
私がどうして海苔付と知り合いになったかなんて、どうせ誰も関心がないと思う。
誰もが警察と知り合いになるよりも、さよならを言う方法を知りたがっているのだから。
192 :
名無しのオプ:01/12/10 21:37
完
「どうした、なぜ泣いているのかね」
白い老人が聞いてくる。俺の眼からなぜか涙が流れていた。
「大切な人を、なくしたような……」
大切な人?誰だそれは。自分が何を考えているのか分から
ない。目の前の老人はとまどう俺におうようにうなずいた。
「その人物は君の心に残っている」
?
「まあ、それは今は置いておくしかない。密室の話だ。君の
父が密室の扉を破って、まず君が部屋に入った……
「その中に居たのは君の母親だけだね」
そうだ、ジタンの女など誰かの妄想にすぎない……
「さてと、ここで君はどうやって犯人が部屋を鍵のかかった
部屋を出入りしたと考えるかな」
俺は……
「あっノリさん、探してたのよ。屋上でなにボーと突っ立ってるの。風邪ひくわよ」
秋の呼びかけで海苔付は我に返った。
196 :
名無しのオプ:01/12/12 09:43
「はい、頼まれてた虚城のゴタイソー本。4軒目でやっと見つけた」
「秋ちゃん、君さ、昨日、向かいの女の人の見舞いに来てなかった?」
「え?」
「そんなわけないか。あんまり君にそっくりな人を見かけたからさ。」
海苔付は、探るような表情で秋の顔をじっと見つめた。
197 :
名無しのオプ:01/12/12 12:50
「そんなに見つめられると照れちゃいますぅ」
秋は海苔付に背を向けスキップして屋上の入り口へと消えた。海苔付も病室に帰ることにする。
「――それにしても、私はいつの間に屋上に上がって来たんだ?」
198 :
名無しのオプ:01/12/12 15:36
(どうもこのところ、記憶が時々なくなるような気がするが・・・やはり過労のせいか?)
海苔付は、ふと不安に駆られる。
そういえば、秋ちゃんは、いつからうちで働いているんだ?変だな、思い出せない。
海苔付に思い出せたのは、彼女が記憶喪失だということだけだった。
199 :
名無しのオプ:01/12/12 15:59
病室に帰ると、秋ではなく選外刑事がベッドの脇のパイプイスに座って本を読んでいた。
「あっ先輩!、どこへ行ってらしたんですか?」
「あーちょっとな・・・ところで秋ちゃんは?」
「秋ちゃんなら売店に――」
ポテチ買って来てくれと海苔付は秋にテレパシーを――送ったつもり。
ふと海苔付の視線が選外刑事の読んでいた本に止まった。選外もそれに気づいたのか
「蟻巣河コリスの新作っす、江神もの」
聞いてもいないのに説明する。
「いやあ私この作家のファンなのですよ。ただ、江神ものは最近食傷気味なので早く火村ものの新作が読みたいっす」
200 :
名無しのオプ:01/12/12 16:11
そういいながら選外は、海苔付が持っている、雑誌の付録か何かのような
お粗末な装丁の本に目とめた。
「先輩、それ!『虚城 〜インターネット殺人事件』っすね!!」
「秋ちゃんが手に入れてくれた。全ての鍵はこの本の中にある、多分。」
201 :
名無しのオプ:01/12/12 16:22
「ノリさんがポテチ欲しがってる気がしたから買ってきたよー」
202 :
名無しのオプ:01/12/12 20:30
残念ながらそれは、海苔付が死ぬ程嫌いな酢昆布味の王様チップスだった。
(中途半端なテレパシーだな・・・)
「いやあ、私それ大好物なのですよ」
ポテチは、選外がほとんどたいらげてしまった。
203 :
名無しのオプ:01/12/13 00:16
「ぐ、ぐふっ」
直後、選外が口から泡を吹いて昏倒した。
204 :
名無しのオプ:01/12/13 00:17
選外がポテチをがっつく間、海苔付は『虚城 〜インターネット殺人事件』を速読し始めた。
そのうち、彼は奇妙な既視感を覚え始めた。
(おかしいな・・・この本、前に読んだことがあるような気がする)
205 :
名無しのオプ:01/12/13 01:01
海苔付がふと顔をあげると、選外が激しく痙攣しているではないか。
「おい!どうした?!し、死んでいる・・・」
「あれは自殺だった」
俺はなんとかその言葉をしぼりだした。もう、そういう事
にして、考えるのをやめたいのだ。
「合鍵など無かった。あの部屋は、内側からしか扉の開け閉
めが出来ない。そうだよ、悲鳴は何かの間違いだ」
白い老人はうなずいた。
「その通り、悲鳴が聞こえる事など、まず考えられません。
警察も君の言葉を取り合わなかったのも当然でした」
「なぜだ。悲鳴が起きる事の何が不思議なんだ」
白い老人は眼鏡をはずし、拭きながら言った。
「あの部屋にはグランドピアノが置いていましたね。ならば、
防音設備が完備されていたと考えるのが普通でしょう」
では、あの悲鳴は俺の妄想なのか。目の前の風景が歪む。
正気なのか、夢なのか、幻なのか、嘘なのか
老人は眼鏡をかけ直して言った。
「ですが、貴方の耳に悲鳴が聞こえたのも本当でしょう」
またわけの分からない事を言う。
「悲鳴が起きた時、その部屋にピアノなど置いてなく、当然
防音設備などもされていなかったからです」
「ハア?」
「おそらくは貴方が悲鳴を聞いてからその部屋に行くまでに
ピアノが搬入されたのでしょう」
「おい、待てよ。俺が悲鳴を聞いてから部屋の前につくまで
一分くらいしかかけてなかったぞ」
「もちろん、一分では運び入れることは出来ません」
なら、どうやって。
「あのピアノは一年の間に運ばれたのです」
白い老人ははっきりと言った。
「君は悲鳴を聞いてからの一年と一分間の記憶を失ってたの
ですよ」
209 :
名無しのオプ:01/12/15 03:36
選外の死因はポテチではなく、遅効性の毒によるものだった。
さらに捜査の結果、実は彼こそが「新しい111」だということが判明した。
210 :
名無しのオプ:01/12/17 13:55
問題は、犯人がどうやって選外が「新しい111」であることを知ったのか、ということと、
いついかなる手段で彼に毒を盛ったのか、ということだった。
211 :
名も無きオプ(実は111):01/12/17 15:08
始まった当初は、良スレに成長するかと思われた、このスレ。
序盤までは、各作者達の協調性を重んじたルールによりマターリ進行を続けていたが、
[[111(ほんもの)]]を筆頭とするイチバンチャソ達により、物語そのものまでもが崩壊。
崩壊の主な理由として……。
・ウケ狙いだが寒いだけのネタ。
・無駄に文章を長く書き連ね、目立とう精神爆発。
・他人の作り出した流れを無視し、無理矢理自らの物語へ傾倒し続ける独自思想至上主義満開(w
これでは、他者の自慰行為を無理矢理見せつけられているようで、あまりに弊害する。ネタにもならん。寒過ぎる。
オナニーテキストは、自サイトで書き、蓋をキツーク閉めてくれ。
序盤のコテハン作者達の復活を切に希望する。
選外が死亡した直後に、211 名前:名も無きオプ(実は111)という書き込みがあった。
笠井刑事はまたしても、『これは犯人が残したものに違いない。』と確信した。
もしかすると111を名乗る連中の中に、真犯人からの暗号が隠されているのかも。
俺はようやく気がついた。どこかで見たような目の前の白い
老人。こいつは、あの時、部屋で見た……
「あんたがカーネルサンダースの正体だったのか」
俺のつぶやきに気づいているのかいないのか、白い老人は話を
続けている。
そう、どこかで会った気はしていた。こいつは前に俺の家で
あの母が死んだ部屋にいた。はずだ。
ねつてつ 死ね死ね死ね死ね
「また、別のコテハンが攻撃されていますよ」
呆れたように秋が言う。
「赤ん坊じゃあるまいし、快不快を示すしかできないのかしら。」
「ところで、111の残した謎っていうのは何なんだろうね」
「それなら、もう判っちゃいました。この人、やっぱり自分の書き込みの中に暗号を残してますね。
それから、他の人達の書き込みが、ある真相の伏線となるように、手がかりを構成したみたいです」
「えぇっ?単なるイチバンチャソ君じゃないの?!」
「ふふっ、ミステリを読む力の弱いノリさんの目には、そう見えるでしょうね」
217 :
名無しのオプ:02/01/06 15:56
今日ひとりで、いつも行く喫茶店でコーヒーを飲んでいたら一つ前の席にOL風の女性が座
っていて、それが超美人!僕はボーと見惚れていると彼女がハンドバックを持ったままトイ
レへ行きました、5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか?今行けば彼女の
便臭が嗅げるかもと思い僕もトイレに入りました、ちなみにトイレは男女兼用です中に入る
と香水の香だけでした失敗かと思い念のため汚物入れを開けると、ありました温もりの残る
ナプ感激して広げると信じられない位の量の生レバーがドッサリと乗っていました、その場
で全部口に含み僕はまだ暖かい生レバーを全部、口に入れてしまいました、こんなに大量の
レバーを一度に入れた事はありません彼女は会社から帰る途中ナプキンを取り替えられ無か
ったので溜まっていた分が出たのか半端な量ではありません口が膨らんでしまう位の固まり
です僕はナプキンをポケットに入れ出ました席に戻ると彼女はまだ居ました僕の方を見てい
ます、少し頬っぺたが膨らんでいましたが、まさか僕の口の中に自分の生理が入ってるなん
て思うはずがありません!僕はゆっくりと彼女の顔を見ながらホカホカの生レバーを味わい
食べましたズルッと喉を通りました。
218 :
名無しのオプ:02/01/15 16:27
「それも、貴方は何度となく意識を失い、それから一年の
記憶を失う事を繰り返していたのです」
それだけの間、記憶を失っていただと……ならば、
「それなら何か違和感を覚えているはずだろ。俺は、何も。
気づいて、いない」
目の前の白く飛んだ風景が揺れる。酷く息苦しい。白い
男はテーブルの向こうに座っているはずなのに、地平線の
彼方に立っているかのようだ。
「いいえ、貴方は心の奥、無意識でなくそれを知ってます。
貴方の別の人格、母親、父親、そして女性がそれぞれの
年にあらわれた」
お前も、俺の人格の一人?
「私は、貴方の中の人格の一人ではありませんよ。それを
貴方が確かめるすべは残念ながらありませんが」
白い男はそう言って寂しそうに笑うと続けた。
「その間の記憶は貴方の人格にはない。そして彼らは消え
ました。その間の記憶とともに」
おそらく俺は、全ての出来事を思い出していた。
男は口にしない。あの事を。
全ての始まりのあの事を。
>39-41 >93 >175-178参照
そして海苔付は持ってきた『虚城 〜インターネット殺人事件』をぱたりと閉じ、顔を上げた。
「つまり、この男はいわゆる多重人格者だったのですね」
選外の主治医はうなずいて白衣から眼鏡をとってかけた。
「その通りです。多重人格者は他の人格が出ている間の記憶を持つ事が出来ません。そのため
彼の主人格は覚醒するたびに、繰り替えし母親の事件を味わう事になったのです。その場合、
それ以外の時間は別の人格が」
海苔付は
「しかし……四回も同じ日に覚醒する事などあるのですか?専門家ではないのでよく分かりま
せんが」
「同じ日に人格が覚醒するのは偶然ではないでしょう。乖離性ヒステリー障害は幼少時の心的
外傷、いわゆるトラウマによって引き起こされるという説が有力です。母親の事件も一つの
原因だったと考えるのが自然です。だから、その日になるとその記憶が呼び起こされ、一時
的に主人格が呼び起こされたのでしょう。そして事件の全てを知った時、主人格は再び長い
眠りについたのです」
海苔付は少しだけ理解出来たような気もした。
「では、最後にしるされた全ての始まりとは、一体なんなのですか?」
主治医は髭を撫で、ゆっくりと口を開いた。
「トラウマの最大の原因とされる、幼少時の性的虐待……それこそが多重人格になった最大の
原因であり、事件の動機であるのです」
「……まるで貴方の方が刑事みたいですね」
主治医は寂しそうに笑った。
「これが仕事ですから」
「それで、幼少時の性的虐待とは……」
「証拠はあからさまに提示されています。彼の父親に愛人がいましたね。そしてそれも」
「男の人格の一人……」
>>111-114参照
海苔付はふっと息を吐いた。
「この男は、父親に性的虐待を受けていた。それが母親の自殺の動機だったわけですね」
「ええ……警察の捜査能力は大したものです。わずかでも疑問があれば徹底的に、事務的に
調べるものです。本職の方を目の前にして言う事ではありませんが。警察が、自殺だと
はっきり言えばそれが正しいと考えて間違いないでしょう。最初の母親の悲鳴は自殺とは
別の問題だった。そう考えて間違いないと思います」
「まさか、父親が母親を殺そうとして……ですか」
「いいえ、そのような事実があれば、母親は自殺する前に何らかの手をうったと考えるべき
でしょう。殺されたのは……」
「殺されたのは?」
「私、です」
「まさか、貴方ですか?」
「いいえ、『私』。この物語の中における最初の一人称の男です」
「だが、彼は生きていたのでしょう?だから……」
言いつのる海苔付を手でさえぎって、主治医は続ける。
「整理しましょう。この本、」
白い男は『虚城 〜インターネット殺人事件』を手にとった。
「三部に分かれてますね。最初の主人公は男の『私』、次は実は女だった『私』、そして
直接的なつながりが見えない、男である『俺』。最初の時点で男の『私』は消滅していた
はずなのです。それは全て女の『私』の人格の一つだった、と。つまり、最初に殺された
のは息子だったのです。おそらくは『私』の兄弟です。『私』が父に虐待されているのを
知って刃向かい、逆に殺されてしまった少年」
海苔付はもつれた糸を解きほぐそうと、考え込み、ややあって口を開いた。
「それを見つけた母親は悲鳴を上げ、『私』は兄の人格を持ってしまった。そして、母親は
一年後同じ場所で自殺……という事ですか」
根拠を問う気もなくなってきた。おそらく、目の前の主治医は何もかも知っているのだろう。
「ええ、そのようなものだと思われます。もっとも、父親は子供が多重人格になったのをさい
わいに一人二役を押し付け、息子殺しは長い間ばれなかった」
「それでは、ここに出てくる『俺』とは誰なのですか?」
「最初の男の私が、女の『私』の人格の一人だったのです。これもまた、人格の一人と考える
のが自然です。いえ、事実そうでした。私の目の前にいた、彼の肉体は女性の物でした」
貴方が、全てを……
「人格が男性である場合、人格が感じる自分の体もまた、男性の物です。間違いを人格が
自覚する事はありません」
私は……私だ。他の誰でもない、はずだ。
「そう、貴女のように」
「全ての事件の謎を解くため、貴女は警察官になった。つらかったでしょう。ですがこれからが
もっと、つらいのですよ。貴女の人格の一人が事件の真相を知った時、その真相を全て隠して
しまった。貴女の人格が破綻しないように、ずっと護り続けていたのです」
はたしてこれで全てが解決したのだろうか。私には分からない。
だが----確実に分かっていることもある。
例えば、向かいの病室の女の見舞い客が秋にそっくりだったのは何故なのか。(
>>187参照
そう、向い側には病室などない。あるのは、壁にはめこまれた大鏡。
私は、私自身と、私の病室にいる秋の姿を見ていたのだ。
秋。つまりバイトの娘。
そうなのだ。またしても鏡なのだ。(
>>188参照)
覗く者は覗かれる。
7階の非常階段で、私はなぜ買った覚えのないジタンの両切りを持っていたのか。(
>>12、
>>44、
>>120参照)
多分それは、総鏡張りになっている向いのビルの壁面に映った自分の姿を見つぃまったたから。
鏡を見る度に、私は人格の同一性は危うくなるのに違いない。
病院での出来事も、少しずつ思い出してきた。
瀬戸川を送りだした時に、扉の向こうの鏡が目に入る。
そこには、開いた扉と自分の姿、それから傍にいた秋が映っていたはずだ。
それを私は、向かいの個室の扉が開いて、女と見舞いの若い女が見えたと思い込んでいたのだ。
「秋・・・ちゃん?」
私はそうつぶやくと、怪訝な表情で私を見送る秋を残して病室を出た。
人格の同一性が保てなくなりそうな時に、何が起こるのか。
ゲームの規則を思い出せ。(
>>114参照
若い女が去る。見舞いに来たバイトの娘を送り出したのは私。(
>>188参照
ならば、実際に部屋を出たのは私なのだ。
そして私は意識のとぎれたまま、屋上にいる所を秋に発見された。(
>>195参照
1行目 (
>>188参照)→(
>>111参照)
4行目 自分の姿を見つぃまったたから。→自分の姿を見てしまったから。
5行目 私は人格の同一性は危うくなるのに→私の人格の同一性は危うくなるに
鬱。もっと推敲してから書き込みます。
「そろそろ、なぜ自分が入院することになったか、思い出していただけましたか?」
主治医の新たなる質問で、私(それとも海苔付と言うべきか)は我に返った。
「確か過労で...え、じゃこの足は」
「そう、骨折です(
>>173参照)。あなたは過労という名目で入院を強制された(
>>170参照)。
もちろん自覚症状など皆無だから、バイトの娘に誘われるままに病院を抜け出して、
飲みにいき、階段から落ちて骨折、今度は完璧なる入院生活を送る羽目になった(
>>132-134、
>>171-173参照)」
「問題は」
そこで主治医(いや、白い男と言うべきか)は勿体ぶるように間をあけて、新たなる問いを
私に投げかけた。
「大した過労でもないのに、あなたの上司は何故一週間も入院させようとしたか、なのです」
・・・それが、どうしたというのだ?・・・いや、駄目だ。その理由を思い出してはならない。
(この項のやり取りは、
>>175も参照のこと)
何故一週間も入院させようとしたか。
簡単なことだ。
私を、事件の担当からはずすためだ。『虚城 〜インターネット殺人事件』絡みの
今回の事件から。
本当に恐ろしいのは...何故事件の担当からはずしたかったか、ということの方だ